自己破産後の引っ越しは保証会社に注意!管財事件なら自己破産中は裁判所の許可が必要

自己破産中の引っ越しは裁判所の許可が必要! 自己破産後の賃貸・ローン契約はどうなる?

多額の借金があり自己破産を検討しているのですが、自己破産をすると引っ越しができなくなると聞いて迷っています。転勤の多い会社なので引っ越しができないのは困るのですが、どうすればよいですか?

確かに、自己破産中は引っ越しに裁判所の許可が必要な場合もあります。しかし、許可が下りないケースはほとんどないので安心してください。また、自己破産手続き後は自由に引っ越しが可能になります。

そうなんですね、安心しました。ちなみに自己破産をすると賃貸契約ができなくなるとも聞いたのですが、それも問題はないんですか?

自己破産をすると新規借入ができなくなるのが一般的ですが、賃貸契約は借入とは異なるため問題ありません。ただし、賃貸の保証会社によっては審査が通らない場合もあるため、詳しくは法律事務所に相談してみるとよいでしょう。

「自己破産をすると引っ越しができなくなる」と聞いたことがある人は多いでしょう。

確かに、自己破産中は引っ越しをするのに裁判所の許可が必要なケースもありますが、きちんと申請をすれば許可が下りないケースはほとんどなく、自己破産手続きの種類によっては裁判所の許可が不要な場合もあります。

また、自己破産手続きが完了した後は自由に引っ越しが可能になります。

ただし、依頼した法律事務所や裁判所に申告せず、自己破産中や自己破産直前に引っ越しをすると、最悪の場合、自己破産をしても借金の返済義務が残る恐れがあります。

自己破産を検討中で近々引っ越しを考えている場合は、早いうちに依頼する法律事務所へ申告しておきましょう。

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この記事でわかること
  • 自己破産中に引っ越す場合は原則として裁判所の許可が必要。
  • 自己破産後は自由に引っ越しができる。
  • 自己破産後でも賃貸契約は可能だが、保証会社によっては審査が通らない恐れもある。

