任意整理にはデメリットが多い?しない方がいい場合や別の債務整理などを解説

任意整理にはデメリットが多い?しない方がいい場合や別の債務整理などを解説

借金が増えすぎて返済が難しくなってきたので債務整理を考えています。ただ、任意整理はしない方がいいという話を聞いたのですが本当ですか?

債務者の状況に応じて適切な債務整理手続きは異なるので、任意整理がおすすめの債務者もいれば、任意整理しない方がいい債務者もいます。たとえば、一定の収入があって家族にバレずに借金問題を解決したいなら任意整理が適切な方法だと考えられます。

実は、最近仕事を失ったので収入がない状態です。家族には借金のことを知られたくないのですが、これでも任意整理は可能ですか?

任意整理後は3~5年程度で完済を目指すスケジュールが組まれるので収入がない債務者では債権者の合意を引き出しにくいのが実情です。そのため家族にはバレますが、任意整理よりも自己破産が適切だと考えられます。

どの債務整理手続きが適切かは、債務者固有の事情を考慮する必要があります。弁護士に相談すれば手続き選択はもちろんのこと、家族への説明や生活再建の具体的な方法までアドバイスしてもらえるので、まずはご相談ください。

任意整理とは、自己破産・個人再生とならぶ債務整理手続きのこと。他の債務整理手続きとは異なり、裁判所を利用せずに債権者と自由に交渉ができるというメリットがあります。

その一方で、元本のカットが認められにくい任意整理は”借金の減額効果が弱い”と言われますし、そもそも債権者が交渉に応じてくれなければ手続きを進めることもできません

このように、任意整理をはじめとする債務整理手続きにはそれぞれメリット・デメリットがあるので、「任意整理をしない方がいい」「自己破産の方が向いている」などを判断するには、債務者の個別事情を総合的に考慮する必要があります。

もし任意整理しない方がいいはずなのに誤ってこれを選択してしまうと、「任意整理しなければよかった」「任意整理したのに意味がない…」と後悔することになりかねません。

したがって、これから債務整理で生活再建を目指そうという債務者は、かならず事前に弁護士に相談して”自分に最適な債務整理手続き”を選択してもらいましょう

この記事でわかること
  • 任意整理にはデメリットがある。たとえば、和解契約締結後にも返済生活が約3年~5年続くので、「借金生活を今すぐ終わらせたい」という債務者は、任意整理をしない方がいい。
  • デメリットがあると同時に、任意整理には強力なメリットもある。将来利息の発生を抑えられ、裁判所なしで手続きを柔軟に進められるので、「家族に知られずに借金問題を解決したい」という債務者にはおすすめ。
  • どの債務整理手続きにもメリット・デメリットがある。そして、債務者の抱える個別事情によって適否の判断も異なる。借金問題に強い弁護士に相談をして、自分に合った債務整理手続きを検討してもらおう。
目次
  1. 任意整理のデメリットとは?
  2. 任意整理には強力なメリットがある
  3. 任意整理のデメリットに対するよくある誤解とは?
  4. 任意整理しない方がいい場合とは?
  5. 任意整理しない方がいい場合には別の方法で生活再建を目指そう
  6. 任意整理しない方がいいかは債務整理に強い弁護士に相談しよう
  7. まとめ

任意整理のデメリットとは?

任意整理とは、自己破産・個人再生とならぶ債務整理手続きの1つです。

特に、任意整理は手続きの柔軟性から多くの債務者に人気がある債務整理手続きですが、なかには「任意整理しなければよかった」という経験者の声があるのも事実です。

ただ、これから債務整理を検討している債務者が押さえておかなければいけないのは、手続きごとにメリット・デメリットがあるので、”すべての債務者にとって万能の債務整理手続きはない”ということです。

