【うつ病で借金返済できない】受けられる経済的支援と借金減額制度を解説
うつ病で会社に行けないので収入がありません!うつ病を治したり借金を返したりするのに支払うお金がないです・・・。何かよい方法はありませんか?


まずは市区町村役場などへ行き、支援制度を申請しましょう。生活費や医療費をサポートしてもらえるので、うつ病で収入がなくても生活資金を確保できます。
とりあえず暮らしていけそうなのでよかったです。けれど、借金返済までは手が回らないので、どんどん利息が増えてしまいますよね・・・。


弁護士に依頼すれば「債務整理」という手続きで借金を減額あるいは免除してもらえます。うつ病の方でも利用できるので大丈夫ですよ。
うつ病になると外出すらできない日もあり、仕事へ行けずにお金に困ってしまう方は多いですよね。
そんな状態で借金返済しようと思っても、生活で手一杯なのに借金返済まで手が回るはずがありません。
ですので、まずは国が用意している支援制度を最大限に活用して、生活費や医療費による負担をなくしてから、余裕があれば借金返済をしましょう。
どうしても借金返済が難しいときは「債務整理」で借金を減額したり、返済義務の解消ができます。
うつ病や借金の悩みはひとりで抱え込まずに、困ったときは行政機関や弁護士に「どんな支援制度が受けられるか」を相談するとよいでしょう。

- うつ病でも受けられる経済的支援を利用すれば、生活費や医療費を少なくできる。
- 弁護士に債務整理を依頼すれば、うつ病の治療中でも借金が減額あるいは免除される。
- 返済遅延金や財産の差押えを避けるためにも、うつ病の治療より先に借金問題を解決したほうがよい。
- うつ病で借金返済が苦しいときは支援制度を受けよう
- うつ病で休職中でも生活費に充てられる経済的支援
- 生活に必要な金額が支給される「生活保護」
- 月収の2/3の金額が支給される「傷病手当」
- 障害に応じて毎月6万円以上支給される「障害年金」
- 失業または休職中のみ家賃が支給される「住居確保給付金」
- 国から低金利で融資を受けられる「生活福祉資金」
- うつ病の治療にかかる医療費や生活費を抑えられる支援制度
- うつ病でも借金返済は最優先!「債務整理」で借金を解消しよう
- うつ病の治療より借金返済を優先したほうがよい理由は3つ
- うつ病でも債務整理の手続きは問題なく進められる
- うつ病で休職中であれば「自己破産」で債務をなくそう
- 職場復帰できるなら「任意整理」や「個人再生」で債務を減らそう
- うつ病は1人で抱え込まず医師や専門家に相談しよう
- 診断書をもらうためにも通院をやめず必ず定期的に受診しよう
- どの支援制度が受けられるか最寄りの行政機関に確認しよう
- インターネットや電話で相談できるカウンセリングを受けよう
- 病状が改善したらうつ病でも働ける環境の仕事を探そう
- 借金問題は無料相談できる弁護士に相談しよう
- うつ病の家族や友人が借金をする時に連帯保証人になるリスクも知っておこう
- まとめ
うつ病で借金返済が苦しいときは支援制度を受けよう
うつ病になると、なかなか会社へ出勤できなかったり、外に出ることすら難しくなってしまったり、日常生活を送ることさえ難しい日も多いと思います。
そんな時に借金を返済しようと思っても、うつ病の治療や日常生活だけで手一杯なのに返済まで手が回らないのは仕方のないことです。
この国では、うつ病の方を助けるためにさまざまな支援制度が用意されており、生活費や医療費を国が支援してくれます。
まずは借金返済を焦る前に、こうした支援制度を利用して日常生活における経済的負担を軽くしておきましょう。
ここでは、うつ病状態で受けられる生活費や医療費を抑えるための支援制度をできるだけ多く紹介していきます。
うつ病で休職中でも生活費に充てられる経済的支援
うつ病が原因で仕事に行けなくなると、収入も減ってしまい、毎日の食事や生活費さえ負担になってしまいますね。
総務省の調査によれば、1人暮らしでも1ヶ月あたり10万円弱の生活費がかかるとされています。
費用の種類 | 金額 |
---|---|
住居費 | 27,437円 |
食費 | 44,348円 |
水道・光熱費 | 9,972円 |
通信費 | 7,825円 |
※総務省「家計調査報告(家計収支編)」2019年
ですので、まずは日常生活を送るための生活費を確保しなければなりません。
うつ病であれば、さまざまな支援制度が利用できるため、国から支給されるお金を生活費に充てることが可能です。
