自己破産の2回目は認められるのか?1回目との難易度の違いや認められなかった場合の対処法を解説

2回目の自己破産はできますか?1回目との違いはありますか?


自己破産に回数制限はないので、2回目以降でも自己破産はできます。ただし、1回目の自己破産よりも厳しい条件が課されるので免責許可の難易度は高くなります。
では、1回目の自己破産のあとに再び借金を抱えてしまい、しかも2回目の自己破産が認められないケースでは、どうすることもできないのですか?


弁護士に相談すれば、免責不許可決定が下された場合には即時抗告などの適切な対応をとってくれますし、任意整理や個人再生といった他の債務整理手続きも検討してくれます。借金問題に強い弁護士に任せましょう。
自己破産をするのに回数制限はないので、2回目以降の自己破産も認められることがあります。
ただ、1回目の自己破産とは異なり、免責許可を得るまでのハードルは高いのが実情です。
例えば、1回目の自己破産で免責許可を得てから7年が経過していない場合や、前回の自己破産と同様の理由で借金を抱えてしまった場合には、裁判所で行われる免責審尋の際に借金を抱えるに至った経緯・理由が厳しくチェックされるので、免責許可決定を得るのは簡単ではありません。
一方で、現在借金問題を抱えている債務者の中には、すでに自己破産を経験している人や、1回目の自己破産を前にして自己破産後の生活を立て直せるか自信のない人も少なくないはずです。
そこで、2回目以降の自己破産のハードルの高さを考えると、法律の専門家である弁護士に相談して、難易度の高い2回目の自己破産に万全の体制を整える手助けをしてもらったり、免責が得られない場合に備えて自己破産以外の債務整理で借金問題を改善する方針を示してもらったりするのがおすすめです。
債務整理に強い弁護士に相談すれば返済督促がストップするだけでなく、債務者の状況に応じて適切な債務整理を提案してくれるので、できるだけ早いタイミングで相談するようにしてください。

- 2回目の自己破産でも免責許可は得られるが、1回目の自己破産よりも難易度は高い。
- 過去7年以内に自己破産をしている場合や前回の自己破産と同じ理由で借金返済が滞っている場合には免責許可を得られない可能性が高い。
- 弁護士に相談すれば、2回目の自己破産に向けた対策を練ってくれるだけでなく、自己破産以外の債務整理も検討してくれる。借金問題を改善したいのなら、早期に弁護士に相談しよう。
- 自己破産は何度でもできるが2回目以降は難易度が上がる
- 2回目の自己破産で免責を得られないなら他の債務整理を検討しよう
- 債務整理は早いタイミングで弁護士に相談するのがおすすめ
- 弁護士に依頼すれば借金の返済督促がストップする
- 弁護士は債務者の状況に応じた債務整理手続きを選択してくれる
- 弁護士に相談すれば2回目の自己破産に向けた適切なアドバイスを得られる
- 2回目の自己破産の展望と他の債務整理手続きを視野に入れてくれる
- 弁護士に相談すれば各債務整理手続きのメリット・デメリットを勘案してくれる
- 弁護士は債務者の経済状況に配慮してくれる
- まとめ
自己破産は何度でもできるが2回目以降は難易度が上がる
法律上は自己破産に回数制限が設けられていないので、借金返済で困った場合には、常に自己破産を選択肢の1つにすることができます。
ただし、1回目の自己破産とは異なり、2回目の自己破産では免責許可を得るためにいくつかのポイントを押さえなければいけません。
そこで、2回目以降の自己破産で注意しなければいけない点について、以下4項目に沿って説明します。
- 自己破産に回数制限はない
- 2回目の自己破産では免責不許可事由が厳しくなる
- 2回目の自己破産では同時廃止事件を使えない
- 2回目の自己破産で裁量免責を得られても非免責債権は免責されない
それでは、2回目以降の自己破産手続きについて、それぞれ見ていきましょう。
自己破産に回数制限はない
そもそも、破産法の中では、自己破産で免責許可を得るための要件として以下の3つだけが挙げられています。
- ①支払い不能状態に陥っていること
- ②免責不許可事由がないこと
- ③非免責債権ではないこと
②免責不許可事由と、③非免責債権については、破産法で列挙されており、自己破産の回数に言及するものはありません。
また、①支払い不能状態に陥っていること、という要件では、借金総額に注目して自己破産の可否が決められるのではなく、債務者の収入や家計状況と抱えている借金総額を客観的に勘案して「借金を返済する能力があるかどうか」がチェックされるものです。
