自己破産しても給料は受け取れる!給料前借がある時の対策や給与所得者が自己破産する時の注意点も紹介

自己破産しても給料は受け取れる!給料前借がある時の対策や給与所得者が自己破産する時の注意点も紹介

自己破産を検討中なのですが、自己破産をしても今までどおり給料を受け取れるのか心配で踏み切れません。給料も資産として没収されてしまうのですか?

そもそも自己破産は借金をなくして生活を立て直すことが目的の手続きなので、給料を没収した結果、生活が立ち行かなくなっては元も子もありません。そのため、自己破産をしても給料は今までどおり受け取れる場合がほとんどです。

そうなのですね、安心しました。ちなみに自己破産について他に気をつけておくべきことはありますか?

給与所得者であれば、給料振込口座が借入している銀行の口座になっている場合、自己破産前に変更しておくことをおすすめします。また、手続きの際に給料明細の提出が求められるので、今のうちから捨てずに保管しておくとよいでしょう。

自己破産をすると、借金の支払いが免除されますが、一部の資産は換価処分対象となります。

では、勤め先から受け取る給料はどうなるのでしょうか?

結論からいえば、自己破産をしても給料が換価処分対象となるケースは少ないといえます。

自己破産によって給料を没収してしまうと、その後の生活が成り立たなくなる可能性が高いからです。

ただし、本来は債務者の資産は換価処分対象であるため、絶対に没収されないというわけではありません。

給料を受け取るタイミングなどにより取扱いが異なるため、気になる人は一度弁護士に相談するとよいでしょう。

この記事でわかること
  • 自己破産しても給料は受け取れる。
  • 破産手続開始決定前に受け取った給料は現金・預貯金として換価処分対象になることもある。
  • 業務委託契約をしている人は賃金が換価処分対象になる可能性が高い。

自己破産しても給料は受け取れる

「自己破産すると給料がもらえないのでは?」と考える人もいるかもしれません。

しかし、自己破産をしても給料は問題なく受け取れる場合がほとんどです。

自己破産をした場合、債務者の資産は基本的に破産財団自己破産において管財人に換価処分される資産のこと。となり換価処分されますが、自由財産に該当する資産は処分しなくてもよいとされています。

自己破産における給料の取扱いは、受け取るタイミングによって異なりますが、ほとんどの場合自由財産に該当するため換価処分されることなく受け取れます。

次の項目から、給料を受け取るタイミング別に「なぜ給料が受け取れるのか?」について詳しくお伝えします。

破産手続開始決定後に発生する給料は換価処分対象外

自己破産の申立てをすると、裁判所によって破産手続開始決定がなされます。

破産財団の範囲は、この破産手続開始決定時点を基準に判断されます。

破産手続開始決定後に発生した給料は、新得財産とみなされ換価処分対象外です。

※新得財産・・・破産手続開始決定後に新しく取得した財産のこと。新得財産は自由財産に該当します。

金額が確定している受取前の給料は手取り額の1/4が換価処分対象

破産手続開始決定時点で、給料の金額が確定している受取前の給料は、法律上請求権があるとみなされます。

請求権は自己破産において換価処分対象になります。

なお、換価処分対象になるのは、破産手続開始決定時点で発生している請求権のみです。

給料の請求権は、給料の締日に発生します。

たとえば、給料の締日が15日で受取日が25日だった場合、15日時点で請求権が発生します。

この場合に破産手続開始決定が20日になされれば、請求権が破産手続開始決定前に発生していることになるため、25日に受け取る給料は換価処分対象になります。

ちなみに、換価処分対象になるのは、給料全額ではなく手取り額の1/4(手取り額が44万円を超える場合は、その金額から33万円を差し引いた金額)です。

実務上は換価処分対象になることは少ない

前述のとおり、給料の請求権については手取り額の1/4が換価処分対象です。

しかし、たとえ1/4でも給料が没収されると生活が成り立たなくなる可能性があるため、実務上は給料が換価処分対象になることは少ないです。

ただし、給料の金額が高額である場合や賞与に関しては、日常生活への直接的な影響が少ないことから、換価処分対象になる可能性が高いです。

破産手続開始決定前に受け取った給料は現金・預貯金として換価処分対象になることも

破産手続開始決定前に受け取った給料は、その金銭が現金として手元に保管してあるか、預貯金として口座に保管してあれば、その残高によって換価処分対象になるか決まります。

