自己破産とは?借金がゼロになる代わりに失う財産や制限は?手続きの前に覚えておきたいこと

自己破産 返済義務を免除してもらい借金をゼロにする手続き

先生、自己破産とはどんな手続きなのでしょうか?

自己破産とは、国によって認められた借金の整理方法の一つです。自己破産を専門家に依頼すれば借金の取り立てはなくなりますし、最終的には借金が帳消しになるという大きなメリットをもたらすものです。

他方、所有している財産の一部(または多く)を処分しなければいけなかったり、自己破産が認められた後の生活に不自由が生まれる可能性はあります。

そうなんですね。財産を失うというのは少し抵抗がありますし、やはり怖い印象を受けます…。

必要以上に心配する必要はありません。家具など生活に必要な財産は概ね20万円を超える高価なものでない以上処分されません。自己破産は全ての終わりというイメージを持たれやすいですが、そんなことがないことをこの記事を通して学びましょう。

借金の返済が厳しい状況に追い込まれてしまうと、何らかの手立てを打つ必要があります。その中の一つの方法が、自己破産制度の活用です。

自己破産制度は国によって認められた制度なので、合法的に借金を帳消しにすることができます。これは、お金を借りている債務者にとって大きなメリットと言えるでしょう。

ただ、このような恩恵を受けられると同時に、いろいろな面でデメリットも生じます。例えば、自宅を所有している場合にはこれが取り上げられる可能性は高いでしょう。また、自己破産が認められたあとは、一定期間クレジットカードを使うことができないという不自由に耐えなければいけません。

このように、自己破産を活用すると、大きなメリットといくつかのデメリットの両者を共に受け入れなければいけません

もちろん、日常生活にこれだけの大きな変化を及ぼす自己破産ですから、これを活用する際には弁護士などの専門家に相談するべきです。

ただその前にまず、自己破産手続きの概要について一通り理解しておきましょう。最低限の知識を備えることができれば、ポイントを押さえた上で専門家に効果的な相談ができるからです。

そこで、借金返済でお困りの方の一助とするべく、この記事では、自己破産制度の概要、メリットやデメリット、費用や期間などについて総合的に解説します。専門家への相談の前に、ぜひ知識を整理しておきましょう。

この記事でわかること
  • 自己破産を行うことで借金の支払い義務がなくなる
  • 自己破産にはデメリットがあるが、いくつかの克服方法がある
  • 自己破産手続きが終わるまでは概ね3ヶ月〜1年程度以上かかる
  • 自己破産をしても消えない債権やそもそも自己破産が認められないケースがある
  • 自己破産以外の債務整理の特性について
目次
  1. 自己破産とは?
  2. 自己破産するとどうなる?デメリットや受ける制限について
  3. 自己破産手続きの流れとかかる期間について
  4. 自己破産手続きで注意すべき点は?
  5. 自己破産を検討するときには専門家に相談を
  6. 自己破産と他の債務整理手続との違いも知っておこう
  7. まとめ

自己破産とは?

自己破産とはどんな手続きなのか、まずは手続きの概略から見ていきましょう。

自己破産は借金帳消しを目的とした制度

自己破産は、借金返済で困っている人を救済するために国が用意した制度です。

その最大のメリットは借金の支払い義務が免除されるということ。つまり、自己破産が認められれば今後借金の返済をしなくても良くなります。

なぜこのような制度ができたのかというと、借金に困っている人の救済的な側面があると考えられます。

今も昔もいろいろな事情から借金を返済できなくなってしまう人が大勢いますが、その中には、生活をするうえで必要に迫られて借金をしてしまったという人も含まれるはずです。

そのような人がいつまでも借金返済を強要されてしまうと、生涯困窮した状況から抜け出せません。

自己破産は、このような状況に追い込まれた人に手を差し伸べる制度という意味があるのです。

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手続き方法は2種類で使い分けられている

自己破産では所有している財産を処分することになりますが、法律の定める範囲内においては処分の対象とはならないため「そもそも処分できるような自分の財産がない」という人も出てきます。

