借金をゼロにできる自己破産とは?必要以上に恐れず、正しい知識を身につけよう

借金をゼロにできる自己破産とは?必要以上に恐れず、正しい知識を身につけよう
監修
弁護士吉田 伸広

現在いろいろなところから借金をしているために返済が厳しい状況が続いています。自己破産という方法を聞いたことがあるのですが…?

借金の返済を続けることが難しいのであれば、自己破産は一つの有効な手段です。

自己破産ってどのようなものですか?手続きの流れやメリット・デメリットを知りたいです。

自己破産とは、国によって認められた借金の整理方法の一つです。自己破産を専門家に依頼すれば借金の取り立てはなくなりますし、最終的には借金が帳消しになるという大きなメリットをもたらすものです。他方、所有している財産の多くを処分しなければいけなかったり、自己破産が認められた後の生活にいろいろな不自由を生み出したりというデメリットも存在します。自己破産手続きの詳しい内容や特徴、注意点などについては、ぜひ専門家にご相談ください。

借金の返済が厳しい状況に追い込まれてしまうと、何らかの手立てを打つ必要があります。その中の一つの方法が、自己破産制度の活用です。

自己破産制度は国によって認められた制度なので、合法的に借金を帳消しにすることができます。これは、お金を借りている債務者にとって大きなメリットと言えるでしょう。ただ、このような恩恵を受けられると同時に、いろいろな面でデメリットも生じます。例えば、自宅を所有している場合にはこれが取り上げられる可能性は高いでしょう。また、自己破産が認められたあとは、一定期間クレジットカードを使うことができないという不自由に耐えなければいけません。このように、自己破産を活用すると、大きなメリットといくつものデメリットの両者を共に受け入れなければいけません

もちろん、日常生活にこれだけの大きな変化を及ぼす自己破産ですから、これを活用する際には弁護士などの専門家に相談するべきです。ただその前にまず、自己破産手続きの概要について一通り理解しておきましょう。最低限の知識を備えることができれば、ポイントを押さえた上で専門家に効果的な相談ができるからです。

そこで、借金返済でお困りの方の一助とするべく、この記事では、自己破産制度の概要、メリットやデメリット、費用や期間などについて総合的に解説します。専門家への相談の前に、ぜひ知識を整理しておきましょう!

この記事でわかること
  • 自己破産制度を利用すれば、(原則として)すべての借金が帳消しになる。以後、返済を続ける必要はなくなる。
  • 自己破産制度を申し込めば、その時点から借金の返済をしなくても良い。当然毎月の返済督促に悩まされることもなくなるので、精神的なストレスから解放される。
  • 自己破産をすれば多くのメリットを享受できる反面、生じるデメリットも少なくない。持ち家などを手放さなければいけなくなったり、免責が認められた後はクレジットカードを使えなくなったりする。
  • 自己破産によって生じるデメリットには、いくつかの克服方法がある。
  • 自己破産の手続きは複雑なため、申立てをしてすぐに借金が帳消しになるわけではない。破産手続・免責手続を段階ごとに進めなければいけないので、一定の時間・費用を要する。
  • 債務整理には自己破産以外の選択肢もある。債務者の状況次第では、任意整理や個人再生を選択した方が適切なケースも。正確な状況分析と方法選択は、弁護士などの専門家にアドバイスを求めよう。
目次
  1. 自己破産とは?手続きの概略について
  2. 自己破産をするとどんなメリットを受けられる?
  3. 自己破産をするとどんなデメリットが生じる?
  4. 自己破産のデメリットは克服できる?
  5. 自己破産手続きの制度で注意すべき点とは?
  6. 自己破産に対する誤解?
  7. 自己破産と他の債務整理手続との違い
  8. 自己破産にかかる時間・費用は?
  9. 自己破産手続きの流れ
  10. 自己破産を検討するときには専門家に相談を
  11. まとめ

自己破産とは?手続きの概略について

まずは、自己破産の内容・手続の概略を説明します。簡単なイメージは以下の通りです。

  • 自己破産は借金帳消しを目的とした制度
  • 自己破産でまずしなければいけないことは「自分の所有財産の処分」
  • 借金額や所有財産の状況に応じて手続が類型化される

