借金ありでも生活保護の申請・受給は可能!受給金を返済に充てたり、新たな借り入れが不可な点には要注意

病気で仕事も失い、働けない体になってしまったために、生活保護の受給を検討しているのですが、前に借入した借金がまだ残っています。借金があっても生活保護の受給は可能なんですか?

借金があっても生活保護の申請や受給は可能です。また、借金の有無が原因で生活保護の受給決定が左右されることも一切ありませんので安心してください。

良かった…。でも、生活保護を受給しながら借金の返済していけるかな?生活保護費は、生活をするために最低限のお金を支給って聞いていたので。支払えなかったらどうしたら良いでしょう?

生活保護を受給している人が借金を返済してはダメですよ!もしも借金を返済していることがバレてしまえば、最悪の場合、生活保護の打ち切りになりかねません。もし生活保護費に多少の余裕があったとしても、借金の返済に充てることは認められていませんので注意してください。

そうなんだ…。知らなかったです。知らずに返済していたら生活すらできなくなってしまっていました。でも、生活保護で借金を返済してはいけないのであれば、借金の返済義務もなくなるのですよね?

いいえ、生活保護の受給開始に伴って、借金の返済義務がなくなるわけではありません。生活保護受給者が借金を返済することは認められていませんが、借金の返済を免れることはありません。

矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、あなたの状況は、お金を貸した人からすれば何ら関係はありません。当然貸したお金は返してもらえるように取り立てを行います。そのため、生活保護を受給される方は、債務整理を行って借金を0にする他ありません。

借金を抱えている方が生活保護の申請・受給することは認められていますが、借金の返済を行うことはできません。その一方で、借金の返済義務を免れることはなく、矛盾しているように思う方も多いでしょう。

生活保護を受給されている方は「どうせ支払えないから」「最悪、差し押さえになっても差し押さえられる財産はないから」と高を括っているかもしれません。たしかに、強制執行(差し押さえ)になっても、生活保護費まで差し押さえられることはありません。

しかし、いずれ自立したときに、給与の差し押さえをされてしまったり、財産を差し押さえられてしまったりなど、不利益を被ることは目に見えています。生活保護の受給を検討しているのであれば、早い段階で破産手続きを開始しましょう。

この記事でわかること

この記事でわかること
  • 借金があっても生活保護の申請や受給が可能
  • 生活保護受給者は自己破産をしたほうが良い
  • 自己破産の費用は30万円~と、高額ですが民事法律扶助制度を利用すれば大丈夫
  • 生活保護受給者がクレジットカードを含む新たな借金はできない

借金があっても生活保護の申請・受給は可能?

借金があっても生活保護の受給申請や受給は可能です。ただし、生活保護受給開始後に新たな借金や、生活保護受給者が借金の返済を行うことはできません。

そのため、生活保護の受給をされている方が借金を抱えているのであれば、自己破産を行うなど、借金問題の根本的な解決を目指すしかありません。生活保護受給中に借金の返済をしてしまうと、最悪の場合、生活保護の打ち切りが決定してしまうので注意してください。

生活保護の受給は可能だが、生活保護費で借金を返済することは認められない

借金を抱えている方であっても、生活保護の申請が可能ですし、借金を理由に生活保護の受給可否を決定されることはありません。また、借金がある方であっても生活保護の受給が可能です。

ただし、生活保護を受給されている方が借金の返済を行うことは認められていません。これは、生活保護費のみではなく、自身で働いて得た給与であってもです。

そもそも生活保護制度は「日本国民が健康で文化的な“最低限度”の生活を送るため」にある制度です。憲法によって定められた当然の権利を守るためにある制度であり、“最低限度の生活”を送れるために、支援を行っています。

そのため、生活保護を受給されている方は本来、健康で文化的な最低限度の生活を送るための金銭しか持っていないはずです。仮に、「普段の生活を節約して浮いたお金で返済しよう」と考えているのであれば、それは借金に返済するのではなく、自治体に返金すべきお金です。

生活保護費は日本国民が納めた税金から支払われており、余ったからと言って借金の返済に充てて良いわけではありません。もっと言えば、生活保護費を“貯金”することも原則認められていません。