  • 現金の場合、99万円を超えている
  • 口座残高の場合、合計が20万円を超えている

上記のような場合は、給料かどうかに関係なく基準額との差額が換価処分対象になります。

業務委託契約をしている人は賃金が換価処分対象になる可能性が高い

給料のように毎月の賃金を受け取っていても、雇用形態が業務委託の人は注意が必要です。

業務委託の場合、個人事業主扱いになるため賃金は売掛金として処理されます。

売掛金は破産財団となり換価処分対象になるのが原則です。

ただし、取引先が1社しかない場合、実質的には給料と同じであると判断され、給与所得者と同じように処理される場合もあります。

あくまで例外的な処理なので、自己破産検討中で雇用形態が業務委託の人は一度弁護士に相談するとよいでしょう。

給与所得者が自己破産前にするべき対策

自己破産する場合、会社勤めなど給与所得者の人は、事前に以下のような対策をしておくと手続きがスムーズです。

  • 給料振込口座を借入していない銀行の口座に変更しておく。
  • 給料明細や源泉徴収票は捨てずに保管しておく。

次の項目からそれぞれ詳しくお伝えします。

給料振込口座を借入していない銀行の口座に変更しておく

自己破産すると、借入している銀行の口座が凍結されます。

口座が凍結されると、以下のような状態になります。

  • 口座内にある預貯金の入出金ができなくなる。
  • 給料・年金・各種手当金などの振込みができなくなる。
  • 公共料金・家賃などの引き落としがされなくなる。

特に給料振込口座を凍結されると、給料を受け取れないだけでなく、勤め先に口座が凍結されている事実を知られる恐れもあります。

そのため、給料振込口座が借入している銀行の口座になっている場合、別の銀行へ変更しておくことをおすすめします。

給料明細や源泉徴収票は捨てずに保管しておく

自己破産する場合、裁判所へ必要書類として給料明細や源泉徴収票を提出しなければなりません。

給料明細は最低でも直近2〜3ヶ月分、源泉徴収票は直近2年分が必要になるので、捨てずに保管しておきましょう。

もし捨ててしまうと会社に再発行をお願いすることになり、時間がかかるケースも多いです。

自己破産を考え始めたら、給料明細はできるだけ捨てずに保管するよう心がけておくことが大切です。

【給料前借がある場合】自己破産手続きのことを勤め先に知られてしまう

給料の前借も基本的には借金にあたります。

そのため、給料の前借がある状態で自己破産すると、勤め先が債権者に含まれるため、他の債権者と同様に弁護士事務所や裁判所から連絡がいきます。

結果、自己破産手続きのことを勤め先に知られてしまいます。

自己破産を理由に解雇することは、法律上禁止されていますが、勤め先の人に自己破産のことを知られていると思うと、居づらいと感じる人もいるでしょう。

給料前借がある状態で会社に知られず自己破産する方法はないのでしょうか?

次の項目から詳しくお伝えします。

先払い制度を利用しているだけなら勤め先に知られる可能性は低い

会社が先払制度を採用し、それを利用しているだけなら、前借とはいえず借金ではないため、会社に自己破産手続きのことが知られる可能性は低いです。

※先払い制度・・・すでに勤務した労働に対する賃金が発生していて、労働者からの申請により、会社が発生している賃金の一部を本来の給料日より前に支払う制度。

少額なら自己破産申立て前に前借状態を解消する

給料前借の金額が少なければ、自己破産申立て前に解消することで勤め先を債権者から外すという方法もあります。

しかし、本来なら、特定の債権者に優先して借金を返済する行為(偏波弁済)は、免責不許可事由免責不許可の原因になる事由。免責不許可事由があると、自己破産しても免責許可が下りず、借金の支払いが残ってしまう可能性があります。に該当します。

