任意整理で月返済額を約1/2に!財産を残せて家族にバレずに手続きできる


先生、任意整理とはなんですか?


任意整理とは、借金を返済する意思や能力はあるけど、毎月の返済額が負担になってしまっている人がおこなう手続きです。
任意整理をおこなうと返済額が減るんですか?


任意整理は弁護士や司法書士が代理人として貸主と直接交渉をおこなう手続きで、今後支払う予定の利息をカットや減額してもらえるよう交渉します。そのため、手続き後の返済額が大幅に減る可能性があるのです。
任意整理をした方が良い人はどのような人ですか?


例えば、しっかりとした返済能力がある人や、複数社から借入があり一部の借金のみを整理したい人が任意整理に向いています。今回は、任意整理について詳しくお伝えします。
任意整理とは、弁護士や司法書士に代理人となってもらい、債権者と今後支払う予定の利息をカットや減額してもらえるよう交渉してもらう手続きです。
そのため、手続き後の返済額が大幅に減る可能性があります。
しかも、自己破産や個人再生と違い、財産を失ってしまうなどのリスクを負わずに手続きすることが可能です。
一方で、ほとんどの場合デメリットとなるのは新しくカードを作ったり新規借入が難しくなるという点だけなので、比較的誰でも利用しやすい債務整理の手続きといえるでしょう。
任意整理を検討してみたいという方は、弁護士や司法書士に相談すると、自分の場合どれくらい負担が減るのか簡単に教えてもらうことができるので、まずは一度相談することをおすすめします。

- 任意整理は返済額を減らす交渉をおこない、完済を目指す手続き
- 任意整理は家族や職場の人など周囲に知られにくく、1社から整理が可能
- 任意整理をすると新しくカードを作ったり新規借入が難しくなる
- 任意整理とは将来利息をカットし、返済額を約1/2にできる手続き
- 任意整理のメリット
- 月々の返済額を1/2に減らせる
- 将来の利息がカットされる
- 複数社に返済している場合、返済を一本化できる
- 既に借金の支払を滞納していても、督促を止め無理のない金額で分割返済できる
- 裁判所を介さないため借金問題を早く解決できる
- 過払い金が発生することもある
- 家族や職場の人など周囲に知られにくい
- 職業や資格に制限がなく、貯金や持ち家などの財産を手放す必要もない
- 賃貸契約を解約する必要がない
- 複数社から借入がある場合、1社から手続きが可能
- 家族の信用情報に事故情報が載ったり、就職や進学で不利になったり、家族の財産を手放さないといけないなどの影響がない
- 任意整理の注意点
- 任意整理を考えるべきタイミング
- 任意整理に向いているのはこんな人
- 任意整理をするには弁護士や司法書士に依頼しよう
- まとめ
任意整理とは将来利息をカットし、返済額を約1/2にできる手続き
任意整理とは、弁護士や司法書士が債権者(貸主)と交渉をおこない、将来利息をカットもしくは減額して月々の返済額を減らし、確実に完済を目指す手続きです。
任意整理は個人再生や自己破産とは異なり、周囲の人に知られにくく、複数社から借り入れがある場合1社から手続きが可能であるなどのメリットがあります。
一方で、保証人付きの借金を任意整理してしまうと保証人に督促がいってしまったり、借入後すぐの任意整理は交渉が不利になることもある点には注意が必要です。
任意整理のメリット・デメリットについては以下の記事でも紹介していますので参考にしてください。
次の項目から、任意整理とはどういったものなのかについて詳しくお伝えします。
任意整理のメリット
任意整理をおこなうメリットには以下のようなものがあります。
- 月々の返済額を1/2に減らせる
- 将来の利息がカットされる
- 複数社に返済している場合、返済を一本化できる
- 既に借金の支払を滞納していても、督促を止め無理のない金額で分割返済できる
- 裁判所を介さないため借金問題を早く解決できる
- 過払い金が発生することもある
- 家族や職場の人など周囲に知られにくい
- 職業や資格に制限がなく、貯金や持ち家などの財産を手放す必要もない
- 賃貸契約を解約する必要がない
- 複数社から借入がある場合、1社から手続きが可能
- 家族の信用情報に事故情報が載ったり、就職や進学で不利になったり、家族の財産を手放さないといけないなどの影響がない
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
