裁判所からの支払督促は裁判前の最終警告通知!通知が届いたら放置せず督促異議申立書を裁判所に提出しよう!


借金を滞納していたら、裁判所から支払督促という郵便物が届いたんです・・・滞納していたのが悪いのですが、何とかしたいです・・・


支払督促が来てしまったということは、債権者はかなり怒っているということです。放っておくと財産を差押えられる可能性もあります。差押えを回避するには早急に督促異議申立書を提出することが大切です。
督促異議申立書とはなんですか?


督促異議申立書とは、支払督促の内容に異議を申し立てるために裁判所に提出する書類のことです。支払督促に同封されているのが一般的ですが、裁判所の窓口に備えつけられているものを利用することもできます。もし書き方に困るようなら、一度弁護士に相談して事情を説明し、具体的なアドバイスをもらうとよいでしょう。
借金を滞納してしまうと、裁判所から支払督促が届くことがあります。
裁判所から支払督促が届くタイミングは、借金を滞納し始めてから約3~4ヶ月が一般的ですが、何年も前に払えなくなった借金について支払督促が届くケースも珍しくありません。
中には支払督促の制度を悪用した架空請求事件も報告されています。
たとえ身に覚えがなかったとしても、受け取ったものが裁判所の支払督促であれば、異議を申立てなければ大切な財産を差押えられてしまう恐れがあります。
裁判所からの郵便物は必ず内容を確認し、対応に困った際は一度弁護士に相談するとよいでしょう。

