任意整理は3〜5年での返済が条件!支払い能力があれば手続きできる可能性大

任意整理は3〜5年での返済が条件!支払い能力があれば手続きできる可能性大
監修
弁護士吉田 伸広

任意整理を検討しているのですが、私でも任意整理は可能ですか?

任意整理を行うための条件は、債権者(お金を貸した人)によっても変わってくるんだ。

では、任意整理を実際に行ってみないと、交渉が成立するかどうかがわからないってことですか?

そういうことになる。任意整理はあくまでも交渉であるため、応じるも応じないも債権者次第。もっと言えば、任意整理手続きを始めた時点で、訴訟準備を始める債権者もいるんだ。

訴訟!?もしも、裁判を起こされて負けたら、給与などを差し押さえされてしまうんですよね?

そういうことだ。ただ実際には、任意整理の一般的な条件さえ満たしていれば、交渉の余地が十分にある。

一般的な条件とはなんですか?

一般的な条件とは、「短い期間(長くても5年以内)で債務のすべてを完済できること」と「支払う意志があること」の2つだ。しかし、この2つの条件を満たしたからといって、必ず任意整理が成功するとは限らない。反対に、1つ目の条件を満たしていなくても交渉が成立する可能性もある。

なんか複雑ですね…。

何度も言うが、任意整理はあくまでも交渉だから、ある意味一筋縄ではいかないんだ。だからこそ、任意整理を検討しているのであれば、信頼と実績のある弁護士などに依頼するべきだろう。

任意整理手続きが可能な一般的な条件は「返済能力があること」と「支払う意志があること」の2つです。ただ上記2つの条件を満たしていても、必ず任意整理に応じてもらえるとは限らないのが、任意整理のむずかしいところです。

中には、任意整理手続きと同時に訴訟準備に入る債権者(お金を貸した人)もいます。いきなり訴訟準備を始める例としては、「時効が近い」「そもそも交渉する気がない」などの理由が挙げられます。

裁判だけは避けて通りたいところですが、債権者によって任意整理に応じる条件が異なるのも事実です。今回は、任意整理ができる一般的な条件について詳しくお伝えしていきます。

この記事でわかること
  • 任意整理ができる条件は2つ「支払い能力」と「支払う意志」
  • 条件付き債務(借金)であっても、任意整理が可能
  • 必ず任意整理に応じてもらえるとは限らない
  • 任意整理に応じてもらえなければ、現状のままで支払いを続けるしかない
  • 任意整理がむずかしいのであれば、自己破産や個人再生の検討を

任意整理ができる条件は何?

任意整理ができる主な条件は2つです。

  • 3~5年以内に完済できるだけの“支払い能力”があること
  • 支払う意志があること

任意整理という手続きは、あくまでも債務者(お金を借りた人)と債権者(お金を貸した人)の間で行う交渉手続きです。そのため、支払い能力などの最低条件が設定されているのです。

ただ、上記条件はあくまでも一般的な考え方であって、すべての債権者が上記の条件に準じているわけではありません。

実際には債権者によって条件が異なったり、交渉の有利不利が異なったりする場合が考えられます。任意整理を検討しているのであれば、一般的な基準を踏まえた上で、弁護士などの専門家へ相談してみましょう。

任意整理の条件1:3〜5年以内に完済できるだけの支払い能力がある

任意整理では3年以内、長くても5年以内に完済できることが一般的な条件となっています。

任意整理は将来に向かって完済を目指す手続きであり、債務者(お金を借りた人)と債権者(お金を貸した人)の間で行う交渉です。

つまり、「完済できるだけの安定した収入」があることは、任意整理を行う上で絶対条件です。

一方で、「3~5年以内で完済できるだけの支払い能力」は絶対条件ではありません。任意整理はあくまでも交渉であるため、5年を超える返済計画での交渉も可能です。しかし、5年を超える任意整理の場合は、交渉がうまくいかないことがほとんどです。

