奨学金の踏み倒しは現実的ではない!おすすめできない理由と返済が苦しいときの解決方法を解説

奨学金 踏み倒し

奨学金の返済が負担で、いっそ踏み倒せないかと考えてしまいます。踏み倒すことは可能なのでしょうか?

奨学金は借金なので踏み倒すことはできます。ですが踏み倒しが成立するまで10年以上の時間や多大な労力が必要なうえに大きなリスクがあるため、現実的とは言えません。

そうですか。踏み倒すことは諦めます。なにか他の解決方法はないのでしょうか?

奨学金の救済制度を利用出来るか確認してみてください。救済制度が利用できない場合には、自己破産や個人再生といった解決方法もあります。ただし自己破産や個人再生にはデメリットがあるため、しっかりと知っておくことが重要です。

上記のように大学の学費などで借りた奨学金の返済を、負担に感じている方は非常に多いです。そのことは、平成24年〜平成28年の4年間で8,108人もの人が奨学金を原因に自己破産をしていることからも見受けられます。

とはいえ上記のデータのように自己破産できる人はほんの一部です。多くの人は返済に困りながらも解決方法が見付けられず、なかにはいっそのこと踏み倒してしまえないかと考えている人もいるでしょう。

しかし、奨学金を踏み倒すことはおすすめできません。奨学金を踏み倒すと「延滞金が発生して返済額が増える」「信用情報機関に登録される」「住民票も移せず不便な生活を強いられること」など大きなリスクがあるからです。

したがって、踏み倒すのではなく別の解決方法を検討することが重要です。例えば、救済制度が利用できるかどうかの確認をしてみてください。条件を満たしている場合は、奨学金の返済期限を猶予することや返済額を減額することが可能です。

また、救済制度が利用できない場合も、自己破産や個人再生といった解決方法があります。自己破産や個人再生を利用することで、返済を免除又は大幅に減額することが可能です。

救済制度を効果的に利用するためには、奨学金を債務整理するメリット・デメリットや救済制度の詳細を知っておくことが必要不可欠です。まずは無料相談などを利用して、専門家である弁護士からアドバイスを受けるとよいでしょう。

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この記事でわかること
  • 奨学金を踏み倒すことはできるが、大きなリスクがあるうえ、膨大な時間や労力がかかるので現実的ではない
  • 奨学金を滞納すると信用情報機関への登録や延滞金が発生するなどリスクがある
  • 奨学金を滞納し続けると債権者から訴えられて財産が差し押さえされる
  • 奨学金の返済ができない場合は、救済制度の条件を満たしているか確認する
  • 救済制度を利用できない場合は、個人再生や自己破産を検討する
  • 奨学金は利率が低いため任意整理ではあまり効果がない

奨学金を踏み倒すことは可能だが大きなリスクを伴う

奨学金には消滅時効があるため成立すれば返済義務がなくなり、踏み倒すことができます。ただし時効の成立までに10年以上の時間が必要なことや裁判所によって財産を差し押さえられることなどリスクが大きいため、踏み倒すことはおすすめできません。

ここでは奨学金が踏み倒せる理由とリスクについて、より詳しく解説します。

奨学金は時効を成立させることで返済義務がなくなる

最後の返済から10年間経過することと「時効の援用」の手続きを行うことの2つの要件を満たせば、時効が成立します。

ただし消滅時効までの期間内に訴えられると時効の期間がリセットされてしまうため、注意が必要です。例えば最後の返済から5年経過したときに奨学金の債権者に裁判を起こされてしまうと、そこから新たに10年間もの時間経過を待たなければいけません。

また時効が成立するまでの期間は、勤務先や住所を債権者に知られないことも重要です。万が一知られてしまうと、財産や給料を差し押さえられてしまいます。このため住所変更の手続きもできず、行政サービスも受けられなくなります。

上記のような非常に困難な生活を送りながら10年間を過ごした後に、時効が成立したと債権者に伝える「時効の援用」の手続きを行って初めて踏み倒すことが可能です。奨学金を踏み倒すことがいかに現実的でないかは、理解に容易いと思います。