このような状況を考慮し、手続をスムーズに進めるために、自己破産手続は大きく、

  • ①管財事件・・・処分する財産がある場合の手続き
  • ②同時廃止事件・・・処分する財産がない場合の手続き

の2つの方法に類型化されています。

①管財事件・・・処分する財産がある場合の手続き

管財事件とは、処分する財産がある場合に行われる手続きのこと。

管財事件では、債務者(お金を借りた人)の残りの財産を処分して少しでも債権者への弁済に充てられます。

この債務者の財産をお金に換えて借金の返済に充てる手続は、客観的な立場から公平に行われなければいけません。これを満たすために選出されるのが「破産管財人」です。

管財事件では、破産管財人が債務者の財産の調査・借金状況の整理・財産の換金・債権者への割り当てという自己破産の一連の手続を主導してくれます。

弁護士に依頼すれば少額管財として扱われることも

財産の換価処分は破産管財人が客観的かつ公正に手続を進めてくれますが、債務者が破産管財人の費用数十万円を負担しなければいけないというデメリットが存在します(50万円以上かかることが一般的です)。

これではせっかく借金で苦しんでいる債務者を助ける目的で用意された自己破産制度が、積極的に活用されなくなってしまう恐れがあります。

そのため、自己破産を弁護士に依頼した場合に限って「少額管財事件」として扱い、破産管財人に支払う費用を低額に抑えられるとされています。

少額管財事件は、本来破産管財人が行うべき業務の一部を、破産手続の申立てを依頼した弁護士に行ってもらうものです。

破産管財人が行う業務量が格段に少なくなるので、費用をかなり抑えることができます。概ね20万円程度まで抑えることができるでしょう。

処分対象となる財産をお持ちで自己破産をお考えの方は弁護士に依頼して手続きを進めたほうが費用負担が軽くなります。自分一人で手続きをしようと思わず、弁護士に相談の上手続きを進めるようにしてください。

②同時廃止事件・・・処分する財産がない場合の手続き

同時廃止事件とは、債務者に処分する財産がない場合に行われる手続きのこと。

自己破産手続きは、はじめに債務者の財産を処分することからスタートするものですが、債務者にほとんど財産がないのであれば、わざわざ管財人を選出するという手順を踏む必要はありません。

したがって、同時廃止事件に分類されると、自己破産を申し立てた時点で破産手続は終了し、次の段階に進みます。

※管財事件と同時廃止事件についてさらに詳しく知りたい方は「自己破産の同時廃止と管財事件は何が違う?振り分けの基準やメリット・デメリットを比較」の記事で解説しておりますので、合わせてご覧ください。

  • 支払不能の状態に追い込まれていること
  • 「免責不許可事由」に該当しないこと
  • 7年以内に自己破産をしていないこと

これらを満たしていなければ自己破産はできません。

上記3つの具体例については、「自己破産するための条件は3つ!ギャンブルや浪費の借金や2回目の自己破産も認められるのか?」で詳しく解説しています。合わせてそちらの記事もご確認ください。

自己破産するとどうなる?デメリットや受ける制限について

自己破産を「人生の終わり」と考える人もいるようですが、そこまで大げさに考える必要はありません。

生活へ影響を与えるデメリットがあることは事実ですが、正しく理解することが大切です。

自己破産のデメリットは具体的には以下の通りです。

  • ブラックリストに載る
  • 自己破産によって一定の財産以外は取り上げられてしまう
  • 自己破産のためには予納金などまとまった資金が必要
  • 官報に掲載される
  • 資格が制限される
  • 移動が制限される
  • 郵便物を管理できない
  • 市町村役場の名簿に登録される

①ブラックリストに掲載される

よく聞く「ブラックリスト」とは、信用情報機関に金融事故情報が登録されること

ブラックリストに登録されると、次のようなデメリットが生じます。

  • クレジットカードの使用・更新・新規発行ができなくなる
  • ローンやキャッシングなどの借り入れができなくなる
  • 携帯電話の本体代の分割払いができなくなる(これもローンの一種のため)
  • 賃貸契約を断られることがある
  • 保証人になれなくなる(子供の奨学金契約などに不便がある可能性あり)

これらは自己破産だけでなく任意整理や個人再生といったその他の債務整理手続きを行なった場合にも生じるデメリットです。

上記についてさらに詳しく知りたい方は「債務整理と信用情報機関の関係は?ブラックリストに載った場合のデメリットと対処法を解説」でも詳しく解説していますので、一度デメリットをしっかりと理解しておくことをお勧めします。

自己破産をすると携帯電話の契約はどうなりますか?

自己破産をする際に携帯電話使用料金の滞納がなければ今使っている携帯電話はそのまま使えます。他方、使用料金を滞納している場合や端末代金を分割払い中の場合には携帯契約が強制解約される可能性が高いです。債務者名義で家族の携帯電話も同様に強制解約されるリスクがあるのでご注意ください。
他方、自己破産後に携帯電話の新規契約をする際には、自己破産で整理対象になった携帯電話とは契約できない可能性が高いですが、他の携帯会社であれば新規契約できる余地があります。確実に携帯契約を締結したいのなら、家族名義で携帯契約を締結するのがおすすめです。
【関連記事】自己破産しても携帯契約は続けられる?強制解約されるケースと今後も使い続ける方法を解説

自己破産をすると携帯電話の分割払いはできなくなりますか?