そのため一般的には、「3~5年以内に完済をできるだけの支払い能力」が任意整理を行う条件のひとつとされています。

この「支払い能力」については、その証明のため以下の書類提出を求めらることが一般的です。

  • 源泉徴収票
  • 給与明細書
  • 確定申告書
  • 銀行の通帳

必ず債務者本人が完済する必要はない

債務者の家族が債務者に変わって返済することを約束するのであれば、債務者に返済能力がなくても、交渉に応じてもらえる可能性があります。

家族が代わりに返済する場合であっても、返済する方の安定した収入証明が必要ですので注意してください。

一時的な収入がない方も交渉が可能

一時的に収入が途絶えている方であっても、収入が途絶えている理由によっては、交渉が可能です。

ただし、収入を偽ったり無職であるにも関わらず収入があるように見せたりすることは、絶対にやめてください。収入証明の提出を求められますので必ずバレます。虚偽申告がバレてしまえば、交渉決裂となるので絶対にやめてください。

収入から必要経費を引いた金額で返済計画が組めそうかが基準

3~5年以内に完済できるだけの安定した収入があるかどうかの基準は、「収入-支出」で計算できます。毎月の収入から、生活に必要な費用をすべて差し引き、余ったお金を返済にあてれば3~5年以内に完済できるかがひとつの基準です。

「収入-支出」で余った残金を全額返済にあてるような、無理な返済計画は続きません。

始めから無理のある返済計画を立てても、いずれはつまずいてしまう可能性が高いです。無理のない範囲で返済計画を立てることがとても大切です。

ただし、どの債権者(お金を貸した人)も5年の返済期間に応じてくれるわけではありません。返済期間は短ければ短いほど、交渉が成立しやすいです。節約できそうな部分は節約をし、無理のない返済計画を立ててみましょう。

支払い能力があれば、アルバイト・パート、年金受給者等でも任意整理が可能

安定した支払い能力があれば、雇用形態に決まりはありません。アルバイトやパート、年金受給者や派遣社員であっても、任意整理が可能です。

ただ、雇用形態に関わらず安定した収入があることを証明する書類の提出が必要です。

生活保護者は受給金を返済にあてることができないので、任意整理は不可

生活保護を受給している方は、生活保護費も働いて得た収入も、借金の返済にあてることはできません。生活保護という制度は、日本国民の最低限度の生活を保障するための制度だからです。

生活保護を受給しながら、働いて自立を目指す方もいます。そんな方も生活保護を受給している以上は、借金の返済にあてられませんので注意してください。

生活保護を受給している方は、自己破産を検討してください。生活保護の受給を検討している方であっても自己破産は可能ですし、生活保護受給中でも自己破産ができます。

自己破産費用は生活保護受給中の方であれば、法テラスに相談をすることで20万円を上限に立て替えてくれます。

そして、自己破産手続きが終えた後も生活保護を受給しているのであれば、建て替え費用を返済する必要はありません。

支払い能力がない場合は自己破産の検討を

3~5年以内に返済できるだけの能力がない方は、自己破産を検討したほうが良いでしょう。自己破産を行うための費用は20万円~と、任意整理の4万円前後と比較すればかなり高額です。

しかし長い目で見たときに、返済できないにも関わらず任意整理を行って、支払いが滞れば意味がありません。自分が今どのような債務整理を行うべきなのか自分でわからないのであれば、弁護士に相談をするのもひとつの手段でしょう。

任意整理の条件2:支払う意志があること

任意整理の和解成立後は3~5年という長い月日を掛けて完済を目指します。そのため、任意整理手続きをできる人の条件として支払う意志は、絶対条件のひとつと言えるでしょう。

その支払い意志を判断する基準の一つとなるのが、返済履歴です。

債務(借金)の借り入れなどから今まで一度も返済をしたことがない方は、返済の意志なしとみなされる可能性が高いです。借りるだけ借りて一度も返済してこなかった人に「少しでも信用してほしい」と言われても、誰も信用できません。