したがって、自己破産で免責許可を得られるかどうかの判断の中で、自己破産の回数を理由に自己破産が認められないということはないと考えられます。
2回目の自己破産では免責不許可事由が厳しくなる
2回目の自己破産における免責許可の難易度が上がるのは、②免責不許可事由、との関係です。

免責不許可事由とは、破産法252条1項各号に列挙されているもので、自己破産手続きでの免責が認められなくなる要素です。免責不許可事由に相当する事実がある場合には自己破産手続きを経ても借金が帳消しにならないので、自己破産による借金問題解決を図る債務者・破産者にとっては決して看過できないポイントとなります。なお、免責不許可事由に相当する事実があったとしても、裁判官の判断で免責が認められる(裁量免責される)点に注意が必要です。
自己破産で免責許可を得るためには、以下に列挙するような免責不許可事由がないこと、が条件となります。
- A.ギャンブルなどの賭博行為が原因で借金を抱えた場合
- B.株式取引やFXなどの射幸性の高い取引が原因で借金を抱えた場合
- C.収入に見合わない過度の浪費が原因で借金を抱えた場合
- D.過去7年以内に自己破産の免責許可を得ている場合
- E.債務者の財産を隠匿したりなど、自己破産手続きを適正な進行を妨げた場合
ここでのポイントは、これらの免責不許可事由に該当するような事実があったとしても、債務者が真摯に反省していたり、家族からのサポート体制が整っていたりなどの事情があれば、例外的に裁量免責を得られるということです。
- 原則…免責不許可事由があれば返済義務が残る
- 例外…事情によっては裁量免責で返済義務から逃れられる
そして、1回目の自己破産では、例外的な位置付けである裁量免責が得られやすいのに対して、2回目以降の自己破産では、なかなか裁量免責が得られにくいという実務運用がなされています。
したがって、2回目以降の自己破産では、裁量免責を得るための対策が重要であり、そのためには借金問題に強い弁護士に相談するのがポイントとなると考えられます。
2回目の自己破産は前の自己破産から7年経過していること
上述の自己破産の免責不許可事由には、D. 過去7年以内に自己破産の免責許可を得ている場合、が含まれているので、2回目の自己破産をする際には、前回の自己破産から7年が経過していることが必須の要件となります。
なぜなら、自己破産をすればほとんどの借金が帳消しになるという大きな効果が生まれるので、7年という期間制限を用意しておかなければ、「自己破産すれば返済しなくてよいのだからどんどん借金をしてしまおう」という不誠実な債務者が増えることが予想されるからです。
ここで、1回目と2回目の自己破産との間隔が7年間あいているとは、「1回目の自己破産における免責許可決定が確定した日」と、「2回目の自己破産について裁判所に申し立てをした日」との間の期間についてです。
したがって、前回の自己破産からとても7年待つことができないほど借金問題で困っているのなら自己破産以外の債務整理を検討しなければいけませんし、もう少しで7年経過を迎えそうな状況なら2回目の自己破産を申し立てるタイミングを調整するなどの工夫が必要となります。
借金の理由によっては7年以内でも自己破産できる
以上のように、過去7年以内に自己破産をしている場合には免責不許可事由Dに該当するので、原則として借金返済義務から免れることはできませんが、事情によっては過去7年以内に自己破産をしていても例外的に裁量免責を受けられる余地があります。
例えば、ギャンブルなどの娯楽のために借金をしたのではなく、医療費や介護費、子どもの学費のためなど、やむにやまれぬ事情で借金をせざるを得なかった場合には、裁量免責が認められるでしょう。
したがって、「7年経過していないから自己破産を申し立てても無駄だ」「免責不許可事由があるからだめだ」というように簡単に諦めてしまうと裁量免責という可能性を自ら閉ざしてしまうことになりかねないので、まずは弁護士に相談して解決法を仰ぐのがおすすめです。
前回の自己破産と同じ理由なら2回目の免責を得られにくい
前回の自己破産と同じ理由で借金を抱えてしまった場合には、2回目の自己破産で免責許可を得られる可能性は低くなります。
というのも、「前回の自己破産と同一原因で借金を背負ったこと」は免責不許可事由として列挙されている事項ではありませんが、実務上、裁量免責を得られるかどうかの判断時に大きく影響を及ぼすものだからです。
例えば、1回目の自己破産に踏み切らざるをえなくなったとき、ギャンブルが原因で借金を背負っていた場合について考えてみましょう。