自己破産中に引っ越す場合は原則として裁判所の許可が必要

自己破産は借金が帳消しになる代わりに、色々と制約の多い手続きとして知られています。

そのため「自己破産中は引っ越しができない」と聞いたことがある人もいるかもしれません。

結論からいうと、自己破産中であっても引っ越しは可能です。

ただし、引っ越しをするには原則として裁判所から許可を得る必要があります(破産法37条1項)。

なお、東京地方裁判所の場合は、破産管財人の同意を得たうえで裁判所に上申する運用がなされています。

破産者が引っ越しに関して制限を受ける理由は、逃亡や財産の隠匿を防ぐためだといわれています。

また、自己破産手続きの間、破産者は裁判所や債権者に対する説明義務も発生するため、いつでも連絡が取れる状態にしておく必要があるのです。

ちなみに、連絡に支障がなければ、きちんと申請さえすれば許可が下りる場合がほとんどです。

許可を得ずに引っ越すと借金が残る恐れがある

もし、裁判所の許可を得ずに勝手に引っ越しをしてしまうと、破産法に定められた破産者の義務に違反したとして、免責不許可事由に該当する恐れがあります。

※免責不許可事由・・・自己破産の免責が認められない原因となる事由。

免責不許可事由がある場合、自己破産をしても借金の返済義務が残る恐れがあります。

前述したとおり、きちんと申請すれば許可が下りる場合がほとんどなので、裁判所に黙って引っ越しをするのは絶対にやめましょう。

破産手続開始決定前なら裁判所の許可は不要

自己破産手続きは、裁判所に自己破産の申立てをした時点から始まると考えている人もいるかもしれません。

しかし、実際には申立後に裁判所から「破産手続開始決定」がなされて初めて、自己破産手続きが開始します。

そのため、申立後であっても破産手続開始決定がなされる前であれば、引っ越しに関して裁判所の許可を得る必要はありません。

同時廃止事件なら裁判所の許可は不要

自己破産手続きの種類によっては、自己破産中の引っ越しに裁判所の許可が不要な場合もあります。

自己破産には「同時廃止事件」と「管財事件」の2つの種類があり、破産者の資産状況や免責不許可事由の有無などによってどちらの手続きになるかが決まります。

同時廃止事件の場合は、破産手続開始決定と同時に手続きが終了します。

手続き完了後は引っ越しに裁判所の許可は不要なため、同時廃止事件の場合は引っ越しに裁判所の許可が必要な期間がありません。

よって、同時廃止事件の場合は引っ越しに裁判所の許可は不要なのです。

なお、管財事件の場合は破産手続開始決定から手続完了までの間、自己破産手続きをおこなう期間が発生するため、自己破産破産手続き中は引っ越しに裁判所の許可が必要です。

自己破産後でも引っ越しは自由にできる

「自己破産をすると引っ越しができなくなる」と聞いたことがある人は多いでしょう。

前述したように、自己破産手続き中は引っ越しに裁判所の許可が必要な場合もあります。

しかし、自己破産手続きが終わった後であれば、引っ越しに関して何ら制限を受けることはなく、自由に引っ越しができるようになるのです。

ただし、自己破産後に賃貸物件を契約したり、住宅ローンを組んで家を購入して引っ越したいと考えているなら、注意が必要な点もあります。

次の項目から、自己破産後に引っ越しをする場合の注意点について詳しくお伝えします。

自己破産後でも賃貸物件は契約できる

自己破産をすると、その情報が信用情報に事故情報として掲載されます。

※信用情報・・・申込内容・契約内容・支払状況・残高などで構成されており、主に信用情報機関信用情報を管理している「JICC」「CIC」「KSC(全銀協)」の3つの機関。に加盟するクレジットカード会社や銀行などの金融機関から登録された情報。

そして信用情報に事故情報が載っていると、事故情報のデータベースを参照している金融機関やカード会社との関係では、新規借入やクレジットカードの新規発行ができなくなるのが一般的です。

しかし、賃貸物件の契約は借入とは異なり、大家(賃貸人)が事故情報のデータベースを参照することは基本的にありません。

そのため、自己破産をして信用情報に事故情報が載っていたとしても、原則として賃貸物件の審査に影響はありません。

審査の際に、大家や管理会社などに自己破産していることを事前に伝える必要もありません。

ただし、賃貸物件に保証会社が設定されている場合は、審査に通らないケースもあります。

賃貸物件の審査に通らないケースについて、次の項目から詳しくお伝えします。

保証会社によっては審査が通らない恐れもある

自己破産後に賃貸物件を契約する場合は、保証会社に注意しましょう。

契約書を見ると、保証会社の欄に以下のような、よく耳にするクレジットカード会社の名前が載っていることがあります。

  • ジャックス
  • オリコ
  • アプラス
  • エポスカード

上記のような会社は信販系の保証会社と呼ばれ、借主の信用調査や家賃の回収代行もおこなってくれるため、このような会社を保証会社に設定する賃貸物件が増えています。

信販系の保証会社は信用情報機関に加盟しており、信用情報を閲覧できるため借主が自己破産した場合はすぐにその事実を把握できます。

そのため、自己破産後に信販系の保証会社が設定されている賃貸物件の審査を受けると、審査に落ちてしまう恐れがあります。

ただし実際には、自己破産をした人でも信販系の保証会社の審査を通過した人はたくさんいます。

前述したように賃貸物件の契約は借入とは異なるため、保証会社は信用情報だけでなく借主の勤務先・年収・勤続年数などさまざまな情報から総合的に判断します。

その結果、きちんと家賃を払ってくれそうだと判断されれば審査も通るのです。

万が一、信販系の保証会社の審査に落ちてしまった場合には、家賃保証専門の保証会社など信販系ではない保証会社を設定している賃貸物件を探しましょう。

信販系でなければ、保証会社は信用情報を閲覧できません。

また、大家が自ら賃貸契約や家賃の集金などをおこなう賃貸物件もあります。

そのような賃貸物件は、保証会社なしで保証人さえいれば契約可能な場合もあるので探してみるとよいでしょう。

住宅ローンを組めるのは自己破産の5~10年後

自己破産後に住宅ローンを組んで自分の家を購入したいと考える人もいるでしょう。

しかし前述したように、自己破産をするとその情報が信用情報に事故情報として掲載されます。

事故情報の掲載期間は自己破産後5〜10年です(信用情報機関によって異なります)。その間は原則として住宅ローンが組めなくなるので注意してください。

  • 自己破産後に住宅ローンが組めるまでの詳しい期間
  • 自己破産後の住宅ローン審査を通りやすくする方法

上記のような情報について詳しく知りたい場合は、以下の関連記事で紹介していますので参考にしてください。

自己破産したら引っ越しが必要になるのか?

