給料差し押さえの解除はできない?影響や解除のためにやるべきこと

給料差し押さえの解除はできない?影響や解除のためにやるべきこと

借金を長期間滞納し、給料を差し押さえられてしまいました。差し押さえを解除してもらう方法はあるのでしょうか?

差し押さえを解除するためには、債務整理の手続きが最も有効な手段です。それ以外にも「借金を全額返済する」「債権者と交渉し取り下げてもらう」などの方法はありますが、実現は難しいでしょう。

わかりました。実際に給料を差し押さえられるとどんな影響があるのでしょうか?

給料を差し押さえられれば、勤務先や家族に借金の存在を知られる可能性は非常に高くなります。また、差し押さえにより、手取り収入が減少しますので生活も厳しくなります。

給料を一旦差し押さえられてしまうと、原則的には差し押さえの原因となっている債務を返済しなければ、解除してもらうことはできません。

給料の差し押さえでは、手取り収入のうち、1/4が差し押さえられて、収入が減少します。

また、差し押さえは裁判所から勤務先へ命令することにより、実行されるため、勤務先にも借金の事実がバレるなど、収入面以外にも大きな影響がある厳しい措置です。

もし、給料を差し押さえられてしまった場合は、一刻も早く対応し、影響を最小限に留める必要があるでしょう。

この記事では、給料差し押さえを取り消すための対処方法や、給料差し押さえの影響について、詳しく解説していきます。

この記事でわかること
  • 給料差し押さえの取消には、債務整理が最も有効な手段
  • 債務整理には「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つの手続きがあり、借金や収入などの状況により、選択すべき手続きが異なる
  • 債務整理以外にも「全額返済」や「和解交渉」により、取り消してもらう方法もあるが、現実的には難しい
  • 一度差し押さえられ、取り立てられた給料は、その後取り消しされても返金されないため、できるだけ早く対処することが重要
  • 給料差し押さえが実行されると、手取り収入が減るだけでなく、勤務先や家族に借金の存在がバレる可能性が高くなる

給料差し押さえの取り消しは債務整理が最も有効な手段

給料を既に差し押さえられている場合、「債務整理」の手続きを行うことが、最も有効な手段となるでしょう。

債務整理とは、債権者との交渉や裁判所への手続きを経て、借金を減額・免除してもらう手続きです。差し押さえの原因となっている返済が軽減し、差し押さえ自体を取り消すことが可能です。

債務整理には、「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つの手続きがあり、それぞれ受けるメリット・デメリットが異なります。

ここでは、それぞれの手続の特徴や、給料差し押さえへの影響について詳しく解説します。

債務整理手続き別の給料差し押さえへの対処方法

債務整理には3つの手続きがありますが、ご自身の借金や収入、財産の状況によって選択すべき手続きが異なります。

既に給料差し押さえが目前に迫っている状況では、できるだけスムーズに手続きすることが重要です。

まずは、債務整理のそれぞれの特徴や、給料差し押さえにどう影響するのかについて知りましょう。

自己破産

自己破産は、裁判所に借金の返済が困難なことを認めてもらい、借金全額の返済を免除してもらう手続きです。

自己破産には大きく分けて「同時廃止事件」「管財事件」の2種類の手続きがあります。

どちらの手続きでも、借金返済が完全に免除されるため、返済から開放され、経済的更生に向けて再スタートを切ることができる大きなメリットがあります。

反面、自身の財産は原則処分となることや、ブラックリストに掲載されるなどデメリットも債務整理の中で最も大きくなります。

自己破産については、以下の記事にて詳しく解説しています。

自己破産の際に、給与差し押さえがどう扱われるかは「同時廃止事件」と「管財事件」で異なりますので、詳しく見ていきましょう。

同時廃止事件は、免責確定まで給料全額は受け取れない

同時廃止事件の場合は、破産手続開始決定の時点では、給与差し押さえの強制執行が「中止」されます。その後手続きが進み、免責許可が決定されると、給料差し押さえは「失効」となります。

