自己破産の非免責債権とは?全ての支払い義務が免除されるわけではないので注意!

自己破産をすると税金などの滞納分も全て支払い義務が免除されるのでしょうか?

残念ながらそうではありません。税金や養育費など、一部の支払い義務に関しては自己破産をしても残り続けることになります。

そうなんですね…。でも、税金を一括請求されてもお金がないのですぐには払えません。どうしたらいいでしょうか?

税金などについては分割払いの相談にも応じてくれます。ご自身の経済状況を話し、計画的な支払いスケジュールを役場の方と決定する事が大切です。

もっとも、自己破産が終わればこれまで借金返済に当てていた分を毎月自由に使えるようになります。その分からコツコツ支払っていくようにしましょう。

自己破産では全ての支払い義務が免除されるわけではありません。

例えば税金や罰金、慰謝料や養育費などの支払い義務は自己破産をしても残り続けます。

では、これらの支払い負担を軽くするための方法はあるのでしょうか?

この記事では非免責債権について詳しく解説します。

自己破産をしても免責されない債権(非免責債権)がある

自己破産をしても免責許可がおりない債権があります。これを「非免責債権」と呼びます。

法律的に言えば破産法第253条1項各号で定められているものといえますが、わかりやすくリスト化すると以下の通りです。

  • 税金や罰金などの公的な債権
  • 不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 養育費などに関する請求権

①税金(1号)や罰金(7号)など

税金等や罰金などの公的な請求権については、自己破産による免責を受けることができません

身近なもので例を出すと以下の通りです。

  • 住民税や固定資産税などの税金
  • 健康保険料
  • 国民年金
  • 駐車違反などの罰金

これらは自己破産の免責対象から外れます。

一括返済が難しい場合は分割での支払い交渉が可能

いくら支払い義務が消えないからといっても、お金がない以上は支払いができないこともあるでしょう。

その場合、一括弁済が難しいのなら分割返済を交渉することができます

また、経済状況次第では支払いの猶予を求めることもでき、これによって延滞税の支払いを回避することも可能です。

各種公的請求権に関しては、このような形で自己破産後の生活再建を阻害しないような選択肢を検討できます。

②不法行為に基づく損害賠償請求権①(2号)

破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権についても、非免責債権として扱われます。

過失や、単なる故意による不法行為ではなく、「悪意に基づく」不法行為の場合に限定されています。

例えば、夫の不貞行為で離婚をする際、妻は夫に対して慰謝料という形の損害賠償請求権をもっています。

このとき、夫の不貞行為が、妻に精神的苦痛を与える目的でなされた場合など、「積極的に妻を害する意図」でなされた場合には非免責債権にあります。この場合、夫が自己破産をしたとしても、妻は損害賠償請求権を失いません。

他方、夫の不貞行為がそのような意思でなされたわけではなく、いわゆる「単なる浮気」であるような場合には、非免責債権とは扱われません。

この場合、夫の自己破産によって妻が有する損害賠償請求権は消滅します。

③不法行為に基づく損害賠償請求権②(3号)

破産者が故意または重過失により人の生命や身体を害する場合の不法行為に基づく損害賠償請求権についても、非免責債権として扱われます。

過失ではなく、重過失である点、生命や身体を害する不法行為である点がポイントです。

例えば、夫のDVが原因で離婚をする際、妻は夫に対して慰謝料という名目で損害賠償請求権を有します。夫のDVは故意のもとで行われていますし、そのDVによって妻は身体的な損害を被っています。

したがって、夫が自己破産をしたとしても、非免責債権である妻の損害賠償請求権が失われることはありません。

また、危険運転に相当するような悪質な運転行為によって交通事故を起こし、そのために被害者の身体などに損害を与えた場合についても同様です。

危険運転は、故意あるいは少なくとも重過失が認められると判断できるので、非免責債権として扱われます。他方、前方不注意や車線変更時の不注意などで交通事故を引き起こした場合、「過失」に基づく損害賠償請求権が生じます。

これは、「故意または重過失」には該当しないので、非免責債権にはなりません。後者については、加害者の自己破産によって不法行為に基づく損害賠償請求権は免責されます。

④養育費など(4号)