自己破産をすると携帯電話端末代の分割払いができなくなります。なぜなら、自己破産を利用した債務者は以後10年間ブラックリストに登録されるので、その期間中は新規のローンを組むことができないからです。
端末代金を一括払いすれば携帯電話をもつことができるので、型落ちや安い機種を選ぶようにしましょう。
【関連記事】自己破産後に携帯電話の分割払いはできない?スマホ本体代などの支払い方法と新規契約を断られない方法について解説

自己破産をするとローンが組めなくなりますか?

自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されるので、以後10年間はローンを組めなくなります。なぜなら、ローンの審査の段階で事故情報を知られてしまうからです。
したがって、自己破産後約10年が経過してブラックリスト情報が抹消されたのを確認してから、新規のローンをご検討ください。
【関連記事】自己破産した後にローンは組める?返済中のローンはどうなる?自己破産とローンの関係を徹底解説

自己破産すると住宅ローンも組めなくなりますか?

自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されるので、以後10年間は住宅ローンを組むことができません。したがって、自己破産後にマイホームの購入を検討する際には、ブラックリスト登録情報が抹消されたのを確認してから申請するのがおすすめです。
ただし、住宅ローン審査では、ブラックリスト情報はあくまでも考慮要素の1つでしかありません。年収、勤続年数、年齢、所有資産などを総合的に考慮した結果、優れた属性があると判断された場合には住宅ローン審査に通る余地も残されています。
【関連記事】自己破産して住宅ローン組めるのは5~10年後!自己破産しても家に住み続ける方法も紹介

自己破産すると現在の銀行口座はどうなりますか?

銀行から借入れをしている場合には、自己破産を利用すると当該銀行の口座が凍結されるので、約1ヶ月から3ヵ月程度は使えなくなります。他方、自己破産の対象にならない銀行口座については自己破産とは無関係なので影響はありません。
したがって、凍結される銀行口座を給与振り込みや公共料金の引き落としなどに使っている場合には、自己破産を利用する前に変更しておきましょう。
【関連記事】自己破産で凍結されるのは借入している銀行口座だけ!新規口座開設も可能!凍結前にとるべき対策も紹介

ブラックリストへの掲載は一生続くわけではない

勘違いして欲しくないのは、ブラックリストへの掲載は一生続くわけではないということ。

自己破産をした場合のブラックリスト登録期間は約10年です。この期間が経過すれば、ブラックリストの記録は抹消されます。

信用情報機関の種類 事故情報掲載期間
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 10年
日本信用情報機構(JICC) 5年
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 5年

クレッジットカードに代わる代替カードもある

さらに、クレジットカードが使えなくなるといっても代替カードがあればネット決済などはそれほど不便を感じません。

例えば、デビットカード家族カード、プリペイドカードや電子マネーは問題なく利用できます。

また「PayPay(ペイペイ)」や「LINE Pay(ラインペイ)」などのスマホ決済も可能です。

緊急の借り入れは行政の貸付サービスを

また金融機関からの新規借入れはできませんが、行政の緊急小口資金貸付サービスなどは利用できます。

上記の通り、ブラックリストに登録されることで生活への影響は少なからずありますが、何かしらの代替手段によってデメリットを最小限に抑えることは可能です。

②一定の財産しか手元に残せない(財産が処分される)

自己破産をすると、財産が処分され、一定財産しか手元に残せないというデメリットが生じます。

例えば99万円を超える部分の現金や20万円以上の預貯金、また概ね20万円を超える価値のある高価なものは処分されると考えてください。また、マイホームや車も処分の対象となることがほとんどです(価値が20万円を下回る場合は例外)。

財産が処分されるのは債権者への弁済のため

自己破産ではなぜ財産の処分が行われるかというと、債権者だけ「貸したお金が返済されない」という状態になり、不平等と考えらえるからです。

そのため自分が所有している財産を手放してこれをお金に換えて、残っている借金返済のために使われます。それでもなおまだ借金が残っているとき、残りの借金の帳消しが行われるという手順です。

生活のために必要な財産は残せる

債務者が所有する全ての財産が処分されるわけでなく、今後の生活を維持するために必要な財産は残せます

具体的には以下の財産は手元に残せると定められています。

  • 新得財産
  • 差し押さえ禁止財産
  • 99万円以下の現金
  • 自由財産の拡張分
  • 破産管財人が放棄した財産

自己破産ではどのような財産が処分され、どんな財産を残せるかについては「自己破産すると財産が差し押さえられる?処分されない財産(自由財産)もあるので必要以上に心配しないようにしよう」で詳しく解説しています。合わせてこちらの記事もご覧ください。

子供の通帳まで没収の対象となりますか?