この「中止」の段階は、単純に手続きがストップしただけで、差し押さえ自体の効力は有効です。そのため、債務者本人が給料を全額受け取ることはできず、差し押さえられた給料は会社もしくは法務局に供託(プール)されます。

これは現在の差し押さえ分だけではなく、給料差し押さえが執行するまでの間、継続的にプールされつづけます。

通常、破産開始決定手続きから、免責許可決定までは3~4ヶ月程度かかりますので、給料が全額受け取れるまでには、ある程度時間がかかると認識しておきましょう。

管財事件は開始決定時点で「失効」し、給料全額が受け取れる

管財事件の場合は、破産手続開始決定時点で、給料差し押さえが「失効」し、全額を受け取ることが可能です。

具体的には、破産管財人が差し押さえを執行した裁判所に破産手続き開始決定があったことについて、上申書を提出することで差し押さえが失効します。

同時廃止よりも、給料を全額受け取れるタイミングが早くなるため、手続きは早めに準備するようにしてください。

個人再生

個人再生は、自己破産と同様、裁判所を介した手続きで、借金を概ね1/5程度まで減額し、残額は3~5年で返済する手続きです。

自己破産と異なり返済が残りますが、大幅に借金が減額され、返済負担が軽減されるメリットがあります。

また、自己破産と異なり、財産を処分する必要がなく、条件はあるものの住宅ローンの残る自宅を維持したまま、手続きができる点が特徴です。

個人再生については、以下の記事で詳しく解説しています。

個人再生の場合の給料差し押さえは、自己破産の「同時廃止事件」とほぼ同様です。

個人再生手続開始の決定時点で、給料差し押さえは「中止」され、個人再生計画認可の決定で「失効」します。
個人再生も、開始決定から認可までに4~5ヶ月ほどかかるため、給料が全額受け取れるまでには、ある程度時間がかかると認識しておきましょう。

自己破産と異なる点として、個人再生の場合は「強制執行取消命令」の申し立てを行うことで、認可決定を待たずに給料の支払いを受けることができる可能性があります。

ただし「強制執行取消命令」が認められるのは、以下の2つの場合のみですので、非常に難しいといえます。

  • 差し押さえにより債務者の生活に著しく支障がでる場合
  • 差し押さえにより積立に支障がでて、個人再生が著しく困難となる場合

任意整理では給与差し押さえの取消は難しい

任意整理は、給与差し押さえの取消という面では効果的な手続きではありません。

任意整理は、債権者と個別に交渉し、将来利息の免除などで返済負担を軽減し、完済を目指す手続きです。

債務整理の中で最もデメリットが小さく、費用も少ない、周囲にもバレにくいなど、債務者側にさまざまなメリットのある手続きです。

しかし、任意整理は債権者との個別の交渉のため、給料差し押さえを取り消すかどうかは債権者次第です。

債権者側からすれば、給料を差し押さえていれば確実に借金を回収することができるため、交渉に応じるメリットは少なく、失敗に終わるケースも少なくありません。

債務整理は法的に認められた手続き

債務整理と聞くと、「借金を踏み倒す」かのようなネガティブなイメージを持つ人も多くいますが、実際は違います。

債務整理は、国が認めた借金返済のための救済措置であり、後ろ暗いことはなにもありません。

それどころか、手続きにより給料の差し押さえ解除、返済負担の軽減などさまざまなメリットを得ることができ、人生を再スタートすることができるでしょう。

もちろん、当初の返済の約束を守れなかったわけですから、手続きにより受けるデメリットはあります。しかし、給料を差し押さえられ、今の生活が厳しくなっている状況であれば、デメリットを差し引いても、十分に効果のある方法です。

給料差し押さえという追い込まれた状況であれば、ためらうこと無く債務整理手続きをすすめることをおすすめします。

全額返済でも取消は可能

借金を全額弁済することで、差し押さえの解除も可能です。

例えば、信頼できる親族や知人がいるのであれば、支援してもらい返済することも選択肢になるでしょう。親族や知人に支援してもらう場合には、トラブルにならないよう十分に注意してください。