ギャンブルが原因の借金は免責不許可事由Aに当てはまるので、原則として返済義務は免除されません。
ただ、自己破産が1回目であれば、「ギャンブルにのめりこんだことを反省している」「二度とギャンブルはしない」というように真摯な姿勢を見せて誓約書などを提出すれば、裁量免責を得られるでしょう。
しかし、ギャンブルが理由で2度目の自己破産を検討するときには話はかわってきます。
なぜなら、1回目の自己破産で「二度とギャンブルはしない」という誓約をしていたにもかかわらず、裁判所に対する誓いを破って再び借金を背負ってしまったからです。
したがって、1回目の自己破産と同じ原因で借金を背負ってしまった場合には、2回目の自己破産で免責許可を得るのはかなり難しくなるでしょう。
同じ理由の借金だからと言ってすぐに自己破産を諦めるべきでもない
確かに、同じ理由で借金をした場合には「免責許可は得られにくい」ですが、同じ理由で借金をしたからといって「100%免責不許可になるわけではない」という点だけは意識にとどめておきましょう。
例えば、1回目も2回目もギャンブルが原因で借金を背負ってしまったとしても、「なぜギャンブルにのめりこまざるをえなくなったのか」という動機部分に違いがあるケースもあります。
1回目の自己破産時はただ漫然とギャンブルにのめりこんでいたが、2回目には債務者自身にとって大きな悩みを背負ったためにギャンブルをせざるを得ない状況に追い込まれてしまったというような特殊な事情も考えられるはずです。
借金問題に強い弁護士に相談すれば、このような形で免責への糸口も検討してくれるので、まずは相談してください。
2回目の自己破産では同時廃止事件を使えない
2回目の自己破産では、利用できる自己破産手続きにも制約が加えられます。
というのも、自己破産手続きには、同時廃止事件、管財事件、少額管財事件の3種類の手続きが用意されているのですが、2回目の自己破産では、債務者にとって費用や労力負担の小さい同時廃止事件を使えないからです。
同時廃止事件 | 管財事件 | 少額管財事件 | |
---|---|---|---|
費用 | ・予納金:1~3万円程度 ・弁護士費用(依頼する場合):約30万円 |
・予納金:50万円~ ・弁護士費用(依頼する場合):30万円~ |
・予納金:20万円~ ・弁護士費用(必須):30万円~ |
期間 | 2ヶ月~4ヶ月 | 半年~1年以上 | 4ヶ月~8ヶ月 |
※同時廃止事件、管財事件、少額管財事件について詳しく知りたい方は「自己破産の同時廃止と管財事件は何が違う?振り分けの基準やメリット・デメリットを比較」をご覧ください。
債務者に処分すべき財産がなければ同時廃止事件が原則
自己破産手続きでは、債務者の借金が帳消しになる代わりに、債務者が所有する財産はほとんど処分しなければいけません。
ただ、債務者が処分すべき財産をほとんど持ち合わせていないような場合には、財産の処分手続きを省略しても問題ないので、同時廃止事件という扱いで簡略された自己破産手続きを選択できます。
同時廃止事件で自己破産手続きを進めることができれば、債務者の負担は以下のように軽減されます。
- 申立て手数料:1,500円
- 裁判所への予納金:約1~3万円以上
- 予納郵便切手代:約3,000円~15,000円程度
- 弁護士費用:約30万円程度(弁護士事務所ごとに報酬体系が異なるので注意)
- 手続きに要する期間:約2ヶ月~4ヶ月程度
そして、1回目の自己破産であれば同時廃止事件を利用できるものの、2回目以降の自己破産では債務者の財産のあるなしにかかわらず同時廃止事件を利用できないので、次で説明する管財事件もしくは少額管財事件で自己破産手続きを進めざるをえなくなります。
2回目の自己破産は管財事件として扱われる
2回目の自己破産では、債務者の財産の有無にかかわらず管財事件として扱われ、裁判所が選定した破産管財人によって借金を抱えるようになった原因や生活状況などが厳しくチェックされます。
なぜなら、1回目の自己破産で生活再建を約束したのにこれを守らなかったので、2回目の自己破産で免責を与える妥当性があるかを調査する必要があると考えられるからです。
したがって、2回目の自己破産では必ず破産管財人が選任されるので、債務者が負担しなければいけない費用などは以下のように重くなってしまいます。
- 申立て手数料:1,500円
- 裁判所への予納金:約50万円以上
- 予納郵便切手代:約3,000円~15,000円程度