まずは、うつ病を抱えている方の生活費に充てられる経済的支援を確認していきましょう。
生活に必要な金額が支給される「生活保護」
うつ病により生活するお金がないと判断されると、最低限の生活を保障するための経済的支援「生活保護」を受給できます。
生活保護には大きく8種類あり、以下のような費用の中から必要に応じて支給されます。
生活保護の種類 | 目的 |
---|---|
生活扶助 | 日常生活を送るための費用 |
住宅扶助 | 住居の家賃を払うための費用 |
教育扶助 | 子供が義務教育を受けるための費用 |
医療扶助 | 医療サービスを受けるための費用 |
介護扶助 | 介護サービスを受けるための費用 |
出産扶助 | 出産にかかる入院費や用具の費用 |
生業扶助 | 就労技能を修得するための費用 |
葬祭扶助 | 葬儀をおこなうための費用 |
例えば生活扶助であれば、地域や年齢、世帯人数などで変わりますが、受給できる金額は以下のとおりです。
条件 | 生活扶助額 |
---|---|
30歳男性(東京都23区・単身) | 77,730円 |
40歳女性(愛知県豊根村・単身) | 66,280円 |
42歳女性(神奈川県横浜市・2人世帯) | 122,980円 |
ただし、生活保護は誰でも受給できるわけではなく、生活が困窮していることを証明しなければ受給が認められません。
うつ病であることを証明できるだけでなく、障害者加算によって通常より多く生活保護を受給できるので、生活保護を申請する前には診断書や障害者手帳を用意しておくとよいでしょう。
月収の2/3の金額が支給される「傷病手当」
うつ病のために会社を休んでしまい、十分な給与が得られない場合、これまでの月給の約2/3の金額を「傷病手当」として受け取れます。
以下の条件に当てはまる場合、最長1年6ヶ月間も「傷病手当」を受給できるので、当面の間は生活費を心配しなくて大丈夫です。
- 社会保険の健康保険に加入している
- うつ病により仕事を4日以上休んでいる
- 休んだ期間の給与の支払いがない
ただし、実際にうつ病で通院していないと「傷病手当」が支給されない恐れがあるため注意が必要です。
後述する医療費が控除される制度である「自立支援医療」と併用すれば、自己負担1割で病院の診察を受けられるので、外出が困難でも通院しておきましょう。
障害に応じて毎月6万円以上支給される「障害年金」
うつ病により日常生活や労働へ影響が出ている場合「障害年金」を受給できます。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、加入している年金によって異なります。
障害年金の種類 | 条件 |
---|---|
障害基礎年金 | 障害を負った時に国民年金に加入していた |
障害厚生年金 | 障害を負った時に厚生年金に加入していた |
ただし、これまでに国民年金保険料を滞納していると「障害年金」を受給できない恐れがあるため注意しましょう。
- 公的年金の加入期間のうち1/3以上の期間で保険料を滞納している
- 初診日の前々月から過去1年間に保険料を滞納している
また、すでに「傷病手当」を受給している場合は「障害年金」との併用はできず「生活保護」を受けている場合も全額は支給されないため、申請する順番に気をつけましょう。
失業または休職中のみ家賃が支給される「住居確保給付金」
うつ病により失業または休職中であれば、家賃相当額が3~9ヶ月間は「住居確保給付金」として自治体から支給されます。
以下の条件に該当すれば、家賃相当額の給付金が支給されるので、うつ病により収入が少なくても家を失う心配はありません。
- 家賃を支払えずに住宅を喪失した、またはその恐れがある
- 申請日において65歳未満であり、離職等の原因となる日から2年以内である
- 離職日等の日に、属する世帯の生計を主に維持していた
- ハローワークに求職を申込み、誠実かつ熱心に求職活動をおこなうこと
ただし「住居確保給付金」は自治体から不動産会社などへ直接支払われるため、家賃以外の用途に使うことはできません。
また、支給額の上限は市区町村ごとに異なるため、自治体のホームページで確認しておきましょう。
参照:渋谷区ホームページ
国から低金利で融資を受けられる「生活福祉資金」
うつ病で生活が不安定になった場合などは「生活福祉資金」という低金利での融資が受けられるので、生活費に充てるのもひとつです。
「生活福祉資金」には以下の4種類があり、うつ病の場合は「総合支援資金」を受給できる可能性があります。
種類 | 説明 |
