損失補填のために負った借金の事例と返済できないときの解決方法を解説します!

損失補填で借金を抱えて困っています。返済で首が回らず、どうやって返済すべきか解決策が見えません・・・。


その損失補填は、自営業の経営に対するものですか?それとも、勤めている会社で起こしたミスが原因のものですか?
自営業の赤字に対する補填ですけど、それってなにか関係があるんですか?


自営業でしたら、国や自治体の支援制度を使うか、所有している不動産を売却してなんとか資金調達することをおすすめします。会社に勤めていて業務上のミスによる損失補填であれば、まずはその補填が法的に適正か確認すべきです。
わかりました。でも、もしも返済ができなくなったらどうなるか不安でしょうがないです。


どうしても借金が返済できなくなった場合は、債務整理も検討してみましょう。実際には債務整理すべきかわからない場合でも、弁護士の無料相談を受ければ法的なアドバイスをもらえるのでおすすめです。
「損失補填」は、借金の目的として代表的なものです。
しかし、ひと口に損失補填といってもその状況はさまざまです。
主な例としては、
「自営業で経営の損失を補填するために借入れた」
「自分のミスで会社から損害賠償を請求されたから借金した」
といった理由があります。
この記事では、上記2点について具体的な相談事例を紹介し、解決策もあわせて解説しています。
この記事を読めば、借金問題を解決する糸口がつかめるはずです。損失補填による借金の返済に苦しんでいる方は、ぜひ参考にしてください。

