自己破産の制限から復権するまでの期間はどれぐらいかかるのか?2つの復権方法と合わせて解説

【自己破産後に復権する方法は大きく2つ】復権までの期間はどれぐらいかかるのか?

借金の返済ができそうにないので自己破産を検討しているのですが、仕事への影響が気になります。

普通のサラリーマンなら自己破産をしたからと言って懲戒処分を下されることはありませんが、公的な資格などについては資格制限が加えられる場合があるので注意が必要です。

やはり仕事ができなくなるケースがあるのですね。自己破産で仕事ができなくなると、一生その仕事に復帰することはできなくなるのですか?

自己破産で資格制限されたとしても、免責許可で当然に復権するので仕事を再開することは可能です。また、例外的に当然復権されないこともありますが、別の方法で仕事への影響を無くすこともできます。詳しくは、弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。

自己破産にはいろいろなデメリットがありますが、中でも一定の資格制限が生じる点には注意が必要です。

なぜなら、現在の職業次第では従来通りに仕事ができなくなるので、職場への迷惑だけでなく、債務者自身の家計を維持できなくなるからです。

ただし、このような資格制限があることだけに注目して自己破産に躊躇すべきではありません。

自己破産による資格制限は生涯続くものではなく、ほとんどの場合で免責許可が下された段階で当然復権、つまり、元通りに働けるようになります。

また、短期間の資格制限さえも困るという債務者には、自己破産以外にも借金状況を改善するための方法が用意されています。

仕事を継続しながら自己破産をはじめとする債務整理を検討したいという人は、ぜひ弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。

この記事でわかること
  • 自己破産をすると資格制限される資格や仕事がある。警備員や行政書士などの仕事はできなくなるので、自己破産前に確認しておくこと。
  • 自己破産による資格制限は免責許可が下りるまでの一定期間、限定的なもの。職場の配置換えなどでも充分に対応できる。
  • 免責許可が下りなくても資格制限を解除する方法は残されている。また、数ヶ月だけの資格制限さえ難しいのなら、自己破産以外の債務整理手続きを検討すれば良い。詳しくは弁護士などの専門家に。

自己破産で資格を制限された人が復権する方法は大きく2つ

まずは、自己破産で資格を制限された人が仕事に復帰する方法について説明します。

自己破産で資格制限を受けた人がその制限を解かれることを「復権」と呼びます。

そして、自己破産の復権は、大きく以下の二点に分けられます。

  • 免責許可を得て当然復権する方法
  • 免責されなくても復権する方法

①免責許可を得て当然復権する方法

自己破産の手続きは、かなり大雑把な区分をすると、以下の三段階に区別されます。

  1. 裁判所への申立て:「自己破産しても良いですか?」とお願いする段階
  2. 破産手続き:「破産者という身分で自己破産を進めていきましょう」という決定を受ける段階
  3. 免責手続き:「お金を返せそうにないので借金を帳消しにしましょう」という許可を受ける段階(この段階で復権|破産手続き開始から数ヶ月〜1年程度

債務者が破産手続きの開始決定(②)を受けると、資格制限というデメリットが生じます

債務者の借金の状況や所有財産によって異なりますが、破産手続きが開始してから免責許可が得られるまでは、数ヶ月から一年程度を要します。

つまり、この期間が、資格制限によって仕事ができなくなる期間ということです。

免責許可が得られた時点で資格制限がなくなる

ですが、自己破産の最終目的である借金の帳消しが実現した段階、つまり、免責許可が得られた段階で、資格制限がなくなります

破産者である債務者自身が復権のために手続きをする必要もなく、免責許可決定によって当然に復権することから、当然復権と呼ばれます

ワンポイント解説

当然復権とは?
当然復権とは、特別な申請や手続きなどなしでも当たり前に復権することです。自己破産について言えば、免責許可決定がされた時点で、特別な手続きを経ることなく当たり前に職業制限が解かれて仕事ができるようになります。

ほとんどの自己破産が免責まで至る

当然復権のためには免責許可決定が要件となりますが、ほとんどの自己破産が免責まで到達できるのでご安心ください。

免責許可が下りないのは、処分すべき財産目録を改ざんした場合や、自己破産手続きの進行を意図的に遅らせたような場合に限定されます。

また、ギャンブルや過度な浪費が原因で借金をしたときに免責許可が下りないとされていますが、このようなケースでも裁量免責という例外ルールで救済されるのが一般的なので、無事に免責許可を得ることができます。