原則として、自己破産を利用しても債務者の子供名義の通帳が没収されることはありません。なぜなら、”自己破産を利用した債務者”と”債務者の子供”は法律上別人格だからです。
ただし、例外的に子供の定期預金・普通預金について自己破産の処分対象になるケースがあります。誰が出資者なのか、通帳・印鑑を誰が管理しているのか、口座を開設したのは誰か、どのような目的の口座なのかなどの事情を総合的に考慮して、債務者本人の財産だと評価できる場合には、子供の通帳が処分対象に含まれてしまいます。
【関連記事】子供の通帳にある貯金も自己破産で処分の対象になる!?差し押さえ対象になり得る事由を紹介

結婚指輪も没収の対象となりますか?

自己破産を利用すると結婚指輪も処分対象に含まれるケースがあります。なぜなら、結婚指輪は一律に債務者が手元に残せる自由財産に含まれるとは言い切れないからです。
例えば、結婚指輪が時価20万円以下であれば自由財産として、99万円以下であれば自由財産の拡張として手元に残すことができるでしょう。他方、指輪がかなり高額な市場価値を有する場合には、自己破産における財産処分を免れることはできません。
一般的な自己破産では結婚指輪を残すことができますが、事情によって処分される可能性もあるので、詳しくは弁護士にご相談ください。
【関連記事】自己破産すると結婚指輪までも手放さなくてはならない?処分対象となる財産を詳しく解説

自己破産すると相続財産(相続見込み含む)も換価処分の対象となりますか?

相続財産が自己破産の換価処分の対象になるかは双方の前後関係によります。
自己破産申立て前に相続が発生した場合には当然に相続できるので、取得した相続財産を利用して借金を返済できます。
自己破産の開始決定前に相続が発生した場合には相続財産も債務者の財産に含まれるので、破産手続きにおける換価処分の対象に含まれます。
自己破産開始決定後に相続が発生した場合には、相続財産は換価処分の対象外になります。なぜなら、換価処分の対象範囲は自己破産開始決定を基準に決定され、自己破産開始決定後に取得した財産は新得財産として債務者の手元に残せるからです。
以上のように、相続と自己破産が絡むとタイミング次第では換価処分や相続税の複雑な問題が生じるので、ぜひ弁護士にご相談ください。
【関連記事】自己破産すると相続した財産は処分対象となる?不動産を共有相続した場合は他相続人に迷惑を掛ける恐れがあるので要注意

自己破産すると銀行口座は差し押さえられますか?

銀行から借入れをしている場合には、自己破産を利用すると当該銀行の口座が凍結されるので、約1ヶ月から3ヵ月程度は使えなくなります。他方、自己破産の対象にならない銀行口座については自己破産とは無関係なので影響はありません。
したがって、凍結される銀行口座を給与振り込みや公共料金の引き落としなどに使っている場合には、自己破産を利用する前に変更しておきましょう。
【関連記事】自己破産で凍結されるのは借入している銀行口座だけ!新規口座開設も可能!凍結前にとるべき対策も紹介

自己破産すると生命保険も換価処分の対象となりますか?

生命保険が自己破産の換価処分の対象になるかは、どのような生命保険に加入しているのかによります。
例えば、掛け捨て型の保険や解約返戻金が20万円以下の生命保険であれば、自己破産を利用しても解約をする必要はありません。
他方、解約返戻金が20万円を超えるような場合には、自己破産で債務者が手元に残せる自由財産には含まれないので、解約したうえで換価処分の対象とされます。
【関連記事】自己破産で残せる生命保険と強制解約対象の生命保険!生命保険外交員の資格失効についても解説

③手続きには約20万円以上の費用がかかる

自己破産を行うには、弁護士や裁判所に対してまとまった費用を支払わなければいけません(破産管財人の報酬や切手代など)。

以下、自己破産にかかる費用の一例です。

〈少額管財事件の場合にかかる費用〉
項目 金額
裁判所に支払う費用(予納金) 約20万円程度
弁護士費用(着手金) 20万円〜30万円程度
合計 40万〜50万円程度
〈同時廃止事件の場合にかかる費用〉
項目 金額
裁判所に支払う費用(予納金) 1万〜3万円程度
弁護士費用(着手金) 20万円〜30万円程度
合計 20万〜25万円程度

弁護士に依頼すれば督促や返済がストップするので予納金を用意できる!