月々の返済額を1/2に減らせる
任意整理の交渉が成立すると、毎月の借金返済額を1/2程度減額することができます。
例えば消費者金融からの借入に対して毎月4万円返済していたとすれば、任意整理をおこなうことで2万円程度まで減額が可能です。ただし、「返済額を絶対に1/2にできるのか?」といえば、絶対とはいえません。
一般的には1/2程度まで減額できる手続きですが、債務者(借主)の状況によっては、返済額が1/3以下になる可能性もあります。中には、元々の返済金額とほとんど変わらない人もいます。
返済額がほとんど変わらない理由としては、以下のような理由が考えられます。
- 元々の返済額が少ない場合
- 取引期間が極端に短い場合
元々の返済額が少ない場合には、今現在、返済してもほとんど利息しか払えておらず、元金が減っていない状況ということになります。
借金の利息は「今現在残っている元金の金額に対して何%」という形でかかってくるので、今現在利息しか払えておらず、元金が減っていないということは、いつまでも借金を完済できず、永遠に利息を払い続けることになるということです。
その場合、任意整理をおこなうことで返済額を大幅に減らすことはできない場合もありますが、完済までにかかる期間を大幅に短縮することができるので、結果的に完済までに支払う借金の総額も大幅に減らすことができます。
また、返済を1,2回しかしていないなど取引期間が極端に短い人は、今までに払ってきた利息の金額が少ないため、返済額を減らすことは難しい場合がほとんどです。
債権者は債務者が返済の時に、元金に+αで払ってくれる利息で利益を得ています。
債務者が今まで払ってきた利息の金額が大きいほど、債権者は多くの利益を得ているため、支払いが困難になった時に任意整理の交渉をしても柔軟に応じてくれやすくなります。
しかし、取引期間が短いと債権者からすればほとんど儲けがない状態なので、任意整理の際に厳しい条件を提示してくるケースも少なくありません。
一般に任意整理をおこなうと5年以内での完済を目指しますが、取引期間が短い人はより短い期間での返済を求められます。その結果、返済金額があまり減らない場合もあるのです。
ただ一般的には任意整理をおこなうことで、月々の返済額を1/2程度まで減らすことができます。現状の返済が厳しい人は、任意整理を検討してみてください。
将来の利息がカットされる
毎月返済している金額の中には「元金」と「利息」の2つが含まれています。
元金とは、元々自分が借りたお金の金額です。一方で利息とは、債権者に対して支払う「手数料」のようなものです。
前の項目でもお伝えしたとおり、利息は「今現在残っている元金の金額に対して何%」という形で計算されますので、例えばA社から年利1年あたりに支払う利息のこと。12%で借入をしており、元金が50万円残っているとしたら、次の月に返済しなければならない利息の金額は5千円となります。
利息の金額は月々の返済額がいくらであっても変わらないので、この場合、例えば月々の返済額が1万円であれば1/2、1万5千円であれば1/3が利息の支払いに充てられているということになります。
月々の返済額に対して利息の金額が大きければ大きいほど、返済額に対する元金の割合が少なくなり、なかなか借金が終わらないという現象が発生します。
一方で任意整理をおこない、将来の利息がカットされれば、元金のみの支払いを続けていくため、比較的早い完済を目指せます。
複数社に返済している場合、返済を一本化できる
複数社から借入をしている場合、債権者によって毎月の返済日がバラバラだったり、支払先ごとに振込手数料がかかったりして、不便に感じている人もいるでしょう。
その場合、借入先をすべて任意整理の対象にし、さらに振込代行を利用することで、支払先を一つにまとめることができます。
任意整理の和解内容が決定した後、債務者は債権者に対して再び支払を再開しますが、この時、今までどおり債権者へ直接返済するのか依頼した事務所をとおして返済する「振込代行」を利用するのかを選ぶことができます。
債権者への直接返済を選ぶ場合には、通常、各債権者がそれぞれ設定した返済日に合わせて振込で支払をおこなわなければなりません。返済日はすべて同じとは限りませんし、振込手数料も各債権者分必要になります。
しかし振込代行を選ぶ場合には、依頼した事務所へ各債権者に支払予定の月返済額をまとめて入金し、依頼した事務所が各債権者に振り分けるという方法を取ります。