- 裁判所から来る「支払督促」と「支払いの督促」は大きく異なる
- 届いた支払督促を放置すると「財産を差押えられる恐れがある」
- 支払督促が届いたら、裁判所に「督促異議申立書を提出し異議を申し立てる」ことが大切
- 支払督促が届いても「すぐに弁護士に相談すれば債務整理で解決できる」
裁判所から来る「支払督促」と「支払いの督促」は大きく異なる
支払督促とは、債権者が債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に申立て、それを受けた裁判所書記官が発する命令です。放っておくと債務者の財産に強制執行するという強大な権限を与えてしまう手続きです。
支払督促というと、「督促」という言葉が使われているため、債権者が裁判所を使って支払いを急かしているだけのように感じてしまいがちですが、実際はもっと怖い手続きです。
多くの債権者は、まず支払督促の手続きを利用します。
なぜなら、支払督促の手続きが書類審査のみでおこなわれ、訴訟のように審理のために裁判所に行く必要がなく、手数料は訴訟の半額で訴訟に比べて早く簡単に手続きできるためです。
債務者が裁判所から送られてきた支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、債権者はその2週間目の翌日~30日以内に仮執行宣言の申立て可能です。
仮執行宣言の申立てを受けた裁判所は、支払督促に仮執行宣言を付した仮執行宣言付支払督促を債務者に送付します。
最終的に仮執行宣言付支払督促が確定すると債権者は強制執行(債務者の財産などを差押える)の権利などを得ます。
裁判所から支払督促が届いたにもかかわらず、何もしないでいると、財産を差押えるという強力な手段を取られてしまう可能性があるのです。
裁判所からの支払督促を放置すると財産を差押えられる恐れがある
裁判所から支払督促が届いていたのに何もせず放置すると、最終的に債権者は強制執行する権利を得ます。
債権者が強制執行の権利を得ると、債権者は債務者名義の銀行口座や不動産などを差押えできます。
大切な財産を守るためには、支払督促が来たら放置せず、すぐに対応することが何よりも重要です。
身に覚えのない支払督促は支払督促の制度を悪用した架空請求の可能性もある
支払督促が送られてくるケースの中には、支払督促の制度を悪用し、架空の請求について裁判所に申立てをおこなうような事例もあります。
支払督促の手続きでは、債権者から提出された支払督促申立書を裁判所が見て法律的に筋が通った請求であれば、その内容どおりの支払督促が裁判所から債務者に送達されます。
これを受けた債務者側から裁判所に督促異議申立書が提出されて初めて、請求が認められるかどうかの審理をすることになるので、債権者から支払督促申立書が提出された段階では、それが架空請求であるかどうか、裁判所には判別できません。
そのため、裁判所から支払督促が届いているのに、身に覚えがないとしてそのまま放置してしまうと、強制執行(債務者の財産などを差押える)を受ける場合もあります。
受け取ったものが裁判所の支払督促であれば、たとえ身に覚えがないものであっても、対抗手段として裁判所に督促異議申立書を提出する必要があります。
裁判所からの郵便物は必ず内容を確認し、不審な点があれば発送元の裁判所に直接電話で問い合わせるか、送られてきた書類を裁判所に持参するとよいでしょう。
また、届いたのが裁判所の正式な書類かよく分からないときも、最寄りの裁判所に問い合わせましょう。
もし書面に裁判所の連絡先として携帯電話の番号やメールアドレス等が記載されていたら、本当に裁判所から送られてきたものかを確認することが大切です。
裁判所では、連絡先に携帯電話の番号やメールアドレスを記載することはありません。
支払督促とよく似た「仮執行宣言付支払督促」
支払督促とよく似た書類で、「仮執行宣言付支払督促」というものがあります。
仮執行宣言付支払督促とは、債権者が裁判所に仮執行宣言申立書を提出したことに伴い、裁判所から債務者に送られる書類のことです。
債務者が仮執行宣言付支払督促を受け取った日から2週間以内に督促異議申立書を提出しない時は、仮執行宣言付支払督促が確定します。
そうなれば、債務者が借金を返済しない場合、債権者は強制執行の権利などを得られます。
債権者による強制執行を避けるには、支払督促の時と同様に督促異議申立書を提出して仮執行宣言付支払督促の内容に異議を申立てしなければなりません。
文面に「~仮に執行することができる。」という文言があれば仮執行宣言付支払督促
実は、支払督促も仮執行宣言付支払督促も、書面の見出しは「支払督促」となっています。
そのため、見出しだけでは支払督促と仮執行宣言付支払督促の見分けがつきません。
ここで着目するのが、仮執行宣言付支払督促は「支払督促に仮執行宣言を付したもの」だという点です。
見出しの支払督促という文言の下に書かれている本文の真ん中あたりを見ると、日付と裁判所書記官の名前がいくつか並んでいるところがあります。
もし裁判所書記官の名前の間に以下のような文言が書かれていれば、受け取った書面は「仮執行宣言付支払督促」です。
もしこの文言が書かれていなければ、受け取った書面は「支払督促」ということになります。
仮執行宣言付支払督促の場合、元々あった支払督促の文面に、新たに仮執行宣言の文言と日付や裁判所書記官の名前を付したため、このような形になるのです。
裁判所から支払督促が届いたら督促異議申立書を2週間以内に裁判所に提出しよう
届いたのが支払督促でも仮執行宣言付支払督促でも、債権者による強制執を避けるには、「督促異議申立書」を提出して支払督促の内容に異議を申し立てることが必要です。
督促異議申立書は到着から2週間以内に裁判所へ提出する必要がありますが、以下のような疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。
- 督促異議申立書とはどんなものなのか?
- 督促異議申立書にどんな内容を書いて提出したらいいのか?
次の項から督促異議申立書を提出する方法を説明していきます。
督促異議申立書とは
「督促異議申立書」とは、支払督促に書かれた内容に異議がある場合に債務者が言い分を主張するために裁判所に提出する書類です。
督促異議申立書は、裁判所から送られてきた支払督促に同封されているのが一般的です。
支払督促の提出方法は主に郵送もしくは裁判所に直接持参のどちらかですが、FAXでも提出可としている裁判所もあります。
詳しくは発送元の裁判所に問い合わせるとよいでしょう。
