家族の借金が発覚!家族間での借金は肩代わりせず弁護士へ相談して解決するのがベスト
じつは夫が家族に内緒で借金をしていたのですが、私も一緒に返済しないとダメですか?


いくら家族の借金でも、本人以外は基本的に返済しなくて大丈夫です。あなたが保証人になっていたり、負債を相続していない限り、借金の返済義務は債務者本人にしかありません。
よかった!でも夫だけで返済できるか心配なのですが、どうすればいいでしょうか・・・


家族の借金返済が滞ってしまうと、住んでいる家を差押えられてしまう恐れもあるため注意が必要です。もし借金が払えないときは弁護士へ相談して「債務整理」で借金を減らしてもらうのがベストでしょう。
ある日突然、家族の借金が発覚すると「自分まで返済しないとダメかも・・・」と心配になってしまいますよね。
いくら家族の借金でも、法律上は借りた債務者本人にしか返済義務はないため、配偶者や子供はもちろん親兄弟も返済する必要はありません。
むしろ、借金を作った債務者本人が更生するチャンスを失ってしまう上、肩代わりした側の金銭的負担となって共倒れしてしまう恐れもあるので、家族の借金は肩代わりしない方がよいでしょう。
この記事では、家族の借金が発覚したケースについて、借金滞納によって財産や給与を差押えられないための相談先や対策方法を解説します。

- 家族が借金をしていても、債務者本人以外は基本的に返済しなくてOK。
- 家族の借金が発覚したときは「債務整理」で借金を減らせる弁護士へ相談するのがベスト。
- 再び家族が借金に手を出さないためには「貸付自粛制度」や「生活再建支援カウンセリング」へ相談するのもひとつ。
家族の借金は肩代わりする必要なし
いくら家族の借金であっても、本人以外が肩代わりする必要はありません。
夫や妻、子供が借金に悩んでいると「できれば肩代わりしてあげたい」と感じてしまうことも多いですが、ここは手を貸さずに見守るのが最善です。
法律上でも借金の返済義務は利用者本人にしかないので、基本的に「家族の借金は返済しないでよい」と認められています。
家族の借金を肩代わりしてしまうと、家計を圧迫してしまうだけでなく、債務者本人が借金をやめるための機会も奪ってしまうので、なるべく家族は借金問題に直接関わらないようにしましょう。
原則として債務者本人にしか返済義務はない
そもそも法律上では、仮に債務者本人が借金滞納をしていても、その家族に返済義務はありません。
また、保証人以外の家族や親戚などへの取立ては法律で禁止されています。
貸金業者などの債権者が法律を遵守している限り、債務者本人以外の家族へ借金返済を求めることは基本ありませんが、もし要求された場合は断って大丈夫です。
それでも貸金業者が家族の借金の肩代わりを要求してくる場合、貸金業法第21条に違反するため、警察へ通報しましょう。
第21条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
(中略)
7 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。
家族にも借金の返済義務があるケースは3つ
基本的に債務者本人にしか返済義務は無いとはいえ、家族の借金を100%返済せずに済むとは限りません。
例外として次の3つのケースでは、債務者本人だけでなく家族にも返済義務があります。
- 自分が借金の保証人または連帯保証人の場合
- 故人の借金を相続した場合
- 自分が契約した家族カードで借金をされた場合
わかりやすくいうと「家族が困ったときは自分が借金を肩代わりします」と保証人になってしまったケースや「家族の借金を自分が引継ぎます」と相続してしまったケースなどでは、債務者本人だけでなく家族にも返済義務が生じてしまいます。
それぞれのケースについて「なぜ返済義務が生じるのか?」法律的に解説していきます。
1.自分が保証人または連帯保証人になっているケース
まず1つ目は、家族の借金に関して自分が保証人または連帯保証人になっているケースです。
保証人や連帯保証人とは、債務者本人が問題を起こしたとき、その借金に関して代わりに責任を負う人のことです。
借金をした債務者本人が返済しない場合、その返済義務は保証人や連帯保証人へ移行するため、債務者本人に代わって借金返済しなければなりません。
とくに注意するべきは連帯保証人になっているケースで、債権者が借金返済を求めてきた場合に「まずは主債務者に要求してほしい」と主張できる権利がないため、自分の意思に関係なく借金を肩代わりさせられてしまいます。
2.故人の借金を相続したケース
2つ目は、家族の作った借金を自分が相続してしまったケースです。
家族が亡くなった場合、故人の財産を相続できますが、財産と負債はセットで相続しなければなりません。
被相続人の死亡を知った日から3ヶ月を過ぎると、すべての財産と負債が自動的に相続されてしまう上、一度相続されてしまうと手放すことはできないので注意が必要です。
借金を相続したくない場合、故人の死亡を知った日から3ヶ月以内に「相続放棄」をおこない、財産と負債を相続しないように手続きしましょう。
3.自分が契約した家族カードで借金をされたケース
3つ目は、自分が契約した家族カードで家族が勝手に借金を作ってしまったケースです。
家族カードとは、クレジットカードの契約者本人だけでなく、その配偶者・親・子供もカードを利用して買い物ができるサービスです。