---|---|
総合支援資金 | 生活を送るために必要な費用を融資する |
福祉資金 | 仕事を営むために必要な経費などを融資する |
教育支援資金 | 低所得世帯の進学に必要な教育費用を融資する |
不動産担保型生活資金 | 不動産を担保として生活資金を融資する |
例えば、うつ病によって失業あるいは収入が減少した場合、10年以内に返済する条件で最長3~12ヶ月間、毎月15~20万円まで「総合支援資金」による融資を受けることが可能です。
「生活福祉資金」の利息は連帯保証人を立てれば無利子、連帯保証人がいない場合も年率1.5~3%なので、銀行よりも低金利で融資が受けられます。
ただし「生活福祉資金」には返済義務があるため、返済できる見込みがない場合は認められない可能性もあるので注意しましょう。
「生活福祉資金」の貸付限度額や貸付条件は、厚生労働省のホームページにある一覧表から確認できます。
生活福祉資金貸付条件等一覧(厚生労働省)
うつ病の治療にかかる医療費や生活費を抑えられる支援制度
うつ病になると、生活費だけでなく通院費や薬代などの医療費が大きな負担となることも少なくありません。
そうした場合、うつ病であることを役所へ申請すれば、税金をはじめとした生活費や医療費を国が公費で負担してくれます。
医療費を国が負担してくれる制度を利用すれば、1回あたり1,000円未満でうつ病の治療を受けることも可能です。
続いては、うつ病を抱えている方の生活費や医療費を抑えられる制度を紹介します。
所得税や住民税が控除される「障害者控除」
精神障害者保健福祉手帳が交付されている場合や市役所で知的障害者の認定を受けている場合「障害者控除」によって住民税や所得税が控除されるので、税金による負担が抑えられます。
生活や仕事に影響が出るほど障害を抱えている人が障害のない人と同じ税金では、障害のある人の負担が重くなってしまいますよね。
ですので、障害の程度や家族構成によって金額が異なりますが、以下の金額が住民税と所得税から控除されます。
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
障害者 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
うつ病の場合は「特別障害者」ではなく「障害者」にあたることが多いため、所得税27万円と住民税26万円の控除を受けられる可能性が高いです。
「障害者控除」の適用される要件など、詳しくは国税庁のホームページを参考にしてください。
障害者控除(国税庁)
医療費が1割負担になる「自立支援医療」
「自立支援医療」はうつ病の治療にかかる医療費を国の公費で負担してくれる制度です。
病院で医療を受ける場合、通常は医療費のうち3割を支払いますが「自立支援医療」が適用されると支払う金額が原則1割で済みます。
- 国民健康保険などに加入している場合=自己負担3割
- 自立支援医療が認められる場合=自己負担1割
うつ病治療にかかる治療費は1回あたり平均2,000円前後ですので、「自立支援医療」を利用すれば1回あたり1,000円未満で治療を受けることが可能です。
さらに上限を超えた分は公費で賄われるので、どれだけ医療を受けても1ヶ月あたり一定額以上の医療費を負担せずに済みます。
条件 | 月額負担上限 |
---|---|
生活保護を受給している | 負担なし |
80万円以下 | 2,500円まで |
80万円以上 | 5,000円まで |
市区町村納税額が3万3,000円未満 | 5,000円まで |
市区町村納税額が3万,3000円~23万5,000円未満 | 10,000円まで |
市区町村納税額が23万5,000円以上 | 対象外(重度の場合20,000円) |
「自立支援医療」は病院の診察だけでなく、処方された薬代にも適用されるので、費用を気にせずうつ病の治療に専念できますね。
ただし「自立支援医療」の申請には医師の診断書が必要になるため、主治医に相談してみるとよいでしょう。
携帯料金や水道料金が減額される「精神障害者保健福祉手帳」
うつ病によって日常生活や社会生活に支障があると認定されると「障害者手帳」のひとつである「精神障害者福祉手帳」を取得できます。
「精神障害者保健福祉手帳」が交付されると、税金の控除だけでなく公共料金などの割引も受けられるため、日常生活でのさまざまな出費を抑えられます。
- 鉄道・バス・タクシーなどの運賃が割引される
- 携帯電話料金が割引される
- 上下水道料金が割引される