自分に合った手続きを選択できなければ後悔することになってしまうので、かならず事前に各債務整理手続きのデメリットを把握しておきましょう。

任意整理のデメリットは、次の3つです。

  • ブラックリストに登録される
  • 任意整理後も返済生活が続く
  • 債権者が応じてくれないと任意整理の交渉さえできない

それでは、任意整理の各デメリットについて詳しく見ていきましょう。

ブラックリストに登録される

任意整理を利用すると、信用情報機関に事故情報が登録され、約5年間ブラックリストとして扱われます

信用情報機関とは、個人の信用情報(収入・ローン契約・返済履歴など)を管理する団体3社のこと。すべての金融機関は少なくともいずれかの信用情報機関に加盟しており、信用情報機関3社間においてCRINというシステムで情報を共有しています。

信用情報機関 加盟団体・加盟業界
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 銀行・信用金庫・信用組合・信用保証協会・一部銀行系信販会社など
株式会社日本信用情報機構(JICC) 消費者金融・クレジットカード会社・ローン会社など
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 消費者金融・クレジットカード会社・自動車ローン系業界・保険会社など

1社について事故情報が登録された時点で、すべての金融機関にブラックリスト情報が知られる状態になるということです。たとえば、消費者金融の借金が原因でブラックリストに登録されたからといって「銀行は大丈夫」ということにはなりません。

そして、ブラックリストとして扱われることによって、日常生活には次のデメリットが生じます

  • 新規ローン・借り入れができなくなる
  • クレジットカード・ETCカードの強制退会・新規入会不可
  • 子どもの奨学金の保証人になれない
  • 賃貸物件の入居審査に通りにくくなる
  • 携帯電話・スマートフォン端末代金の分割払い不可

これらのデメリットをどうしても避けたい債務者は、任意整理をしない方がいいと考えられます。

もっとも、各デメリットを軽減・回避するための方法も用意されているので、詳しくは「債務整理と信用情報機関の関係は?ブラックリストに載った場合のデメリットと対処法を解説」をご参照ください。

任意整理後も返済生活が続く

任意整理の交渉がまとまれば、利息をカットして借金元本額だけを返済すれば良くなるケースが多いです。

「利息を支払わなくてよい」点はメリットと捉えられる一方で、任意整理後も返済生活が続く」点はというデメリットと捉えることも可能です。

したがって、「債務整理のタイミングで借金生活を一度に終わらせてしまいたい」と考えている場合には任意整理ではなく自己破産を選択すべきと考えられます。

任意整理をすると毎月の返済額が増えるリスクがある

任意整理では約3年~5年で完済できる返済スケジュールを作り直しますが、任意整理前の返済状況と比較すると、毎月の返済額が増えるケースもあります

たとえば、借金残債300万円の債務者が毎月4万円ずつ返済を継続していたところ、任意整理では約3年での完済が原則となるので、毎月8万円~9万円(300万円÷36ヶ月)の返済を求められることになるかもしれません。毎月の返済額が4万円から9万円に急増しているので、「任意整理しなければよかった」と後悔する可能性もあります。

その一方で、債務者の状況次第では、毎月の返済額を減らせるケースも少なくはありません。たとえば、借金残債100万円の債務者が毎月4万円ずつ返済を継続していたところ、任意整理で約3年の完済計画を作り直すことができれば、毎月の返済額が4万円から2万円~3万円(100万円÷36ヶ月)に落とし込めます

つまり、任意整理後の毎月の返済負担が重くなるかどうかは債務者の借金残債総額と毎月の返済額次第です。任意整理を後悔しないためには、かならず事前に弁護士などの専門家に相談のうえ、任意整理後の返済シミュレーションをしてもらうのがポイントです。

任意整理後に返済が滞っても再和解は難しい

任意整理を利用した段階では安定した収入があったので3年の返済生活を継続する自信があった場合でも、怪我・病気などが原因で収入が落ち込む可能性があります。また、新型コロナウイルスによる不況の影響で仕事を奪われたという債務者も少なくはないでしょう。

このように、任意整理で約束した和解案通りに返済を継続するのが難しくなると、ふたたび債権者と再和解をする道を模索することになりますが、一度借金状況を見直した債務者が再和解を希望しても債権者が応じてくれない可能性が高いです。

