自己破産は生活保護に影響する?ケースワーカーへの説明や費用を用意する方法を解説

自己破産を行うと生活保護を受けられなくなってしまうんでしょうか?

いいえ、自己破産をしても生活保護の受給は可能です。借金を返せず、経済的自立も難しいようであれば、弁護士や行政の力を早めに頼ってください。きっとあなたの力になってくれます。

生活保護需給中に自己破産を行うことは可能です。

また、自己破産を行ってから生活保護の受給申請を行うことも可能です。

むしろ、生活保護受給者は借金の返済ができないため、早期の自己破産を検討されたほうが良いでしょう。

今回は、生活保護と自己破産の関係についてお伝えしていこうと思います。

この記事でわかること
  • 生活保護の受給中もしくは受給を検討されている方でも、自己破産が可能だし生活保護に与える影響は一切ない
  • 生活保護受給中であれば、自己破産費用が免除される可能性がある
  • 生活保護の返還金は、自己破産で0にできるが、徴収金は自己破産で0にはできない

自己破産をしても生活保護の受給に影響はない

結論から言うと、自己破産が生活保護の受給に影響を与えることはありません。

また、「借金を抱えていること」を理由に、これから生活保護の受給申請を検討されている方が不利益を受けることはありません。

自己破産ができる人の条件は、

  • 免責不許可事由に該当しないこと
  • 支払い能力がないこと

大きく以上の2点です。

免責不許可事由とは、無駄遣いやギャンブルによって作った多額の借金や、1回目の自己破産から7年間が経過していないなどが該当します。

支払い能力がないこととは、客観的に見て3年程度で返済できる借金であれば「自己破産をせずに返済をしなさい」となるため、自己破産はできません。

ですが、このような事情に該当しない方は基本的にはだれでも自己破産は可能です。

生活保護の受給に借金の有無は関係ない

生活保護の受給対象は資産や収入が一定以下の世帯です。その他、健康面や就労面、不正受給の可能性などをチェックされますが、生活保護の受給決定に「借金の有無」は一切関係ありません。

ただし「借金の返済で生活が困窮している」のであれば、生活保護の受給は認められないでしょう。債務整理をすれば、通常の生活を送れるだけの収入があるためです。

あくまでも、収入が少なく、自己破産したところで生活ができない人(世帯)が生活保護受給の対象です。

生活保護受給者は借金の返済はできない!

生活保護の受給に借金の有無は関係ありませんが、「生活保護と借金が無関係なのか?」と言えば、そうとも言い切れません。

なぜなら、生活保護を受給されている方が、借金の返済をすることが認められていないためです。

生活保護費を使った借金返済は認められていない

生活保護の目的は、経済的に困窮されている方の最低限の生活を守るための保障です。そのため生活保護費は、生活ですべて使い切ることが前提となっています。「節約をしてお金を浮かせて借金を返済しよう」といったことも認められませんので注意してください。

生活保護を受けても借金自体がなくなるわけではない

生活保護を受給されている方が、新たに借金を抱えたり、生活保護受給前に抱えた借金の返済をしたりすることは認められていません。

一方で、生活保護受給者であることを理由に借金の返済義務はなくなりません。

生活保護を受給していても借金の督促が止まることはない

つまり、生活保護を受給している間は借金の返済ができないけど、債権者(お金を貸した側)からは、支払いに関する督促がずっと続きます。

「生活保護だから支払えません」と、再三の督促を放置していれば財産の差し押さえをされてしまう可能性もありますし、この間に延滞のペナルティである遅延損害金も発生します。

生活保護受給者が借金問題を解決するには自己破産が最も適している

そのため、生活保護の受給を検討されている方や受給中の方が抱えている借金については、自己破産をする以外に解決する方法はありません。

生活保護の受給に借金の有無は関係ないため、自己破産をするタイミングは自分次第です。ただ、早いうちに解決しておいたほうが、自分のためにもなるでしょう。

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もし生活保護受給中に借金をしていたのならケースワーカーには素直に申告を

もし生活保護受給中に借金をしていたのなら、自己破産をする前にケースワーカーには必ず正直に申告してください。

ケースワーカーにバレるような形で見つかってしまうと、最悪生活保護費の支給がストップする可能性があります。

自分から正直に申告することで、支給が止まってしまうような事態を避けられる可能性もありますので、悪質とみなされないようこちらから正直に申告するようにしましょう。

生活保護者におすすめの自己破産費用を用意する方法

自己破産の費用は安くても30万円~と、かなり高額であり、生活保護の受給を検討されている方が費用の捻出をするのはむずかしいでしょう。

そのため、経済的に余裕のない方であっても安心して法律的な相談や手続きができるよう、法テラスには民事法律扶助制度があります。

また、民事法律扶助制度の条件を満たせない方であっても、自己破産費用を分割で支払っていくことも可能です。

「費用の用意ができない=自己破産ができない」ではないので安心してください。むしろ、生活保護受給者はどうにかして自己破産をしなければいけないため、いずれかの方法で自己破産を開始しましょう。

※自己破産の費用捻出が心配な方はこちらの記事もご覧ください。

分割払い対応可能な弁護士事務所を利用する

生活保護受給前に自己破産をするのであれば、費用の分割を利用してみてください。多くの弁護士事務所では、弁護士費用の分割や裁判所へ支払う予納金の積み立てに対応しています。

一括で数十万円単位のお金を用意する必要はなく、手元に資金が少ない方でも安心です。

なお、弁護士に自己破産の相談をし、委任契約(自己破産手続きを委任する契約)を締結することで、債権者(お金を貸した側)に受任通知が送付されます。この受任通知が債権者に届くと、一切の取り立てが止まるうえに借金の返済義務まで止まります。