「自己破産をすると全てを失うから、今住んでいる家も追い出されてしまうのでは?」と考える人もいるでしょう。

もしくは「自己破産といっても最低限の生活は保障されるから、家までは奪われないだろう」と考える人もいるかもしれません。

しかし、自己破産をする場合、99万円以下の現金などの一部の自由財産を除いて、価値ある財産は手放す必要があります。

ということは、やはり家も財産に当たるので手放さなければならず、自己破産に伴う引っ越しが必要になるのでしょうか?

実際には自己破産に伴う引っ越しが必要かどうかは、個々の状況によりさまざまです。

次の項目から、状況別に「自己破産に伴う引っ越しが必要か」について詳しくお伝えします。

自宅が破産者名義の持ち家なら引っ越しが必要

自宅が破産する本人名義の持ち家なら、自己破産に伴う引っ越しが必要になります。

自己破産では借金が帳消しになる代わりに、破産者名義の財産は、99万円以下の現金などの一部の自由財産を除き、価値があるものは換価処分して債権者に配当しなければなりません。

そのため、破産者名義の持ち家は換価処分の対象になります。

なお、住宅ローンが残っている場合は、住宅ローンを融資した金融機関の抵当権が設定されているため、当該金融機関によって持ち家が競売にかけられ処分されるのが通常です。

「自己破産は生活に必要最低限の財産は残せると聞いたのに、家を失ったら生活できないじゃないか!」と考える人もいるかもしれません。

確かに、生活に必要不可欠と判断されれば財産を残せる場合もありますが、あくまでも例外的な措置です。

実際に例外が認められるかは個々の状況に応じて裁判所が判断しますが、家の土地・建物は一般的に価値が高く、債権者にとって貴重な債権の回収源となります。そのため、家の土地・建物を手元に残すことは、まず認められないと考えた方がよいでしょう。

自宅が賃貸物件や破産者以外の名義の持ち家なら引っ越しは不要

自宅が賃貸物件や破産者以外の名義の持ち家なら、自己破産に伴う引っ越しは必要ないと考えてよいでしょう。

自己破産で換価処分の対象となるのは、あくまでも破産者本人名義の財産のみです。

そのため、例えば破産者の配偶者や親名義の家に住んでいる場合は、自己破産しても家を処分されることはありません。

また賃貸物件に住んでいる場合も、賃貸契約は借入とは異なるため、自己破産をしても賃貸契約を解約されたり、退去を求められることはありません。

賃貸物件の家賃を滞納していると引っ越しが必要

賃貸物件に住んでいる場合は、自己破産をしても引っ越しの必要はないとお伝えしましたが、例外もあります。

賃貸物件の家賃を滞納しており、滞納分の家賃も自己破産で手続きする借金に含める場合は、当該賃貸物件からの退去を求められるのが一般的です。

この場合、自己破産前に家賃の滞納を解消できれば住み続けられる可能性もありますが、他にも滞納している債務があるのに家賃だけを先に支払うことは偏頗弁済とみなされ、前述した免責不許可事由に該当する恐れがあります。