振込代行を利用する場合には「依頼する債権者の数×千円程」の振込代行手数料がかかりますが、交渉成立後も完済まで依頼した事務所が間に入ってくれるので、返済途中で支払が厳しくなった時などにすぐに弁護士や司法書士に相談できるメリットがあります。
借金を一本化したいと考えている人は、任意整理をして振込代行で返済することも選択肢に入れて検討するとよいでしょう。
既に借金の支払を滞納していても、督促を止め無理のない金額で分割返済できる
今現在、既に借金の支払が遅れており、債権者からの督促や一括返済の要求に困っているという人もいるでしょう。
借金の支払を既に滞納していて一括返済を求められている状況でも、任意整理をして弁護士や司法書士が間に入って債権者と直接交渉することで、分割返済に応じてもらうことが可能です。
また任意整理を依頼すると、まず最初に依頼した弁護士や司法書士が債権者に対して「受任通知」を送ります。
この受任通知には、債権者の債務者に対する直接の取立てを停止させる効力があり、そのため受任通知が債権者に届くと、債権者からの督促はストップします。
しかし、受任通知には訴訟による借金の返還請求まで止める効力はないので、稀なケースではありますが任意整理の手続き中に債権者が訴訟を起こし、裁判所から通知が届くこともあります。
その場合は届いた通知を持って速やかに依頼している事務所に相談することで、代理人となっている弁護士や司法書士が訴訟の対応も含めて手続きしてくれます。
既に借金の支払を滞納していてもあきらめず、まずは弁護士や司法書士に相談しましょう。
裁判所を介さないため借金問題を早く解決できる
任意整理は弁護士や司法書士が債権者と直接交渉をおこないます。
そのため個人再生や自己破産とは異なり、裁判所を介さず手続きをおこなうことができるので、借金問題の早期解決も可能です。
しかしあくまでも交渉であるため、債務者の状況や債権者がどのような会社かによっても交渉結果に違いが出てくることがあります。
そのため、任意整理をする際には以下のような注意点があることも覚えておきましょう。
- 希望どおりの分割回数で和解できない場合もある
- 任意整理の交渉を開始した時点で訴訟を起こしてくる債権者もいる
任意整理をした場合には、3~5年以内での完済を目指すのが一般的です。債権者によっては5年以上の分割返済に応じてくれる場合もありますが、5年を超える分割返済での和解は難しい場合がほとんどです。
また債権者の中には、任意整理の交渉を開始した時点で訴訟を起こしてくるところもあります。
そうなると、自宅などに裁判所からの訴状が届くケースもあるので注意しましょう。
ただし、訴訟を起こされたからといって任意整理の交渉ができないとは限らないので、依頼する事務所とよく相談してから任意整理をおこなうとよいでしょう。
いずれにせよ、任意整理の経験豊富な弁護士や司法書士であれば、債権者となる会社によってどのようなリスクが考えられるか熟知しているので、依頼する事務所が決まったらよく相談の上任意整理をおこなうことが大切です。
過払い金が発生することもある
任意整理をおこなうことで、過払い金が発生する可能性もあります。
過払い金とは、本来支払う必要のない払いすぎた利息のことです。
任意整理をおこなった場合、弁護士や司法書士が利息を再計算する債権調査をおこないます。
その結果、過払金があることが判明する可能性もあるのです。
もしも過払い金が発生していれば、借金が0になる上に、払いすぎていたお金が戻ってくる可能性もあります。とくに、2010年6月18日以前から借入をしている人は過払い金が発生している可能性があります。
家族や職場の人など周囲に知られにくい
自己破産や個人再生の場合、裁判所に同居している家族などの収入証明書を提出しないといけなかったり、自宅に裁判所からの通知が届いたりするため、同居の家族などに秘密でおこなうことは難しいとされています。
また、自己破産や個人再生の場合には官報国が発行する新聞のようなもの。に名前が載るため、勤めている会社で官報をチェックしている場合は、職場の人に知られてしまうリスクもあります。
一方で任意整理は、依頼する事務所から送られてくる書類の管理などに気をつけていれば、家族や職場の人など周囲の人に知られることなくおこなうことができる手続きです。
家族に内緒で任意整理をおこなう場合は、依頼する事務所にその旨を伝えておくと、法律事務所からの郵便物とは分からないようにして書類を発送してくれたり、電話で連絡を取り合う時間帯などにも配慮してくれる場合が多いので、あらかじめ自分の希望をきちんと伝えておくことが大切です。