今まで借金の返済に充てていた費用を弁護士費用や、裁判所へ支払う予納金の積み立てとして、支払っていけば無理なく自己破産ができます。

自己破産をするタイミングは、生活保護受給前・後どちらでも問題ありません。生活保護受給前に借金を解決しておきたいと考えるのであれば、弁護士費用の分割などを利用してみてください。

法テラスの民事法律扶助制度を利用する

生活保護受給者が、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、自己破産費用をすべて免除されます。

この制度は、経済的に困窮している個人を対象に、法テラスが弁護士費用や司法書士費用を立て替えてくれる制度です。

あくまでも立て替え費用であるため、事件が解決した後は返済をしなければいけません。

これは、生活保護受給者であっても例外ではなく、法テラスの援助終結援助終結とは、簡単に言えば「事件は解決したので、もう我々のサポートは必要ありませんね」といった意味。つまり、自己破産の免責許可がおりたタイミングが援助終結となりますした際には、返済義務が発生します。

しかし、法テラスでは費用免除の対象として、「相手方から利益を受けることができず、援助終結後も生活保護を受給している場合は費用を免除する」とされています。

つまり、自己破産という事件の性質上、相手方から利益を得られることはないため、援助終結後も生活保護を受給されているのであれば、費用はすべて免除されます。

参考:法テラス|費用を立て替えてもらいたい

生活保護の返還金は自己破産の対象となる一方、徴収金は対象外なので要注意

生活保護費を不正受給した場合には、返還金もしくは徴収金を支払わなければいけませんが、徴収金は自己破産の対象とならないので注意してください。

そもそも、返還金と徴収金の違いは悪質かどうかで判断されます。ただ、「〇〇をしたら徴収金」「〇〇までは返還金」などの明確な基準はなく、担当するケースワーカーの判断に委ねられています。

例えば、入った収入を申告しなければ不正受給とみなされますが、これも返還金となるのか徴収金となるのかは、ケースバイケースでしょう。あまりにも悪質な場合は、徴収金にとどまらず、生活保護の打ち切りにもなり得ますので注意してください。

そして、生活保護が打ち切りになったとしても、返還金や徴収金の返還義務を免れることは絶対にありません。その一方で、自己破産をすれば、返還金は0にでき、徴収金はできません。同じ不正受給であっても、背負うものの大きさがまったく違います。

では、なぜ返還金は自己破産が可能で、徴収金はダメなのか?生活保護受給者が借金ではなく返還金のみの自己破産はできるの?などについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

返還金は自己破産で0にできる

生活保護を受給している方が、収入があるにも関わらず申告しなかったり、家族からの支援があったのに報告をしなかったりすれば不正受給とみなされます。もしも不正受給としてみなされてしまえば、返還金として受け取った収入や支援分の金銭を返還しなければいけません。

ただ、不正受給があったからといって、ただちに生活保護の受給が打ち切りになることは少ないです。そのため実際には、返還ではなく毎月の生活保護費から返還金分が減額されます。生活保護費は「最低限度の生活を送るための経済支援」ですから、今以上に引かれてしまうと厳しいと考える方も多いでしょう。

自分で自分の首を絞めてしまうだけなので、当然ながら「不正受給をしない」ことが一番良いです。しかし中には、不正受給の認識を持たずに行ってしまう行為もあるでしょう。そうすると、「返還金だけでも自己破産できないかな?」と思われる方もいます。生活保護を受給していれば、自己破産費用も免除されるためです。

しかし実際には、返還金だけの自己破産はむずかしいでしょう。なぜなら、自己破産の条件である「支払い能力がないこと」をクリアできていないためです。生活保護費から返還金が引かれるとは言っても、生活に支障をきたさない程度(金額は地域によって異なります)で引かれます。

そのため、「返還金の支払い能力がある」と判断されてしまう可能性が高いでしょう。ただ、不正受給をきっかけに、生活保護の打ち切りに加え返還金も請求された場合には、「返還金のみの自己破産」も可能となるかもしれません。

徴収金は非免責債権なので自己破産対象外

生活保護費の不正受給の中でも悪質と判断された場合には、返還金ではなく徴収金を支払わなければいけません。徴収金は、不正受給した金額に40%を加算した金額が請求されるうえに、自己破産をしたとことで0になることはありません。

自己破産を行うことで、基本的にすべての債務(借金)が0になりますが、一部、自己破産の対象とならない債権があります。これを非免責債権と呼び、税金や公共料金(水道料金)が該当します。

そして、この非免責債権の中には徴収金も含まれます。ことの発端は生活保護の不正受給ですが、悪質かどうかでその後に与える影響も大きく変わってきますので注意しましょう。

まとめ

今回は、生活保護受給者が自己破産をできるのか?また、自己破産や借金の有無が自己破産受給へ影響を与えるのか?についてお伝えしました。

生活保護を受給していても自己破産は可能ですし、自己破産手続き中であっても生活保護の受給は可能です。また、借金の有無や自己破産の有無が生活保護の受給に対して影響を与えることは一切ありません。

また、生活保護受給者が借金の返済をすることが認められていないとのことでした。その一方で、借金の返済義務がなくならないため、【生活保護の受給=自己破産をするしかない】とのことでした。

法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、費用免除を受けられるため、自己負担額0円で自己破産手続きが可能です。安心して自己破産手続きを開始してください。そして、生活保護の不正受給にも充分な注意が必要でしょう。

返還金と徴収金の違いは「悪質かどうか」です。悪質かどうかの判断はあくまでもケースワーカーが行うため、明確な基準はありません。そもそも不正受給をしなければ、返還金も徴収金も求められることがありませんので安心してください。

もしも求められた場合、返還金であれば自己破産で0にできます。ただもちろん、「返還金のみの自己破産」はできない可能性が高いので、注意しておきましょう。

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