それでは、以下で具体的に説明します。

自己破産は借金帳消しを目的とした制度

冒頭でも説明したように、自己破産をすれば借金が帳消しになります自己破産の申立てをした段階から借金の返済をしなくても良いですし、自己破産が認められたらすべての借金がなかったことになります

自己破産は、借金返済で困っている人を救済するために国が用意した制度です。いろいろな事情から、返せる金額以上のお金を借りてしまう人がいます。その中には、生活をするうえで必要に迫られて借金をしてしまったという人も含まれるはずです。そのような人がいつまでも借金返済を強要されてしまうと、生涯困窮した状況から抜け出せません。自己破産は、このような状況に追い込まれた人に手を差し伸べるものです。

自己破産は「自分の所有財産の処分」からスタート

借金で困っている人にとって、借金が帳消しになることは最高のメリットです。ただし、このような大きなメリットを受けるためには、自己破産手続を丁寧に進めていかなければいけません。そして、自己破産手続の冒頭で行われるのが、「自分の所有財産の処分」です。

自己破産制度は借金で困っている人を救うことが目的ですが、同時にお金を貸している債権者に対しても一定の配慮を行います。何の配慮もなく借金が帳消しになってしまうと、債権者だけが「貸したお金が返済されない」というデメリットを強いられてしまいます。これは、あまりに不平等と考えらえるでしょう。

そこで、自己破産を行うためには、まず自分が所有している財産を手放してこれをお金に換えて、残っている借金返済のために使うことが行われます。そして、債務者が自分の財産を処分して借金の返済に充ててもまだ借金が残っているとき、残りの借金の帳消しが行われます。

債務者の状況に応じて自己破産手続は類型化される

このように、自己破産手続は「自分の所有財産の処分」からスタートするものですが、借金の返済で苦しむ方の中には、「そもそも処分できるような自分の財産がない」という人も少なくありません。したがって、このような債務者個人の状況を考慮して手続をスムーズに進めるために、自己破産手続は大きく分けて管財事件と同時廃止事件の2つの方法に類型化されています。

  • ①管財事件
  • ②同時廃止事件

原則として自己破産手続は管財事件として進められる

管財事件とは、破産管財人が債務者の所有財産の処分などの自己破産手続を進めるものです。

債務者の財産をお金に換えて借金の返済に充てる手続は、客観的な立場から公平に行われなければいけません。この要請を充たすために破産管財人が選出されて、「債務者の財産の調査・借金状況の整理・財産の換金・債権者への割り当て」という自己破産の一連の手続を主導してくれます。

処分する所有財産がなければ同時廃止事件で

同時廃止事件とは、債務者に処分する財産がないために破産管財人を選出する必要がないものです。

自己破産手続は、はじめに債務者の財産を処分することからスタートするものです。しかし、債務者にほとんど財産がないのであれば、わざわざこの段階を踏む必要はありません。したがって、同時廃止事件に分類されると、自己破産を申し立てた時点で破産手続は終了、余計な手間をかけずに次の段階に進みます。

弁護士に依頼をすれば少額管財として扱われることも

債務者に処分すべき財産があれば管財事件として扱われると説明しました。破産管財人が客観的かつ公正に手続を進めてくれるので安心して任せられるのですが、債務者が破産管財人の費用数十万円を負担しなければいけないという深刻なデメリットが存在します。借金返済で苦しんでいる債務者が破産管財人に支払わなければいけない高額の費用を準備するのは簡単なことではありません。これではせっかく借金で苦しんでいる債務者を助ける目的で用意された自己破産制度が、積極的に活用されなくなってしまうでしょう。

そこで、自己破産を弁護士に依頼した場合に限って「少額管財事件」として扱い、破産管財人に支払う費用を低額に抑えることができるとされています。少額管財事件は、本来破産管財人が行うべき業務を、あらかじめ依頼した弁護士に行ってもらうものです。破産管財人が行う業務量が格段に少なくなるので、費用をかなり抑えることができます。

少額管財事件として扱われるのは、弁護士に依頼したときだけです。債務者自身で自己破産を申し立てても少額管財事件にはならないのでご注意ください。

免責手続で借金の支払いが免除される

管財事件の場合は債務者の財産を処分すれば、同時廃止事件の場合は破産手続が終了すれば、いよいよ次の段階である免責手続に進みます。

自己破産手続のうち、特に借金を帳消しにする手続のことを「免責手続」と呼びます。免責手続では、まず裁判官が直接債務者に対していろいろなことを質問します。借金の状況や返済できない原因、今後の生活への展望など、幅広い内容についてです。そして、その内容を踏まえて免責許可が出され、借金の帳消しが認められます。

自己破産をするとどんなメリットを受けられる?