そして、再和解交渉がうまく進まないまま任意整理後に滞納が続いてしまうと、遅延損害金の発生・残債の一括請求・財産の差し押さえというペナルティが課されます。

これらを回避するためには自己破産・個人再生を頼ることになりますが、それなら「最初から自己破産などを利用しておけばよかった」と後悔することになりかねません。任意整理に使った時間・労力が無駄になるだけです。

このように、任意整理は和解契約締結後に返済が滞った場合のリスクと常に隣り合わせだということ。「完済まで返済を継続する自信がない」という債務者は任意整理をしない方がいいと考えられます。

※任意整理後の再和解については、「任意整理後の再和解とは?一括請求や遅延損害金のリスクを軽減しよう」で詳しく解説しているので、あわせてご参照ください。

債権者が任意整理に応じてくれないと交渉を進められない

任意整理は、債権者と直接交渉をして将来利息のカットや今後の返済計画を話し合う債務整理手続きです。

つまり、任意整理の交渉の場面に登場するのは、お金の貸し借りをしている当事者だけ、裁判所は一切関与しないという特徴があります。

したがって、裁判所の強制力をもって債権者を任意整理手続きに巻き込めないので、債権者側が応じてくれなければ任意整理をスタートすることができません。

たとえば、仮に債権者側が交渉には応じてくれたとしても、債権者側が納得できるだけの返済計画を提案できなければ合意を得られず、結果として任意整理で和解契約を成立させることも不可能です。

また、多くの貸金業者は任意整理の交渉には応じてくれるものの、条件次第では任意整理に応じてくれないケースもあります。

債権者側を強制的に手続きに巻き込むためには、裁判所を利用する債務整理手続きである自己破産・個人再生がおすすめです。

任意整理には強力なメリットがある

デメリットばかりに注目すると任意整理に踏み出す気力がなくなってしまいますが、その一方で、任意整理には強力なメリットがあるのも事実です。

任意整理の具体的なメリットは次の5点です。

  • 将来利息をカットできる
  • 他の債務整理に比べてブラックリストへの登録期間が短い
  • 家族にバレずに手続きを進めやすい
  • 他の債務整理に比べて費用を抑えやすい
  • 任意整理に強い弁護士に依頼すれば債権者を交渉に引き出せる

それでは、各メリットについて詳しく見ていきましょう。

任意整理なら将来利息をカットできる

任意整理交渉では” 将来利息将来利息とは「任意整理における和解契約締結後~完済日までの利息」のことです。これに対して、「債務整理交渉開始~和解成立までの利息」のことを経過利息といいます。債権者のなかには将来利息だけではなく経過利息まで免除してくれる場合もありますが、現在の任意整理の相場観では将来利息だけがカットされるのが一般的です。の支払いを免除する”という内容の合意が形成されるのが一般的ですが、実は、利息をカットしてもらえるだけで債務者には大きなメリットが生じます。

なぜなら、借金の返済が終わらない理由、債務者が借金返済に苦しめられる理由は「利息」にあるからです。

たとえば、借金総額と毎月の返済額次第では、完済までに次の表に記載の利息が最終的に発生します。任意整理を利用すれば、これらの利息の支払いを完全に免れられます。

借金総額 50万円(年利率18%)
毎月15,000円返済した場合の利息総額 198,327円
毎月20,000円返済した場合の利息総額 131,374円
毎月30,000円返済した場合の利息総額 79,706円
借金総額 100万円(年利率15%)
毎月20,000円返済した場合の利息総額 579,052円
毎月30,000円返済した場合の利息総額 301,674円
毎月50,000円返済した場合の利息総額 157,936円
借金総額 300万円(年利率15%)
毎月60,000円返済した場合の利息総額 1,737,295円
毎月80,000円返済した場合の利息総額 1,073,398円
毎月100,000円返済した場合の利息総額 783,534円

このように、任意整理を利用しなければ、何十万円~何百万円の利息が発生していた可能性があります。任意整理によってこれらの負担から完全に逃れられるので、債務者にとってはメリットが大きいと考えられるでしょう。

なお、消費者金融などとの間の契約内容次第では、利息総額がさらに増える可能性があります。任意整理の利用によってどれだけの減額を狙えるかについては、次の「借金減額無料診断」からご確認ください。