「20万円もの費用なんて用意できそうもない…」と心配になった方、ご安心ください。

実は、弁護士に自己破産手続きを依頼することでその間は借金の支払いを止めていいことになっています。

これまで自己破産をしてきた多くの方も、この仕組みを利用して、毎月返済に充てていた費用を弁護士費用や手続き費用として積み立てているのです。

お金がなくて債務整理ができないと思わず、借金の返済を止めて費用を用意する意味でも、まずは一度弁護士に相談してみてください。

借金の支払いから解放されるだけでも精神的な負担がずっと軽くなるはずです。

④官報に掲載される

自己破産が認められると官報に記載されます。

官報とは日本国政府が発行している機関紙で休日を除き、毎日発行されています。

自己破産した場合に掲載される情報は主に以下のようなものです。

  • 事件番号
  • 破産者の住所
  • 破産者の氏名
  • 決定年月日時
  • 決定の内容等
  • 裁判所名

官報は以下の方法で閲覧可能です。

  • 一部の図書館での閲覧サービスの利用
  • 官報販売所での購入
  • インターネットでの閲覧

また、以下のような人たちが見る可能性があります。

  • 信用情報機関
  • 金融機関
  • 不動産業者
  • 市役所の税担当者

官報はほとんどの人が読まない

官報から周囲のほとんどの人に借金の事実が知られるかといえばそうではありません。

上記のように、官報を読む人は限られています。

また、インターネット上で、無料で官報が閲覧できるのは発行から30日以内のみです。

自己破産の事実を周囲に知られたくないと心配している人も多いと思いますが、上記に紹介した職種以外の人に官報がきっかけで知られる可能性は低いと考えていいでしょう。

⑤資格が制限される

自己破産手続の開始によって資格が制限される職業があります。

ジャンル 職業制限を受ける仕事・役職の具体例
士業系 弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地建物取扱士、通関士など
公職系 人事院の人事官、教育委員会の教育委員、公正取引委員、公証人、人事院の人事官、都道府県の公安委員など
団体役員系 商工会議所、日本銀行、信用金庫、金融商品取引業、労働派遣業など
会社法上の役員 取締役、執行役員、監査役など
その他の仕事 警備員、生命保険募集人、質屋経営者、旅行業務取扱いの登録者・管理者、建築業経営者、廃棄物処理業者、調教師、騎手、風俗業管理者など

自己破産の復権はいつからですか?

免責許可決定が確定したタイミングで破産者は復権します。
他方、自己破産で免責不許可決定が確定した場合でも、再生計画認可決定が確定したり、債務者がすべての債務を弁済すれば復権が認められます。
【関連記事】自己破産の制限から復権するまでの期間はどれぐらいかかるのか?2つの復権方法と合わせて解説

職業制限に引っかかる場合は個人再生の検討を

どうしても職業制限のデメリットが許容できない場合は、職業制限を受けずに借金を大幅に減らせる「個人再生」を選ぶことが有力な選択肢となります。

個人再生とは裁判所で行う債務整理手続きの一つで、負債総額が3000万円以下の場合は概ね1/5まで借金を削減でき、3000万円を超える場合は1/10まで借金を削減できます。

全ての借金の支払い義務が免責される自己破産と違い、今後も借金を返済していくことが前提とはなりますが、大きく借金を減額できる制度ですので、検討してみる余地はあるでしょう。

⑥移動が制限される

自己破産の手続きが開始すると、引越しや旅行、出張などを自由に行えません(裁判所の許可が必要です)。

出張などについて許可が出されないことはほとんどありませんが、毎回許可を求めなければならないことはデメリットとなるでしょう。

自己破産中に海外旅行には行けますか?

自己破産中でも海外旅行には行けますが、一定の場合には裁判所の許可が必要になります。
同時廃止事件として手続きが進む場合には、自由に海外旅行に行けます。ただし、免責手続きへの出頭が求められる日程とは重ならないようにしてください。
他方、管財事件として破産手続きが進むケースでは、海外旅行だけではなく引越しなどで現在の居住地を離れるすべての場合において裁判所の許可が必要です。
いずれにしても、自己破産手続き中は準備や打ち合わせなどに時間を要するので、海外旅行を予定しているのなら弁護士に相談してからにしましょう。
【関連記事】自己破産してもパスポートは取れる?海外旅行など制限を受けることはあるのか?