職業や資格に制限がなく、貯金や持ち家などの財産を手放す必要もない
任意整理は自己破産と違い、職業や資格に制限がありません。
また自己破産の場合には、持ち家や車など今現在の売却価格が20万円以上になる財産がある場合、手放さなければならないという決まりがありますが、任意整理の場合には財産を手放さなければならないという制約はありません。
賃貸契約を解約する必要がない
任意整理をしても賃貸物件を解約する必要はありません。
ただし、今現在住んでいる賃貸物件の家賃を滞納しており、滞納している家賃の保証会社と任意整理の交渉をする場合は強制退去になる可能性が高いので注意しましょう。
また、新しく賃貸物件を借りる場合には、稀に家賃の支払いをクレジット払いでしか受付けていないところもあります。
任意整理をするとその情報が自分の信用情報に事故情報として掲載されますが、家賃をクレジット払いにしている場合はクレジットカードの審査がとおるかどうかで信用情報に事故情報が載っていないかをチェックしていることもあるので注意が必要です。
複数社から借入がある場合、1社から手続きが可能
例えば、A社とB社の2社から借入をしており、A社は車のローンによる借入だった場合、A社は今までどおり返済しB社の借入のみを任意整理することで、車を手元に残すことができます。
個人再生や自己破産の場合はすべての借入先が整理対象となるため、ローンの支払が残っている車やブランド品などの商品を手元に残しておくことができません。
一方で任意整理は、ローン会社を整理対象から外すことで、ローンの支払が残っている車やブランド品などの商品を手元に残しておくことができます。
家族の信用情報に事故情報が載ったり、就職や進学で不利になったり、家族の財産を手放さないといけないなどの影響がない
任意整理をおこなうと、その情報が自分の信用情報に事故情報として掲載されますが、事故情報が載るのはあくまでも任意整理をする本人の信用情報のみで、家族の信用情報には一切影響しません。
また、信用情報をチェックできるのは信用情報機関の加盟会員になっている金融機関だけであり、あくまでも融資やクレジットカード発行の際に審査対象者本人の信用情報をチェックするだけなので、任意整理をすることで家族はもちろん債務者本人が就職や進学で不利になったり、家族や債務者本人の財産を手放さなければならないなどの制約はありません。
任意整理の注意点
任意整理をおこなう際の注意点には以下のようなものがあります。
- 新しくカードを作ったり新規借入が難しくなる
- 新たに誰かの借金の保証人になるのが難しくなる
- 返済を続けることが前提
- 保証人付きの債務を任意整理してしまうと、保証人に督促がいく
- 担保付きの借金を任意整理してしまうと、担保を手放さなければならない
- 車やブランド品などのローンによる借金を任意整理してしまうと、商品を手元に残せない
- 和解後に再度同じ債権者と任意整理交渉をおこなうと不利な条件になることも
- 借入後すぐの任意整理は交渉が不利になることも
- 税金は任意整理の対象にならない
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
新しくカードを作ったり新規借入が難しくなる
任意整理をおこなうと、その情報が自分の信用情報に事故情報として掲載されます。
信用情報に事故情報が載っていると、いわゆるブラックリストに載っている状態になり、新しくカードを作ったり新規借入が難しくなります。
また、クレジットカード会社などは、途上与信といって定期的に会員の信用情報をチェックしていることが多いので、既に持っているクレジットカードなども利用停止や強制解約などになる可能性が高くなります。
そのため、複数のクレジットカードを所有していたり、複数の消費者金融から借入している場合、一部の債権者を任意整理の対象から外したとしても、今後もカードを使い続けられたり新規借入ができる可能性は低いため、まとめて任意整理することをおすすめします。
なお、任意整理によって掲載された事故情報はずっと残り続けるわけではなく、借金を完済してから約5年で削除されるのが一般的です。
新たに誰かの借金の保証人になるのが難しくなる
自分の信用情報に事故情報が掲載されている間は、誰かの借金の保証人になることも難しくなります。
