【奨学金の一括請求が払えない場合の対処法】今後の流れや差し押さえ回避方法を解説

【奨学金の一括請求が払えない場合の対処法】今後の流れや差し押さえ回避方法を解説

奨学金を延滞し続けていたら、ついに一括請求がきてしまいました。このままだとどうなってしまうのでしょうか?正直、返済が厳しいので無視しようかと思っています。

奨学金の一括請求が来てしまったら、そう遠くない時期に裁判所から「支払督促」が届き、強制執行が開始されます。強制執行によって、あなたの持つ財産や給与等を強制的に差し押さえられてしまうでしょう。

え…。そういえば裁判所から書類が届いていましたが放置していました。もう差し押さえをされてしまうのですか?もうどうすることもできないですか?間に合わないですか?

裁判所からの支払督促は言ってしまえば、強制執行前の「最終通告」です。2週間以内に異議申し立てをしなければ、日本学生支援機構が差し押さえをできるようになってしまいます。とても危険な状態と言えるでしょう。

ただ、支払督促が来ていても、仮に差し押さえが始まっていたとしても、まだ間に合います。今すぐ弁護士に相談して、差し押さえを止めてください。「遅い」ということはないので、とにかく早め早めに行動して被害を最小に抑えてください。

奨学金の一括請求がきたのであれば、今まで再三の督促を無視し続けてきた結果でしょう。一括請求が来た今もなお「無視しても大丈夫だよね…?」と、思っていませんか?奨学金の一括請求を無視し続けてていると、財産や給与の差し押さえをされてしまいます。

当然、会社にも奨学金を延滞していた事実がバレてしまうでしょう。周囲の目も気になるところですし、自分の生活を考えれば差し押さえは避けたい。そう考えるのは当然です。

今回は、奨学金の一括請求が来てしまった方に向けて、請求を無視したらどうなるのか?差し押さえを回避するためにはどうしたら良いのか?について詳しくお伝えします。現在、奨学金の一括請求や裁判所からの支払督促が届いている方は、参考にしてください。

この記事でわかること
  • 奨学金の一括請求を無視していると、裁判所からの最終通告「支払督促」が届く。支払督促が届いたあとは、2週間以内に異議申し立てをしなければ差し押さえが可能となるので要注意
  • 差し押さえを回避するためには、奨学金を一括で返済する。もしくは弁護士に債務整理を依頼して、差し押さえを止めるしか方法はない。早め早めに相談しなければ債務整理の選択肢が少なくなるので要注意
  • 日本学生支援機構は脅しではなく、本当に強制執行を開始する。甘く見ていると自分が苦しい思いをするので、とにかく早めに対応することが大切

奨学金の一括請求を無視したらどうなる?

奨学金の一括請求がきてもなお、無視したり放置したりし続けていると、下記のことが起こるでしょう。

  • 連帯保証人にも一括請求がされる
  • プロの債権回収会社に債権を譲渡されて、厳しい取り立てを受ける
  • 財産や給与を差し押さえられる

一括請求を無視していると、自分のみならず連帯保証人になっている家族にまで迷惑がかかります。また、差し押さえをされてしまうことによって、会社に奨学金を延滞している事実がバレてしまい、会社にいづらくなってしまうことも考えられるでしょう。

まずは、奨学金の一括請求を無視していると起こり得る「最悪な事態」について詳しくお伝えします。現在、奨学金の一括請求されている方は本記事を参考に早めの対処をしてください。

本人のみならず連帯保証人にも一括請求される

主債務者(奨学金を借りた本人)である本人が奨学金の一括請求を支払わないでいると、連帯保証人にも一括請求されてしまいます。奨学金を借りるときにはかならず、連帯保証人を設定しなければいけませんが、多くの方が両親のどちらかを選ばれているはずです。

つまり、自分のみならず連帯保証人である両親にも奨学金の返済を求める取り立てや一括請求をされてしまいます。もし、連帯保証人も奨学金の一括請求を無視していると、必要に応じて会社への連絡をされてしまうことがあるでしょう。

日本学生支援機構は取り立てを行うために必要であると認めるときには、会社へ連絡をして返済を求めます。自分のみならず、両親にまで多大な迷惑をかける恐れがあるので注意してください。

ワンポイント解説
連帯保証人は主債務者と同じ

連帯保証人は主債務者と同じ債務(借金)を背負います。ただの「保証人」とは異なり、日本学生支援機構から請求があったときは、支払い義務を負うのが連帯保証人です。返済を断ることもできなければ「主債務者に請求してください」と言うこともできず、かならず返済しなければいけないので注意してください。