自己破産後にパスポートは取得できますか?

自己破産後はもちろんのこと、自己破産手続き中もパスポートの取得は可能です。新規取得も切り替えも自由にできます。また、パスポートに自己破産を利用した履歴が残ることもありません。
【関連記事】自己破産してもパスポートは取れる?海外旅行など制限を受けることはあるのか?

移動制限を受けるのは管財事件の場合のみ

ただし、移動制限を受けるのは管財事件の場合のみです。同時廃止事件の場合はこの限りではありません(裁判所への許可も必要ありません)。

⑦郵便物を管理できない

自己破産の手続きが開始すると、郵便物を自由に管理できません

債務者宛の郵便物はすべて破産管財人の元に届き内容を確認されるので、知られたくないような内容も隠すことはできなくなってしまいます。

移動制限・資格制限・郵便物が管理できないのは免責許可がおりるまで

移動・資格・郵便物の管理に対する制限は、自己破産手続が終了するまでです。申立てから数ヶ月~1年程度ですのでご安心ください。

なお、宅配便は自分で取り扱えます。

⑧市町村役場の名簿に登録される

市町村役場には破産者名簿というものが存在します

破産者であることが資格上の欠格事由となる職業などに就く場合に、破産者ではないことを証明するために利用される名簿です。

自己破産の申立てをし、もし、借金の帳消しが許されない結果(免責不許可)となると、この名簿に登録されることとなります。

破産者名簿に登録されることは稀

破産者名簿に掲載されるのは、免責許可が下されなかった自己破産者だけです。現在、ほとんどのケースで免責許可が下ります。

⑨連帯保証人に債務が移行する

自己破産を行うと、連帯保証人に債務が移行します。つまり、連帯保証人が借金を支払わなければならなくなるということ。

また連帯保証人への請求は一括請求で行われることが多いです。

もし連帯保証人も支払い能力がないようなら一緒に債務整理手続きを行うことも視野に入れなければなりません。

なかなか話しづらいとは思いますが、ありのままの事実を伝えることが大切です。

もし必要であれば弁護士と相談の上、連帯保証人も含めどのように対処すればいいかを決めましょう。

自己破産手続きの流れとかかる期間について

自己破産手続きの流れやかかる期間は、管財事件か同時廃止事件かによって異なります。

  • 管財事件・・・4ヶ月から1年程度
  • 同時廃止事件・・・3ヶ月から半年程度

管財事件・・・4ヶ月から1年程度

管財事件の場合は手続き開始から免責許可が決定するまで4ヶ月〜1年程度かかるのが一般的です。

大まかな流れとかかる時間は以下の通り。

管財事件の手続きの流れと期間
段階 期間 流れ
裁判所に申し立てるまでの準備 1ヶ月から2ヶ月 ・債権者への受任通知の発送
・債権者一覧表や資産目録の作成
・裁判所に提出する家計簿の作成
裁判所での手続き 3ヶ月から1年 ・自己破産手続き開始の申立て
・破産手続き開始決定と破産管財人の選任
・破産管財人による破産手続き開始
・債権者集会への対応
・破産手続きの終了
・免責審尋から免責許可決定まで

同時廃止事件・・・3ヶ月から半年程度

同時廃止の場合は管財事件より短く、半年程度で手続きが終了する場合がほとんどです。

これは管財事件と違って財産を処分して換価しなくていいことに起因します。

大まかな流れは以下の通り。

同時廃止事件の手続きの流れと期間
段階 期間 流れ
裁判所に申し立てるまでの準備 1ヶ月から2ヶ月 ・債権者への受任通知の発送
・債権者一覧表や資産目録の作成
・裁判所に提出する家計簿の作成
裁判所での手続き 2ヶ月から3ヵ月 ・自己破産手続き開始の申立て
・破産手続き開始決定と終了
・免責審尋への対応
・免責許可決定が下される

※自己破産手続きの流れについては「自己破産の仕方と手続きの流れをわかりやすく解説!必要書類や予納金など事前に準備するものは?」で、かかる期間については「自己破産が終わるまでどれくらいかかる?免責決定までの期間と流れを詳しく解説」で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

自己破産手続きで注意すべき点は?