ただし、既に保証人になっている借金については、保証人の信用情報まで定期的にチェックしている金融機関は少ないため、保証人を外されるなどの影響が出る可能性は低いでしょう。
しかし、もし金融機関が保証人の信用情報に事故情報が掲載されていることに気づいた場合、別の保証人をたてるよう要求されるケースもあるので注意しましょう。
返済を続けることが前提の手続き
任意整理は今後およそ3~5年間、借金の返済を続けていくことが前提の手続きです。
任意整理後に支払が滞ってしまった場合、せっかく費用を払って任意整理を依頼したのに、依頼していた事務所に契約を解消されてしまったり、債権者から残金を一括で支払うよう請求されてしまう恐れがあります。
例えば今現在、仕事に就いておらず収入がない状態だったり、今現在の収入では任意整理後の返済額も支払っていくのが難しいなど任意整理後の返済に不安がある場合には、依頼する事務所とよく話し合い自己破産や個人再生などの債務整理手続きも合わせて検討するとよいでしょう。
保証人付きの借金を任意整理すると、保証人は債権者から督促を受ける
保証人とは「主債務者(実際にお金を借りた人)が借金を返済できなくなった時、代わりに返済する義務を負っている人」のことをいいます。
特に住宅ローンや奨学金、高額な事業資金などを借りる際には、債権者から保証人を付けるよう要求されるケースが多いようです。
主債務者が任意整理をおこなうと、債権者は「主債務者が返済不能になった」と判断するため、保証人は債権者からの督促を受ける可能性があります
なお、任意整理の交渉が成立した場合には、債権者は主債務者に対して期限の利益債務者が決められた期限までに決められた額をしっかりと返済していれば、債権者からいきなり一括での返済を請求されないという債務者の権利のこと。を再度認めることになるので、主債務者が和解内容に従って返済を続けている間は、保証人への督促も止まることになります。
しかし、債権者が主債務者との任意整理交渉に応じるより保証人から回収することを選択した場合には、保証人への督促が止まらない可能性もあります。
その場合、保証人に返済能力がない時は、主債務者と同様に任意整理などの債務整理手続きをおこなう必要があります。
もしも保証人に迷惑をかけたくないのであれば、保証人が付いている借金については任意整理の対象から外すことをおすすめします。
やむを得ず、保証人が付いている借金を任意整理する場合は、保証人に任意整理する旨をしっかりと伝え、一緒に債務整理をするのかも含めてよく話し合ってから手続きをする方がよいでしょう。
担保付きの借金を任意整理してしまうと、担保を手放さなければならない
担保とは「債務者が借金を返せなくなった時、債権者の損害を補うために債務者が債権者に保証として差し出す物品など」のことをいいます。
担保付きの借金を任意整理すると、利息カットや分割返済などの交渉に応じてもらえる代わりに債務者が借金を返せなくなったとみなされ、担保になっている物品を債権者に差し出さなければなりません。
担保になっている物品を手放したくない場合は、担保付きの借金は整理対象から外し、今までどおり払っていくことをおすすめします。
車やブランド品などのローンによる借金を任意整理してしまうと、商品を手元に残せない
車やブランド品などの商品をローンで購入した場合、ローンを完済するまでは商品の所有者は債権者とみなされます。
そのため、ローン支払途中でローン会社と任意整理の交渉をしてしまうと、債権者から代金未払いとして商品を返却するよう要求されます。
ローンが残っている商品を手元に残したい場合は、ローン会社を整理対象から外すことをおすすめします。
和解後に再度同じ債権者と任意整理交渉をおこなうと不利な条件になることも
一度任意整理をして和解した後、返済途中でまた支払が苦しくなり、再度任意整理をしなければならない状況になることがあります。
この場合、同じ債権者と再度任意整理の交渉をおこなうことは可能な場合もありますが、一度決めた和解内容どおりに返済できなかったとして債権者からの信用が下がっている状態のため、二度目の和解内容は厳しい条件になることがほとんどです。
やむを得ず同じ債権者と再度任意整理の交渉をおこなう際は、厳しい条件になるかもしれないと考えておきましょう。
借入後すぐの任意整理は交渉が不利になることも
一度も返済実績がない場合や借入後半年以内に任意整理をおこなう場合は、任意整理の和解内容がかなり厳しいものになる可能性が高いです。
任意整理は任意の交渉事であり、応じる応じないを決める権利は債権者にあります。