- 自営業者が経営の損失補填で借金をした場合、各種支援制度や不動産の売却で借金問題を解決しよう。
- 会社員が業務上のミスを起こして損失を出しても、全額を補填する義務はない。会社から請求される損害賠償が適切なのか確認しよう。
- 損失補填や借金返済の問題を解決できないときは、弁護士に相談して自己破産などの債務整理を検討しよう。
【事例1】自営業者が経営の損失補填で借金をした場合
自営業者が、赤字経営の損失を補填するために借金をするケースは珍しくありません。
下記の相談事例を見てみましょう。
その日暮らしのような生活で、日々の生活費も借金に頼るような状態です。
現在、事業用の資金として銀行から借りたものや、クレジットカードや街金で個人的に借入れたものが合わせて500万円あります。廃業して自己破産するしかないのでしょうか?
上記の相談事例のポイントは、日々の生活費も借金でまかなっている点です。この状態が続けば、借入額が増えるばかりで事業の健全化は不可能です。
なんとかして事業資金を調達するか、自己破産をはじめとする債務整理で借金の減額・帳消しをしなければなりません。
【解決策1】自営業者向けの支援制度を活用しよう
自営業者向けの支援制度を活用して、事業資金を調達できないか検討してみましょう。
自営業者が使える国の助成金には下記のものがあります。
事業承継補助金 | 事業を引き継ぐ際に最大200万円まで助成 |
---|---|
小規模事業者助成金 | 従業員が20人以下の小規模事業主に対して、営業活動で発生する費用を最大50万円まで助成 |
ものづくり補助金 | 新しいもの・サービスを開発する中小企業や小規模事業者に、設備投資費の一部などを補助する制度 |
キャリアアップ助成金 | 6か月以上雇用している契約社員やパート社員を正社員に登用し、さらに6か月継続雇用すると1 人につき60万円を支給 |
上記の他にも、独自の支援制度をおこなっている都道府県や市区町村は少なくありません。各自治体に問い合わせてみましょう。
また、コロナ対策として特別な支援金や貸付制度も拡大しています。こちらも各自治体へ相談してみましょう。
下記の記事では、当サイトがまとめた「新型コロナウイルスで会社経営が困難なときに利用できる公的支援」を解説しています。せひ参考にしてください。
【解決策2】店舗や作業場など「自己所有の不動産」を売却して資金調達をしよう
店舗や作業場、事務所などの不動産を自己所有している人も多いでしょう。
自己所有の不動産を売却すれば、まとまった資金を調達できます。
「売ってしまったら仕事ができない」「ローンが残っているので売れない」と思うかもしれませんが、それらの問題を解決する方法もあります。
次の項目から、自己所有の不動産を売却する方法について見ていきましょう。
売却した後も不動産を借り続ける「リースバック」
リースバックとは、不動産を売却した後も賃料を支払って借りる方法です。
不動産から退去する必要がないので、店舗や作業場を売却しても、同じ場所で営業を続けられます。
不動産業者が一括で買い上げるため、数日~数週間という短い期間で資金を得られるのも特徴です。
リースバックをするときは、リースバックの取り扱いがある不動産業者に相談するとよいでしょう。
ローンが残っていても売却できる「任意売却」
任意売却とは、不動産の売却先を自分で探してきて、債権者の許可を得て売却する方法です。
ローンの返済を滞納し続ければ、不動産はいずれ差し押さえられ、競売にかけられます。
競売は落札価格が非常に低くなりますが、任意売却なら市場の相場に近い価格で売却できるメリットがあります。
なお、任意売却の価格が残債を完済するのに不足する場合でも、債権者との交渉次第で任意売却を認めてもらえるケースがあります。
ローンの残る不動産を売却したいときは、任意売却を取り扱う不動産業者や弁護士に相談してみましょう。
不動産の売却前に資金が欲しい場合は「不動産売却前提ローン」
売却を前提とした不動産を担保にし、資金を借り入れるのが「不動産売却前提ローン」です(ローンの名称は債権者によって異なります)。
「売出し中の不動産が売却できれば返済できるが、返済期日に間に合わない」
「不動産の購入希望者は見つかったが、契約までに時間がかかる」
このような状況のときは、不動産売却前提ローンの利用を検討しましょう。
このローンは、不動産が売れるまでの期間、利息分だけ返済していくのが特徴です。月々の返済額を抑えられるため、負担軽減が可能です。
不動産の売却が完了した後に、その売却益で元本を一括返済します。
不動産は焦って売却しようとすると、売却価格の値下げが必要になる可能性もあります。こういった値下げのリスクを抑えられるのも、不動産売却前提ローンのメリットといえるでしょう。
【解決策3】自己破産などの債務整理を検討しよう
支援制度や不動産の売却で資金を調達できない場合、債務整理による借金の帳消し・減額を検討しましょう。
債務整理の方法には、以下の3種類があります。
任意整理 | ・利息の減額や、返済期間と分割回数の変更をしてもらう。 ・債権者と直接交渉する |
---|---|
自己破産 | ・財産を処分する代わりに債務をすべて免責(支払責任をなくすこと)してもらう ・裁判所に申し立てる |
個人再生 | ・財産を処分して債務を最大1/10に減額してもらう(マイホームやローン完済済みの車を手元に残すことが可能) ・裁判所に申し立てる |
個別の状況次第で、どの方法で債務整理をすべきか異なります。
自分にとって適切な方法はどれなのか、債務整理を得意とする弁護士に相談してみましょう。
また、当サイトの借金減額チェッカーを使えば、どのくらい借金を減らせるかおおよその金額がわかります。ぜひ活用してみてください。
「事業資金」「個人の生活費」どちらの用途でも債務整理はできる
自営業者の場合、借金が事業資金として借入れたものなのか、個人の生活費として借入れたものなのか、あいまいな人も多いと思います。
「借金の用途によっては債務整理できないかも」と不安に感じる人もいると思いますが、債務整理は「事業資金」「個人の生活費」どちらの用途でもできるので安心してください。
債務整理の手続き自体、非事業者(一般的な会社員など)がおこなう場合と大きな違いはありません。
ただし、自己破産をする場合、自営業者は契約関係や財産関係が複雑なため、ある程度の時間や手間がかかるでしょう。
自己破産をしても「必ず廃業」とは限らない
自己破産をする際、自己破産と同時に廃業する必要があるのか気になる人も多いでしょう。