ただ、そもそも借金の返済を延滞し差し押さえまでに至っているはずですから、全額返済するのは現実的には難しい場合がほとんどでしょう。

和解交渉は債権者側のメリットが無いので難しい

全額返済が難しい場合には、債権者と和解交渉し弁済猶予を認めてもらうことで、差し押さえを取り下げてもらえる可能性もあります。

債権者は、貸し付けたお金を回収するために差し押さえを行っています。確実に回収できるだけの弁済計画が示されれば、弁済の猶予を認めてもらえるかもしれません。

ただし、債権者側からすると給料を差し押さえていれば、確実に回収が可能です。わざわざ交渉に応じるメリットは多くありませんから、認められるのはかなり難しいでしょう。

生活困難であれば「差押禁止債権の範囲の変更」も可能

現在の生活の状況によっては「差押禁止債権の範囲の変更」を申し立てることで、差押を取り消してもらえる可能性があります。

給料の差押については、民事執行法153条1項で以下のように規定されています。

執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。

引用元: e-Gov法令検索 民事執行法

つまり、給料の差し押さえにより生活が成り立たない状況であることが認められれば、差押範囲を変更し、給料を全額受け取ることも可能です。

差し押さえされた債務者(お金を借りた側)の生活が、あまりにも苦しい場合は、申立により給料の差し押さえが解除されることもあるでしょう。

ただし、この場合の生活はあくまで「最低限度の生活」が基準であり、これまでの生活水準ではありません。場合によっては、贅沢と判断され、申立が認められないこともあります。

一度差し押さえられたものは解除されても返金されない!

一度債権者に差し押さえられた金額は、例え差し押さえが解除になったとしても返金されません。

先程ご説明した通り、債務整理などの手続きにより、差し押さえが中止されて以降のものは、正式に「失効」された段階で返金されます。

しかし、それ以前の債権者に渡った分に関しては、解除の要件を満たしたとしても、戻りません。

つまり、手続きが遅くなればなるほど差し押さえによって失う金額はどんどん大きくなってしまいます。

給料差し押さえの影響をできる限り小さくするためにも、できるだけ早く解決に向けて動き出すようにしてください。

給料を差し押さえられたら早めに弁護士に相談

給料がすでに差し押さえられている状況にあるなら、できるだけ早く弁護士に相談するようにしてください。

給与を差し押さえられると、たとえ取り消しできたとしても、既に差し押さえられ、債権者に取り立てられたお金は戻ってきません。

債務整理の手続きが認められるまでには時間がある程度かかるため、一刻も早く取り消しに向けて動き出す必要があります。

また、債務整理についても、ご自身の収入や財産の状況によって、選択するべき手続きも異なります。また、手続きには法律などの専門的な知識や経験を求められるシーンもでてくるでしょう。

弁護士に依頼することで、専門的な知識やこれまでの経験を活かして、スムーズに手続きが進むよう支援してもらえます。

今後の進め方や、手続きによる影響なども丁寧に説明してもらえますので、安心して手続きを進められることも大きなメリットです。

給料差し押さえの影響

給料を差し押さえられると、以下のような影響が出てきます。

  • 手取り収入が減る
  • 借金や延滞の事実が勤務先にバレる
  • 家族に借金がバレる

それぞれ、詳しく解説していきます。

手取り収入が減る

給料の差し押さえでは、手取り額の1/4が差し押さえの対象となるため、手取り収入が減ります。

生活水準にもよりますが、手取り額が減ることによって、支払いなどに支障がでる可能性は高いでしょう。

金融機関からの差押は手取り給与の1/4が上限

差し押さえられる給与には上限が定められており、金融機関などの業者からの差し押さえは、手取り給与の1/4が原則です。

上限額が決められているのは、差し押さえされたとしても、最低限度の生活を保証する必要があるからです。そのため、いきなり全額が差し押さえられて収入がなくなるわけではありません。

ただし、手取り給与が44万円を超える場合は、基準が異なります。

手取り額が44万円以上の場合、33万円を超える部分については、全額の差し押さえが可能です。収入によっては、1/4を大きく超える差し押さえ額となるので、理解しておきましょう。

