債権差押命令とは?自己対応は危険!債権者に連絡する前に弁護士や司法書士に相談しよう

裁判所から「債権差押命令」と書かれた通知が届いたのですが、ドラマのように家財道具などを差し押さえられるのですか?

債権差押命令が来た場合、債権者が債務者の財産を差し押さえることを裁判所が認めたということを意味しています。すぐに中に入っている差押債権目録を確認して、まずは何が差押えの対象になっているか確認してください。

銀行口座を差し押さえられたようです。でも今は使っていない口座だったので、残高はほとんどありません。

一安心ですね。しかし、一度差押えが空振りに終わったからといって油断はできません。また差押えを受けてしまう前に一刻も早く弁護士や司法書士に相談しましょう。

借金を滞納して裁判所から届いた通知を放置してしまうと、最終的に裁判所から債権差押命令という通知が届くことがあります。

これは裁判で判決が下り借金を支払ってもらうことが決定したのに、債務者が支払をしてくれないために、債権者が支払の代わりに債務者の財産を差し押さえることを裁判所から認められたことを意味しています。

債権差押命令が届いたら、中に入っている差押債権目録に記載された銀行口座や給料が差し押さえられます。

最も良い解決策は残金一括返済ですが、難しい場合は弁護士や司法書士に相談するとよいでしょう。

債権差押命令が来ていても債権者との分割交渉が可能な場合もあるので、まずは弁護士や司法書士に状況を説明して適切なアドバイスをもらいましょう。

この記事でわかること
  • 債権差押命令とは「債権者による財産差押えを裁判所が認めた」ことを知らせる通知
  • 債権差押命令が来たら「差押債権目録」で何を差し押さえられるのか確認しよう。
  • 債権差押命令が来てからの自己対応は大きなリスクを伴うため、弁護士や司法書士に相談しよう。

債権差押命令とは「債権者による財産差押えを裁判所が認めた」ことを知らせる通知

借金を滞納して裁判所から通知が届いていたのに放置してしまうと、債権差押命令という通知が裁判所から届くことがあります。

債権差押命令が届いたということは債権者が裁判の結果、債務名義強制執行によって差押えができる債権の存在や範囲を記した公的文書。債権者が差押えをおこなうには債務名義が必要。を取得し債務者の財産などを差し押さえて、債権を強制的に回収できるようになったことを意味しています。

また、債権差押命令の中には主に以下のような書類が入っています。

  • 当事者目録:債権者・債務者・第三債務者の氏名・住所が記載された書類
  • 請求債権目録:請求対象となる債権の金額や内訳について記載された書類
  • 差押債権目録:差押え対象の財産について記載された書類
※第三債務者・・・債務者に対して何らかの支払義務を負っている人。主に、預金を預けている銀行や勤め先の会社などを指す。

債権差押命令が届いたら、すぐに「差押債権目録」を確認することが大切です。

その理由を次の項目から詳しくお伝えします。

債権差押命令が来たら「差押債権目録」で何を差し押さえられるのか確認しよう

債権差押命令が届いたら、まずは中に入っている「差押債権目録」で何が差押えの対象になっているのか確認しましょう。

債権差押命令で差押えの対象になる財産は、主に以下の2つです。

  • 銀行口座の預金
  • 勤め先からもらう給料

上記以外にも、持ち家などを所有している場合は所有不動産が強制競売にかけられる可能性もあります。

差押えの対象とする財産は債権者自身で探す必要があるため、基本的に申込みの際に登録した勤め先や口座以外は差押えを免れる可能性が高いです。

しかし、債権者は住民票を閲覧することができるので自宅が持ち家の場合は差押え対象になる可能性がありますし、住所から利用しそうな銀行・支店を割り出して手当たり次第に差し押さえるケースもあります。

また、中には住民票から自宅を調べ、自宅から尾行して勤め先まで調べる債権者もいるので注意が必要です。

何を差し押さえるかは債権者の判断によるためこの限りではありませんが、価値が低い財産をむやみに差し押さえても費用倒れになることもあるため、よほど調査して価値があると判断しない限りは家財道具やその他の商品を差し押さえる可能性は低いといえます。

次の項目から、銀行口座と給料のそれぞれが差押え対象になった場合について詳しく解説します。

口座差押えの場合、差押債権目録に記載された銀行・支店の口座が差し押さえられる

差押え対象が銀行口座の預金だった場合、まずは対象の銀行が「ゆうちょ銀行以外の銀行」と「ゆうちょ銀行」のどちらかを確認してください。

対象の銀行がゆうちょ銀行以外の銀行だった場合は、差押債権目録に記載された支店の口座だけが差押え対象となるため、同銀行の別支店に口座があっても差し押さえられることはありません。

しかし債務名義は一度取得すると10年間有効で、債務名義が有効な限り債権者は何度でも差押えができるため、まだ差し押さえていない銀行口座の存在を知られてしまうと後から追加で差押えを受ける可能性もあります。