※偏頗弁済・・・特定の誰かに優先して借金を返済する行為。

実際に偏頗弁済にあたるかどうかを自己判断するのは難しく、家賃の滞納がある場合は法律事務所へ相談するとよいでしょう。

>>家賃の滞納について弁護士へ相談する【初回相談無料】

なお、第三者弁済といって家計を共にしていない親族などに家賃の滞納分を払ってもらうことができるなら、偏頗弁済にはあたりません。

ただし、第三者弁済するのが同居家族など家計を共にしている人だと、名義だけ借りて破産者が事実上支払いをしているとみなされる恐れがあるため避けた方がよいでしょう。

家賃の支払方法がクレジットカード払いのみの場合は引っ越しが必要なこともある

賃貸物件の家賃を滞納していなくても、家賃の支払方法がクレジットカード払いのみの場合は引っ越しが必要になることもあります。

特に前述した信販系の保証会社が設定されている賃貸物件は、家賃の支払方法がクレジットカード払いのみになっている場合が多いです。

前述したように、自己破産をすると信用情報に事故情報が掲載されるため、一定期間は既存のクレジットカードも使用できなくなります。

この場合、大家と交渉して支払方法の変更ができればよいですが、変更できなければ家賃の支払いができなくなるため退去せざるを得なくなってしまいます。

自己破産前の引っ越しは法律事務所へ相談のうえでおこなおう

「自己破産と転勤の時期が重なった」など、何らかの理由で自己破産手続きを始める前に引っ越しをしたいと考えている人もいるかもしれません。

その場合、勝手に自己判断で引っ越しを進めるのではなく、必ず法律事務所へ相談し代理人の弁護士と話し合ったうえで進めるとよいでしょう。

自己破産直前の引っ越しは慎重におこなわないと、最悪の場合、免責が下りずに借金が残る原因となる恐れもあります。

今現在、借金があって自己破産を検討しているけど、引っ越しの時期についても悩んでいるという場合は、まずは気軽に法律事務所へ相談してみましょう。

当サイトでは無料相談を受け付けている法律事務所を紹介していますので、ぜひ気軽にご相談ください。

次の項目から、自己破産前に引っ越しをする場合の注意点について詳しくお伝えします。

引っ越し費用が浪費とみなされる恐れもある

通常、引っ越しには十数万~数十万円のまとまった引っ越し費用が必要です。

引っ越し費用を自分の貯金から捻出した場合、自己破産直前に大きな金額のお金を使うことになります。

すると、裁判所から「自己破産時に貯金が債権者に配当されるのが嫌で、わざと使ったのではないか?」と浪費や財産隠しを疑われることもあるのです。

浪費や財産隠しは前述した免責不許可事由に該当するため、最悪の場合、自己破産をしても借金の返済義務が残る恐れがあります。

ただし、引っ越しすることが前々から決まっていたり、会社都合の転勤など破産者自身ではコントロールできない事情による引っ越しなら認められる場合がほとんどでしょう。

とはいえ、自己破産直前にまとまったお金を使ったり、住居が変わるとその後の手続きに影響が出る可能性は高いです。

引っ越しの予定がある場合は、できるだけ早いうちに代理人の弁護士に伝え、後々トラブルになることを防ぎましょう。

まとめ

自己破産をしても、引っ越しは可能です。

ただし、自己破産手続き中の場合は裁判所の許可を得る必要があることを覚えておきましょう。

また、自己破産後に引っ越しをする場合は、保証会社に注意しましょう。

もし、自己破産を検討しているけど近々引っ越しを予定しているという場合は、法律事務所へ相談して適切なアドバイスをもらうのがおすすめです。

相談無料なので「ちょっと話を聞いてみる」つもりで、まずは気軽に相談してみてください。

阿部 由羅
所属事務所
ゆら総合法律事務所
所属弁護士会
第二東京弁護士会
登録番号
54491
経歴

東京大学法学部卒業・同法科大学院修了
2016年12月 弁護士登録(69期)
2016年12月~2019年12月 西村あさひ法律事務所(不動産・金融・一般企業法務など)
2020年1月~2020年10月 外資系金融機関法務部
2020年11月 ゆら総合法律事務所 開設

弁護士登録後、西村あさひ法律事務所入所。不動産ファイナンス(流動化・REITなど)・証券化取引・金融規制等のファイナンス関連業務を専門的に取り扱う。民法改正・個人情報保護法関連・その他一般企業法務への対応多数。

同事務所退職後は、外資系金融機関法務部にて、プライベートバンキング・キャピタルマーケット・ファンド・デリバティブ取引などについてリーガル面からのサポートを担当。

弁護士業務と並行して、法律に関する解説記事を各種メディアに寄稿中。

重すぎる債務は、生活を大きく圧迫するだけでなく、精神的にも大きな負担となってしまいます。完済の見込みがつかない借金を返し続けるよりも、一度債務整理を行い、経済的にも心理的にも新たにスタートを切ってみてはいかがでしょうか。
債務整理を行う際には、債務者の方のご状況やニーズに合わせた手続きの選択や対応が必要になります。困難な状況に陥ってしまった方でも、債務の問題を解決するための糸口はきっと見つかります。円滑な債務整理を実現するために、弁護士として親身になってサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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