あくまでも生活保護受給者は、毎月最低限の生活を送るための金額が支給されるため、支給額をすべて使い切られることが前提です。そのため、余ったお金を借金返済に充てることはもちろん、貯蓄も例外を除いて認められませんので注意してください。

生活保護を受給しても借金の返済は止まらない

生活保護の受給が決定しても、借金の返済が止まるわけではありません。「生活保護受給者は借金返済ができない」でも「借金の返済義務が止まらない」と、聞くと少し矛盾しているように思うかもしれません。

しかし、債権者(お金を貸した人)から見れば、債務者(お金を借りた人)がどのような状況であれ、貸したお金と利息を請求するのは当然です。これは債権者が持つ“債権”という権利に基づいているためです。

債権では、お金を借りた人に対して金銭を請求できる効力や訴訟を起こして金銭を請求する訴求力などの効力を有しているためです。これらの権利や効力は、債務者が生活保護の受給開始決定したことを理由に、なくなることは決してありません。

一方で生活保護費は、先にもお伝えした通り「最低限度の生活を保障するための制度」であるため、本来、借金返済に充てられる費用は残らないはずです。そのため、生活保護受給者が、生活以外に部分でお金を使用することは基本的に許されていません。

生活保護を受給する前に債務整理を行ったほうが良い

生活保護を受給されている方は、借金の返済を行うことはできませんが、借金自体がなくなるわけではありません。債権者(お金を貸した人)に対して「生活保護を受給しているので返済できません!」と、言っても意味がありません。

生活保護の受給をしたからと言って、取り立てが止まることもないですし、借金が免れることはありませんので注意してください。

生活保護受給者は借金の返済を行うことができませんので、債務整理を行うしかありません。中には、親族等を頼って借金の返済を目指そうとする方もいるかもしれませんが、絶対にやめてください。最悪の場合、生活保護が打ち切られます。

生活保護の受給要件の中に「親族からの援助が受けられない」ことが条件のひとつとなっています。そのため、親族から借金肩代わりしてもらうと「資金援助があった」とみなされてしまい、生活保護の打ち切りにつながってしまいます。

生活保護受給者や受給を検討されている方であっても、債務整理は可能です。費用負担が厳しいようであれば、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば良いでしょう。

生活保護受給者であることを理由に、債務整理を断られたり不利益を被ったりすることは一切ありませんので、安心して債務整理手続きを開始してください。債務整理手続きを開始することで借金の取り立てもストップします。早い段階で借金問題を解決し、生活再建に注力されたほうが良いでしょう。

生活保護の受給を検討しているなら自己破産一択

生活保護受給者が借金を抱えているのであれば、行うべき債務整理は自己破産一択です。債務整理の中には、任意整理や個人再生といった“借金を減らす手続き”もありますが、これらはあくまでも、借金減らし完済を目指す債務整理手続きです。

先に何度もお伝えしていますが、生活保護受給者はいかなる理由があろうと、借金の返済はできません。そのため、任意整理や個人再生を検討したところで支払い能力が皆無であり、まったく意味がありません。

「自己破産を行ってしまうと、資産を失ってしまう」と、考えている方もいるかもしれませんが、これは生活保護を受給する時点で失います。そもそも生活保護を受給するためには、資産と呼べるものをすべて売却し、お金に変えてもなお、生活ができない人が受けられる制度です。

そのため、自己破産を行ったところで失う資産がないのが当然です。その他、自己破産を行うことで、官報(国が発行する広報誌)に名前が載ってしまうため、忌み嫌う方もいるかもしれません。

ただ、自己破産をしなければ借金の返済を行うこともできず、借金の返済から免れることもできず、最悪の場合、強制執行(差し押さえ)されてしまう可能性があります。失う資産はないと言いつつも、2台目以降のテレビやちょっとした贅沢品は差し押さえられてしまいます。余程な事情がない限りは、自己破産を検討されたほうが良いでしょう。

法テラス“民事法律扶助制度”を利用すれば費用負担はかからない

生活保護の受給を検討されている方が30万円超の自己破産費用を支払うのは容易ではありません。そのため、生活保護受給者など、経済的に余裕のない方であっても、法テラス(国で設立した無料法律相談場所)に相談をし、自己破産費用を立て替えてもらえます。この制度を“民事法律扶助制度”と言い、いくつかの条件がありますが、生活保護受給者の方はあてはまるので安心してください。