ここからは、自己破産を利用するメリットについて説明します。具体的には次の3点です。

  • 借金が帳消しになる
  • 債権者からの取り立てがストップ
  • 財産の差し押さえが禁止される

それでは、各項目について見ていきましょう。

借金が帳消しになる

借金の帳消しは自己破産の最大のメリットです。今まで苦しめられていた返済から完全に解放されるので、スムーズに再スタートができます。

債権者からの取り立てがストップ

自己破産を弁護士に依頼すれば、早期に債権者からの取り立てが停止するというメリットも生じます。返済督促が生み出す精神的なストレスから解放されるので、落ち着いた状況で自己破産手続に準備に集中できるでしょう。

自己破産について弁護士との間で契約を締結すると、すぐさま弁護士が債権者に対して受任通知を送付します。受任通知送付後、債権者対応はすべて弁護士の仕事です。これによって、債務者が直接債権者とやり取りをする必要はなくなります。

財産の差し押さえをストップ

自己破産を申し立てると、債務者の財産差し押さえが禁止されるというメリットも生じます。例えば、債務者の給料などが差し押さえられる心配もなくなります。

自己破産をするとどんなデメリットが生じる?

ここからは、自己破産のデメリットについて説明します。以下の内容を正確に理解し勘案したうえで、自己破産を活用するかを判断しましょう。

  • ブラックリストになる
  • 自己破産によって一定の財産以外は取り上げられてしまう
  • 自己破産のためには予納金などまとまった資金が必要
  • 官報に掲載される
  • 資格が制限される
  • 移動が制限される
  • 郵便物を管理できない
  • 市町村役場の名簿に登録される

以下、それぞれについてご確認ください。

ブラックリストになってしまう

「ブラックリストになる」とは、信用情報機関に金融事故情報が登録されることです。ブラックリストに登録されると、次のようなデメリットが生じます。

  • クレジットカードの使用不可、新規発行不可
  • 新規のカードローンなどの借入れ不可
  • スマホの分割払い不可

一定の財産しか手元に残せない

自己破産をすると、ほとんどの財産が処分され、一定財産しか手元に残せないというデメリットが生じます。

例えば、持ち家や99万円以上の貯金などは、原則としてすべて処分されてしまいます。手元に残せるのは今後の生活のために必要な分だけなので、新生活のスタート時は資金面での不安を払拭できないでしょう。

予納金などのまとまった費用が必要

自己破産を行うには、裁判所に対してまとまった費用を支払わなければいけません。破産管財人の報酬や切手代などです。

自己破産を検討する人は借金の返済が厳しい人です。自己破産をするために数十万円を用意するのは簡単なことではありません。

官報に掲載される

自己破産が認められると官報に記載されます。ただし、ほとんどの人が官報を読んでいないのでご安心ください。

資格が制限される

自己破産手続の開始によって資格が制限される職業があります。代表例としては、弁護士や司法書士です。ただし、自己破産手続が終了すれば資格は当然に復活します。

移動が制限される

自己破産の手続きが開始すると、引越しや旅行、出張などを自由に行えません。裁判所の許可が必要です。

もちろん、出張などについて許可が出されないことはほとんどありませんが、毎回許可を求めるのは面倒でしょう。

郵便物を管理できない

自己破産の手続きが開始すると、郵便物を自由に管理できません

債務者宛の郵便物はすべて破産管財人の元に届き内容を確認されるので、知られたくないような内容も隠すことはできなくなってしまいます。

市町村役場の名簿に登録される

自己破産をすると、市町村役場が管理する破産者名簿に名前が掲載されます。

破産者であることが資格上の欠格事由となる職業などに就く場合に、破産者ではないことを証明するために利用される名簿です。

自己破産のデメリットは克服できる?