機関保証のときは「日本国際支援協会」が代位弁済を行う

機関保証で奨学金を借りている方は、3か月以上連続で延滞した時点で日本国際支援協会が日本学生支援機構に代位弁済主債務者(奨学金を借りた本人)に代わって、日本学生支援機構へ返済を行うことを言います。を行います。代位弁済が行われたあとは、日本国際支援協会から奨学金の一括返済を求める請求をされることになるでしょう。

「人」としての連帯保証人や保証人が付いていないので、他の人に一括請求がいく心配はありません。しかし、自分に対する督促等はとても厳しいので注意してください。奨学金を支払うことが困難なのであれば、早めに弁護士へ相談されたほうが良いです。

参考:日本国際支援協会「代位弁済された方へ」

プロの債権回収会社に債権を譲渡され、厳しい取り立てを受ける

日本学生支援機構は再三の督促に応じない債務者(奨学金を借りている人)に対する債務(借金)を譲渡することがあります。譲渡先は「アルファ債権回収」や「日立キャピタル債権回収」です。

上記はいずれも「債権回収会社」です。債権回収を目的とした会社であるため、日本学生支援機構以上に厳しい取り立てを受ける可能性があるでしょう。とくに、債権回収会社に債権を譲渡されてしまうと、自宅への取り立ては避けられません。

もちろん、闇金のように法外な取り立てを受けることはないですし、自宅に来て金銭を徴収することもありません。しかし、対面で支払いを求められれば、高圧的に感じてしまう方もいるでしょう。近所の目もあるため、あまり歓迎されることではありません。

ただし、奨学金の一括請求が来ていても債務整理を依頼すれば取り立てを直ちに止められます。自宅に来られて怖い思いをした、今すぐ取り立てを止めたいと思うのであれば、早めに弁護士へ相談してください。

弁護士へ相談したあとは「◯◯法律事務所に依頼しています」と、強気に言って良いです。債権回収会社は驚くほど簡単に引き下がります。取り立て等で不安が残る方はすぐに弁護士へ相談してください。

参考:日本学生支援機構「督促」

ワンポイント解説
不退去罪について

債権回収会社が自宅へ来たときに「帰ってください」と伝えても帰らないときは、刑法に定める「不退去罪」に該当します。すぐに警察へ相談しても良いですし、弁護士へ相談して解決を図っても良いです。
参考:e-gov「刑法(第130条)」

【実態】奨学金の取り立てはかなり厳しいので要注意!

債権譲渡をされなくても、日本学生支援機構からの取り立ても厳しいので注意してください。電話や書面での督促はもちろんのこと、どうしても主債務者(奨学金を借りた本人)と連絡が取れないときは、勤務先へ電話をすることもあります。

勤務先へ連絡が来れば、会社に奨学金の延滞をしていることがバレてしまうでしょう。一括請求に応じるまでは何度でも電話がかかってくる可能性があるため、周囲の目がどうしても気になってしまいます。自分で自分の首を絞めるだけなので、早め早めに解決しておいたほうが良いでしょう。

参考:日本学生支援機構「督促」

ワンポイント解説
勤務先への連絡は本人と連絡が取れないときのみ

日本学生支援機構は「まず先に勤務先へ電話をかける」という話もありますが、これは間違いです。あくまでも、本人が電話にも出ない、書面を送付しても一切の反応がない、これ以上は連絡を取る手段がない。というときの最終手段で勤務先へ電話をします。
参考:日本学生支援機構「奨学金に関する記事について」

財産や給与の差し押さえが可能となる「強制執行」が行われる

奨学金の一括請求が来てもなお、無視を続けていると、最終的に「強制執行」が行われます。一括請求から強制執行までの流れは下記の通り。

  1. 奨学金の一括請求が来る
  2. 裁判所から「支払督促」が送られてくる(特別送達)
  3. 異議申し立てをしなければ「強制執行」が可能になる
特別送達とは

特別送達とは、支払督促を受け取ったことを証明するための送達方法です。あとから「そのような書類は受け取っていない!」と言われてしまうことを防ぐために、特別送達で支払督促を送付します。

仮に、あなたが書類を確認せずに処分してしまったとしても、あなたが支払督促を受け取ったものとみなして手続きが進められます。

支払督促を受け取ったあと「2週間以内」であれば異議申し立てをできます。支払督促すらも無視してしまうと、日本学生支援機構はあなたの財産を差し押さえられるようになるでしょう。

強制執行が始まって真っ先に差し押さえられるのは「預貯金」です。その次にあなたの「給与」が差し押さえられるでしょう。とくに、換金性の高いものから順番に差し押さえられると思っておいてください。

