自己破産すると職業制限がかかる仕事は?復権するまでの期間と合わせて解説

自己破産をすると仕事にはどんな影響がありますか?


一定の仕事については自己破産で職業制限がかかるので、破産手続きの申立てから免責許可を得て復権するまでの数ヶ月間は仕事ができなくなるケースがあります。
では、職業制限が関係ない仕事なら、自己破産しても会社に知られることはないということですか?


自己破産をしたことを会社に申告する義務はないので、原則として会社に知られることはありません。ただし、すでに給料が差し押さえられている場合や会社から借金をしている場合は例外です。

仕事への影響だけでなく、自己破産にまつわるいろいろな不安があるのなら、借金問題に強い弁護士に相談して不安を払拭してもらいましょう。
自己破産をしてもほとんどの仕事に何の影響もない一方で、士業関係や役員関係など、一定の職業や役職については例外的に職業制限が定められているので、このような職業制限を受ける仕事に就いている人が自己破産をする際には注意をしなければいけません。
もちろん、職業制限がかかるのは破産手続きの開始決定から復権するまでの数ヶ月だけのことで、生涯当該仕事に就けなくなるわけではないのでご安心ください。
ただ、債務者の中には、「たった数ヶ月でも仕事に影響が出るのは困る」という人もいるでしょう。
その場合には、職業制限というデメリットが生じる自己破産を避けて、別の方法で債務整理を検討する必要があります。
このように、自己破産・個人再生・任意整理の各債務整理手続きには独自のメリット・デメリットがあるので、債務者の状況や要望に応じた形で適切な方法を選択しなければいけません。
借金問題に強い弁護士に相談すれば、債務者の希望に沿った形での借金問題の解決案を提示してくれるので、できるだけ早い段階で相談しましょう。

- 自己破産をすると職業制限がかかる仕事がある。職業制限期間は、破産手続き開始から免責許可決定で復権するまでの数ヶ月。
- 自己破産の職業制限を避けたいなら自己破産以外の債務整理を検討しよう。
- 借金問題に強い弁護士なら、債務者の仕事への影響面も考慮して適切な債務整理手続きを提案してくれる。できるだけ早期に相談して、速やかに生活再建を目指そう。
自己破産をすると復権するまで職業制限がかかる場合がある
借金を帳消しにできるという強力な効果をもたらす自己破産ですが、この強力なメリットを手に入れるためには、自己破産で生じる数々のデメリットも受け入れなければいけません。
そこで、まずは自己破産のデメリットの1つである職業制限の内容や期間、その他仕事への影響が懸念されるポイントについて、以下3項目に沿って説明します。
- すべての仕事が自己破産で職業制限を受けるわけではない
- 自己破産の職業制限は復権するまで
- 自己破産しても仕事に必要なものは処分されない
それでは、各項目について解説します。
すべての仕事が自己破産で職業制限を受けるわけではない
まず押さえるべきポイントは、「自己破産をするなら仕事をしてはいけない」というルールはないということです。
なぜなら、自己破産をするかどうかは、あくまでも債務者の私的な経済事情によるものだからです。
つまり、自己破産をすることと、働くことが否定されたり、努力をした獲得した資格が剥奪されたりすることとは、何の関係もないと考えられます。
公的資格などは職業制限がかかることがある
ただし、例外的に、一定の職業については、自己破産に踏み切ることで、一時的に職業制限がかかるというデメリットが生じます。
なぜなら、公的資格や社会的な責任が重いと考えられる資格・役職に従事する人については、経済的に自らを律することが求められているからです。
自己破産で職業制限を受ける仕事の代表例は以下の表に挙げたものです。もちろん、自己破産の職業制限で仕事に就けなくなるのはこれだけではないので、「自分の仕事が自己破産の影響を受けるか不安だ」という方は、速やかに弁護士に相談してください。
ジャンル | 職業制限を受ける仕事・役職の具体例 |
---|---|
士業系 | 弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地建物取扱士、通関士など |
公職系 | 人事院の人事官、教育委員会の教育委員、公正取引委員、公証人、人事院の人事官、都道府県の公安委員など |
団体役員系 | 商工会議所、日本銀行、信用金庫、金融商品取引業、労働派遣業など |
会社法上の役員 | 取締役、執行役員、監査役など |
その他の仕事 | 警備員、生命保険募集人、質屋経営者、旅行業務取扱いの登録者・管理者、建築業経営者、廃棄物処理業者、調教師、騎手、風俗業管理者など |
自己破産の職業制限は復権するまで
次に押さえるべきポイントは、職業制限を受けるのは破産手続きの開始決定から復権するまでの期間だけ、という点です。