任意整理のブラックリスト登録期間は他の債務整理より短い

任意整理をするとブラックリストに登録されますが、信用情報機関に事故情報が登録されるのは自己破産・個人再生を利用しても同じです。

そして、ブラックリストへの登録機関は任意整理がもっとも短いので、債務整理を利用しながらもブラックリストによる弊害を最小限に抑えられるというメリットが得られます。

自己破産 個人再生 任意整理
KSC 約10年 約10年 約5年
JICC 約5年 約5年 約5年
CIC 約5年 約5年 約5年

任意整理なら家族に知られずに手続きを進めやすい

任意整理には家族に知られずに手続きを進めやすいというメリットがあります。

なぜなら、自己破産・個人再生のように裁判所における手続きがないので、平日に裁判所に出頭する必要はなく、裁判所から書類等が自宅に郵送されることもないからです。

しかも、任意整理を弁護士に依頼すれば、債務者自身がやるべきことはほとんどありません。たとえば、仕事帰りに弁護士事務所に数回打ち合わせにいく程度で任意整理手続きは終わるでしょう。

したがって、「家族にバレずに借金問題を片づけたい」と希望する債務者に任意整理はおすすめです。

※家族にバレずに債務整理をするコツについては、「債務整理をするとどんな郵便物がどこに届く?家族にバレることはある?」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

他の債務整理に比べて費用を抑えやすい

任意整理のメリットは、他の債務整理に比べてかなり費用を抑えられるという点です。

なぜなら、自己破産・個人再生では裁判所に数十万円の費用を支払わなければいけないのに対して、任意整理では裁判所への費用は一切発生しないからです。

しかも、任意整理を弁護士に依頼する場合には、債権者1社につき数万円の弁護士費用で対応してもらえるケースが多いです。これなら、家計がひっ迫している債務者でも弁護士に依頼しやすいでしょう。

したがって、「できるだけ費用を抑えて借金問題を解決したい」という債務者に任意整理はおすすめです。

※債務整理の費用については、「債務整理にかかる費用と相場は?お金がなくても手続きはできます!」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

任意整理の実績が豊富な弁護士に依頼すれば債権者を交渉に引き出せる

債権者が自発的に応じてくれなければ交渉を進められない任意整理ですが、債務整理の実績が豊富な弁護士に依頼をすれば交渉のテーブルに引き出しやすいという強みがあります。

また、債権者・債務者双方の事情を踏まえたうえで、合理的な内容の和解案を作成してくれるでしょう。

したがって、任意整理で借金問題の解決を目指すのなら、お早めに弁護士へご相談ください。

任意整理のデメリットに対するよくある誤解とは?

「任意整理をしない方がいい」という声のなかには、任意整理のデメリットに対する誤解も含まれています。

自分にとって適切な債務整理手続きを行うためには、各手続きの特徴を正確に把握しなければいけません。

次の5つは任意整理に対する誤解なので、手続きの内容を正しく理解しましょう。

  • 連帯保証人に迷惑がかかる
  • 車・自宅を処分される
  • 戸籍に載る
  • 年金が支給されなくなる
  • 会社をクビになる

それでは、任意整理の誤解を1つずつ払拭していきましょう。

任意整理なら連帯保証人への迷惑を回避できる

債務整理のなかで、唯一連帯保証人への迷惑を回避できるのが任意整理です。

なぜなら、自己破産・個人再生は裁判所ですべての借金が手続きの対象になりますが、任意整理なら交渉の対象にする借金を債務者自身で選択できるからです。

たとえば、債務者が複数の債権者から借金をしているケースにおいて、任意整理なら”連帯保証人が付いていない借金”だけを交渉対象にすることができます。

これによって、連帯保証人への迷惑を回避しつつ、毎月の返済負担を軽減できるという柔軟な対応が可能です。

したがって、家族・親族などが連帯保証人になっている場合に、彼らへの負担を回避したいときこそ任意整理をした方がいいと考えられます。

※債務整理の連帯保証人への影響については、「債務整理における連帯保証人への影響は?迷惑をかけない方法と合わせて解説」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