任意整理において、審査は行われません。しかし、債権者(お金を貸した人)は、債務者(お金を借りた人)の行動や言動を見聞きした上で、任意整理交渉を行います。

今まで一切の返済実績がない人はかなりのマイナス評価です。任意整理の交渉すら行ってもらえない可能性があります。

いくら返済能力や返済の意志があり、任意整理の条件を満たしていると思っても、信用してもらえません。この場合は、個人再生や自己破産など、その他の手続きをとることが選択肢となります。

条件付き債務も任意整理が可能

「債務(借金)」と一口に言っても、消費者金融やクレジットカードの債務もあれば、住宅ローンや自動車ローンの債務もあります。中には、保証人が設定されている債務もあることでしょう。

さまざまな条件付き債務であっても、任意整理が可能です。条件付き債務についてお伝えします。

住宅ローン・車ローンがあっても任意整理が可能

住宅ローンや自動車ローンなど、失いたくない資産を持っている方は「任意整理の条件を満たせないのか?」と、思われている方も多いですが任意整理は可能です。

任意整理は、ひとつの債務(借金)から可能な手続きです。たとえば、自動車ローンを組んで自動車を所有している方が消費者金融からの借り入れがあり、返済が厳しくなってきた場合消費者金融のみの任意整理が可能です。

当然、消費者金融と自動車ローンの2つ以上を同時に任意整理することも可能ですし、いずれかひとつの債務でも可能です。

同じ債権者に対して2度目の任意整理が可能

1度任意整理を行った相手であっても、2度目以降の任意整理も可能です。

たとえば、1度任意整理の交渉が成立して、返済をしていた債務(借金)であっても、返済をはじめてしばらく経った頃に「生活スタイルが変わった」「返済計画が甘かった」などの理由から、任意整理した費用の返済がむずかしくなる可能性があります。

そのような状況になっても、同じ債権者(お金を貸した人)に対して2度目の任意整理が可能です。

ただ、1度目の任意整理で将来の利息がカットされているため、メリットは少ないでしょう。2度目であれば債権者からの見方も厳しくなるため、交渉が成立しない可能性も高いです。

保証人がついている債務でも任意整理が可能

「保証人がついている債務(借金)は、任意整理ができないのではないか?」そう思っている方も多いですが、保証人がいても任意整理ができます。

ただ、本来の債務者(お金を借りた人)が、任意整理を行えば、債権者は保証人に取り立てすることになります。

債務者が保証人に何も言わず任意整理を行えば、当然トラブルの原因になるので注意してください。

契約書等の書類がなくても任意整理が可能

契約当時の書類等を紛失した方も、任意整理手続きが可能です。

任意整理は、将来の利息をカットして3~5年以内に完済を目指す手続きです。そのため、現在進行形で取り引きをしている債権者であることがほとんどかと思われます。

任意整理手続きは、債権者(お金を貸した人)と債務者(お金を借りた人)が明確であれば、契約書などを紛失していても大丈夫です。安心して相談してみてください。

条件を満たしていても、任意整理ができない場合もある

任意整理の絶対条件である、「安定した返済能力」と「支払いの意志」があれば、絶対に交渉が成立するのかといえば、そうとも言い切れません。

任意整理という手続きはあくまでも交渉なので、債権者(お金を貸した人)が交渉に応じてくれない可能性もあります。

仮に交渉に応じてくれたとしても、結果的に和解が成立しない可能性も考えられます。任意整理ができないケースについてもう少し詳しく見ていきましょう。

債権者が交渉に必ず応じてくれるとは限らない

任意整理はあくまでも交渉です。他の債務整理手続きである自己破産や個人再生とは異なり、任意整理に法的強制力がありません。そのため、交渉に応じるも応じないも債権者(お金を貸した人)に任されています。

中には、任意整理の交渉には一切応じないとしている業者もいます。自分の借入先が任意整理に応じるのか否か、弁護士に相談してみるのもひとつの手段でしょう。もしも任意整理に応じない業者であれば、訴訟発展になる可能性があります。