上述のように、自己破産にはいくつものデメリットがあります。ただ、これらのデメリットについてそのまま負担を強いられるわけではなく、一定のリスク回避・軽減方法も用意されています。デメリットについて理解し、対策を学んだ上で、本当に自己破産が適切なアプローチかを検討すべきでしょう。

  • ブラックリスト登録
  • 手元に残せる財産
  • 予納金の準備方法
  • 各種制限事項について
  • 官報の実情
  • 破産者名簿に登録されるケース

それでは、具体的に以下をご参考ください。

ブラックリストに掲載されるのは一定期間

自己破産をした場合のブラックリスト登録期間は約10年です。この期間が経過すれば、ブラックリストの記録は抹消されます。

ブラックリストに登録されている期間の対応策も考えられます。

例えば、クレジットカードは使えませんが、デビットカードや電子マネーは活用できます。金融機関からの新規借入れはできませんが、行政の緊急小口資金貸付サービスなどは利用できます。他のデメリットへの対策もあるので、ご安心ください。

生活のために必要な財産は残せる

自己破産をしても、今後の生活を維持するために必要な財産は残せます。例えば、99万円以下の現金や家財道具、市場価値が低いと判断されるために管財人が放棄した自動車などです。

借金返済がストップするので予納金を用意できる

自己破産手続を利用すると、借金の返済をしなくて良くなります。家計が楽になるので、計画的に予納金を用意できるでしょう。

移動制限・資格制限・郵便物が管理できないのは免責許可がおりるまで

移動・資格・郵便物の管理に対する制限は、自己破産手続が終了するまでです。申立てから数ヶ月~1年程度ですのでご安心ください。

なお、宅配便は自分で取り扱えます。

官報はほとんどの人が読まない

官報を読む人はほとんどいません。したがって、自己破産をしたことが官報に掲載されても、身近な人に知られる可能性は低いでしょう。

破産者名簿に登録されることは稀

破産者名簿に掲載されるのは、免責許可が下されなかった自己破産者だけです。現在、ほとんどのケースで免責許可が下ります。

自己破産手続きの制度で注意すべき点とは?

ここまで、自己破産のメリット・デメリットについて説明してきましたが、他にも、自己破産の制度上注意しておくべき点があります。

  • 非免責債権の存在
  • 免責不許可の可能性
  • 裁量免責型自己破産について

それでは、以下の各項目をご確認ください。

非免責債権は免責されない

非免責債権に分類される債権は、そもそも自己破産の対象とはならず、免責を受けることができません。例えば、税金や国民健康保険料などの公的な請求権や、元配偶者に対する損害賠償責任(DVが原因の場合など)、子どもの養育費などがこれに含まれます。これらについては自己破産後も返済が必要です。

免責不許可になる可能性がある

債務者の事情によっては、借金が返せる経済状況でなくても自己破産が認められないことがあります。これを免責不許可事由と言います。例えば、ギャンブルや株為替取引が原因で借金が膨れた場合や、自己破産手続を進める中で自分の財産を隠した場合などがこれに含まれます。

裁量免責で自己破産の道が残される

免責不許可事由があっても、裁量免責型自己破産によって免責許可が下りることがあります。例えば、ギャンブルが原因で借金を作ったとしても、その点に関して深く反省をしており、自己破産後の堅実な生活計画を練ることができるのであれば、裁判所の判断で免責許可が下されるというものです。

自己破産に対する誤解?

自己破産に対する代表的な誤解例を紹介します。制度に対して間違った理解をしていると、正しく手段を選択できません。ご注意ください。

仕事を解雇される?

自己破産をしても仕事は解雇されません。そもそも会社に知られる可能性が少ないでしょう。

知人に知られてしまう?

自己破産をしたことが公表されるのは官報のみによってです。身近な人が官報を読んでいない限り、知られる可能性は低いでしょう。

ただし、知人からお金を借りていたり、知人が連帯保証人になっていたりする場合には、自己破産手続を開始することで知られてしまいます

賃貸借物件を追い出される?

自己破産をしても借りている部屋を追い出されることはありません

ただし、家賃の滞納をしてしまうと契約解除されうるのでご注意ください。

選挙権がなくなったり戸籍に載ったりする?

自己破産は、選挙権や戸籍に影響しません

保険は解約されるの?

自己破産は、生命保険や学資保険などの強制解約事由ではありません

ただし、保険料の支払いが重なると再び金融事故情報が登録される可能性があります。自己破産後の新生活の中で、必要なもの、必要ではないものをしっかりと見極めましょう

自己破産と他の債務整理手続との違い

自己破産・任意整理・個人再生をあわせて債務整理です。自己破産と他の手続との比較から、ご自身に合った手続を選びましょう

自己破産と任意整理の違いとは?