民事法律扶助制度は、憲法に定める「何人も裁判所で裁判を行う権利を奪われない」に基づいている制度です。そのため、経済的な理由から自分で自己破産費用を準備できない方であっても、法テラスで救済措置を行っています。

お近くの法テラスで相談をすれば、審査→援助開始の順番で費用援助が開始されます。もしもお住まいの近くに法テラスがなければ、法テラスと提携している弁護士事務所へ相談してください。個人の弁護士事務所であっても、法テラス同様の制度や相談を行えます。

全国に約23,000名の弁護士が在籍、さらに約6,000名の司法書士事務所が点在しています。

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なお、民事法律扶助制度はあくまでも裁判費用等の“建て替え”ですが、生活保護受給者は、保護受給終了まで立替費用の返済を猶予されます。そのため、自己破産費用の返済に悩む必要はありません。安心して民事法律扶助制度を利用してみてください。

生活保護受給中は新たな借金はできない

生活保護を受給されている方は、新たに借金をすることはできません。現在借入が可能なカードローンを持っているのであれば、生活保護受給開始に伴って解約をしてください。借入が残っていて解約できないのであれば、使用せず借金問題を解決してから解約しても良いです。

ただし、生活保護受給中に新たな借入があると「収入」としてみなされてしまうため、申告が必要になります。場合によっては、生活保護費の減額や打ち切りになってしまう可能性があるので注意してください。

また、ポイントを貯める目的等で利用しているクレジットカードであっても、生活保護受給者は持つことも作ることも認められていません。そもそも生活保護受給者には、“借金の返済能力がない”のが前提です。

リボ払いや分割払いの利用がなくても、借金としてみなされてしまう可能性があるので、クレジットカード利用にも注意しましょう。

生活保護受給中に借金の返済や新たな借金が発覚すれば、生活保護を打ち切られてしまう

生活保護を受給している間にクレジットカードの利用を含む借金の借入が発覚した場合には、最悪の場合、生活保護打ち切りになってしまいます。生活保護受給中の方が借金の返済を行うことは許されていませんので、新たな借入を行ったところで返済できません。

もしも借金の返済を行っていることが発覚すれば、生活保護の打ち切りを免れることはありません。さらに、借金は「収入」としてみなされてしまうため、収入を申告しなければ、生活保護の打ち切りになってしまう可能性もあるでしょう。

生活保護を受給していれば、最低限の生活を保障されていますので、借金をしなくても生活ができるはずです。クレジットカードの利用も認められていませんが、デビットカード(カード支払いと同時に口座から引き落としされるカード)の利用等で我慢しておきましょう。

まとめ

今回は、借金を抱えている方であっても生活保護の申請や受給は可能なのか?についてお伝えしました。記事本文で何度もお伝えしていることですが、「申請は可能ですが、借金の返済はできません」そのため、自己破産を検討するしかないとのことでした。

自己破産をせずに借金を放置していても、生活保護から自立した際に改めて、給与や財産を差し押さえられてしまいます。きっとその頃には、遅延損害金(借金の返済が滞ったことによる賠償金)が含まれ、借金総額はかなり膨れ上がっていることでしょう。

中には「“時効”があるから大丈夫」と、考えている方もいるかもしれませんが、裁判を起こされてしまうと時効は中断します。そのため、債権者(お金を貸した人)は、現時点で返済される見込みがなくても、訴訟を起こす可能性があるでしょう。

生活保護を受給されている方は、法テラスの民事法律扶助制度も利用できますので、受給開始前には自己破産手続きを確実に行っておいたほうが良いです。いずれ生活再建を目指したときに、大きな壁にならないよう面倒臭がらずに手続きを済ませておくことを強くおすすめします。

この記事を書いた人

林裕二

FPライターとして“お金”にまつわる記事を数多く寄稿。プライベートでは裁判傍聴が趣味であり、法律関連の知見もある程度持っております。債務整理については、FPとしてのライフスタイルアドバイスも含めながら、わかりやすい記事を発信していきます。

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