復権とは、破産者の身分から回復することを意味します。
裁判所に自己破産の開始を求めて破産手続きの開始が決定した段階で、債務者は「破産者」という身分になり、自己破産手続きが終了するなどのタイミングで復権をすれば、破産者の身分がなくなって各種制限事項がなくなる、という関係です。
破産者の復権には、次の2種類があります。
- 当然復権
- 申立てによる復権
ここでは、当然復権の中に免責許可が含まれており、自己破産手続きで免責許可決定を得ることができれば復権するので、このタイミングで職業制限から解放される、という点だけを押さえておきましょう。
その他、自己破産の復権については、「【自己破産後に復権する方法は大きく2つ】復権までの期間はどれぐらいかかるのか?」で詳しく解説しているので、こちらの記事を参考にしてください。
免責許可で復権するまでの期間は事案によって異なる
以上より、自己破産で無事に免責を得られる債務整理事案を念頭に置くと、「自己破産手続き開始決定~免責許可決定の確定」の期間が職業制限というデメリットを受ける期間になるので、仕事への影響が生じる期間をできるだけ短くしたいと希望する債務者にとってのポイントは、「いかに自己破産手続きの期間を短くできるか」という点になると導かれます。
ここで重要なのが、自己破産は以下の3種類の事件に分類され、それぞれ必要な目安期間が異なるということです。
- ①同時廃止事件:債務者が処分すべき財産をほとんど所有していないパターン。約2ヶ月~4ヶ月。
- ②管財事件:債務者が処分すべき財産を所有しているなどの理由で破産管財人の選出を要するパターン。半年~1年以上かかることも。
- ③少額管財事件:弁護士に依頼する場合にだけ使える簡略化された管財事件。約4ヶ月~半年程度。
職業制限を受ける期間をできるだけ短くするには①同時廃止事件で自己破産手続きが進められるのが理想ですが、ある程度の財産を所有していると破産管財人が財産処分のための業務をしなければいけないので②管財事件に振り分けられてしまいます。
そこで、自己破産で処分されるような財産を所有している債務者が自己破産を利用するのなら、③弁護士に依頼をして少額管財事件として自己破産手続きを進めるのがおすすめの方法です。
なぜなら、管財事件なら半年以上の期間を要するはずなのに、少額管財事件として扱われれば4ヶ月~半年以内には免責許可決定までたどり着くことができるからです。
したがって、自己破産手続きの職業制限期間をできるだけ短縮したいのなら、借金問題に強い弁護士に任せてスムーズに手続きを進行してもらいましょう。
自己破産で免責許可がおりなければ職業制限はいつまで続く?
自己破産で免責許可決定が得られれば復権により職業制限もなくなりますが、免責許可決定を得られない場合には当然復権せずに破産者という身分に変更はないので職業制限が継続します。
ただし、自己破産手続きで免責許可決定を得られなかったとしても、①債権者全員の同意を得て破産手続きの廃止が確定した場合、②免責不許可決定が下された後に個人再生を申し立てて再生計画が認められた場合、③詐欺破産罪で有罪にならないまま10年が経過した場合、④免責不許可決定後に残債を完済して裁判所にその旨を申し立てた場合には、復権が認められて職業制限もなくなります。
ここから分かるように、自己破産手続きで免責許可を得られなければ①~④のプロセスを経なければ復権しないというデメリットを強いられるので、自己破産での借金問題解決を選ぶのなら「いかに免責許可決定を得る確度を高めるか」が重要となります。
免責許可がおりないのは免責不許可事由があるとき
自己破産で免責を得るためには、免責不許可事由への対策が必須です。
なぜなら、以下に挙げる免責不許可事由がある場合には原則として免責許可を得られないので、例外的に裁量免責で免責を得る道を模索しなければいけないからです。
- 借金の原因が、ギャンブル・株式取引などの射幸行為・過度な浪費など、の場合
- 債務者が、偏頗弁済や虚偽の説明など、自己破産手続きの公正な流れを妨げるような行為をした場合
- 過去7年以内に自己破産をしている場合
このような免責不許可事由がある場合には、原則として自己破産手続きでは免責許可を得られません。
ただし、免責不許可事由に相当する事情がある場合でも、例外的に裁量免責で借金返済義務が免除されることがあります。
裁量免責とは、担当裁判官の個別の判断に基づいて「生活再建のためには債務者に対する免責を許可してもよい」と考える場合には免責が許されるべきという政策的配慮から認められているルールです。
例えば、ギャンブルが原因の借金は免責不許可事由に該当しますが、債務者自身が真摯に反省して生活再建への努力を約束しているような事情があれば、裁量免責が認められます。
ただし、裁量免責は当たり前のように認められるものではなく、あくまでも例外的な位置付けです。