任意整理とは、弁護士などの専門家が債務者を代理して、債権者と直接交渉する債務整理方法です。

任意整理とは借金の当事者間における交渉によるものなので、裁判所はこれに関与しません。裁判所を利用する手続きである自己破産とは大きく異なる点です。あくまでも交渉ベースである以上、任意整理では借金の取り扱いについて柔軟に対応できます。

例えば、任意整理ならば、連帯保証人の付いている債務を債務整理の対象から外せます。自己破産では連帯保証人への迷惑を避けられないので、これを嫌うならば任意整理がおすすめです。また、資格制限や移動制限、借金の原因による免責不許可の可能性もありません。

ただし、交渉ベースであることは、自己破産にはないデメリットが生まれます。例えば、そもそも債権者側が任意整理に応じてくれなければ、交渉をまとめることができません。仮に債権者が交渉に応じてくれたとしても、自己破産のように借金帳消しを受諾してくれることもないでしょう。つまり、任意整理は大幅な借金の減額効果を期待しにくい手続です。これに対して、自己破産は裁判所が介入することで抜本的な解決を目指すものなので、借金の減免効果は抜群です。

自己破産と個人再生の違いとは?

個人再生は、作成した再生計画を裁判所に認めてもらうという債務整理方法です。裁判所が介入する点は自己破産と同じです。

個人再生では、自己破産と異なり財産を処分する必要がありません。住宅を残しながら、実践可能な借金返済計画を作成し、これに沿うことで生活の立て直しを図れます。資格制限などのデメリットも生じないため、自己破産のように生活環境が大きく変わることがありません。

ただし、個人再生はあくまでも借金の返済を継続することが前提とされています。この点が、借金の帳消しを目指す自己破産とは決定的に異なる点です。つまり、返済計画を実行できるだけの継続的な給与も必要ですし、その他要件が厳しく設定されているために利用のハードルが高いというデメリットがあります。

自己破産にかかる時間・費用は?

自己破産にかかる時間・費用についておおよそのイメージを説明します。借金状況に大きな変化をもたらすものなので、どうしても時間も費用もかかってしまいます。

自己破産にかかる時間は数ヶ月以上

管財事件を念頭に置くと、自己破産を申し立ててから免責許可が確定するまでは、数ヶ月から1年近くの期間が必要です。あくまでも債務者それぞれの事情に左右はされますが、具体的なイメージは以下の通りです。

  • 弁護士選び:複数の弁護士事務所を実際に回る場合には数週間
  • 弁護士の受任~裁判所への申立て:取るべき債務整理方法の検討からはじまり、自己破産申立てのための準備に数週間(少額管財を活用する場合はそれ以上)
  • 申立て~破産手続開始決定:破産管財人の選出などを行わなければいけないため、2週間~1ヶ月程度
  • 破産手続開始~債権者集会開催:3ヶ月前後を目安(債務状況や債務者の財産関係が複雑な場合、債権者集会を複数開催しなければいけない場合はそれ以上)
  • 破産手続の終了~免責確定:1週間後の審尋、その後の免責許可、官報による公示から2週間を経て確定。おおよそ1ヶ月程度。

それぞれの段階で、短縮できるものもあれば、伸長せざるを得ないものもあるでしょう。また、同時廃止手続による場合はもう少し短縮されます。

自己破産にかかる費用は数十万円

自己破産を含め、債務整理については弁護士事務所によって設定費用や算出方法が異なります。したがって、明確な金額を指定することはできませんが、おおよそ以下のイメージです。

管財手続 弁護士費用(20万円~)と予納金(30万円~)をあわせて50万円~80万円程度
同時廃止手続 弁護士費用(20万円~)と予納金(1~5万円程度)をあわせて30万円~50万円程度
少額管財 弁護士費用(20万円~)と予納金(20万円~)をあわせて40万円~50万円程度