また、督促異議申立書の提出期限は受け取ってから2週間以内と短いため注意が必要です。
そのため、提出期限に遅れないよう余裕をもって督促異議申立書を提出するよう心がけましょう。
督促異議申立書に記載する内容
督促異議申立書にはまず、記載した日付や債権者と債務者の名前、住所や電話番号を記入し、押印しましょう。
使用する印鑑は認印でも差し支えありませんが、シャチハタは不可となります。
次に送達場所の届け出の欄には、この件で今後、裁判所から送付する通知を受け取りたい場所の□にレ点を入れてください。
もし、自分の住所以外に送付してもらう場合は、いま現在の勤務先の名前や住所、連絡先などは書かないことをおすすめします。
債権者に勤務先を知られてしまうと、最終的に債権者が強制執行の権利を得た場合、給料の差押えを受ける可能性があるからです。
最後に自分の言い分を記載する欄に、分割払いの話し合いを希望するの□か、その他の言い分の□にレ点を入れてください。
分割払いの話し合いを希望する場合は、□にチェックした上でその下にあなたが支払いを考えている金額も書きましょう。
それ以外の言い分がある場合は、□にチェックした上でその言い分を書きましょう。
余白が足りない場合は別の用紙に続きを書き、ホッチキスで留めるなどしても問題ありません。
弁護士に相談すれば、支払督促の異議申立書の書き方のアドバイスをもらえます。作成の代行依頼や、異議申立書以外にすべきことも相談できるので、気軽に相談してみるとよいでしょう。
また、裁判所のサイトに督促異議申立書の記載例も載っているので、自分で作成する場合はそちらも参考にしてください。
督促異議申立書の提出期限は「実際に支払督促を受け取った日」の翌日から2週間以内
支払督促には「債務者がこの支払督促送達の日から2週間以内に督促異議を申し立てないときは、債権者の申立てによって仮執行の宣言をする。」と書かれていますが、この「送達の日」とはいつのことを示しているのか疑問に思った人もいるでしょう。
ここで着目するのが、支払督促の郵送方法です。
支払督促は「特別送達」という郵送方法で送られてきます。
特別送達は、郵便局員が配達または窓口交付という形で名宛人に直接手渡すのが原則であり、ハガキや普通の封書のように直接郵便受けに投函されるようなことはありません。
郵便局員から特別送達郵便を受け取る際には「郵便送達報告書」に受取人の署名又は押印をする必要があります。
送達した郵便局員は、その日のうちに郵便送達報告書を作成し、郵便認証司が認証することによって、日本郵便が送達の事実を証明します。
この送達の事実が証明された日、つまり「実際に支払督促を受け取った日」が送達の日となります。
特別送達の配達の時間に不在の場合、普通の郵便物と同様にポストに不在票が入れられますが、「不在票の日付=送達の日」にはなりませんので注意が必要です。
裁判所に対して名宛人が特別送達郵便を受け取った日時が報告されるので、郵便が届いた事実をごまかすことはできません。また、補充送達といって、本人以外の同居人や職場に届いた場合は同僚や上司が受け取っても、特別送達は配達されたとみなされます。
加えて「初日不算入の原則」といって、民法では日・週・月・年を単位とする期間は、原則として初日を算入せずに翌日から起算すると定めています。
以上のことから、督促異議申立書の提出期限は「実際に支払督促を受け取った日の次の日から2週間以内」と分かります。
督促異議申立書が手元にない時は裁判所の窓口に備え付けてあるものを利用しよう
督促異議申立書を紛失してしまったり、手違いにより入っていない場合でも、裁判所への異議申立は可能です。
督促異議申立書が手元にないときは、裁判所の窓口に備え付けてあるものを利用できます。
また、裁判所のサイトからダウンロードした督促異議申立書を利用しても問題ありません。
支払督促が届いてもすぐに弁護士に相談すれば債務整理で解決できる
裁判所から支払督促が届いている状況でも、すぐに弁護士が間に入れば債権者へ分割返済などを交渉できます。
裁判所から支払督促が来たらすぐに弁護士に相談し、状況に合わせて債務整理などで解決するとよいでしょう。
ここでは、債務整理の主な3つの方法について紹介します。
- 任意整理
- 自己破産
- 個人再生
まずは債務の金額に応じて「任意整理」か「自己破産」を検討し、どちらの方法でも解決が難しい場合は「個人再生」で借金問題の解決を目指します。
1.任意整理
借金を無理なく払える金額で月々分割して返済できるように、弁護士や司法書士が業者と直接交渉する。
2.自己破産
裁判所を通して行う手続きで、20万以上の価値のある資産を全て手放す代わりに借金の支払いを免除してもらう。
3.個人再生
裁判所を通して行う手続きで、借金を約1/5に圧縮して3~5年で分割返済する。手元の資産を残すことも可能。
実際に債務整理をするかは、弁護士とよく相談してから決めるほうがよいでしょう。弁護士も無理に債務整理をすすめることはなく、さまざまなリスクや相談者の状況から最適な提案をします。
かなり前の借金なら「時効援用」で借金を払わなくて済むことも
借金には時効があり、時効援用をすることで借金を払わなくて済むケースもあります。
急に支払督促が届くと焦って支払いたくなってしまうと思いますが、それが債権者の狙いです。
長く滞納していた債権者から支払督促が届いた場合、まずは時効の可能性を疑ってみましょう。
時効援用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの関連記事で紹介していますので参考にしてください。
まとめ
支払督促が届いたら、たとえ身に覚えがなかったとしても放置せず、すぐに中身を確認しましょう。
また、既に届いた支払督促に対する督促異議申立書の提出期限が過ぎてしまった人は、次に送られてくる仮執行宣言付支払督促に対して必ず督促異議申立書を提出してください。
仮執行宣言付支払督促は支払督促と違い、「特別送達」で届く場合と「普通郵便」で届く場合があるので、見逃さないよう十分に注意しましょう。
もし、届いた通知の対応に困ることがあれば、一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談する際は、届いた支払督促をあらかじめ手元に用意しておくとスムーズです。
また、支払督促が届いた債権者以外からも借入をしていて、まとめて相談したい場合には、借入先の業者名や金額をまとめておくとよいでしょう。

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