債権者からすれば、返済実績が少ないということは、ほとんど儲けがないということになるので、快く交渉に応じてくれる可能性は低くなります。
もしも、借り入れ後すぐの任意整理を検討しているのであれば、厳しい条件での和解になるかもしれないと考えておきましょう。
税金は任意整理の対象にならない
国民健康保険や国民年金、住民税などの国に納める税金などは、弁護士や司法書士が間に入って任意整理をおこなうことができません。
もしこれらの税金などを滞納してしまった場合には、早めに役所へ相談に行き、分割や猶予の申請をしましょう。
借金の場合には、債権者が債務者の財産を差し押さえるためには訴訟を起こす必要がありますが、税金の場合には財産を差し押さえるのに訴訟を起こす必要がなく、税金滞納が原因で銀行口座などを差し押さえられるケースも珍しくありません。
税金を滞納した場合の分割支払については、自治体によって対応に違いがあるようですが、ほとんどの場合月5千円など少ない金額での分割支払に応じてくれるので、支払が厳しい場合には放置せず早めに役所へ相談に行くようにしましょう。
任意整理を考えるべきタイミング
もし以下の条件に一つでもあてはまるなら、任意整理を検討すべきタイミングがきているといえるでしょう。
- 借金返済のために借金している
- 2年以上返済していて元金が減った金額が10万以下
- 返済が2か月以上遅れている
- 3社以上から借入している
- 10年以上前に借りた借金をいまだに返済している
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
借金返済のために借金している
借金返済のために借金をする、いわゆる自転車操業の状態になっているのであれば、任意整理を検討するべき状況だといえるでしょう。
自転車操業してしまう人は月収から月々の生活費と借金返済額を引いた時、マイナスになってしまうため足りない分を新たな借金で補っている状況です。
新たに借りた借金もまた月々分割で返済していくため、月々の借金返済に充てる金額は次第に増えていき、足りない分をさらに借りるという形で「雪だるま式」に借金が増えていきます。
借金返済のために借金しなければならない状況になったら、早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
2年以上返済していて元金が減った金額が10万以下
前の項目でもお伝えしたとおり、月々の返済額に対して元金の割合が少ないと、なかなか借金が終わらないという状況に陥ります。
もし月返済額が1万円でそのうち半分以上が元金の返済に充てられていれば、2年以上返済している場合元金は少なくとも12万円は減っているはずです。
しかし、2年以上は返済しているのに元金が10万も減っていないのであれば、現在支払っている返済額のうちほとんどが利息の支払いに充てられている可能性が高いといえるでしょう。
その場合、借金を早く完済するには月々の返済額を今より高く設定するか、任意整理をすることをおすすめします。
任意整理をおこない将来の利息がカットされれば、今後は払った分がすべて元金の支払に充てられるため、借金を早く完済することができるでしょう。
返済が2か月以上遅れている
返済が2か月以上遅れると、債権者から一括返済を求められる可能性が高くなります。
今まで電話やハガキで度々「返済が遅れているので早めに払ってくださいね」という連絡がくる程度だったのが、滞納が始まって2か月程経つと物々しい封書で督促状が届くようになり、督促状には「残金を一括で返済してください。できなければ裁判を起こします。」などと書かれているケースがほとんどです。
一括返済の要求に応じられないと、次の手段として債権者が訴訟を起こすケースも珍しくありません。
訴訟を起こされた場合には、最終的に債権者が債務者の財産を差し押さえる権利を得ることが多く、そうなる前に弁護士や司法書士に相談し、任意整理をして債権者と和解することをおすすめします。
3社以上から借入している
3社以上から借入している多重債務の状態になっている場合、月々の返済額の合計がかなり高額になっており生活を圧迫していたり、債権者ごとの借金残高や返済日などが分からなくなり上手く管理できなくなっていたりする場合も珍しくありません。
任意整理をすることで借金の返済を一本化し、月々の返済を減らせたり依頼する事務所に返済をまとめて管理してもらうことができるようになるので、複数社から借入をしている人は一度弁護士や司法書士に相談して状況に合わせたアドバイスをもらうことをおすすめします。