奨学金を踏み倒す3つのリスク

奨学金を踏み倒すリスクは主に以下の3つです。

  •  奨学金を2ヶ月滞納すると延滞金が発生する
  •  奨学金を3ヶ月滞納すると信用情報機関(ブラックリスト)に記載される
  •  奨学金を9ヶ月以上滞納すると訴えられる

それぞれについて説明していきます。

奨学金を2ヶ月滞納すると延滞金が発生する

支払いをせずに2ヶ月滞納すると、延滞金が発生します。延滞金の利率は無利息の奨学金と利息付きの奨学金の違いや貸与終了時期、採用時期によって異なるので、確認するようにしてください。

奨学金ごとの延滞金の利率の違いを以下の表にまとめました。

奨学金の種類 奨学金の採用時期 貸与終了時期 延滞金の利率(年率)
第一種奨学金(無利息) 2005年2月以前 1998年3月以前 2014年3月31日までは5%、2014年4月1日~2020年3月31日までは2.5%、2020年4月1日以降は1.5%
第二種奨学金(利息付き) 1998年3月以前 2014年3月31日までは10%、2014年4月1日~2020年3月31日までは5%、2020年4月1日以降は3%
第一種奨学金(無利息) 2005年3月以前 1998年3月以降 2014年3月27日までは5%、2014年3月28日〜2020年3月27日までは2.5%、2020年3月28日以降は1.5%
第二種奨学金(利息付き) 1998年3月以降 2014年3月27日までは10%、2014年3月28日〜2020年3月27日までは5%、2020年3月28日以降は3%
第一種奨学金(無利息) 2005年4月以降 1998年3月以前 2014年3月31日までは5%、2014年4月1日~2020年3月31日までは2.5%、2020年4月1日以降は1.5%

延滞金の計算式(日割り計算の場合)は以下の式で求めます。
滞納金×延滞金の利率÷365日×滞納した日数

例えば月々の返済額25,000円を1年間滞納して延滞金の金利が5%の場合は、次の計算になります。
・延滞金の金利:5%
・奨学金の月々の返済額:25,000円
・滞納期間:12ヶ月(365日)

25,000円×12=300,000円
300,000円×5%÷365×365=15,000円

上記のケースでは、1年間で15,000円の延滞金が発生します。大した金額ではないと思うかもしれませんが、奨学金を返済せずに長期間放置すると延滞金だけで数十万円に膨れ上がります。そうなると返済することは困難です。

しかし延滞金を支払わなければ、奨学金の救済制度を利用することも出来なくなるため奨学金を延滞することはおすすめ出来ません。

奨学金を3ヶ月滞納すると信用情報機関(ブラックリスト)に記載される

日本学生支援機構の奨学金制度が加入している信用情報機関は、全国銀行個人信用情報センター(KSC)です。そのため奨学金を3ヶ月以上滞納すると全国銀行個人信用情報センターに登録されます。

しかし、登録されるのは全国銀行個人信用情報センターだけではありません。各信用情報機関は情報の共有を行っているため、3機関すべてに登録されます。登録を解除するためには、奨学金の延滞を解消してから5年の時間が必要です。

また信用情報機関に登録されている間はクレジットカードが作成できないだけでなく、銀行などの金融機関のローンやカードローンも利用出来ないため非常に不便です。不便な生活をしないためにも、滞納する前に解決方法を見つけることが重要になります。

奨学金を9ヶ月以上滞納すると訴えられる

奨学金を9ヶ月以上滞納すると、最終的に財産や給料を差し押さえられる可能性があります。その流れは以下です。

  1. 日本学生支援機構や債権回収会社から一括返済をもとめられます。
  2.  一括返済請求を無視した場合は、裁判所に支払督促の申し立てが行われます。
  3.  支払督促が行われると、異議申し立ての期間が2週間与えられます。
  4.  異議申し立てをせずに放置すると、財産や給料を差し押さえられます。