裁量免責の判断の基礎となる免責審尋において、しっかりと反省の態度や今後の展望を表明するなど、裁量免責を得られやすくなるポイントを押さえる必要があります。
したがって、借金の原因などについて免責不許可事由に相当しうる事情があると不安を抱える債務者は、借金問題に強い弁護士に相談をして、裁量免責を得る可能性を高めるのがおすすめです。裁量免責を得られれば当然復権するので、職業制限もなくなります。
自己破産しても仕事に必要なものは処分されない
自己破産の仕事への関係で忘れてはいけないのは、自己破産を利用すると所有している財産のほとんどが処分されるというデメリットが生じる点です。
自己破産を利用すれば、債務者は借金返済義務が免除されるという強力なメリットを手に入れられます。しかし、これでは、貸したお金を返してもらえなかった債権者が一方的に損害を被るだけです。
この点に配慮して、自己破産手続きの中では、「債務者が所有している財産を金銭に換えて債権者に割り当てる」という換価処分のプロセスが求められます。
ただし、債務者の所有するすべての財産が処分されてしまうのでは、債務者自身が自己破産後の生活を送ることができなくなってしまいます。
最低限の生活資金、仕事道具などまで取り上げられてしまうと、せっかく自己破産をしたのに、生活再建を目指すことさえ難しくなってしまうでしょう。
そこで、自己破産で処分される財産の範囲には一定の制限が加えられており、生活に最低限必要な物品や、仕事道具などは手元に残すことができるとされています。
したがって、「自己破産をすると仕事道具もすべて取り上げられてしまうのではないか」という不安は杞憂でしかないのでご安心ください。
自己破産では意外と多くのものを手元に残せる
自己破産で手元に残せる自由財産は以下の通りです。
- 自己破産手続き開始後に手に入れた新得財産
- 生活に最低限必要な家具などの差し押さえ禁止財産
- 99万円以下の現金
- 裁判所の判断で残せる自由財産の拡張
- 破産管財人が放棄した財産
例えば、仕事に行くために自動車を欠かせない場合には、ローンを完済していて査定額が20万円以下なら当然手元に残せます。また、20万円を超える査定額であったとしても、よほど高額な自動車でない限り、裁判所から手元に残すことを許可してもらえるはずです。
また、工具や事務用品などの仕事に欠かせないものも、裁判所の判断で手元に残せる場合があります。
このように、実は、どの財産を手元に残せて、どの財産が処分されてしまうかは画一的な線引きがされているのではなく、手元に残したい財産について自由財産の拡張を申し立てて破産管財人の判断を仰ぐことが許されています。
したがって、仕事への影響をできるだけ少なくしたいのなら、借金問題に強い弁護士に任せて、債務者が希望する物品を手元に残せるように交渉してもらうのがおすすめです。
自己破産をすると会社に知られる?会社との関係での誤解を解説
以上のように、自己破産をすると職業制限を受けるために仕事に影響が出る場合がありますが、このようなケースを含め、債務者自身が会社との間で注意すべきポイントはあるのでしょうか?
特に、自己破産のデメリットについては多くの誤解が抱かれがちで、会社との関係で留意すべき点が少なくありません。
会社との関係で抱かれがちな自己破産のデメリットは以下3点です。
- 自己破産をしても会社に申告する必要はない
- 自己破産をしても会社に知られることはない
- 自己破産を理由に解雇されることはない
それでは、それぞれの注意点について見ていきましょう。
自己破産をしても会社に申告する必要はない
自己破産を利用する要件さえ充たせば、借金問題で苦しんでいる債務者は誰でも自己破産手続きで返済状況を克服することが認められているので、自己破産をするために誰かの許可を求めたり、自己破産をしたからと言って誰かに申告する必要が生じたりすることはありません。
したがって、自己破産をしてもわざわざ会社に申告しなくても大丈夫です。
会社に自己破産を申告した方がサポートを得られることも
ただし、自己破産で職業制限を受ける仕事に就いているのなら、むしろ会社に自己破産を申告しておいた方が会社側からのサポートを得られる可能性が高くなります。
そもそも、自己破産手続き中で職業制限がかかっているのにそれを隠して仕事を継続してしまうと、業務上の問題を生じるだけでなく、違法性も問われかねません。
例えば、企業内税理士として経理部で税務書類作成などの独占業務に従事している場合、職業制限中にこれらの業務を担当するのは税理士法違反です。
事前に自己破産を会社側に申告しておけば、職業制限が問題にはならない部署への配置換えや休職扱いなどの対応をとってくれることもあるので、仕事への支障を減らすことができるでしょう。