- 弁護士費用:約30万円程度(弁護士事務所ごとに報酬体系が異なるので注意)
- 期間:半年~1年以上
これだけの費用をかけて難易度の高い2回目の自己破産を狙うのであれば、むしろ最初から自己破産以外の債務整理を視野に入れるのも大切なことと言えるでしょう。
弁護士に依頼すれば少額管財事件を利用できる
以上のように、2回目の自己破産は必ず管財事件として扱われるために債務者が負担しなければいけない予納金の負担はかなり大きくなってしまいますが、自己破産を弁護士に依頼した場合に限って少額管財事件を利用できるので債務者の負担は軽減されるというポイントを押さえておく必要があります。
少額管財事件とは、破産管財人が担当すべき手続きの一部を債務者が依頼した弁護士が引き受けることで破産管財人の仕事量を減らして、簡易的に自己破産手続きを進められるというものです。
少額管財事件として扱われれば、債務者の負担は以下のように軽減されます。
- 申立て手数料:1,500円
- 裁判所への予納金:約20万円以上
- 予納郵便切手代:約3,000円~15,000円程度
- 弁護士費用:約30万円程度(弁護士事務所ごとに報酬体系が異なるので注意)
- 期間:約4ヶ月~半年程度
このように、少額管財事件ならば管財事件よりも大幅に債務者の負担が軽減されるので、1回目の自己破産はもちろんのこと、2回目の自己破産では、弁護士に依頼をして手続きを任せるのがおすすめです。
2回目の自己破産で裁量免責を得られても非免責債権は免責されない
自己破産では、1回目・2回目以降にかかわらず、③非免責債権の返済義務は免除されないことに注意しなければいけません。
非免責債権とは、債務者が抱えている借金の種類や成立に注目して、自己破産の免責の対象から外される債権のことです。
非免責債権の代表例は、以下に列挙されるものです。
- 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- 破産者が故意または重過失で加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
- 養育費や婚姻費用などの民事上の請求権
- 故意に債権者一覧表に記載しなかった債権
- 罰金や税金など
例えば、2回目の自己破産を検討している債務者が現在抱えている借金のほとんどが養育費などの非免責債権ならば、自己破産をしても免責されず、支払い義務は継続することになります。
したがって、自己破産に踏み切る前に債務者が抱えている借金を整理して、そもそも自己破産をする意味はあるのかを含めた検討をするのが重要となるので、弁護士に相談して、自己破産以外の債務整理手続きを提案してもらいましょう。
2回目の自己破産で免責を得られないなら他の債務整理を検討しよう
1回目の自己破産と同じ原因で借金を背負ってしまった場合や、1回目の自己破産から7年経過するのを待てないほどに借金返済状況が厳しくなってしまっている場合には、自己破産以外の債務整理手続きなどを利用して借金状況改善への道筋を検討するべきです。
自己破産以外の対策としては、以下の4つの方法が考えられます。
- 任意整理なら利息や遅延損害金をカットできる
- 個人再生なら借金総額を大幅に減額できる
- 特定調停なら裁判所が間に入って返済条件を見直してくれる
- 自己破産の免責不許可決定に対しては即時抗告も認められている
それでは、それぞれの借金問題解決方法について見ていきましょう。
任意整理なら利息や遅延損害金をカットできる
任意整理とは、債権者と直接交渉して、債務者の合意を得られる範囲で借金総額を減額したり、利息や遅延損害金の支払いを免除してもらう債務整理手続きです。
裁判所を利用しない手続きなので柔軟に交渉を進められる反面、債権者の合意が得られなければ任意整理案がまとまらず、また、借金総額の大幅な減額は期待できないというデメリットがあります。
任意整理については、「任意整理で月返済額を約1/2に!財産を残せて家族にバレずに手続きできる」で詳しく解説しているのでご参考ください。
個人再生なら借金総額を大幅に減額できる
個人再生とは、裁判所を利用することで、借金総額を大幅に圧縮できる債務整理手続きです。
個人再生を利用すれば住宅ローンの特則を利用して自宅を手元に残せる反面、裁判所における手続きが煩雑であったり、収入などの要件が厳しく個人再生計画案がまとまりにくいというデメリットがあります。
個人再生については、「借金を1/5に減額し住宅も残せる個人再生とは?メリット・デメリットや詳しい手続きについて解説」で詳しく解説しているのでご参考ください。