夫婦間の協力義務や婚姻費用分担義務、扶養義務や子に対する監護義務を前提として生じる請求権についても、非免責債権として扱われます。

代表的な例として、子どもに対する養育費が挙げられます。

以前、養育費などの支払い請求権は免責許可の対象と扱われていました。

しかし、昨今、子のある夫婦が離婚した場合に、一方が他方に対して養育費を支払わずに滞納をするケースが頻発し、ひとり親世帯の経済状況低迷が深刻な社会問題となりました。

そのため、平成17年の破産法改正において、養育費用等に関する請求権が非免責債権に分類され、元配偶者の自己破産によって泣き寝入りを強いられることはなくなったのです。

「免責不許可事由」にあたる場合も免責が認められない

非免責債権と似ていますが、借金の理由や債務者の行った行為が「免責不許可事由」に該当する場合も自己破産の免責許可がおりません。

免責不許可事由に当たるのは以下の通り。

  • ギャンブルや浪費が原因の借金(4号)
  • 財産を隠匿した場合(1号)
  • 換金行為(2号)
  • 偏頗弁済(3号)
  • 詐欺的な借入れ(5号)
  • その他の免責不許可事由について(6号~11号)

①ギャンブルや浪費が原因で財産が減少した場合(4号)

浪費や賭博などの射幸性の高い行為が原因で財産が減少し、借金を抱えるようになった場合には、免責許可の決定はされません。

「浪費」とは、収入に見合わない買い物を繰り返してしまうこと、「射幸性の高い行為」とは、ギャンブルやFXなどがこれに該当します。

借金の原因がこれらにあることが判明すると、自己破産を申し立てても借金が帳消しにならないのでご注意ください。

②財産の隠匿などの行為(1号)

債権者を害する目的で、本来財産目録に計上されるべき財産を隠匿したり価値を減少させる行為をした場合には、免責許可の決定はされません。

例えば、自分名義の不動産を所有している場合、自己破産手続きによって競売にかけられてしまいます。

不動産を取り上げられるのを防ぐ目的から、親に登記名義を変更したり、市場価格よりも大幅に低い価格での売却を装ったりすると、免責許可を受けられなくなるのです。

出来るだけ手元に財産を残しておきたい、自己破産前の生活状況を損ないたくないという考えからでしょうが、このような逸脱行為はそもそも免責されなくなってしまうのでご注意ください。

③換金行為(2号)

自己破産によってクレジットカードが使用できなくなる前に商品を買いこみ、これを売却すれば現金を手にすることができます。

いわゆる「ショッピング枠の現金化」と呼ばれるものです。自己破産によって借金が帳消しになることを見越してショッピング枠の現金化をするのは、明らかに債権者を害する意図があると判断できるので、このような行為が見受けられる場合には、免責許可はおりません。

④偏頗弁済(3号)

本人がいくつもの債権者から借入れをしている状況で自己破産をする場合、原則としてすべての債権者は平等に取り扱われなければいけません。

このような状況下において、特定の債権者に対してのみ優先的に弁済するなどの行為は、他の債権者が換価処分から受け取れる配当を少なくするものであり、債権者の利益を害するものと考えられます。

このような偏頗(へんぱ)弁済が認められる場合には、免責許可はおりません。

例えば、消費者金融に返済するくらいなら、身近に世話になっていた人からの借金を先に返済しておこうと考え、この人に返済してから自己破産をするという行為は偏頗弁済に該当します。

⑤詐欺的な借入れ(5号)

自己破産を申し立てる1年以内に、すでに自己破産の原因となる事実があるにもかかわらず、これを隠すために虚偽の身分証明書を使用するなどして貸主を騙して借り入れを行った場合には、免責許可はおりません。

⑥その他(6号~11号)

その他、虚偽の財産状況に関する帳簿を提出したり債権者一覧表を偽ったり、あるいは裁判所からの説明の求めに応じないなどの事情が認められる場合には、免責許可はおりません。

自己破産手続きを希望する以上、債権者の利益を害したり、裁判所の職務遂行を妨げる行為は当然看過されるべきものではないでしょう。確認のうえ、ご注意ください。

まとめ

自己破産をしてもすべての支払い義務が消えるわけではありません。

税金などの支払い義務は残るため、今後しっかりと支払いを済ませることが大切です。

もっとも、自己破産をすればこれまで借金の返済に当てていた分をこれらの支払いに回す事ができるようになるはずです。

もし自己破産をご検討中の場合は早めに弁護士などの専門家に相談し、今後の生活面も含め相談をしてみてはいかがでしょうか。

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