ですので、自分が契約した家族カードで家族が借金をしてしまった場合、返済義務は利用した家族本人ではなく契約者である自分に帰属します。
もしも家族が家族カードを使いすぎるようであれば、契約者自身で電話やインターネット上から家族カードを解約できるので、早めに解約手続きをしておきましょう。
家族の借金問題を相談するなら弁護士がベスト
家族が借金をしている場合、あまりにも借金滞納が続くと、債権者から裁判を起こされてしまい、財産や給与を差押えられてしまいます。
もちろん差押えられるのは債務者本人の財産や給与ですが、もし家族で住んでいる家が債務者名義であれば差押えの対象になるため、債務者以外の家族全員も住めなくなってしまいます。
このように家族の借金を放置していると、いま住んでいる家を失ってしまうリスクもあるので、早めに弁護士へ相談するのがベストです。
つづいては、家族の借金問題を弁護士へ相談するメリットや注意点を解説します。
「債務整理」を依頼すれば借金を減らせる
家族の借金問題を弁護士へ相談する最大のメリットは「債務整理」という手続きで借金を減らせることです。
「債務整理」には次の3種類があり、それぞれ減らせる金額などが異なります。
種類 | 減らせる金額 |
---|---|
任意整理 | 借金の利息の全額または一部を減額 |
自己破産 | 借金総額をすべてゼロにする |
個人再生 | 借金総額を1/5程度に圧縮 |
3種類ある債務整理のうち代表的なのは「自己破産」で、この場合は家や車といった財産の差押えと引換えに借金をゼロにできます。
そのため、もし経済的に余裕がなくて借金返済が難しい場合でも、債務整理手続きをとることで合法的に借金を減らして完済を目指せます。
自己破産以外の方法なら家を手放さなくてOK
債務整理で借金を減らす場合、必ずしも家や車を手放す必要があるわけではありません。
「さすがに家を手放すのはちょっと・・・」という方でも、自己破産ではなく任意整理や個人再生を利用すれば、家を残した上で借金を減らすことも可能です。
任意整理や個人再生を選択する場合、自己破産に比べて減額できる借金は少なくなりますが、家や車を残せるので現状の生活を続けながら借金完済を目指せます。
債務者が借金できないように5~10年間制限できる
債務整理を依頼するメリットは、借金を減らせることだけではありません。
債務整理をすると、その後5~10年間ほぼすべての金融機関や貸金業者で借金ができなくなります。
債務整理した事実は信用情報機関を通じてほぼ全ての金融機関へ知れ渡るため「うちの会社でもまた債務整理して借金を減らされるのでは・・・?」と思われてしまい、その後5~10年間は債権者がお金を貸してくれなくなるのです。
「5~10年間はお金を借りられない」というと、デメリットにも思えますが「どれだけ債務者本人が借りたいと思っても、債務整理後の5~10年間は勝手に借金ができない」と考えれば、メリットとも考えられます。
債務整理後も家族のローンやカードは利用可能
債務者本人が債務整理しても、家族のローンやクレジットカードには一切影響がないので、これまでどおり利用可能です。
ですので、もしも債務整理後にお金が必要になった場合、家族が代わりにローンを組んだり、家族カードを渡すことで代用できます。
ただし、家族が利用した金額も契約者の借金として扱れてしまうので、使いすぎを防ぐためには限度額が設定されているデビットカードやプリペイドカードで代用した方がよいでしょう。
種類 | 特徴 |
---|---|
デビットカード | カードを利用すると銀行口座から利用金額が引き落としされる |
プリペイドカード | 事前にカードに入金しておいた金額だけ利用できる |
家族が相談する場合も債務者本人の委任状が必要
たとえ家族でも債務者本人の合意がないと、弁護士へ債務整理を依頼できません。
なぜなら、債務整理の手続きに必要となる借金の取引履歴は、基本的に金融機関は債務者本人にしか情報開示してくれないからです。
そのため、家族が代理人として弁護士へ債務整理を依頼する場合、債務者本人による委任状が必要になります。
ただし、弁護士へ債務整理を依頼する場合、相談だけであれば本人以外の家族でも大丈夫です。
「ご家族のケースなら、◯◯円まで借金を減らせそうです」といった具体的なアドバイスを得られるので、実際に依頼するかは別として、いちど弁護士の無料相談を受けてみるとよいでしょう。
借金返済においてやるべきことと借金対策
家族の借金が発覚した場合、債務者本人の力だけで借金を完済することは難しいです。
いくら家族から「借金をやめてほしい」といっても、債務者本人が再び借金をしてしまう恐れもありますし、スケジュールを立ててしっかり返済していくことも難しいので、サポートしてあげましょう。
債務者の借金返済を家族がサポートする場合、次のような方法があります。
- 借金の状況を把握する
- おまとめローンで借金を一本化する
- 「貸付自粛制度」を申請する
- 「生活再建支援カウンセリング」を受ける
それぞれの方法について、具体的にみていきましょう。
まずは借金の返済状況を整理しよう
まずはじめに、借金の返済状況を把握する必要があります。
以下の点を整理して「どんな借金がいくらあるのか?」をしっかり確認しましょう。
- どこから借りているか?(消費者金融・銀行・闇金)
- どのくらいの期間借りているか?