また、預貯金を差し押さえられることによって、銀行口座が一時的に凍結します。公共料金の引き落としができない、給料を受け取ることができないといった事態に陥る恐れもあるでしょう。差し押さえの解消があるまでは、口座を利用できなくなる恐れがあるので注意してください。

なお、差し押さえの最中であっても銀行口座の開設は可能です。改めて開設した口座を引き落とし先に変更するなど、煩わしい手続きは増えますが、各種支払いが滞ればさらに最悪の事態に陥るので、かならず行いましょう。

そして、強制執行によって「給与」が差し押さえられてしまうと、会社に奨学金を延滞していた事実がかならずバレます。自分自身が惨めな思いをするだけなので、差し押さえに至る前、遅くても奨学金の一括請求がきた時点で債務整理を検討してください。

ワンポイント解説
給与の差し押さえは上限が定められている

給与の差し押さえは、1か月あたり手取り額の1/4までと定められています。たとえば、手取り額20万円であれば5万円を上限に差し押さえが可能。また、手取り給料が44万円を超えているときは、33万円を超えた額すべてを差し押さえ可能です。
参考:裁判所「差押可能な給料の範囲」

奨学金の一括請求が来たときの対処法・差し押さえの回避方法は?

奨学金の返済が滞り、一括請求が来てしまった方はすぐに対処しなければ「強制執行」が行われ、財産や給与を差し押さえられてしまいます。万が一、裁判所から「支払督促」が届いているのであれば、差し押さえの一歩手前、ギリギリの状態です。

最後に奨学金の一括請求が来たときの対処法と、差し押さえを回避する方法についてお伝えします。現在、一括請求もしくは裁判所からの支払督促が来ている方、これからお伝えすることを参考に大至急対処してください。

日本学生支援機構に電話して支払いを約束する

一括請求が来て間もないのであれば、日本学生支援機構に電話をして「支払いを約束」すれば、まだ間に合います。「◯月◯日にお支払いします」と伝えれば、数日程度であればまだ待ってもらえる可能性があるでしょう。

ただ、一括請求が来ている時点で支払い方法は「一括のみ」です。今まで来ていた再三の督促を放置した結果と悔やむしかないでしょう。とにかく支払えないからと言って放置することだけは絶対にNGです。状況は悪化するのみなので、支払えなくてもまずは電話をすることを徹底してください。

相談すれば再分割を認められることもある

一括請求が来た時点でも、誠心誠意「支払う意志」を見せ、しっかり対応することで最後のチャンスをいただける可能性があります。一括請求が来ている時点で、決して良い条件ではありませんが、分割払いを認めてもらえる可能性もあるでしょう。

また、失業や病気等でどうしても支払えない事情があるときは、支払いの猶予を認めてもらえる可能性も少なからず残されています。ただ、一括請求が来てしまっているので、かなり厳しい条件を提示される可能性が高いです。

本来であれば、延滞をする前に日本学生支援機構に相談することで、簡単に支払猶予や支払額の軽減を認めてもらえていました。しかし、延滞している人に対してはこの制度を利用することができません。

ワンポイント解説
「今さら」でも放置は絶対にNG

「正直、今さら何を言っても…」と思うかもしれませんが、一括請求が来ていてもなお日本学生支援機構は相談に乗ります。確かに、滞りなく支払っている人に比べれば、状況はかなり最悪です。しかし、放置だけは絶対にダメです。とにかく相談をしてください。

弁護士に相談する・債務整理に着手する

裁判所から支払督促が届いている方、奨学金の返済が困難な方は今すぐ債務整理を検討してください。奨学金の一括請求や取り立ては、債務整理を弁護士に依頼した時点で止められます。また、債務整理手続きの開始で差し押さえも回避できます。

「どうせ支払えないから」と言って奨学金の一括請求や支払督促を無視していると、本当に強制執行が行われるでしょう。実際、平成26年度で320件、平成27年度で498件の強制執行を実行されています。

参考:日本学生支援機構「返済業務の状況(平成27年度)P5」

「どうせ強制執行なんて面倒くさい手続きはしない」「ただの脅しでしょ」などと思っていませんか?日本学生支援機構は容赦なく、しっかり債権を回収するために強制執行を行ってきます。今後の長い人生を考えれば、強制執行は絶対に避けるべきです。

支払いが厳しい、一括請求が来たあとの再分割等が認められない、などの事情があるときは今すぐ弁護士へ相談してください。いつ裁判所からの支払督促が届くかわからないですし、万が一、届いているのであれば、わずか2週間しか期限はないので危機感を持って対応してください。