給与所得者等再生は自己破産をしてから7年以内は利用できない
個人再生は、小規模個人再生住宅ローン以外の借金合計額が5,000万円以下の場合で、継続して安定的な収入を得られる見込みのある個人が利用できる個人再生の原則手続き。借金総額を最大1/10にまで圧縮できるものの、小規模個人再生がまとまるためには債権者の同意が要件とされているのでハードルが高い。と給与所得者等再生小規模個人再生を利用できる債務者のうち、サラリーマンや公務員など。給与の安定している債務者が利用できる手続き。債権者の同意は要件とされていないが、小規模個人再生ほどの減額効果を期待できないというデメリットがある。の2種類の手続きに分類されます。
個人再生の原則的な位置付けである小規模個人再生はいつでも利用できますが、他方で、債権者の同意なくして個人再生案をまとめられる給与所得者等再生は前回の自己破産から7年経過していなければ利用できないとされている点に注意が必要です。
給与所得者等再生には2回目以降の自己破産と同様の期間制限が加えられているので、債務整理に踏み出す際には、この点への配慮も含めて検討を進めましょう。
特定調停なら裁判所が間に入って返済条件を見直してくれる
特定調停とは、簡易裁判所の仲介のもと、債務者と債権者が借金の返済内容や返済条件の見直しについて合意を目指す制度です。
簡易裁判所が間に入ってくれるので安心して手続きに進める一方、任意整理と同じように債権者側の同意がなければ調停はまとまりませんし、裁判所ごとに調停基準にばらつきがあるので、借金の返済ストレスを根本的に解決できないというリスクも残ります。
弁護士が代理人になることは禁止されていませんが、基本的には債務者本人が交渉を進めなければいけないので、弁護士に債務整理を依頼する場合よりも債務者自身の負担は大きくなります。
自己破産の免責不許可決定に対しては即時抗告も認められている
2回目の自己破産手続きに踏み切ったものの裁判所から免責許可を得られなかった場合には、即時抗告という方法で異議を申し立てることも可能です。
ただし、即時抗告は免責不許可決定が下されてから1週間以内に申し立てなければいけないので、その短期間の間に免責不許可の判断になった理由を精査して、免責許可を得るための道筋を作り直さなければいけません。
実務的には、免責不許可の判断が異議申し立てで覆ることはそう多くないので、どうしても免責にこだわるのなら債務整理に長けた弁護士の力を借りざるをえませんし、場合によっては自己破産以外の債務整理を検討するのが無難と考えられるでしょう。
債務整理は早いタイミングで弁護士に相談するのがおすすめ
自己破産、個人再生、任意整理といった債務整理手続きは債務者本人だけでも進めることができますが、できれば早いタイミングで弁護士に相談するのがおすすめです。
なぜなら、弁護士に債務整理を依頼すれば、以下3点のメリットが得られるからです。
- 弁護士に依頼すれば借金の返済督促がストップする
- 弁護士は債務者の状況に応じた債務整理手続きを選択してくれる
- 弁護士は債務者の経済状況に配慮してくれる
それでは、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
弁護士に依頼すれば借金の返済督促がストップする
自己破産、個人再生、任意整理のいずれの債務整理を採用する場合でも、弁護士に依頼した段階で借金の返済督促がストップし、借金の返済をする必要もなくなるというメリットが得られます。
なぜなら、弁護士は、債務整理を受任した段階ですべての債権者に受任通知を送付し、債権者は受任通知受領後の取立て行為を禁止されているからです。
これによって、債務者はストレス要因だった執拗な返済督促から解放されるだけでなく、本来ならば借金返済に充てなければいけなかったお金を節約できるので、債務整理に必要な費用を用意したり、家計を立て直す準備をはじめられます。
弁護士は債務者の状況に応じた債務整理手続きを選択してくれる
弁護士に相談すれば、債務者の状況やニーズに即した債務整理手続きを選択してくれるので、債務者は適切な形で借金問題を解決できるようになります。
特に、2回目の自己破産を検討せざるをえないほど借金返済に追い込まれている債務者の場合には、以下のように法律の専門家である弁護士の助力がかなり重要になる場面が少なくないので、借金問題のプロの目線からのアドバイスが不可欠です。
弁護士に相談すれば2回目の自己破産に向けた適切なアドバイスを得られる
まず、弁護士に相談すれば、2回目の自己破産に向けた適切なアドバイスを得られます。