任意整理なら車・自宅の処分を回避できる

車や自宅などの債務者の財産が処分されるのは自己破産です。任意整理を利用しても債務者の財産が処分されることはないのでご安心ください。

ただし、どの債務整理手続きも利用せずに借金を払えない状況がつづくと、最終的には滞納ペナルティとして債務者名義の財産が差し押さえられることになります。

したがって、車・自宅などの財産が処分されるのを回避するためには、できるだけすみやかに任意整理などの債務整理をした方がいいでしょう。

任意整理をしても戸籍には掲載されない

任意整理はもちろんのこと、どの債務整理手続きを利用しても戸籍に情報が登録されることはありません

自己破産を利用した場合だけは、市町村の破産者名簿に一定期間情報が登録されることがありますが、これは復権のタイミングで抹消されますし、そもそも一般私人がアクセスできるようなものではありません。

つまり、任意整理を利用してもどこかに記録が残るわけではないのでご安心ください。

※債務整理と戸籍への影響については、「自己破産をすると戸籍や住民票に掲載される?周囲にバレる可能性も合わせて解説します!」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

任意整理を利用しても年金の受給資格に影響しない

任意整理を利用しても年金の受給資格には影響せず、したがって、将来的に国民年金の受給額が減額されることもありません。

もっとも、借金問題を抱えている債務者のなかには、毎月の国民年金保険料の支払いが滞っているという人も少なくはないでしょう。このままでは、将来の年金受給額が減額されたり、場合によっては一切国民年金を受給できなかったりするリスクがあります。

任意整理によって借金問題を解決できれば、毎月の国民年金保険料などの支払いもできるようになるはず。将来、年金という生活基盤を確保するために任意整理などの債務整理をした方がいいでしょう。

※国民年金保険料の滞納リスクについては、「年金保険料の滞納で差し押さえになるのはおかしい?支払えないなら役所や年金事務所への相談は必須」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

任意整理を理由に会社は解雇されない

任意整理を利用しても会社には影響がないと考えられます。なぜなら、そもそも任意整理は誰にもバレずに手続きを進めやすいので、会社に知られることがないからです。

また、仮に会社に任意整理を知られたとしても、そのことを理由に解雇などの処分を受けることはありません。なぜなら、借金は個人的な問題なので、業務には一切関係がないからです。

したがって、任意整理を理由に会社から不利益処分を下されることはありませんし、万が一何かしらの処分を下された場合には処分の撤回などを求めることができるので、すみやかに弁護士までご相談ください。

なお、自己破産の場合だけ、破産手続き中に仕事が制限される職業があります。仕事への影響が心配な債務者は、この点もあわせて弁護士に確認することをおすすめします。

※自己破産の職業制限については、「債務整理で資格制限があるのは自己破産だけ!資格制限を受ける期間や対象の資格も徹底解説」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

任意整理しない方がいい場合とは?

ここまで紹介した任意整理のデメリット・メリット・誤解を総合的に考慮すると、任意整理をしない方がいい債務者は次の3つに限定されます。

  • ブラックリストへの登録を避けたい
  • 返済の継続が難しいので任意整理をしても意味がない
  • 任意整理に応じない業者から借金をしている

ブラックリストへの登録を避けたい

ブラックリストへの登録を避けたい債務者は、任意整理はもちろんのこと、そもそも債務整理をしない。なぜなら、すべての債務整理のデメリットとしてブラックリストへの登録が挙げられるからです。

もっとも、借金の滞納がつづいた場合には、延滞期間が2ヶ月~3ヶ月に及んだ段階でブラックリストに登録されてしまいます。

したがって、現段階で延滞期間が短く、まだ信用情報機関に事故情報が登録されていない債務者は、次の方法を実践して借金の自力完済を目指しましょう

  • 収入を増やす(副業・資格取得・転職など)
  • 支出を減らす(固定費の見直し・娯楽費の節約・ギャンブル癖を直すなど)
  • おまとめローンの活用(返済長期化のリスクがあるので注意)
  • 繰り上げ返済・毎月の返済額を増額する
  • 家族・知人からの融資を頼る