先程の企業内税理士の例で言えば、経理部に籍を置いたまま、税理士の独占業務規程に反しない範囲でのサポート事務を担当したり、総務などに異動したりする方法が考えられます。
なお、宅地建物取引士については、自己破産した場合に届出義務が課されているのでご注意ください。
どうしても自己破産を会社に申告できないなら他の債務整理を検討しよう
職業制限を受ける仕事に就いているが、自己破産手続きの利用をどうしても会社側に伝えにくいという場合には、自己破産以外の債務整理手続きで借金問題を解決する道を検討してください。
なぜなら、職業制限で仕事に弊害が出るのは自己破産だけで、個人再生・任意整理なら職業制限というデメリットは生じないからです。
このように、それぞれの債務整理手続きにメリット・デメリットがあるので、借金問題に強い弁護士に相談して、債務者固有の不安や懸案事項について解決の道を模索してもらいましょう。
自己破産をしても会社に知られることはない
自己破産を利用しても、裁判所から会社に何かしらの通知がされることはないので、原則として自分から申告しない限り会社に知られることはありません。
例外として、次の3つのパターンの場合には、会社に自己破産を知られることになります。
- ①会社の人間に官報を見られた場合
- ②会社からお金を借りている場合
- ③すでに給料が差し押さえられている場合
①自己破産をすると、破産者の氏名と住所が官報に掲載されるので、会社の人間が官報を見た場合には自己破産をしたことを知られるというリスクが生まれます。
ただし、普段から官報を読んでいる人はほとんどいないと考えられるので、官報経由で自己破産を知られる可能性はかなり低いと考えられます。
②会社からお金を借りている場合には会社が債権者として扱われるので、自己破産を弁護士に依頼した場合には弁護士の受任通知が送付されたタイミングで、債務者自身で自己破産に踏み切った場合には裁判所から破産手続きの開始に関する通知が送付されたタイミングで、会社に自己破産を知られます。
③自己破産に踏み切る前に債務者の給料が差し押さえられている場合にも、会社に自己破産を知られてしまいます。なぜなら、自己破産をすれば差し押さえの効力を停止できるというメリットが得られる反面、差し押さえの効力を停止する際には裁判所から会社に自己破産が開始した旨が通知されるからです。
どうしても会社に知られたくないなら早期に自己破産に踏み切ること
つまり、どうしても自己破産の事実を会社に知られたくないのなら、滞納している借金の債権者から給料を差し押さえられる前に自己破産手続きを開始できるかがポイントになります。
なぜなら、借金を滞納しているといつ給料が差し押さえられてもおかしくない状態に置かれているからです。
したがって、すでに借金を滞納していて会社に自己破産を知られたくないのなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に自己破産を依頼しましょう。
自己破産を理由に解雇されることはない
会社が従業員を解雇するには「解雇するだけの合理的な理由」が必要とされていますが、自己破産は解雇に相当する合理的な理由ではないので、自己破産を理由に解雇されることはありません。
会社の就業規則で、自己破産を解雇事由の一つに規定している場合でも、当該就業規則自体が無効と考えられるので、解雇処分の違法性を争えると考えられます。
したがって、会社に自己破産の事実を知られ、しかも、自己破産を理由に解雇処分が下された場合には、速やかに弁護士に相談して仕事を続けられるような対処をとってもらいましょう。
このように、借金問題に強い弁護士は借金問題から派生する労働紛争にも長けているので、自己破産にまつわる不安はどのようなことでも相談するのがおすすめです。
弁護士に相談して自己破産にまつわる不安を払拭しよう
自己破産は債務者自身でも行えますが、職業制限や仕事への影響などで不安を抱えている債務者の方については、借金問題に強い弁護士に依頼するのをおすすめします。
なぜなら、弁護士に相談すれば、以下4点のメリットが得られるからです。
- 弁護士なら適切な債務整理を検討してくれる
- 弁護士は法律を駆使して債務者の抱える問題を総合的に解決してくれる
- 弁護士に依頼すれば返済督促がストップする
- 借金問題は相談料無料で対応してくれる弁護士もいる
それでは、弁護士に依頼するメリットをそれぞれ見ていきましょう。
弁護士なら適切な債務整理を検討してくれる
借金問題を弁護士に相談すれば、債務者にとって適切な債務整理手続きを検討してくれます。
そもそも、借金問題を解決できるのは自己破産だけではありません。
任意整理・個人再生・自己破産の3つの債務整理手続きのメリット・デメリットをそれぞれ比較して、どの債務整理手続きを利用すれば債務者のニーズを充たした形で生活再建を図れるかを検討することこそ重要です。