奨学金を踏み倒すことはこうしたリスクがあるので、おすすめ出来ません。踏み倒すために逃げたとしても給料があると差し押さえられるため、まともな仕事に就くことすら厳しくなります。

奨学金が返済できないときの解決方法

奨学金の返済で困っている場合は、有効な解決方法を知っておくことが重要です。先述しましたが、踏み倒すのは解決方法にならないため選択肢から外してください。

考えられる有効な解決方法は以下の2つです。

  •  奨学金の救済制度を利用する
  •  奨学金がどうしても返済できないときは債務整理を検討する

それぞれ詳しく解説します。自身の状況に合っている方を選ぶようにしてください。

奨学金を一時的に支払えない場合は返還期限猶予制度を利用して返済を先延ばしにする

奨学金を一時的に支払えない場合は、返還期限猶予制度を利用して返済を先延ばしにする方法がおすすめです。返還期限猶予制度は、通算で最大10年の猶予期間が設定されています。また理由によっては10年を超えて猶予期間を延長することも可能です。

注意点としては、要件を満たしたうえで審査に合格する必要があることや毎年申請が必要になること、返済が延期されるだけで利子や元金は免除されないことが挙げられます。

返還期限猶予制度の主な要件は以下の表を参考にしてください。

理由 収入の条件
給与所得者年収(税込) 給与所得者以外の年間所得(控除後)
経済困難 300万円以下 200万円以下
傷病(無職)
傷病(就労・休職) 200万円以下 130万円以下
生活保護
失業中
新卒等(卒業・退学の翌年6月までに申請) 300万円以下 200万円以下
産前産後休業・育児休業 300万円以下 200万円以下
災害(1年以内)
災害(1年以上) 300万円以下 200万円以下

参考:日本学生支援機構返還期限猶予制度

奨学金を支払えない場合は減額返還制度を利用して返済額を減額する

災害や傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な場合は、返済額を減額できる減額返還制度がおすすめです。

減額返還制度は条件を満たした場合に、奨学金の返済額を2分の1〜3分の1に減額が可能な救済制度になります。1回の願い出につき適用期間は12ヶ月間設定されており、最長15年間(180ヶ月)利用することが可能です。また適用期間終了後に再申請することで延長もできます。

利用するために満たす必要がある条件は以下の5つです。

  1. 災害や傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な人で年間収入金額が325万円以下であること(給与所得以外の所得の場合は必要経費控除の所得金額が225万円以下)
  2.  奨学金を滞納していないこと
  3.  口座振替手続きが済んでいること
  4.  月賦で返済していること
  5.  「個人信用情報の取り扱いに関する同意書」が提出されていること(未提出の場合は減額返還制度の申し込み時に提出しても利用が可能)

参考:日本学生支援機構減額返還制度

奨学金の返済を肩代わりしてくれる企業や地方自治体を利用する

地方自治体や民間企業などで奨学金を肩代わりしてくれる組織があります。そのためそういった企業や自治体に就職することで奨学金の返済額を減らすことが可能です。

例えば民間企業では、大和証券グループが奨学金の返済資金を無利子で貸し付ける制度を2018年から導入しています。さらに株式会社クロスキャットでは、奨学金を借りている新卒社員の冬ボーナスを120万円にするといった支援をおこなっています。

一方で地方自治体では、全国の都道府県で奨学金返還支援制度が利用可能です。例えば福井県はU・Iターン奨奨学金返還支援事業として、最大100万円の支援を受けられます。

このように民間企業や地方自治体の支援制度を利用することも検討してみてください。

奨学金がどうしても返済できない場合は個人再生や自己破産をする

奨学金がどうしても返済できない場合は、個人再生や自己破産を検討してください。個人再生は残債の大部分が、自己破産は残債全てが免除されます。

ただし個人再生は減額した分の奨学金を、自己破産は奨学金の残債分全てを連帯保証人と保証人が請求されるので注意が必要です。連帯保証人や保証人である両親や親族に、事前に相談することを忘れないようにしてください。