一般的には、自己破産と同時に廃業するケースが多いといえます。これは、必要最低限の財産以外は処分する必要があるのと、自己破産をすると新たな借入れをできないことが理由です。
しかし、個人事業主で今後の収入源として事業の継続が不可欠な場合や、事業用資産をあまり必要としない職種であれば、廃業しないケースもあります。
個別の状況によるため、自己破産を弁護士に相談するときに「廃業すべきか否か」を聞いてみましょう。
自営業者の自己破産については、下記の関連記事も参考にしてください。
自営業者の自己破産で処分しなければならない財産
自己破産をするにあたって、必要最低限の財産以外は処分する必要があります。
自営業者の方は、処分すべき事業用財産になにが含まれるのか、気になるところだと思います。
自己破産にともなって処分する事業用財産のうち、代表的な例は以下のものです。
- 各種機械や設備、什器、備品、工具類
- 自動車などの各種車両
- 商品の在庫や原材料
- 店舗や作業場などの所有不動産
- 賃借不動産の敷金
- 出資金
- 売掛金や貸付金
- 事業用の保険
自己破産前にこれらの財産を隠そうとすると、借金の免責が認められないこともあるので注意しましょう。
【事例2】会社員が業務上の損失を補填するために借金をした場合
会社に雇用されている、いわゆる会社員である人が損失補填で借金をするケースとは、どういったものがあるのでしょうか。
下記の相談事例を見てみましょう。
上司からは激しく怒られ、会社には損失の全額を補填するよう指示されました。
結局、街金から借金をして損失分を支払い、それでも残った分は給料から天引きを続けている状況です。
天引きされた給料から街金へ返済しており、生活は苦しいです。親や友達にも相談できないのですが、どうすればよいでしょうか?
この相談事例で考えるべきなのは、そもそも業務上のミスを従業員が全額負担するのは適切なのかという点です。
また、仮にある程度損失補填をしなければならないしても、その損失補填で生活が苦しいとき、なにをすれば解決できるのかという点も問題といえます。
次の項目から、解決策を見ていきましょう。
【解決策1】会社に違法な損害賠償を強制されたときは外部の専門家に相談しよう
会社が従業員に対して、業務上の損失を理由とした損害賠償を求めるケースは実際にありえます。
ただし、請求できる範囲には制限があり、損失をすべて従業員に補填させるような請求は認めらないことがほとんどです。
なぜなら「会社は従業員の労働で利益を得ているのだから、従業員のミスについても原則として会社が責任を負担すべきである」というのが、判例実務における一般的な考え方だからです。
また、給料から損失を差し引く行為は労働基準法で禁止されています。
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
下記の状況であれば、外部の専門家に相談しましょう。相談先としては、会社と関係性をもっていない弁護士や、労基署、社外の労働組合などがあげられます。
- 会社からの損害賠償請求が損失の全額or個人では支払いきれないほど高額
- 給料からの天引きを強制されている
会社から従業員への損害賠償請求は「故意や重大な過失」があるときだけ
判例実務の傾向として、会社から従業員に対して損害賠償を請求できるのは、従業員が故意や重大な過失によって損害を発生させたときに限られます。
損害賠償を請求できる損害の例としては、商品や機材の損傷や紛失、情報漏えいなどで発生したものがあります。
また、業務中に交通事故を起こしたときや、取引で相手企業に損害を与えた場合も、損害賠償責任の一部を従業員に請求できる場合があります。
しかし、従業員に軽微な過失があるに留まる場合は、従業員に対するこのような損害賠償請求は認められません。また、先に解説したとおり、給料から直接天引きするのは違法であると覚えておきましょう。
すべての責任を労働者に負わせることはできない
会社が従業員に損害賠償を請求するとき、その範囲は限定されます。
「責任制限の法理」という考え方で、労働者の過失などにより生じた損害であっても、業務内容やミスに対する会社の防止策など、さまざな事情を考慮して労働者の責任を制限すべきとされるのです。
損失の原因が従業員にあっても、その従業員に損失を全額補填させるのは違法であるケースが多いと考えましょう。
【解決策2】「債務整理できる損害賠償」なのか弁護士に相談してみよう
会社から請求された損害賠償が法律の範囲内であれば、きちんと支払うしかないのでしょうか?
例えば、損害賠償を債務整理で免責できれば、支払いに苦しむ必要はなくなります。
免責が認められないもの(非免責債権)は、破産法にいくつか明記されています。
免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
2 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
この条文で重要なのは、損害賠償請求の原因が「悪意」で加えた不法行為といえるかどうかという点です。
例えば、会社の資金を故意に横領した場合などは、「悪意」による不法行為と評価できる可能性が高いでしょう。
これに対して、単なる業務上のミスにとどまる場合は、「悪意」による不法行為とは評価できず、非免責債権に当たらない可能性が高いです。
このことを考慮すると、仮に会社に対して損失補填の義務を負うとしても、その義務が免責の対象外とされる可能性は低いというべきでしょう。
まずは無料相談を利用して、自分は債務整理をすべきか、それとも別の解決方法があるのか聞いてみるとよいでしょう。
まとめ
損失補填による借金の事例を2つあげて、解決策もあわせて紹介しました。
自営業者が経営の損失補填で借金した場合は、自営業者向けの支援制度で事業資金を調達しましょう。
また、不動産を所有していれば、リースバックなどを使ってまとまった資金を用意できます。
会社員が業務上の損失を補填するために借金をした場合、まずはその損失補填が適切なのか確認しましょう。
会社から損失の全額を請求されているときや、給料から天引きされているときは、弁護士や労基署といった外部への相談をおすすめします。
いずれのケースも、債務整理をすれば借金の減額や帳消しが可能となる場合があります。債務整理をする際は、弁護士に相談するとよいでしょう。
すぐに債務整理をするつもりはなくても、弁護士のアドバイスは損失補填や借金問題の解決に有益です。無料相談を利用して、法律的な意見を聞いてみましょう。

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