なお、現在一定期間滞納がつづいているためにすでにブラックリストに登録している債務者にとっては、今さら任意整理によってブラックリストに登録されることを嫌がる必要はないと考えられます。

むしろ、滞納が継続することによって生じる滞納ペナルティ(遅延損害金や財産などの差し押さえ)を回避することを最優先に考えるべき状況なので、出来る限り早いタイミングで債務整理に踏み切った方がいいでしょう。

※自力返済を目指すコツについては、「誰でも借金まみれの人生から抜け出せる!返済するための環境作りと生活再建の方法を解説」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

返済の継続が難しいので任意整理の意味がない

「今すぐ借金生活を終わらせたい」「これ以上返済生活を継続するのが難しい」という状態なら、任意整理はしない方がいいです。

なぜなら、任意整理を利用しても数年間は返済生活がつづきますし、万が一途中で和解通りに返済できないと深刻なペナルティが課されるリスクがあるからです。

たとえば、非正規雇用で数年先までの収入が確約できない、もう返済を継続する気力もないという状態なら、任意整理ではなく自己破産をした方がいいでしょう。

弁護士に相談すれば債務者の希望なども含めて適切な手続きを検討してくれるので、些細な不安も遠慮せずにご相談ください。

任意整理に応じない業者から借金をしている

任意整理に応じない業者から借金をしている場合には、任意整理は諦めてできるだけ早いタイミングで自己破産・個人再生に切り替えた方がいいです。

なぜなら、合意を前提とする任意整理では債権者への強制力がないですし、債権者の対応を待っているだけでも利息・遅延損害金の負担はどんどん増すばかりだからです。

債務者だけで任意整理に応じない業者からの借金問題を解決するのはかなりハードルが高いです。

今後の展望をすぐに決める必要があるので、できるだけ早期に弁護士の力を頼りましょう。

任意整理しない方がいい場合には別の方法で生活再建を目指そう

任意整理しない方がいいからといって、そのまま借金問題を放置してはいけません。

なぜなら、何の具体策もとらないままでは、債務者にとって大きな負担となる利息・遅延損害金がどんどん膨れあがるだけだからです。

したがって、債務者に残された選択肢は次の3つだけ。早期に着手することを強くおすすめします。

  • 債務整理をせずに自力完済を目指す
  • 自己破産で借金生活を終わらせる
  • 個人再生で借金の減額を目指す

それでは、それぞれの方法のポイントについて見ていきましょう。

まだ債務整理せずに完済を目指す

自力で借金を完済できるなら、債務整理をするデメリットも回避できるので、不自由のない状態で借金生活から解放されます。

ただし、自力で完済を目指す場合には、次のリスクがあることを胸に刻んでおきましょう。

  • 貸金業者の高い利息(年利10数%)と向き合い続けなければいけない
  • おまとめローンを活用すると最終的な利息総額が増えるリスクがある
  • 途中で返済を挫折すると最初から債務整理する場合よりも損をする

自力完済を狙う以上、貸金業者との間で締結した金銭消費貸借契約の融資条件に縛られることになります。

利息の負担など、今まで感じていた返済負担はそのままの状態なので、いつ返済継続が困難になるか分かりません。

したがって、自力返済をすると決めたのなら、かならず完済を実現できるように家計管理に集中してください。

※自力完済に役立つおまとめローンの内容と危険性については、「複数ある借金はどう返していけば良い?確実に返済するために検討したいおまとめローンと債務整理」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

自己破産で借金生活を終わらせる

「今すぐ借金生活を終わらせたい」と希望する債務者は、任意整理ではなく自己破産の方がいいと考えられます。

自己破産とは、裁判所を利用して原則としてすべての借金返済義務を帳消しにできる債務整理手続きのこと。借金生活がその時点で終わるので、今すぐ人生を再スタートさせたい債務者におすすめです。