②免責されなくても復権する方法

原則としてほとんどのケースで当然復権するとは言え、例外的に免責許可が下りないケースも存在するのは事実です。

この場合、免責許可が得られない以上、破産手続き開始決定によって生じた資格制限は続くので、従来通りに仕事をすることはできません。

ただし、免責許可による当然復権ができない場合でも、以下の四つの方法で復権を目指すことができます。

  • 借金を完済することで復権
  • 個人再生を利用して当然復権
  • 任意整理を利用して申立てによる復権を
  • 10年過ぎれば当然復権する

それでは、それぞれについて見ていきましょう。

A.借金を完済することで復権

当たり前のことですが、現在抱えている借金を完済できれば破産者ではなくなるので、復権をして資格制限を解除できます

例えば、免責不許可決定が下された後に相続でまとまったお金が手に入ったようなケースです。

この場合、当然復権とは異なり、裁判所に対して借金を完済したことを申し立てる必要があります。

ただし、ほとんどの破産者にとって借金の返済は簡単なことではありません。

免責されなかった借金を返済できないから自己破産を申し立てたのに、「残された借金を返済すれば復権する」というルールだけでは、破産者にとってあまりに酷でしょう。

そこで、免責許可を得られなかった破産者は、何かしらの方法を探って免責を目指す必要に迫られます。

B.再生を利用して当然復権

免責許可による当然復権が出来ない場合には、個人再生を利用することで当然復権を狙うことができます。

免責許可が下りなかったとき、破産者の手元には従来通りの借金がそのままです。

そこで、この借金を返済するために、自己破産以外の債務整理手続きである個人再生を利用する方法が考えられます。

個人再生を利用する道を選択すれば、裁判所において個人再生案がまとまった段階で、当然復権として扱われます。

なぜなら、個人再生計画案通りの返済を続けるためには、従来通りに仕事をして収入を得る必要があるからです。

ただし、まとまった個人再生の返済計画を守らなければ、復権自体が取り消されて職業制限が復活するのでご注意ください。

C.任意整理を利用して申立てによる復権

免責許可による当然復権が出来ない場合には、任意整理を利用して借金を完済し、申立てによる復権を目指す方法が考えられます。

個人再生では裁判所で再生計画書がまとまった段階で当然復権されるのに対して、任意整理の場合には借金を完済するまで復権が認められません。

しかし、そもそも個人再生の計画案をまとめるには、裁判所から求められる煩雑な手続きや厳格な要件を充たす必要があります。

つまり、個人再生で当然復権を目指すのはハードルが高いと言えるでしょう。

そこで、借金の完済までは一定の時間がかかるのでいつまでも資格制限が生じたままではありますが、任意整理によって利息や遅延損害金がカットされて返済されやすくなった借金を完済する方法が現実的と考えられます。

任意整理で返済しやすくなった借金を完済できれば、裁判所に対して申し立てることで復権し、資格制限が解かれます。

ただし、任意整理を行うには、返済能力があることが前提となりますので、そもそも任意整理を行えない可能性があることは留意しておく必要があります。

D.10年過ぎれば当然復権する

破産手続きの開始決定が下されてから、つまり、破産者になって資格制限が生じてから10年が経過すれば、当然復権します。

個人再生や任意整理は、そもそも債権者側の合意がなければ成立しないものです。

また、任意整理や個人再生が成立しても、残念ながら約束通りに返済できないという人もいるでしょう。

しかし、いつまでも資格制限が加えられた状態が続くと、破産者の生活にあまりにも負担が大きすぎると考えられます。

したがって、10年という時間の区切りをもって、当然復権が認められます。

自己破産の資格制限は避けたい!そんな人は自己破産以外の方法を探ろう

以上のように、自己破産によって借金問題の解決を図ろうとする以上、資格制限は常について回る問題です。

免責許可による当然復権のルートをたどるとしても、資格制限を最低でも数ヶ月間は覚悟する必要があります。

そこで、ここからは、自己破産を選択したいが資格制限によるデメリットを避ける方法や、そもそも資格制限の生じない自己破産以外の選択肢によって抱えている借金問題の改善を図る方法を紹介します。

具体的には、以下の二点です。

  • 勤めている会社と相談して部署をかえてもらう
  • 自己破産以外の債務整理を活用する

それでは、それぞれについて見ていきましょう。

勤めている会社と相談して部署をかえてもらう

まず、資格制限によって仕事に支障が生じるのなら、勤め先と相談して部署や業務内容をかえてもらう方法が考えられます。

例えば、税理士法人に勤務している税理士が自己破産をする場合、自己破産によって税理士資格に制限がかかるので、税理士の独占業務である税務相談などの職務をこなすことはできなくなります。

しかし、税理士法人における仕事はこれだけではありません。

法人内の経理や総務など、資格に関係なく携われる仕事がいくつでもあるはずです。

したがって、このような形で会社に相談すれば、配置換えや業務変更という方法で復権までの期間をやり過ごすことができるでしょう。

念の為、自己破産で資格や役職に関する職業制限がされる代表例を伝えておくと、以下の通りです。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 土地家屋調査士
  • 社会保険労務士
  • 税理士
  • 公証人
  • 警備員
  • 成年後見人
  • 役員