実際に依頼する前に、委任を検討している弁護士事務所に直接お問い合わせください。必ず事前に明細を出してくれます。

自己破産手続きの流れ

以下では、自己破産手続の流れについて総まとめします。

  1. 管轄のある地方裁判所に対して申立てをします。この際、申し立てる内容は、「破産手続開始の申立て」「免責許可の申立て」の2種類です。
  2. 債務者側から申立てを受けた裁判所は、債務者が債務の支払い不能の状態に陥っているかを考慮した上で、破産手続開始の判断を行います。管財事件か同時廃止事件かが決まります。
  3. 管財事件として取り扱うことが決まった場合、破産管財人が選出されます。破産管財人は、債務者が抱える借金状況を精査し、財産を調査の上、換価処分を行います。おおよそ3,4ヶ月後に、裁判所において債権者集会が開催され、債権者に対して財産が割り振られることになります。その後、免責に関する審尋を経て、1週間程度で免責許可についての判断が下されます。さらに2週間程度間を置いて官報に掲載され、官報公開日から2週間後に免責許可が確定します。なお、債務者の財産が偏在していたり債権者の数が多い場合には、調査に時間を要するために更なる時間を要したり、複数回の債権者集会が開催される場合も珍しくありません。
  4. 同時廃止手続として取り扱うことが決まった場合、2ヶ月程度後に、裁判所において免責審尋が行われます。
  5. なお、少額管財事件として取り扱われるためには、③における調査手続きを、裁判所に申立てをする前に、契約をした弁護士が遂行してくれます。

以上のような流れで、自己破産手続が進みます。管財事件に分類されるか同時廃止に分類されるかによって要する期間に多少の差は生じますが、いずれにせよ免責に至るまでは数ヶ月の期間を要します。

自己破産を検討するときには専門家に相談を

自己破産は、債務者本人だけで行うことができます。しかし、管財事件として扱わなければいけないのか、同時廃止手続でコストを削減できるのか、そもそもどんな書類を提出しなければいけないのかなど、問題が山積します。分からないことが生じるたびに専門家に相談に行くのも一つのやり方ではありますが、何度も相談を繰り返すくらいなら、はじめから弁護士などに依頼してしまった方が確実です。

そして、そもそも自己破産が適切な方法かの判断も難しいのです。借金の帳消しという効果だけに気をとられてしまうと、自己破産がもつ各デメリットを見落としかねません。自宅を手放したくなかったり、連帯保証人に迷惑をかけたくなかったりという事情があるのなら、他の債務整理手段を検討すべきでしょう。このような制度の比較は、債務整理を体系的に理解し、いくつもの債務整理実績がある専門家にしかできません。

自己破産のメリット・デメリットを正確に理解し、適切な方法で債務整理を行うために、まずは専門家に相談してください。現状において採用すべきアプローチを示してくれるはずです。

まとめ

この記事のまとめ
  • 自己破産には借金の帳消しという大きなメリットがある。
  • 自己破産をすると、自宅などを含め、所有している財産の多くが処分されるというデメリットが生じる。他にも、ブラックリストへの登録や資格制限など、生活に影響を与えるデメリットが多いので注意が必要。
  • 自己破産以外の債務整理との比較が大切。現在の窮状に対して、自己破産が本当に適切かを考えよう。
  • 自己破産のデメリットが多いのは事実だが、各種デメリットを軽減・回避する方策もある。また、デメリットに対する誤解も少なくない。自己破産に踏み出すときに何より行わなければいけないのは、「自己破産制度について正しい知識をもつこと」。
  • 債務整理を検討するならば、法律の専門家に相談するべき。債務者ごとの事情を分析して、必要な債務整理方法を提案してくれる。

自己破産には借金帳消しという大きなメリットがある反面、今後の生活に支障を生じるようなデメリットも数多く存在します。借金返済で苦しい現状に置かれる今、メリットばかりに注目してしまうとデメリットに対する適切な判断がおろそかになってしまいます。

大切なのは、自己破産を含めた債務整理全体の内容・特徴を理解した上で、「どの債務整理が自分には適切か」を判断することです。そのために必要なのは、熟練の専門家に相談することです。ぜひ弁護士などに相談の上、新生活に向けてリスタートできるように歩みをすすめましょう!

自己破産の関連記事
【自己破産にかかる費用は30万円〜】お金がなくても返済を止めて費用を用意する方法があります!

【自己破産にかかる費用は30万円〜】お金がなくても返済を止めて費用を用意する方法があります!

借金の返済を続けられないために自己破産を検討している人にとって、自己破産の費用は気になるポイントのはずです。ただ、「自己破産の費用は〇〇万円です」と一概に言うことはできません。なぜなら、「どの手続で自己破産をするか」によって費用が異なるから[…]