- 公共施設の入場料が割引される
- 障害者雇用枠に応募できる
社会復帰を目指す場合も、障害のある人だけの雇用枠である「障害者雇用枠」を利用できるので、再就職できる可能性が高くなります。
ただし「精神障害者福祉手帳」の交付に必要な診断書は初診から6ヶ月以上経過していないと作成できないため、できるだけ早く医師の診察を受けたほうがよいでしょう。
うつ病でも借金返済は最優先!「債務整理」で借金を解消しよう
ここまで紹介した支援制度で生活費や医療費を抑えられるので、うつ病でも問題なく生活できることがわかりました。
しかし、うつ病で収入がない状態だと「日常生活で手一杯なので、借金返済まで進めていくのは難しい」という方も少なくありません。
うつ病で借金返済に回すお金がない場合、弁護士に「債務整理」という手続きを依頼することで借金を減額あるいは免除できます。
種類 | 結果 |
---|---|
自己破産 | 20万円以上の財産と引換えに借金を返済せずに済む |
任意整理 | 利息だけ減らして、残りの借金を返済していく |
個人再生 | 利息以外も減額して、残りの借金を返済していく |
債務整理には3種類あり、選ぶ方法によって減らせる金額は違いますが、どの債務整理でも借金を減らして返済しやすくできるので、うつ病を抱えている方でも借金完済を目指すことが可能です。
うつ病の治療より借金返済を優先したほうがよい理由は3つ
「うつ病を治してから社会復帰して、働いて得たお金で借金を返そう」と考えてしまう方も少なくありませんが、まずはうつ病の治療より先に「債務整理」で借金問題を先に解決しましょう。
うつ病の治療には数年かかるケースが多いため、借金返済を後回しにしてしまうと、その間に借金の利息が増え続けて余計に借金返済が困難になってしまうのです。
ここでは、うつ病治療よりも借金返済を優先したほうがよい3つの理由をひとつずつ解説していきます。
①借金を滞納するほど返済額が増えてしまう
まず1つ目の理由が、借金返済を滞納するほど返済額が増え続けてしまい返済が難しくなることです。
借金は滞納すればするほど、遅延損害金というペナルティが課せられてしまい、返済額が増えてしまうため注意が必要です。
- 遅延損害金 = 借金の残額 × 遅延損害金の利率(年率) × 滞納日数 ÷ 365日
返済額による経済的負担を減らすためにも、できるだけ早く借金を完済しなければなりません。
②借金を滞納し続けると財産や給与を差押えられてしまう
続いて2つ目の理由が、借金の滞納が続くと財産や給与の差押えに発展するリスクがあることです。
借金の滞納が続くと返済額が増えていくだけでなく、最終的には裁判を起こされて給与や財産が差押えられてしまいます。
差押えでは預金や給与などの現金だけでなく、以下のような家や車といった金銭的価値のある財産も手放さなければなりません。
- 銀行口座にある預金
- 給料の1/3の金額
- 誰かに貸した借金を回収できる債権
- 不動産や自動車などの20万円以上の価値のある財産など
財産が差押えられると、うつ病の治療どころではなくなってしまうので、借金問題は早急に解決しましょう。
③うつ病は数年かけて治す必要のある病気なので目先の生活維持が必要
うつ病の治療は最短でも1年以上かかるケースが多く、一度完治しても再発する可能性が高いため、治療期間が長期化しやすいです。
うつ病の完治を待って借金返済を後回しにしてしまうと、1年以上も遅延損害金が発生するので滞納額が膨れ上がり、余計に借金返済が難しくなってしまいます。
ですので、まずは借金問題を先に解決してから、うつ病の治療にゆっくり取り組んでいくのが最善でしょう。
うつ病でも債務整理の手続きは問題なく進められる
債務整理が受けられる条件に病気は関係ないので、うつ病を抱えている方でも条件さえ満たせば債務整理の手続きを進めることができます。
種類 | 条件 |
---|---|
自己破産 | ・借金返済が困難な状態である ・借金をした理由に免責不許可事由がない |
任意整理 | ・債権者からの合意が得られている ・減額した後の借金を3~5年にわたり返済できる収入がある |
個人再生 | ・借金総額が5,000万円以下である ・債権者からの合意が得られている ・減額した後の借金を3~5年にわたり返済できる収入がある |
※借金の原因がギャンブルなどの免責不許可事由だと、自己破産が認められない恐れがあるため注意が必要です。
免責不許可事由の一例
- パチンコ、スロット、競馬、競輪などのギャンブル
- 度を超えたショッピングなどの浪費