10年以上前に借りた借金をいまだに返済している
10年以上前に借りた借金をいまだに返済している場合、過払金が発生している可能性が非常に高いといえるでしょう。
その場合任意整理をすれば、将来利息のカットや減額の交渉だけでなく、同時に過払金が発生していないかも調べてもらうことができます。
10年以上返済を続けている場合は、弁護士や司法書士に相談すると過払金の可能性があるかだけでも簡単に教えてもらうことができるので、一度相談してみることをおすすめします。
任意整理に向いているのはこんな人
以下の条件にあてはまる人は、任意整理が向いているといえます。
- 複数社から借入があり、一部の借金のみを整理したい人
- 早く簡単に手続きを済ませたい人
- 借金総額が年収の30%以下
次の項目から、任意整理に向いている人の特徴について詳しくお伝えします。
複数社から借入があり、一部の借金のみを整理したい人
前の項目でもお伝えしたとおり、任意整理は1社から手続きが可能です。
そのため、例えば返済中の車のローンがあり車を手元に残したい人や、返済中の奨学金があり親族が保証人になっていて迷惑をかけたくない人などは、任意整理を選択することで車のローンや奨学金を整理対象から外すことができます。
整理対象から外した車のローンや奨学金などは、今までどおり返済を続けていけば車を債権者に引き上げられたり、保証人が督促を受ける心配はありません。
このように整理対象から外したい借金がある場合には、まずは任意整理を検討するとよいでしょう。
早く簡単に手続きを済ませたい人
任意整理は自己破産や個人再生と違い、手続きのために裁判所へ出向いたりたくさんの書類を集めたりする必要がなく、依頼した弁護士や司法書士にすべて任せる事ができます。
また、自己破産や個人再生の場合には手続きに半年から1年程かかるのに対して、任意整理の場合には3~6か月で手続きを完了させることができます。
そのため忙しくて手続きのために時間を割くのが難しい場合や、短期間で手続きを済ませたい場合は任意整理が向いているといえるでしょう。
借金総額が年収の30%以下
借金総額が年収の30%以下であれば、任意整理で無理なく分割返済していける可能性が高いでしょう。仮に年収400万円の人であれば、120万円を目安に考えてください。
一方で、借金総額が30%を超えているのであれば、任意整理だけではなく個人再生や自己破産も検討されることをおすすめします。
任意整理で無理をして分割返済することを選んだとしても、支払いが滞ってしまえば債権者から一括請求を受けることになり、結局改めて自己破産か個人再生の手続きが必要になる場合も珍しくありません。
そうなれば、任意整理のために支払った費用が無駄になってしまうことも多いため、債務整理の方針を決める際は依頼する事務所とよく話し合い、慎重に決めるようにしましょう。
任意整理をするには弁護士や司法書士に依頼しよう
任意整理をする場合には、まずは依頼する事務所を決め、弁護士や司法書士と委任契約を結ぶ必要があります。
- 弁護士に依頼する場合と司法書士に依頼する場合では何が違うのか?
- 任意整理の具体的な流れや費用は?
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
任意整理にかかる費用は1社あたり約2~7万円
事務所によって違いはありますが、任意整理にかかる費用は、弁護士の場合は平均4~7万円程、司法書士の場合は平均2~5万円程が一般的です。
そのため司法書士に依頼した方が費用は安く抑えられる場合が多いようですが、司法書士が任意整理の手続きで代理人になれるのは「140万円以下の借金」のみなので注意しましょう。
ちなみに、140万円以下の借金というのは1社あたりの金額のことで、複数社から借金がありその合計金額が140万円を超えていたとしても、各社の金額が140万円以下であれば司法書士が代理人になることは可能です。
一方、弁護士の場合には司法書士に比べて費用は高めですが、代理人になれる借金の金額に制限がないので、金額に合わせてどちらに依頼するか検討するとよいでしょう。
また、無料相談を受け付けている弁護士事務所もあるので、うまく活用すると費用を抑えられます。
任意整理の費用については以下の記事でも紹介していますので、参考にしてください。
任意整理の流れとかかる期間
任意整理はどのような手順で進んでいくのでしょうか?