もっとも、借金返済義務を帳消しにできるという大きな恩恵を手にするためには、自己破産特有のデメリットを覚悟しなければいけないという現実も。したがって、次の事情を抱える債務者は、自己破産をする際には注意が必要です。

  • 自己破産の処分対象となる財産を多く所有している
  • 破産手続き中に職業制限を受けると困る仕事に就いている
  • 裁判所への予納金が高額になる
  • ギャンブルが原因の借金など免責不許可事由が存在すると借金が帳消しにならないリスクあり

このように、自己破産には債務者側のデメリットも大きくなるという特徴があります。

債務者にとって自己破産が正しい選択肢かを弁護士に検討してもらってから、手続きに進みましょう。

個人再生で借金の減額を目指す

「任意整理で将来利息をカットするだけでは足りない」という債務者には個人再生の方がいいと考えられます。

個人再生とは、裁判所を利用して借金額の大幅な減額を狙う債務整理手続きのこと。債権者を強制的に手続きに巻き込むことができますし、返済中の住宅ローンにかんする特則も用意されているので、今の生活環境そのままの状態で生活再建への道をスタートできます。

もっとも、継続して安定的な収入を得ていなければ、個人再生手続きは利用できません。また、再生計画案につき、債権者による決議を経ることも必要になります

したがって、個人再生を利用する場合にも、弁護士のサポートを得ながら手続きを進めるのが適切だと考えられます。

任意整理しない方がいいかは債務整理に強い弁護士に相談しよう

債務者自身が「任意整理しない方がいい」と考えていても、実際には債務者にとって適切な選択肢は任意整理だということも少なくありません。

つまり、債務整理に踏み切るかどうか、どの手続きで債務整理を進めるかは、素人である債務者本人では判断が難しいので、借金問題に強い弁護士に相談することが不可欠だということです。

債務整理を弁護士に依頼するメリットは次の3つです。

  • 弁護士だからこそ適切な生活再建の方法を判断できる
  • 弁護士に債務整理を依頼すれば取り立てがとまる
  • 弁護士に債務整理を依頼すれば返済自体がストップする

それでは、弁護士に依頼するメリットについて、それぞれ見ていきましょう。

弁護士なら本当に任意整理しない方がいいかを判断してくれる

借金問題を抱える債務者にとって大切なことは、最初から債務者自身にとって適切な生活再建の選択肢を見つけ出すことです。

  • 債務整理をせずに自力完済を目指す
  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

どの選択肢にもメリット・デメリットがあります。つまり、債務者の状況ごとに、適切な選択肢は変わるということです。

借金問題に強い弁護士なら、「自力で完済できる資力がある」「まだ若いから債務整理をした方がいい「任意整理はしない方がいい負債状況だから自己破産が適切だ」というように、適切な判断が可能です。

債務者自身で思うがままに手続きを選択してしまうと、効果が得られなかったり、場合によっては借金状況がさらに深刻になる可能性もあります。

したがって、かならず弁護士に相談をして、最初から正しい道に歩み出せるようにアドバイスをしてもらいましょう

弁護士に債務整理を依頼すれば取り立てがとまる

弁護士に債務整理を依頼すれば、その時点から債権者からの取り立てがとまります。

なぜなら、弁護士が送付する”受任通知”には債権者の督促をとめる効果があるからです。

これによって、弁護士に依頼するだけで債権者からの返済ストレスに悩まされる日々から抜け出すことができるので、自分の生活を整えることだけに集中しやすくなるでしょう。

※受任通知については、「債務整理をすると借金の督促が止まるって本当?受任通知の効力について解説」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。

弁護士に債務整理を依頼すれば返済自体がストップする

弁護士に債務整理を依頼すれば、その時点から毎月の返済がストップします。

なぜなら、いったん返済をストップしなければ適切な形で今後の返済計画を見直すことができないからです。

つまり、弁護士に依頼するだけで、毎月の家計に余裕が生まれることになります。

今まで返済に充てていたお金を弁護士費用・生活費・貯蓄・国民年金保険料の支払いなどに充てることができるので、生活再建のきっかけを手に入れられるでしょう。

まとめ

任意整理には、返済生活がつづく・他の債務整理に比べて減額効果が弱い・ブラックリストに登録されるなどのデメリットがあるため、デメリットばかりに注目してしまうと、「任意整理はしない方がいい」と考えてしまいがちです。