- 財産を隠す行為
- クレジットカード現金化などの換金行為
うつ病で休職中であれば「自己破産」で債務をなくそう
うつ病により休職してしまい収入がないのであれば「自己破産」で債務をすべて解消するのがおすすめです。
「自己破産」が認められると、20万円以上の財産を手放す代わりに、すべての債務が免除されます。
実際にうつ病を抱えている方で、借金180万円を自己破産で0円にできたケースが存在します。
仕事のストレスでうつ病になり、会社へ行けない日が増え、生活費のために180万円の借金を抱えてしまったAさんのケースです。
毎月8万円もの借金返済が苦しく、返済に充てられる資産もなかったため、弁護士に自己破産を依頼しました。
弁護士を通して、免責不許可事由がないことを裁判所に説明した結果、自己破産によって借金180万円が全額免除されました。
自己破産が認められる頃には、Aさんのうつ病も快方に向かっており、働きやすい職場への再就職も叶い、借金とは無縁の新しい生活をスタートできたそうです。
自己破産というと、財産をすべて手放さなければならないイメージがありますが、基本的に20万円以上の高価な財産でなければ差押えられることはありません。
自己破産をしても無一文になるわけではなく、家具・家電・衣類といった生活必需品は手元に残せる上、生活保護などの支援制度とも併用できるので、日常生活やうつ病の治療ができます。
- 日常生活に必要な生活必需品は差押えられない
- 自己破産しても再就職で不利になることはない
- 生活保護などの支援制度と併用できる
「自己破産をするとどうなるか?」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
診断書をもらい支払不能であることを証明する
自己破産が裁判所に認められるには、現在のままでは借金を支払えないことを証明する必要があります。
ですので「うつ病が原因で仕事ができず、収入がないため借金が返済できない」ことを証明するために、医師による診断書を裁判所へ提出するとよいでしょう。
精神科や心療内科の医師に依頼すれば、約2,000~3,000円で裁判所に提出する診断書を作成してもらえます。
うつ病であることを弁護士へ説明しておく
自己破産が認められるよう裁判所を説得するためにも、うつ病であることを事前に弁護士へ説明しておくとよいでしょう。
うつ病であることを加味して裁判官を説得してくれるだけでなく、うつ病を抱えている方の体調を考慮して裁判スケジュールを調整するように掛け合ってくれます。
「うつ病により外出が困難である」ことを弁護士が裁判官へ伝えてくれたことで、裁判所へ出廷せずに自己破産できたケースも存在するので、うつ病が重症化している方でも債務整理ができます。
職場復帰できるなら「任意整理」や「個人再生」で債務を減らそう
うつ病の治療と並行しながら働けるのであれば「任意整理」や「個人再生」で借金を減らしてから、残りの借金だけ返済していく方法があります。
任意整理は借金の利息しか減額されませんが、財産を一切手放さずに借金返済の負担を軽減できます。
また、任意整理は裁判所を通さない手続きであるため、周りの人に知られる心配のありません。
借金総額を1/5程度に圧縮できる個人再生についても、減らせる借金が自己破産に比べて少ない代わりに、20万円以上の財産を手元に残すことが可能です。
毎月3~5万円程度の借金返済を続けなければなりませんが、自己破産のように高額な財産を手放すことなく借金完済を目指せます。
任意整理や個人再生のメリット・デメリットについては、こちらの記事で解説しています。
給与明細を提出して借金返済できることを証明する
任意整理や個人再生では「毎月◯◯円くらいであれば借金返済できる」ということを裁判所に証明しなければなりません。
例えば、個人再生の交渉をして毎月の返済額を5万円まで減額できても、収入があって確実に毎月5万円ずつ返済できる証明がなければ、債権者の合意が得られずに自己破産しか選択できない可能性もあります。
ですので、債務整理した後であれば借金返済できることを証明するために、ボーナスや賞与を含めた過去1年分の給与明細を提出するとよいでしょう。
うつ病であることは職場へ打ち明けないほうがよい
任意整理や個人再生では、うつ病治療と借金返済するための仕事を並行して進めますが、うつ病であることは勤務先へ打ち明けないほうがよいでしょう。
うつ病であることを勤務先に打ち明けると「毎日同じパフォーマンスを発揮してくれるか?」や「明日も出社してくれるだろうか?」と不安に思われてしまい、以下のように勤務先での待遇が悪くなる恐れがあります。