差し押さえの上限については、以下の記事に詳しく解説していますので、参考にしてください。

借金や延滞の事実が勤務先にバレる

給料を差し押さえられると、借金の存在や延滞の事実が会社にバレます。

給料差し押さえが執行されると、裁判所から勤務先に対して差し押さえ命令が送付されます。勤務先は、差し押さえ命令に従い、給料の一部を支払わずプールし、債権者の求めに応じて支払わなければなりません。

現実的に事務手続きを伴いますので、必ず借金の存在や差し押さえの事実がバレてしまいます。

差押えを理由に解雇はされない

給料を差し押さえられたとしても、これを理由として解雇するのは法律で禁止されています。

もちろん、給料差し押さえを止めるため、自己破産などの債務整理をしたとしても同様です。

労働契約法では、解雇理由については客観的合理的で社会通念上相当である必要があるとされています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用元: e-Gov法令検索 労働契約法 第十六条

給料差し押さえは、業務とは関係ない私生活上の事項に関するものであり、解雇理由とは認められません。

ただし、借金や延滞・差し押さえの事実を会社に知られることで、お金にだらしないなどの印象を持たれる可能性はありますから、今後のキャリアに悪い影響が出る可能性は否定できません。

業種によっては配置転換されてしまったり、会社に居づらくなったりする可能性もあるでしょう。

家族に借金がバレる

給料を差し押さえられると、家族にも借金や延滞の事実がバレる可能性は高いでしょう。

これまで振り込まれていた手取り額が明らかに減少します。不審に思われ、そこから借金や延滞していることがバレる可能性は高くなるでしょう。

また、差し押さえが実行される前には、裁判所より特別送達特別送達とは、裁判所が発送する特別な郵便で、支払い督促や少額訴訟の呼び出しに使われます。原則的には配達員が名宛人に直接手渡すことが義務付けられており、受け取りの事実が記録されます。で、支払督促が送られてきます。

特別送達は裁判所名で送付されるかなり特殊な郵便物です。もし、家族が同居していれば、郵送物の内容を問われ、バレる可能性もあります。

給料差し押さえを解除することはできる?

給料の差し押さえを解除する方法はありますか?

差し押さえ解除には「債務整理」の手続きを進めることが最も有効です。他にも「全額返済」「債権者との和解交渉」などの方法がありますが、どれも現実的には難しいでしょう。もし、差し押さえにより生活が困難な状況にある場合は、差押禁止債権の範囲の変更により、差し押さえを取り消してもらうことも可能。

既に差し押さえが実行されている場合、取り消されれば差し押さえられたお金は返ってきますか?

差し押さえが実行され、債権者が取立を行っている場合は、その後差し押さえが取り消されたとしても、お金は戻ってきません。差し押さえによる影響をできるだけ抑えるためにも、早めに対処するようにしましょう。

給料を差し押さえられるとどんな影響がありますか?

給料差し押さえによる最も大きな影響は、手取り収入が減ることです。また、手取り収入が減ることによって、家族に借金の存在がバレる可能性も高くなります。また、差し押さえ手続きでは、勤務先に連絡がいくため、勤務先に借金や滞納の事実がバレ、会社に居づらくなったり、将来のキャリアに影響する可能性もあります。

まとめ

給料の差し押さえを取り消すには、債務整理が最も有効な対処方法です。

給料差し押さえが実行されれば、手取り収入が減る、家族や勤務先に借金の存在がバレるなど大きな影響が出ます。

対応が遅れれば、現実的に取立によりお金を回収されてしまうなど、影響が大きくなっていきますから、できるだけ早く対処することが重要です。

債務整理は、国が認めた合法的な救済手続きです。正しく手続きできれば、給料差し押さえを取り消すことができるだけでなく、借金の減額・免除により経済的に更生することが可能です。

ただし、どの手続を選択するかは状況によって異なるため、弁護士などの専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。メリット・デメリットも含め、丁寧に説明してもらえますし、依頼すれば、スムーズに手続きできるよう支援もしてもらえます。

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