ここまで、自己破産のデメリットについて説明してきましたが、他にも、自己破産の制度上注意しておくべき点があります。

  • 非免責債権の存在
  • 免責不許可の可能性

①非免責債権は免責されない点には注意

いくら自己破産といえど全ての支払い義務が免除されるわけでなく、一部支払い義務が残ってしまうものもあります。この支払い義務が残るものを「非免責債権」と言います。

例えば、税金や国民健康保険料などの公的な請求権や、元配偶者に対する損害賠償責任(DVが原因の場合など)、子どもの養育費などがこれに含まれます。

これらについては自己破産後も返済が必要です。

②免責不許可になる可能性がある

債務者の事情によっては、借金が返せる経済状況でなくても自己破産が認められないことがあります。これを免責不許可事由と言います。

例えば、ギャンブルや株為替取引が原因で借金が膨れた場合や、自己破産手続を進める中で自分の財産を隠した場合などがこれに含まれます。

裁量免責で自己破産の道が残される

免責不許可事由があっても、裁量免責型自己破産によって免責許可が下りることがあります。

例えば、ギャンブルが原因で借金を作ったとしても、その点に関して深く反省をしており、自己破産後の堅実な生活計画を練ることができるのであれば、裁判所の判断で免責許可が下されるというものです。

ギャンブルや浪費などで借金をしてしまった場合は、弁護士を通して裁判所に説明を行い、裁量免責が下りるようサポートしてもらうことが大切と考えられます。もし免責不許可事由に当たるかもしれないと心配な方は一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

自己破産を検討するときには専門家に相談を

自己破産は、債務者本人だけで行うことができます。

しかし、管財事件として扱わなければいけないのか、同時廃止手続でコストを削減できるのか、そもそもどんな書類を提出しなければいけないのかなど、問題が山積します。

分からないことが生じるたびに専門家に相談に行くのも一つのやり方ではありますが、何度も相談を繰り返すくらいなら、はじめから弁護士などに依頼してしまった方が確実です。

そして、そもそも自己破産が適切な方法かの判断も難しいのです。借金の帳消しという効果だけに気をとられてしまうと、自己破産がもつ各デメリットを見落としかねません。

自宅を手放したくなかったり、連帯保証人に迷惑をかけたくなかったりという事情があるのなら、他の債務整理手段を検討すべきでしょう。このような制度の比較は、債務整理を体系的に理解し、いくつもの債務整理実績がある専門家にしかできません。

自己破産のメリット・デメリットを正確に理解し、適切な方法で債務整理を行うために、まずは専門家に相談してください。現状において採用すべきアプローチを示してくれるはずです。

自己破産と他の債務整理手続との違いも知っておこう

自己破産・任意整理・個人再生をあわせて債務整理です。自己破産と他の手続との比較から、ご自身に合った手続を選びましょう

自己破産と任意整理の違いとは?

任意整理とは、弁護士などの専門家が債務者を代理して、債権者と直接交渉する債務整理方法です。

任意整理とは借金の当事者間における交渉によるものなので、裁判所はこれに関与しません。裁判所を利用する手続きである自己破産とは大きく異なる点です。あくまでも交渉ベースである以上、任意整理では借金の取り扱いについて柔軟に対応できます。

例えば、任意整理ならば、連帯保証人の付いている債務を債務整理の対象から外せます

自己破産では連帯保証人への迷惑を避けられないので、これを嫌うならば任意整理がおすすめです。また、資格制限や移動制限、借金の原因による免責不許可の可能性もありません。

ただし、交渉ベースであることは、自己破産にはないデメリットが生まれます。例えば、そもそも債権者側が任意整理に応じてくれなければ、交渉をまとめることができません

仮に債権者が交渉に応じてくれたとしても、自己破産のように借金帳消しを受諾してくれることもないでしょう。

つまり、任意整理は大幅な借金の減額効果を期待しにくい手続です。これに対して、自己破産は裁判所が介入することで抜本的な解決を目指すものなので、借金の減免効果は抜群です。

自己破産と個人再生の違いとは?

個人再生は、作成した再生計画を裁判所に認めてもらうという債務整理方法です。裁判所が介入する点は自己破産と同じです。

個人再生では、自己破産と異なり財産を処分する必要がありません

住宅を残しながら、実践可能な借金返済計画を作成し、これに沿うことで生活の立て直しを図れます。資格制限などのデメリットも生じないため、自己破産のように生活環境が大きく変わることがありません。

ただし、個人再生はあくまでも借金の返済を継続することが前提とされています。この点が、借金の帳消しを目指す自己破産とは決定的に異なる点です。

つまり、返済計画を実行できるだけの継続的な給与も必要ですし、その他要件が厳しく設定されているために利用のハードルが高いというデメリットがあります。

自己破産の影響についてよくある心配事Q&A

自己破産すると家族にはどんな迷惑をかけてしまいますか?