- 借金問題について債務者が弁護士や司法書士の事務所に相談する
- 債務者が依頼すると決めた事務所の弁護士や司法書士と委任契約を結ぶ
- 代理人となった弁護士や司法書士が債権者に受任通知を送る
- 代理人となった弁護士や司法書士が債権調査をおこなう
- 代理人が債権者と今後の支払について利息の減額や分割返済の交渉をおこなう
- 和解内容が決定する
- 和解内容に沿って債務者から債権者への返済が再開する
まずは弁護士や司法書士の事務所に相談し、任意整理を検討している旨を伝えましょう。
相談の際には弁護士や司法書士は「任意整理をした時どのような和解内容になりそうか?」「その和解内容で支払っていける生活状況になっているか?」を調べるため、債務者の抱えている借金や生活状況について詳細をヒアリングします。
そのため、あらかじめ以下のような項目について調べてまとめておくとスムーズに手続きを進めることができます。
- 合計何社から借入しているか?
- 借入している業者の名前
- 各業者ごとの残債(借金残高)
- 各業者ごとの月々の返済額
- 各業者ごとの借入期間
- 各業者ごとの滞納期間
- 各業者ごとの連帯保証人の有無
- 各業者ごとの担保の有無
- 各業者ごとの裁判所通知の有無
- 裁判所通知を受け取った場合、支払督促か訴状か?
- 裁判所通知を受け取った場合、受取日はいつか?
- 訴状を受け取った場合、期日はいつになっているか?
- 借入理由
- 滞納理由
- 手取り月収
- ボーナスの有無(受取月・金額)
- 副業の有無
- 仕送り・援助などはもらっているか?
- 月々の生活費(何にいくら使っているか?)
依頼する事務所が決まったら、弁護士や司法書士と委任契約を結びます。
委任契約を結ぶことで、弁護士や司法書士は代理人として債権者と任意整理の交渉ができるようになります。
代理人となった弁護士や司法書士が債権者に対して「受任通知」を送ることで任意整理の手続きがスタートします。
受任通知とは「弁護士が債務者の代理人となって債務整理手続きをおこなうことを、債権者に知らせる通知」で、債権者の債務者に対する直接の取立てを停止させる効力があります。
受任通知を送った後に、まず最初に弁護士や司法書士がおこなうのは「債権調査」です。
債権調査とは、債権者に取引履歴(借入れの金額や日付・返済の金額や日付などの情報)の開示を求め、開示された取引履歴に基づいて「引き直し計算」をおこなうことです。
引き直し計算とは、債権者との間でおこなわれたすべての貸し借りの取引を、すべて適切な利率に直して利息を計算し直す作業のことで、これによって過払金があることが判明する場合もあります。
債権調査が終わったら、代理人と債権者との間で今後の支払について利息の減額や分割返済の交渉がおこなわれ、和解内容が決定します。
和解内容が決定したら、任意整理の手続きは完了です。
あとは、和解内容に沿って債務者が債権者に直接もしくは依頼した事務所を通して再び返済をおこなっていきます。
再び返済が開始されるまでにかかる期間はおよそ3~6か月程です。
任意整理にかかる期間については以下の記事でも紹介していますので、参考にしてください。
まとめ
任意整理は、家族や職場の人など周囲に知られにくく、また手続きのすべてを代理人である弁護士や司法書士に任せることができるため、比較的誰でも利用しやすい債務整理の手続きだといえるでしょう。
また、債務整理には任意整理以外にもさまざまな方法があり、弁護士や司法書士に相談することで自分の状況に合わせた最適な方法を提案してもらうことができます。
任意整理をしようか検討している人は、一度弁護士や司法書士に相談してみることをおすすめします。

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