もっとも、どの任意整理以外の債務整理手続きにもデメリットはありますし、任意整理にも、将来利息をカットできる・裁判所を利用せずに柔軟に手続きを進行できる・連帯保証人への迷惑を回避できるなどのメリットも豊富です。

つまり、債務者の状況次第で、「任意整理を利用すべきか否か」に対する答えは変わるということです。

そこで、債務整理で生活再建の糸口をつかもうとしているのなら、弁護士への相談が不可欠だと考えられます。

借金問題についての相談は無料で対応してくれる弁護士事務所は多いので、お金をかけずに今後債務者が進むべき選択肢を提案してくれるはずです。

債務整理への着手が早いほどスムーズに借金問題を解決できるので、まずはお気軽にご相談ください。

任意整理をしない方がいい債務者に関するQ&A

任意整理をしない方がいい場合とはどのようなときですか?

まず、自力完済を目指せるだけの資力があるなら任意整理をする必要はありません。次に、今すぐ借金生活を終わらせたい・任意整理後に返済を継続するだけの収入・気力がない場合も任意整理は避けるべきです。自己破産・個人再生を含めて、幅広い選択肢から手続き選択をご検討ください。

ブラックリストに登録されたくない債務者は任意整理をしない方がいいですか?

確かに、任意整理のデメリットとして「ブラックリストへの登録」が挙げられるので、「ブラックリストへの登録が嫌だから任意整理をしない」という考え方は間違いではありません。もっとも、自己破産・個人再生をしてもブラックリストには登録されますし、すでに長期延滞や短期間の滞納を繰り返しているのならすでにブラックリストに登録されている可能性もあります。ブラックリスト入りを拒むあまり、借金問題の解決が遅れてしまっては本末転倒なので、お早めに弁護士へご相談ください。

まだ若いので任意整理に抵抗があるのですがどのように判断すれば良いですか?

債務者の状況次第ですが、「若いから任意整理を避けるべき」ということはありません。むしろ、若い方が人生をやり直すチャンスは多いですし、今のうちに借金問題を解決してしまった方が今後の人生プランを作りやすいというメリットがあります。たとえば、任意整理をするとブラックリストに登録されますが、登録期間は5年だけです。今後住宅ローンを組むようなタイミングではホワイトに戻っている可能性も高いので、将来のことを考えながら今債務整理をすべきかを考えましょう。

阿部 由羅
所属事務所
ゆら総合法律事務所
所属弁護士会
第二東京弁護士会
登録番号
54491
経歴

東京大学法学部卒業・同法科大学院修了
2016年12月 弁護士登録(69期)
2016年12月~2019年12月 西村あさひ法律事務所(不動産・金融・一般企業法務など)
2020年1月~2020年10月 外資系金融機関法務部
2020年11月 ゆら総合法律事務所 開設

弁護士登録後、西村あさひ法律事務所入所。不動産ファイナンス(流動化・REITなど)・証券化取引・金融規制等のファイナンス関連業務を専門的に取り扱う。民法改正・個人情報保護法関連・その他一般企業法務への対応多数。

同事務所退職後は、外資系金融機関法務部にて、プライベートバンキング・キャピタルマーケット・ファンド・デリバティブ取引などについてリーガル面からのサポートを担当。

弁護士業務と並行して、法律に関する解説記事を各種メディアに寄稿中。

重すぎる債務は、生活を大きく圧迫するだけでなく、精神的にも大きな負担となってしまいます。完済の見込みがつかない借金を返し続けるよりも、一度債務整理を行い、経済的にも心理的にも新たにスタートを切ってみてはいかがでしょうか。
債務整理を行う際には、債務者の方のご状況やニーズに合わせた手続きの選択や対応が必要になります。困難な状況に陥ってしまった方でも、債務の問題を解決するための糸口はきっと見つかります。円滑な債務整理を実現するために、弁護士として親身になってサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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