仮に連帯保証人や保証人が返済できない場合には、連帯保証人や保証人も債務整理を行わなければなりません。最悪のケースでは奨学金が返済できないことにより、返還者と連帯保証人、保証人全員が債務整理を行う場合があります。平成24年〜平成28年度の4年間で返還者と連帯保証人の両方が自己破産したケースは764件あり、決して無い話ではありません。

以下それぞれの記事で債務整理の方法を詳しく解説しています。

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奨学金は利率が低いため任意整理の効果が低い

個人再生や自己破産は、奨学金の返済で困っている人には非常に有効です。しかし同じ債務整理でも任意整理の効果はあまりありません。その理由は、奨学金の利率が非常に低いためです。利率は利率の方式や貸与が終了した年月によって異なりますが、例えば2020年3月に貸与が終了した場合であれば、「利率固定方式」は0.070%、「利率見直し方式」は0.002%です。

上記の利率で第二種奨学金を利用して、384万円を借りた場合を想定して試算してみます。

前提条件
・利率固定方式で利率が0.070%
・借入金額384万円、
・返還期間が20年(240回)
・元利均等方式
利息:28,287円
返還総額:3,868,287円

非常に利率が低いため、20年かけて返済しても28,287円しか利息がかかりません。そのため借り入れ先と交渉して利息をカットするなどの任意整理を行っても負担があまり変わらないのです。

さらに借り入れ先の独立行政法人日本学生支援機構などは、専門家が交渉しても応じてくれる可能性は低いと言われています。こういった理由から任意整理はおすすめ出来ません。

まとめ

奨学金を踏み倒すことは多くのリスクがあり、時間もかかるため現実的ではありません。万が一滞納している場合は、早急に返済することをおすすめします。そのうえで、踏み倒す以外の解決方法を検討することが重要です

まずは、返還減額制度などの救済制度が利用できないかを確認してみてください。救済制度を利用出来れば、返済も随分と楽になるはずです。

そして確認して利用出来ない場合は、個人再生や自己破産を検討してみてください。ただし保証人や連帯保証人に返済義務が移転されるなどデメリットも多いため、慎重に検討することが重要です。

上記に述べた「奨学金を踏み倒すことが現実的ではない理由」や「奨学金問題を解決する方法」について、より詳しく知りたい方は、この記事を参考にしてみてください。

また、この記事を読んで個人再生や自己破産などの債務整理を決意した場合は、自身で手続きするのは非常に難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼することで、安心して任せることが可能です。

奨学金の踏み倒しについてよくある質問

奨学金を踏み倒すことは可能ですか?

奨学金には消滅時効があるため成立すれば返済義務がなくなり、踏み倒すことができます。ただし時効の成立までに10年以上の時間が必要なことや裁判所によって財産を差し押さえられることなどリスクが大きいため、踏み倒すことはおすすめできません。

奨学金を踏み倒すことにはどんなリスクがありますか?

奨学金を踏み倒すリスクは主に以下の3つです。
・ 奨学金を2ヶ月滞納すると延滞金が発生する
・奨学金を3ヶ月滞納すると信用情報機関(ブラックリスト)に記載される
・奨学金を9ヶ月以上滞納すると訴えられる

奨学金が返済できない場合、踏み倒す以外の解決方法はありますか?

奨学金が返済できない場合、考えられる有効な解決方法は以下の2つです。
・奨学金の救済制度を利用する
・奨学金がどうしても返済できないときは債務整理を検討する
状況に合わせて最適な方法を選ぶとよいですが、自身で判断するのは難しいため専門家である弁護士へ相談するとよいでしょう。

債務整理とはどのようなものですか?

債務整理は、利息や元金をカットし返済総額を大幅に減らせる国が認めた借金救済制度です。債務整理には複数の方法があり、主に「任意整理」「自己破産」「個人再生」を用いて借金問題を解決します。どの方法が適しているかは個人によって異なるので、法律事務所へ直接相談して確認するとよいでしょう。

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