- うつ病で欠勤する懸念があるため年収が下がる
- データ入力など簡易な業務しか与えられなくなる
ただし、これから新しい就職先を探すのであれば、うつ病であることを明かして障害者雇用枠で働くほうがよい場合もあります。
うつ病であることを伏せたまま再就職したものの、新しい勤務先の仕事量や人間関係が合わずに退職してしまうケースは少なくありません。
しかし、障害者雇用枠で転職する場合は以下のようなメリットがあるため、うつ病を抱えていても継続的に勤務しやすいです。
- 障害者雇用枠なのでうつ病でも採用されやすい
- 簡易な業務なのでうつ病の再発を防げる
- 上司や周囲の人間にうつ病への理解がある
借金返済するために仕事を続けていくのであれば、うつ病を抱えていても負担のかからない仕事を選ぶとよいでしょう。
うつ病は1人で抱え込まず医師や専門家に相談しよう
ここまでは生活費や医療費を支援してもらえる制度、借金を減額できる制度など、うつ病を抱えながら借金返済するために利用できる制度を解説しました。
つい忘れてしまいがちですが、うつ病ではない健康な人でも、国や他人の手助けを受けることなく自分1人で生きているわけではありません。
ですので、うつ病を抱えている方も1人で悩みすぎずに専門家や行政機関に相談して、うつ病に対するサポートを受けながら社会復帰を少しずつ進めていきましょう。
ここでは「うつ病に対する支援制度を利用したい時、どこへ相談すればよいのか?」を紹介していきます。
診断書をもらうためにも通院をやめず必ず定期的に受診しよう
まずはうつ病を治療するために「精神科」や「心療内科」と書かれた病院を受診しましょう。
- 精神科
- 心療内科
- メンタルクリニック
ここまで紹介した支援制度の多くで診断書が必要になるため、医師に診断書を作成してもらうためにも通院だけは続けるのがおすすめです。
もし診断書を出してもらえなかったり、医師と合わないと感じた時は、遠慮せずに別の病院を受診しましょう。
どの支援制度が受けられるか最寄りの行政機関に確認しよう
続いて「自分のケースではどの支援制度が利用できるのか」を行政機関で確認しましょう。
以下のような行政機関の窓口では、自分の病状や就労状況を伝えると、どの制度を利用できるかなどのアドバイスが受けられます。
- 保健所
- 精神保健福祉センター
- 地域活動支援センター
- 相談支援事業所
また、受けたい支援制度が決まっているのであれば、以下の窓口で直接申請できます。
受けたい支援制度 | 申請できる場所 |
---|---|
生活保護 | 居住地のある地域を所管する福祉事務所 |
傷病手当金 | 全国健康保険協会 |
障害基礎年金 | 住所地の市区町村役場、または年金事務所や年金相談センター |
障害厚生年金 | 年金事務所または街角の年金相談センター |
住居確保給付金 | 自立相談支援機関 |
生活福祉資金 | 市区町村にある社会福祉協議会 |
障害者控除 | 税務署または市区町村役所の課税課 |
自立支援医療 | 市区町村役場の障害福祉課など |
精神障害者保健福祉手帳 | 市区町村役場の障害者福祉主管理課、または保健所や保健センター |
インターネットや電話で相談できるカウンセリングを受けよう
うつ病が続くと「社会復帰して普通に働けるのか・・・」や「借金返済が回らなくて差押えを受けないか・・・」といった不安に襲われる日もあると思います。
うつ病を抱えながらの社会復帰や借金返済で不安なときは、誰かに話してみると楽になるかもしれません。
以下のような窓口では、うつ病の悩みを話すことのできるカウンセラーがおり、インターネットや電話を使ってカウンセリングが受けられます。
「0120」で始まる番号の機関は通話料も無料です。
- いのちの電話(0120-783-556)
- よりそいホットライン(0120-279-338)
- こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)
- 働く人の悩みホットライン(03-5772-2183)
- こころの耳電話相談(0120-565-455)
病状が改善したらうつ病でも働ける環境の仕事を探そう
うつ病が改善してきたら、社会復帰を目指すために新しい仕事を探すのもよいでしょう。
毎日働けるか不安かもしれませんが、以下の窓口に問い合わせれば、うつ病でも働ける仕事を紹介してくれます。
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