差し押さえが始まっているときは任意整理をする意味がない

債務整理には下記の3つありますが「任意整理」については、差し押さえが開始されたあとはする意味がありません。

  • 将来の利息や遅延損害金をカットできる「任意整理」
  • 奨学金を大幅に圧縮できる「個人再生」
  • 奨学金を含むすべての借金を0にできる「自己破産」

任意整理は将来の利息や遅延損害金をカットして、実際に借りた奨学金のみを3~5年で完済できるよう交渉する手続きです。経済的なメリットは少ないですが、比較的簡単に手続きを進められることや、安価で手続きができることから多くの方が利用されている手続きです。

しかし、この任意整理は「差し押さえが始まる前」までしかできません。任意整理はあくまでも「交渉」なので、差し押さえが始まってからは交渉に応じない可能性が高いためです。また、交渉ができたとしても、差し押さえを解除するか否かは日本学生支援機構次第です。

本来であれば3つの選択肢から手続きの方法を選べるはずですが、対応が遅れてしまうと選択肢の幅が狭まってしまいます。あらゆる可能性を模索しながら奨学金を解決するためにも、今すぐ弁護士へ相談されたほうが良いでしょう

ワンポイント解説
個人再生や自己破産は差し押さえを止められる

個人再生や自己破産であれば、差し押さえを止められます。もちろん、早めに対応しておいたほうが良いのは事実ですが、対応が遅れてしまってもまだ間に合います。諦めずに弁護士へ相談してください。

債務整理をすれば保証人に債務が移るので要注意

債務整理をすることで奨学金の返済義務が連帯保証人に移ってしまいます。

連帯保証人に移る債務の内容
債務整理 連帯保証人への負担
任意整理 連帯保証人に借金の返済義務が移る(一括請求が基本)
個人再生 減額分を連帯保証人が負担
自己破産 連帯保証人に借金の返済義務が移る(一括請求が基本)

いずれの債務整理を行っても連帯保証人への影響は避けられません。もし、連帯保証人にも返済能力がないのであれば、あわせて債務整理してください。もちろん、連帯保証人の方と2人で同時に自己破産を選択してもOKです。

また、機関保証で奨学金を借りている方は、債務整理をしても他の人に債務が移ることはなく自分のみで完結します。そして、債務整理をしていないこと、返済に遅れていないことを条件に人的保証から機関保証への変更も可能です。

もし「支払いが厳しくなってきたけど、連帯保証人には迷惑をかけたくない」と思っているのであれば、返済に遅れる前に機関保証に変更しておいたほうが良いでしょう。

ワンポイント解説
連帯保証人と債務整理をするときは同じ弁護士に相談を

債務者本人(奨学金を借りた本人)と連帯保証人セットで債務整理をするときは、かならず同じ弁護士に依頼してください。手続きの簡略化につながるため、スムーズな債務整理手続きを開始できます。

奨学金一括請求に関するQ&A

奨学金の一括請求が来てしまいました。このまま無視していたらどうなってしまいますか?

今までよりもさらに厳しい取り立てを受ける可能性があります。また、最終的には強制執行が行われ、あなたの財産や給与を差し押さえられるようになるでしょう。

奨学金をどうしても返済できないときは電話をすれば待ってもらったり分割を認めてもらえたりしますか?

一括請求が来ている現在、電話をかけたところで相談に乗ってもらえる可能性は極めて低いです。しかし、誠心誠意対応することで支払猶予や再分割を認めてもらえる可能性も残っています。まずは、日本学生支援機構へ相談してください。

差し押さえを回避する方法はありますか?また、現在差し押さえが始まっているのですが、止める方法はありますか?

差し押さえを回避する方法は奨学金を一括で返済するか、弁護士に相談をして債務整理をするしか選択肢はありません。また、差し押さえが始まっていても債務整理で止められます。詳しくは本文でお伝えしているので参考にしてください。

まとめ

今回は、奨学金の一括請求を無視したらどうなるのか?差し押さえを回避するためにはどうしたら良い?についてお伝えしました。奨学金の一括請求を無視し続けていると、そう遠くない時期に裁判所からの「支払督促」が届きます。

裁判所から届く支払督促は強制執行の一歩手前、かなり危険な状態です。万が一、一括請求や支払督促、差し押さえの開始、いずれかがあったときは直ちに弁護士へ相談してください。本当に手遅れになる前に対処しなければ、今後の人生を大きく狂わす原因になります。

奨学金の一括請求が来た時点で原則は一括返済のみです。今まで奨学金の返済ができていなかったのに、一括で返済できるわけがありません。「どうせ支払えないから」と言って放置していると、自分で自分の首を絞める結果になるでしょう。

一括請求まで来てしまったのであれば、自分での対処は難しいと思い、専門家(弁護士)に依頼して解決してもらうのが良いです。債務整理を含めた解決方法を提案してくれるでしょう。