- 保証人や連帯保証人、担保はあるか?
- 家計から考えて毎月いくら返済できそうか?
例えば、保証人や連帯保証人がいる場合、債務整理すると借金の返済義務が移ってしまう恐れがあるので、保証人や連帯保証人も交えて対応しなければなりません。
その他にも「毎月いくら払えば、いつ頃に借金完済できそうか?」といった返済スケジュールを立てるためにも、借金の返済状況は早い段階で把握しておいた方がよいでしょう。
おまとめローンで借金を一本化する
「返済遅延金が高すぎて、毎月の返済額の大半が利息になっている・・・」など、借金返済が滞っている原因が利息にある場合、銀行や消費者金融が提供している「おまとめローン」で借金を一本化するとよいでしょう。
借入先が多いほど「A社の利息が5000円、B社の利息は7000円、C社の利息は1万円・・・」といった具合に、借入先の数だけ利息を多く払わなければいけないため、返済額が多くなってしまう傾向にあります。
おまとめローンへ借換えすれば、利息が1社分で済むので、毎月の返済がだいぶ楽になります。
銀行系 | 消費者金融系 | |
---|---|---|
メリット | 金利が安い 限度額が高い |
審査に通りやすい 即日融資が可能 |
デメリット | 審査が厳しい | 金利が高い |
おまとめローンを利用するだけで、毎月の返済額を半額近くまで減らせる場合もあります。
借入先が多いほど利息を減らせるので、とくに多重債務の方におすすめです。
ただし、あくまで利息を減らして毎月の返済額を軽くするだけで、基本的には返済が長期化してしまうケースが多いため注意しましょう。
家族が再び借金をしないための対策も必要
おまとめローンで借金を一本化したり、弁護士に債務整理を依頼しても、その後に借金を増やしてしまったら意味がありません。
そのため、債務者である家族が再び借金をしないための対策も必要になります。
例えば「まずは今月は借金をしないように頑張ってみよう」など小さな目標を設定して、借金をしない生活ができるよう工夫するとよいでしょう。
それでも家族が再び借金をしてしまいそうな場合は「貸付自粛制度」や「生活再建支援カウンセリング」を頼ってみるのもひとつです。
「貸付自粛制度」を申請する
浪費癖がある場合やギャンブル依存症を抱えている場合など、家族が再び借金をしてしまう恐れがあるケースでは、「貸付自粛制度」を申請するとよいでしょう。
貸付自粛制度とは、2019年3月にスタートした制度で、各都道府県の日本貸金業協会へ申請することで、金融機関から借入できないように5年間制限できます。
お金を貸付する前には、必ず金融機関による信用情報の確認がおこなわれますが、その際に貸付自粛を申請した事実が調べられてしまうため、審査に通らなくなります。
ただし、基本的に貸付自粛制度は本人自身による申告が必要になるため、家族による説得が必要不可欠になります。
もし債務者本人の同意を得られるなら、Web上や郵送でもかんたんに申請できるので「そのままだと再び借金をしてしまいそうなので、貸付自粛制度を利用したい」と相談してみるとよいでしょう。
- 日本貸金業協会 相談・紛争解決窓口(0570-051-051)
「生活再建支援カウンセリング」を受ける
「家族が借金をしていて心配だけど、なかなか相談できる人がいない・・・」といった場合、日本貸金業協会の生活再建支援カウンセリングへ相談するとよいでしょう。
「生活再建支援カウンセリング」では、消費生活アドバイザーなどの専門資格をもつカウンセラーから、借金問題を解決するためのアドバイスが受けられます。
なかでも「生活再建支援カウンセリング」の特筆すべき点は、債務整理についての法的アドバイスや公的支援だけでなく、その後の家計の立て直しに向けた相談もできることです。
例えば、債務者本人には浪費の原因となる遊びやギャンブルの断り方などを、その家族にも借金をしている本人に対する関わり方などのアドバイスをしてもらえます。
「生活再建支援カウンセリング」は無料相談もできるので、債務者本人や家族だけで悩みすぎず、一度カウンセリングを受けてみるとよいでしょう。
- 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター(03-5739-3861)
まとめ
家族に借金があっても、保証人や連帯保証人でない限り、基本的に債務者本人にしか返済義務はないので、肩代わりする必要はありません。
とはいえ、そのまま家族が借金滞納を続けると、住む家を失ってしまう恐れもあるので、弁護士へ相談して借金を減らしてもらうのがベストでしょう。
弁護士へ相談すれば「債務整理」という手続きで借金を減らせるだけでなく、今後5~10年間は家族が借金をできないように制限できます。
また、家族が再び借金に手を出さないための対策として「貸付自粛制度」や「生活再建支援カウンセリング」の利用も有効です。
家族の借金問題は1人で抱え込まず「夫が◯◯円くらい借りていて、返済できるか心配・・・」といった悩みを、まずは無料相談で弁護士やカウンセラーへお話してみてはいかがでしょうか。

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