ハローワークは求人件数が多いだけでなく、障害者専門の窓口も用意されているので、自分にあった就業先を相談できます。
地域障害者職業センターでは、専任のカウンセラーと連携してうつ病の方でも無理なく働ける就業先を提案してくれます。
ただし、うつ病を再発してしまう方も多いので、くれぐれも無理はせずに自分のペースで社会復帰を目指しましょう。
借金問題は無料相談できる弁護士に相談しよう
借金そのものを減らす「債務整理」をおこなうには、弁護士に相談しましょう。
弁護士に債務整理を依頼する場合、かかる費用の目安は以下のとおりです。
費用名 | 金額 |
---|---|
着手金 | 約2~5万円 |
報酬金 | 約2~5万円 |
減額報酬 | 減額した金額の約10% |
弁護士費用を払えるか不安かもしれませんが、無料相談できる事務所や弁護士費用を後払いできる事務所もあるので、一度相談してみるとよいでしょう。
うつ病の家族や友人が借金をする時に連帯保証人になるリスクも知っておこう
家族や友人がうつ病になると周囲の人々もつらいと思いますが、うつ病を抱えている人の借金を連帯保証人になって肩代わりするのはリスクがとても大きいので避けるべきです。
うつ病を抱えている家族や友人の借金の連帯保証人になってしまうと、借金返済から逃れることができなくなり、返済できなければ債権者本人と同じように自己破産しなくてはならない恐れがあります。
ここでは、うつ病を抱えている家族や友人の借金を連帯保証人になって肩代わりしてはいけない理由を解説します。
連帯保証人になると借金の返済義務が発生してしまう
連帯保証人になってしまうと、うつ病を抱えている債務者本人の代わりに借金を返済しなければなりません。
債務者が借金を支払わなかったとき、本人の代わりに支払いをする人のことを「連帯保証人」といいます。
- 「自分は支払いたくないので、債務者本人に借金を請求してほしい」と請求できない
- 「自分は支払えないので、債務者本人の財産を差押えてほしい」と請求できない
連帯保証人は債権者本人に借金返済を求める権利がないため、債権者から借金返済を請求されたら応じるしかありません。
家族や友人の借金を肩代わりすることのデメリットについては、こちらの記事で解説しています。
うつ病の債権者本人が自己破産しても連帯保証人に返済義務が移るので借金解消が困難
自己破産をすれば、債務者本人が財産を手放すことで借金問題を解消できますが、連帯保証人がいる場合はこの限りではありません。
うつ病を抱えている債務者本人が自己破産をすると、残りの借金が連帯保証人に一括請求されます。
以下のように、債務者本人の返済義務が免除されますが、免除された返済義務は連帯保証人に移行してしまうのです。
- 債務者本人が自己破産すると、財産が差押えられる
- 差押えた債務者の財産を処分して、借金返済に充てられる
- 差押えた財産では返済しきれない場合、残りの借金を連帯保証人が払う
連帯保証人がいなければ、債務者本人が自己破産することで借金問題を解決できるので、お互いのためにも連帯保証人にならないほうがよいでしょう。
債権者の合意がないと連帯保証人を解除できない
「自分も借金を返済できないので、連帯保証人をやめたい!」と思っても、債権者の合意がないと連帯保証人は解除できません。
そして、うつ病を抱えている債務者から肩代わりした借金を払えないと、連帯保証人も差押えを受ける恐れがあります。
最悪の場合、債務者本人だけでなく連帯保証人まで自己破産しなければなりません。
うつ病の家族や友人が心配な気持ちはわかりますが、借金の連帯保証人にはならずに弁護士へ相談して、うつ病を抱えている債務者ひとりで債務整理することを提案してあげましょう。
まとめ
うつ病を抱えながら借金返済をおこなうのであれば、1人で抱え込まず行政機関や弁護士へ相談しましょう。
行政機関では生活費や医療費に対するさまざまな支援制度が受けられるため、うつ病を抱えていても生活資金を確保できます。
支援制度によって生活費や医療費の心配がなくなれば、借金を返済する余裕が出てくるかもしれません。
それでも借金返済が難しいときは、弁護士に「債務整理」を依頼すると借金そのものを減額あるいは免除してもらえます。
うつ病の治療に専念したり、新しい仕事を探して社会復帰を目指すためにも、今ある借金問題だけでも早急に解決しておきましょう。

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