会社に自己破産の事実を隠す必要はない

さらに、ここでのポイントは自己破産をもって懲戒処分を下すことはできないという点です。

借金で苦しんでいる人にとっては、自分の借金の状況や自己破産のことを会社に知られたくないと感じるのは当たり前のことです。

「自己破産を知られたらクビになるんじゃないか?」「借金をするような人は昇進査定に響くのではいか?」という不安はそう簡単には拭えないでしょう。

ただ、自己破産の資格制限というデメリットに対処するには、上述のように会社側の協力を欠かせないことが少なくはありません。

そして、そもそも会社側は、自己破産を理由として懲戒処分などを下すこともありません。

したがって、仕事への影響を怯えるのではなく、むしろ味方になってもらうために前向きに相談することも必要です。

会社員が自己破産してもクビにはならない

自己破産を検討している方の中には、一般企業に勤めているサラリーマンもいらっしゃるでしょう。

サラリーマンが自己破産をしても、原則として自己破産を理由に懲戒処分などが下されることはありません

なぜなら、借金とそれに伴う自己破産は個人的な事情に過ぎず、会社の職務に影響を与えるものではないために、自己破産だけを理由として懲戒処分を下すのは労働基準法に違反すると考えられているからです。

ただし、以下の二点に該当する場合には注意が必要です。

  • 自己破産が懲戒事由に該当することが就業規則に定められている場合
  • 自己破産が職務上支障を与えるために懲戒処分に合理性が見出される場合

就業規則とは、会社が独自に定めている企業ルールです。

企業に所属する以上、就業規則の影響を避けることはできないために、就業規則において「自己破産が懲戒事由に該当する」旨が定められている場合には、自己破産という債務整理手続きを選択すべきではありません

したがって、自己破産が会社員としての生活に影響を及ぼすことは考えにくいとは言え、念のために就業規則などの内部ルールを確認しておくのがおすすめです。

自己破産以外の債務整理を活用する

数ヶ月であっても資格制限を受けると困るという人は、自己破産はおすすめできません

例えば、先程の税理士法人の例で言えば、税理士法人を経営している税理士の人が自己破産をする場合で、当該税理士法人に所属する税理士が自分以外にはいないとき、自己破産で資格制限を受けてしまうと、免責による当然復権に至るまで税理士法人は一切の業務をこなすことができなくなってしまいます。

このような場合には、抱えている借金問題を解決するために、はじめから自己破産以外の債務整理手続きである個人再生か任意整理を選択すべきでしょう。

以下では、資格制限なく従来通りに仕事を継続しながら借金の返済状況を改善できる個人再生と任意整理について、それぞれ説明します。

個人再生

個人再生とは、裁判所を利用して借金額を大幅に減額し、現実的な完済スケジュールを練り直す債務整理手続きです。

自己破産とは異なり借金が帳消しになることはありませんが、大幅に借金返済額を減額できるので、生活を再建しながら完済を目指せるというメリットがあります。

また、自己破産を利用すると所有している自宅が競売手続きで売却されてしまいますが、個人再生であれば住宅ローン返済中の自宅を手元に残せます。

今の仕事を継続しながら、今の生活拠点を変えることなく、借金問題からの抜け出す道を探ることができます

ただし、裁判所が求める手続きが複雑であることと、個人再生が認められるための要件が厳格であることから、手間や時間がかかるというデメリットがあります。

【個人再生がおすすめの人】
・住んでいる自宅を手放したくない人
・借金総額を大幅に減額したい人

任意整理

任意整理とは、裁判所を利用せずに当事者間の交渉で利息や遅延損害金をカットし、債権者の合意を得られる範囲で返済額を整理し、今後の返済計画を練り直す債務整理手続きです。

個人再生とは異なり裁判所を利用せずに債権者と直接交渉して今後の返済計画を作り直すことができるので、柔軟なスケジュール感をもって整理したい債務も自由に選択できます。

しかし、債権者の合意を得られなければ満足の行く返済計画を作り直せないことと、個人再生程の大幅な返済額の減額を期待できないのが難点です。

ただし、任意整理を専門に扱っている弁護士や司法書士に依頼をすれば、少なくとも返済可能なスケジュールや返済額をまとめてくれるはずです。

債務整理に強い専門家は、貸金業者との交渉に慣れています。

貸金業者側も、交渉に慣れた弁護士が任意整理の話をもちかけてきた段階である程度の妥協を覚悟するので、債務者にとっては有利な結論を期待できるでしょう。

【任意整理がおすすめの人】
・膨れ上がった利息や遅延損害金をカットしたい人
・債権者との直接交渉でスムーズに今後の生活に向けた返済計画を作り直したい人

まとめ

自己破産をすると、借金が帳消しになる反面、資格制限が加えられるので一定期間は従来通りに仕事をできなくなるリスクが生じます。

ただし、ほとんどの債務者の場合、免責許可が下りた段階で当然復権するので、数ヶ月程度の我慢で仕事に復帰できます。

他方、その数ヶ月間さえ資格を制限されることを受け入れられない状況であるのなら、自己破産にこだわり続けるべきではありません。

弁護士や司法書士などの専門家に依頼すれば、債務者の状況やニーズに即した債務整理手続きを提案してくれます。

借金が帳消しになる自己破産にこだわらなくても、個人再生や任意整理を活用することで、現在の窮状を脱して生活を再建することは難しくはありません

現在、いろいろな法律事務所などで無料相談の機会などを設けて、借金に苦しむ債務者を救うための窓口を広げています。

どうぞお気軽にこれらの機会を利用して、借金の返済に追われ続ける日常から脱してください!

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