自己破産をしても家族に直接的な影響はありません。
ただし、自己破産をすると債務者名義の財産が処分される結果、家族に迷惑がかかるケースがあります。例えば、債務者名義で所有する自宅があれば破産手続きの中で換価処分されるので、引越しを強いられるでしょう。一定額以上の預金や自動車についても同様です。
また、家族が連帯保証人になっているケースでは家族が一括請求されるリスクがあるので、同一家計における借金返済負担から完全に解放されるためには、連帯保証人になっている家族も同時に自己破産する必要があります。
つまり、自己破産の法的効果として家族に迷惑がかかることはないものの、現実的には一定の影響があるので注意が必要です。
【関連記事】自己破産で家族や子供へ与える影響はほとんどない!家族にバレずに自己破産はできるのか?

自己破産を家族に秘密にすることはできますか?

自己破産を家族に秘密にしたまま行うことは可能です。特に、弁護士に依頼すれば裁判所や債権者からの通知は弁護士宛に送付されることになるので、自宅に連絡がくることはありません。
ただし、現実的には家族に知られるリスクは高いと考えられます。例えば、家族が連帯保証人になっている場合には家族が一括請求されるので自己破産を知られます。また、管財事件で債務者名義の財産が処分されますし、自己破産後に債務者名義のクレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンを組めなかったりすると、債務整理を利用したことを隠し通すのは難しいでしょう。
そもそも、自己破産を利用する債務者にとって重要なことは自己破産後の生活再建に注力することです。家族の協力を得た方が家計を立て直し易いと考えられるので、できれば同一生計で暮らす家族には自己破産の事実は伝えましょう。
【関連記事】自己破産は家族に内緒でできる?家族にバレるケースと手続の際の注意点を詳しく解説

自己破産すると結婚にも影響を与えてしまいますか?

自己破産をしても結婚できます。また、自己破産をしたからと言って離婚をする必要はありません。ただし、自己破産の利用によって日常生活に一定のデメリットが生じるのでご注意ください。
例えば、自己破産をすると、約10年間は子どもの奨学金の保証人になれない、住宅ローンを組めない、クレジットカードを作れないというデメリットが生じます。マイホームの購入や子どもの進学にも影響を与えかねないので、家族の間で話し合いが必要になるでしょう。また、自己破産によって今まで貯めた預金が取り上げられる可能性もあります。
つまり、自己破産によって一定の制約が生じ得る以上、事前にパートナーと話し合って、今後の生活再建のための協力を仰ぐ姿勢が重要と考えられます。
【関連記事】自己破産は結婚にも影響する?生活上の制限と自己破産がバレるかどうかを解説!

自己破産は就職に影響を与えますか?履歴書に書かなければいけませんか?

原則として、自己破産は就職に影響しません。会社側が求職者の自己破産歴を調査することはできませんし、そもそも履歴書に記入する必要もありません。また、自己破産を理由として解雇されることもないのでご安心ください。
ただし、自己破産で職業制限を受ける仕事については注意が必要です。例えば、警備員や一定の資格に基づいて仕事をする職業の場合には破産手続き中は仕事ができなくなるので、自己破産を隠したままでは迷惑がかかる可能性があるからです。
したがって、自己破産が職業制限に関係する仕事については就職・転職のタイミングを調整するなどして対応しましょう。
【関連記事】自己破産が転職に影響することは稀!ただし転職先によってはリスクが出る可能性もある

まとめ

自己破産には借金帳消しという大きなメリットがある反面、今後の生活に支障を生じるようなデメリットも数多く存在します。借金返済で苦しい現状に置かれる今、メリットばかりに注目してしまうとデメリットに対する適切な判断がおろそかになってしまいます。

大切なのは、自己破産を含めた債務整理全体の内容・特徴を理解した上で、「どの債務整理が自分には適切か」を判断することです。そのために必要なのは、熟練の専門家に相談することです。ぜひ弁護士などに相談の上、新生活に向けてリスタートできるように歩みをすすめましょう!

監修者

弁護士の吉田伸広と申します。私が弁護士として心掛けていることは、じっくりお話を伺うことと、法的な問題を解決するだけでなく、精神的にも身体的にも元気になっていただくことです。人の一生で、弁護士に頼らなければならない出来事はそう多くあるものではありません。だからこそ、一度法律の問題を抱えると頭の中はその問題でいっぱいになります。四六時中不安になり、体調を崩してしまう方も沢山いらっしゃいます。困り果てて、疲れ切ってしまっているのは、決してあなただけではありません。勇気を出してお話を聞かせてください、お待ちしています。

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