そのため、前借分を解消したことにより免責不許可となる可能性は0ではありません。

勤め先に正直に打ち明けられるなら、事情を説明し理解を得るのが一番です。

どうしても難しい場合は必ず代理人弁護士と相談し、前借分を解消して自己破産するのか、別の債務整理手続きに切り替える方がよいのか、アドバイスをもらうとよいでしょう。

【給料が差押えられている場合】給料が差押えられていても自己破産できる

借金を長く滞納してしまうと、裁判を起こされ最終的に給料差押えを受ける場合があります。

「給料が差押えられてしまうと、もう自己破産できないのでは?」と思う人もいるかもしれません。

しかし、給料を差押えられていても自己破産は可能です。

しかも、自己破産することによって給料差押えを止められるのです。

現在、既に給料が差押えられている場合、自己破産は借金問題の解決法として大変有効です。

給料を差押えられた時の対処法についてさらに詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。

次の項目から、給料が差押えられている状態で自己破産を検討する場合の注意点や、依頼する弁護士事務所の選び方を詳しくお伝えします。

破産手続開始決定まで差押えは止まらない

自己破産をしてもすぐに給料差押えが止まるわけではありません。

通常は、弁護士と委任契約を結ぶとすぐに各債権者へ受任通知が送付され、債権者が受任通知を受け取った時点で返済が一斉に止まります。

しかし、給料差押えをしている債権者は受任通知を受け取っただけでは差押えを止めてくれません。

給料差押えは、自己破産の申立てをして裁判所により破産手続開始決定がなされた時点で初めて止まります。

ちなみに、本来、特定の債権者に優先して借金を返済する行為(偏波弁済)は、免責不許可事由に該当します。

ただし、給料差押えによる偏波弁済の場合、自己破産手続きの中できちんと裁判所に事情を説明すれば、免責不許可の原因になることはまずありません。

早期申立て可能な弁護士事務所を選ぶ

給料差押えを止めるためには、一刻も早く自己破産の申立てをおこなう必要があります。

そのため、依頼したら即自己破産の申立てをおこなってくれる、早期申立て可能な弁護士事務所を選ぶことが重要です。

多くの案件を抱えている事務所の場合、依頼を受けてから順番に処理をしていくため、申立てまでに時間がかかることがあります。

事務所選びの際には「依頼してからどれくらいで申立てできるか?」具体的なスケジュール感も確認するとよいでしょう。

費用が安い弁護士事務所または法テラスの費用立替制度を利用する

通常、弁護士と委任契約を結ぶとすぐに各債権者へ受任通知が送付され、債権者が受任通知を受け取った時点で返済が一斉に止まります。

債務者は返済がなくなる代わりに、依頼した弁護士事務所へ自己破産手続きに必要な弁護士費用や予納金などの積み立てを開始します。

しかし前述のとおり、破産手続開始決定がなされるまで給料差押えは止まりません。

そして、ほとんどの事務所が着手金としてある程度の金額が積立できないと自己破産の申立てをしてくれないのです。

つまり、債務者は給料差押えを受けながら弁護士費用や予納金を積み立てなければなりません。

そのため、事務所選びの際は弁護士費用のできるだけ安い事務所を選びましょう。

費用が安ければ着手金を早く積み立てられるので、早く申立てができます。

もしくは、法テラス国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所。に相談すれば法テラスの費用立替制度を利用して早期に申立てをおこない自己破産できる場合もあります。

利用するには審査がありますので、すべての人が対象になるわけではありませんが、民間の事務所より費用が安く設定されていることが多いので、一度相談してみるとよいでしょう。

以下のサイトからお近くの法テラス相談窓口を検索できるので、参考にしてください。

参照:相談窓口検索 法テラス

自己破産の際、同一家計の家族は源泉徴収票や給料明細の提出が必要

自己破産する場合、同一家計の家族がいれば債務者本人同様、源泉徴収票や給料明細などの提出を求められます。

なぜ債務者本人だけでなく、家族の源泉徴収票や給料明細まで必要なのか?

次の項目で詳しくお伝えします。

裁判所は家計全体の収支状況を見て自己破産するべきか判断する

裁判所に自己破産を認められるには、債務者本人が支払不能な状態にあることを証明する必要があります。

同一家計の家族がいる場合、生活費の負担が分散されたり、逆に扶養家族がいる場合は負担が増える可能性もあります。

裁判所は家計全体の収支状況を見て「本当に支払不能な状態か?」を総合的に判断します。

そのため、自己破産の際には同一家計の家族全員分の収入・支出が分かる書類が必要になります。

まとめ

自己破産をしても、基本的に給料は問題なく受け取れます。

ただし、現金や預貯金として保管している場合は、基準額との差額が換価処分対象になります。

また、給料振込口座を借入している銀行の口座にしている場合は、振込口座の変更が必要になります。

給料に関すること以外にも、自己破産する時に気をつけるべきポイントは多岐にわたります。

個人の状況によって気をつけるべきポイントは変わるため、自己破産を検討する際は一度弁護士に相談することをおすすめします。

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