2回目の自己破産で免責許可を得るためには、破産管財人の調査や免責審尋をクリアするために充分な対策を練らなければいけません。
また、免責許可を得られるはずの状況であるにもかかわらず免責不許可決定が下された場合には、1週間以内に即時抗告をして異議を申し立てる必要があります。
さらに、弁護士に依頼した場合に限って、費用負担の少ない少額管財事件を利用できます。
このように、自己破産手続きの随所で専門家ならではの知見を活かす必要に迫られるので、弁護士への相談は必須です。
2回目の自己破産の展望と他の債務整理手続きを視野に入れてくれる
2回目の自己破産では免責許可を得るまでの難易度が高いので、弁護士に相談して、自己破産を申し立てる前に免責許可を得られる見通しを立て、むしろ他の債務整理手続きを選択した方が良いかを考えてもらうのがおすすめです。
というのも、1回目の自己破産と同一原因の借金であったり、抱えている借金の多くが非免責債権であるためにそもそも自己破産をする実益がない場合には、自己破産手続きのための時間と費用が無駄になるからです。
弁護士に相談すれば、借金問題を適切に解決するための最短ルートを提示してもらえるので、ぜひご相談ください。
弁護士に相談すれば各債務整理手続きのメリット・デメリットを勘案してくれる
自己破産、個人再生、任意整理にはそれぞれ以下のようなメリット・デメリットがあるので、債務者の収入や借金状況、要望を考慮してどの手続きに踏み出すかを選択しなければいけません。
債務整理の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自己破産 | ・借金が帳消しになる。 ・収入がなくても利用できる。 |
・自宅、自動車など、ほとんどの財産を処分しなければいけない。 ・職業制限や移動制限があるので、家族に知られずに利用できない。 |
任意整理 | ・財産を処分せずに利用できる。 ・家族に知られずに利用できる。 ・利息、遅延損害金を減額できる。 ・裁判所を利用しない手続きなので柔軟に対応できる。 |
・減額幅が小さい。 ・収入がなければ利用できない。 |
個人再生 | ・財産を残したまま利用できる。 ・住宅ローンに関する特則がある。 ・任意整理よりも減額幅が大きい。 |
・収入がなければ利用できない。 ・要件が厳しく、手続きも煩雑。 |
債務整理に強い弁護士であれば、どのメリットを重視しどのデメリットを避けるか、どのデメリットを我慢した方がダメージが少ないかなど、債務者の希望に沿った形での借金問題解決方法を選択してくれるでしょう。
弁護士は債務者の経済状況に配慮してくれる
借金問題に強い弁護士は、返済で厳しい家計状況に置かれている債務者に配慮してくれます。
まず、一般的には弁護士に相談するには30分数千円の相談料がかかりますが、借金問題に関する相談料は無料で応じてくれる場合があります。
また、債務整理に踏み切った際に必要になる弁護士費用について、分割払いなど、支払い方法も柔軟に対応してくれることが多いです。
さらに、債務整理に踏み切る前の段階で、今後必要になる費用を提示しつつ、債務者に寄り添って家計の具体的な改善案を考えてくれるので、生活再建を目指す債務者にとっては中長期的に見ても頼れる存在になるでしょう。
まとめ
2回目の自己破産は、1回目の自己破産とは異なり、裁量免責が得られにくかったり破産管財人からの厳しいチェックが入ったりと、手続き自体の負担やハードルが高くなります。
また、2回目の自己破産の難易度を考えると、自己破産に踏み出す前に、他の債務整理手続きも選択肢に入れたうえで、今後の戦略を練ることが必須です。
そこで、特に2回目の自己破産を検討しているような場合には、借金問題に強い弁護士に相談するのがおすすめです。
借金問題についてであれば相談料は無料のことが多いですし、債務整理を依頼した段階で返済督促も止むので、債務者はすぐにメリットを得られます。
早期に相談すればするほど、現在の窮状から脱するのも早くなるので、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
田舎暮らしのフリーライター・フリー翻訳家。得意ジャンルは法律関係、金融関係、株・為替関係など。浮世離れした生活のわりに、仕事の内容は結構現実的。犬・猫・子どもと戯れながら、マイペースな日常を謳歌する。京都大学経済学部中退(高卒)。

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