任意整理交渉は自分でも行える手続きではありますが、上記のようなリスクがあるため必ず専門家へ依頼されることをおすすめします。弁護士などの専門家であれば、ある程度任意整理に応じる業者かどうかの見当がついているためです。

債務に連帯保証人や担保がある場合は交渉に応じてくれる可能性は低くなる傾向

任意整理を検討している債務(借金)に担保が設定されているのであれば、交渉に応じてもらえない可能性もあります

なぜなら、任意整理交渉を行わなくても債務の回収が容易だからです。

もしも現在の債務者(お金を借りた人)が債務を支払えなくなっても、担保があれば、当該物品を売却して債務返済費用に充当すれば済みます。

担保がある債務については、債権者(お金を貸した人)から見れば任意整理を行うメリットが大きくないのです。

ただ、担保割れ(売却額が債務額を下回っている)が発生している場合などは、任意整理の交渉が成立する可能性は高くなるでしょう。この場合は一度任意整理の交渉をしてみる価値はあります。

差し押さえ手続きを取られている場合も交渉に応じてもらえない可能性が高い

差し押さえ手続きを取られている場合も、交渉に応じてくれない可能性が高いです。連帯保証人や担保と同様に、差し押さえ財産から回収してしまったほうが合理的であるためです。

・連帯保証人のいる債務
・担保の設定されている債務
・差し押さえされている債務

以上のような債務がある場合は他の債務整理を検討するべきです。

まずは、弁護士などの専門家へ相談してみるのも良いですが、最初から自己破産や個人再生を検討しても良いでしょう。

ただし、保証人のいる債務については、個人再生を行おうが、自己破産を行おうが債権者にも請求するようになります。保証人がいる債務の債務整理手続きは、保証人としっかり話し合ってから行ったほうが良いでしょう。

まとめ

今回は、任意整理の条件についてお伝えしました。

この記事のまとめ
  • 任意整理の交渉が可能な条件は、3~5年以内に完済ができるだけの支払い能力があること
  • 支払いの意志があること
  • 債務者(お金を借りた人)本人に返済能力がなくても、家族が立て替えることを条件に交渉が可能
  • 債務に保証人や抵当(担保)が設定されている場合には、交渉が成立しない可能性もある

任意整理手続きは他の債務整理手続きとは異なり、法的強制力が一切ない交渉です。

そのため、今回お伝えした条件を満たしているからといって、必ず任意整理が和解までいくとは限りません。

債権者(お金を貸した人)によっては、任意整理の手続きが始まった時点で訴訟へ発展させる場合もあります。もしも訴訟に発展してしまえば、給与や財産の差し押さえになりかねません。

ただ、弁護士に任意整理を相談することで、債権者が任意整理に応じてくれるのかどうかの簡単な判断ができます。もちろん、債務者の状況によっても異なるため一概には言えません。

今回紹介した条件を満たしている方が、任意整理を検討していても必ず弁護士などの専門家に依頼しましょう。自分で任意整理手続きを行っても良いですが、訴訟発展リスクが高くなります。

任意整理に応じない債権者との取り引きであっても、弁護士に相談をすれば債務者に最適なプランを提案してくれます。今回お伝えした任意整理の条件を満たしているのであれば、ぜひ任意整理の検討を始めてみてはいかがでしょうか。

監修者

弁護士の吉田伸広と申します。私が弁護士として心掛けていることは、じっくりお話を伺うことと、法的な問題を解決するだけでなく、精神的にも身体的にも元気になっていただくことです。人の一生で、弁護士に頼らなければならない出来事はそう多くあるものではありません。だからこそ、一度法律の問題を抱えると頭の中はその問題でいっぱいになります。四六時中不安になり、体調を崩してしまう方も沢山いらっしゃいます。困り果てて、疲れ切ってしまっているのは、決してあなただけではありません。勇気を出してお話を聞かせてください、お待ちしています。

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