例えば、自己破産を利用すれば職業制限がかかるので仕事に影響が生じますが、任意整理・個人再生なら職業制限というデメリットは生じないので、「職業制限を避けること」を最優先にしたい債務者は自己破産を諦めざるをえません。
他方、任意整理・個人再生を利用した場合、自己破産のように借金の返済義務が免責されないので、手続き終了後3~5年をかけて借金返済生活を継続する必要があります。「職業制限を我慢しても借金返済から完全に解放されたい」と考える債務者にとっては、自己破産を利用するのが適切ということになります。
このように、債務者ごとに置かれている状況や希望する内容が異なるので、「どの債務整理手続きが適切か」という問いに対する答えも債務者ごとに異なります。
債務整理に強い弁護士なら、各債務整理手続きのメリット・デメリットを天秤にかけて債務者のニーズを充たしてくれるので、できるだけ早期に相談しましょう。
自己破産、個人再生、任意整理のメリット・デメリットについては以下のリンク先コラムをご参照ください。
弁護士は法律を駆使して債務者の抱える問題を総合的に解決してくれる
法律の専門家である弁護士に相談すれば、借金問題だけにかかわらず、債務者の抱える問題を総合的に解決してくれるというメリットもあります。
例えば、借金問題を解決するために自己破産に踏み切ったものの、会社から懲戒解雇処分が下された場合には、解雇の違法性を争うために会社側と交渉し、場合によっては訴訟も担当してくれます。
他にも、過払い金への対応、消滅時効を援用できる可能性、金銭消費貸借契約の有効性自体が疑われるケースへの対処、危険な闇金への対策など、民事・刑事問わず依頼者の味方になってくれます。
借金問題から派生的な法律紛争が生じることも少なくはないので、円滑に、安心して債務整理手続きを遂行できるように、弁護士に依頼して万全の体制を整えておくのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば返済督促がストップする
弁護士に債務整理を依頼すると、すぐに弁護士はすべての債権者に受任通知を送付するので、その段階で債権者からの返済督促がストップします。
債務者自身で自己破産をする場合には、裁判所に破産手続きを申し立ててからしか返済督促が停止しません。
裁判所に破産手続きを申し立てる前、必要書類の準備などに1ヶ月程度の時間を要するので、この間、債務者は債権者からの厳しい取立てストレスに襲われながら、難しい書類を自ら作成する必要に迫られます。
弁護士に依頼すれば、必要書類の作成などもほとんどすべて対応してくれますし、取立てストレスから解放された債務者は生活を整える準備に集中するためにも、できるだけ早期に弁護士に相談すべきと考えられます。
借金問題は相談料無料で対応してくれる弁護士もいる
借金問題は相談料無料で対応してくれたり、債務整理手続きにかかる弁護士費用の分割払いに応じてくれたり、借金問題に強い弁護士は、厳しい家計状況に置かれている債務者の窮状を理解したうえで手を差し伸べてくれます。
したがって、「弁護士に相談するだけでお金がかかるのでは?」「債務整理をするだけのお金の余裕がない」という理由で借金状況改善を諦めるのは適切ではありません。
弁護士に依頼をした段階で借金返済をする必要がなくなるので、それまで借金返済に充てていた分のお金を債務整理手続き費用に使うこともできます。
費用面に関する相談にも丁寧に対応してくれるので、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
借金問題の解決のために自己破産を選択すると、一定の仕事に就いている人については、自己破産手続き開始から免責許可決定を得るまでの数ヶ月間、職業制限がかかる場合があります。
また、処分される財産の範囲との関係で仕事への影響が出たり、自己破産を職場に知られるという可能性も否定できません。
このような形で自己破産の仕事への影響を不安に思っている債務者の方は、借金問題に強い弁護士に依頼をすれば、次のようなメリットを得られるのでおすすめです。
- 少額管財事件を使えるので、復権までの期間を短縮して職業制限のデメリットを軽減できる。
- 免責審尋対策など、裁量免責に向けた適切なアドバイスを貰える。
- 自由財産拡張で債務者の希望を反映した財産を手元に残せるように尽力してくれる。
- 早期に弁護士に相談すれば給料の差し押さえを防ぎ、会社に知られるリスクを軽減できる。
- 弁護士に依頼した時点で返済督促が停止する。
借金問題に強い弁護士に相談すれば、以上のような仕事にまつわる不安だけではなく、債務者が抱える不安をすべて解消してくれます。
相談が早ければその分借金問題解決も早くなるので、できるだけ早期に相談しましょう。

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