また、対象の銀行がゆうちょ銀行だった場合は、差押債権目録に記載された貯金事務センター扱いになっている口座が差押え対象となります。

自分の口座がどこの貯金事務センター扱いになっているかは、口座情報の「記号・番号」のうち「記号の2・3桁目」を見ることで確認できます。

ゆうちょ銀行に口座がある人は、以下のサイトを参考に自分の口座がどこの貯金事務センター扱いになっているか確認してみましょう。

参照:残高証明書発行請求に関する担当貯金事務センター送付先一覧

給料差押えの場合、勤め先にも通知が行き毎月手取りの1/4が差し押さえられる

差押え対象が給料だった場合、第三債務者となる勤め先にも債権差押命令が届きます。

差押えの対象となるのは給料全額ではなく、以下の範囲が毎月の給料から天引きされます。

  • 毎月の給料:通勤手当・所得税・住民税・社会保険料を除いた残額の1/4
  • 各期の賞与:所得税・住民税・社会保険料を除いた残額の1/4

ただし、上記残額が月額44万円を超える時は、その残額から33万円を除いた全額が差押え対象です。

手取り24万円の場合:24万円×1/4=6万円 ⇒ 6万円が差押え対象
手取り50万円の場合:50万円-33万円=17万円 ⇒ 17万円が差押え対象

さらに退職した時は、退職金から所得税・住民税を差し引いた残額の1/4が差し押さえられます。

ただし、債務者が差押え先の会社を既に退職している場合などは差押えができません。

しかし前の項目でもお伝えしたとおり、債務名義が有効な限り債権者は何度でも差押えができるため、新しい勤め先を知られてしまうと後から追加で差押えを受ける可能性もあります。

債権の一部を返済すると「取下書」が届くことも

稀に債権差押命令が届いた後に「取下書」という書類が届くことがあります。

これは債権者が債務名義を取得した後に、債務者が借金を一部返済するなどした場合に届くもので、返済分は請求対象の債権から除外するという内容です。

取下書が届いた場合には取下げの範囲を必ず確認しましょう。

取下げの範囲が「申立ての全て」ではなく「既に取り立てた分を除くその余」などとなっている場合には、差押えが止まったわけではないので注意が必要です。

債権差押命令の自己対応は極めて難しい

債権差押命令は通常、債務者より先に第三債務者に郵送され、第三債務者は債権差押命令を受け取ると債務者にお金を支払うことが禁止されます。

そのため、債務者が債権差押命令を受け取った後に差押え対象の口座から預金を引き出すなどして差押えを免れるのは不可能といえます。

もし今回の差押えが空振りに終わった場合でも、返済しなければならない債務は残っているため、また差押えを受ける前に債権者と返済についての話合いなどが必要になります。

債権差押命令を受け取った場合、一番の解決策は残金一括返済ですが、ほとんどの人が一括返済は難しい状況でしょう。

しかし、債権者に対して自分で分割交渉しようとしても取り合ってもらえない可能性が高く、万が一分割返済に応じてもらえたとしても完済まで高額な利息も合わせて支払うよう要求されるでしょう。

それだけでなく、債権差押命令が来てからの自己対応にはさまざまなリスクがあり、難しい場合がほとんどです。

次の項目から詳しく解説します。

分割交渉の際に今の勤め先や預金のある口座を知られると差し押さえられてしまう

前の項目でもお伝えしたとおり、債務名義が有効な限り債権者は何度でも差押えができるため、債権者と自己交渉する際うっかり今の勤め先や預金のある口座を教えてしまうと差押えを受けてしまいます。

また、分割返済を認める条件として今の勤め先や預金のある口座の情報開示を求められる可能性もあります。

時効援用で返済義務をなくそうとしても、既に時効が中断している

長く滞納している借金であれば時効援用することで払わなくて済む場合もありますが、債権者が債務名義を取得した時点で時効は既に中断しており、そこから10年経たないと時効は成立しません。

また前の項目でもお伝えしたとおり、債務名義は一度取得すると10年間有効で、債務名義が有効な限り債権者は何度でも差押えができます。

しかも有効期間中に差押えが実行されるとその時点から10年間に有効期間が変更されるので、これを繰り返すことで有効期間を無限に延ばすことが可能です。

そのため、債権差押命令が来てから時効成立を狙うのはかなり難しいでしょう。

裁判所に範囲変更の申立てをしても認められる可能性が低い

範囲変更の申立てとは、債務者の申立てによって差押えの範囲を変更(減縮)するかどうか裁判所が決定する制度です。

範囲変更の申立てが認められるのは、たとえば生活保護費や公的年金などの公的給付の振込口座が差し押さえられるなど生活が成り立たなくなる場合で、また返済しなければならない債務が減るわけではありません。

むしろ完済までの期間が延びることによって、遅延損害金が増えることもあるので注意が必要です。

債権差押命令が来たら債権者に連絡する前に弁護士や司法書士に相談しよう

債権差押命令が来てからの自己対応や時効援用は極めて難しいため、一括返済が難しい場合は弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

次の項目から、弁護士や司法書士に依頼した場合の具体的な解決策について紹介します。

弁護士や司法書士に依頼した場合の解決策、債務整理3つの方法

弁護士や司法書士に依頼した場合、主に以下の3つの方法で解決します。

任意整理 借金を無理なく払える金額で月々分割して返済できるように、弁護士や司法書士が業者と直接交渉する。
自己破産 裁判所を通して行う手続きで、20万以上の価値のある資産を全て手放す代わりに借金の支払いを免除してもらう。
個人再生 裁判所を通して行う手続きで、20万以上の価値のある資産を手放さずに借金を約1/5に圧縮し、3~5年で分割して完済を目指す。

ただし、既に今の勤め先の給料を差し押さえられることが決まっている場合には、債権者が交渉に応じてくれないため任意整理で解決することができません。

今の勤め先の給料を差し押さえられた場合には、勤め先を変えるか自己破産や個人再生など法的強制力のある手続きで解決することをおすすめします。

任意整理・自己破産・個人再生についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の関連記事を参考にしてください。

10年以上前からの借入なら過払金がある可能性も

「2010年6月18日以前」から借入している場合、過払金が発生している可能性があります。

弁護士や司法書士に相談すると、過払金が出る可能性があるかだけでも簡単に調べてもらえるので、借入開始時期が曖昧な場合なども、一度相談してみることをおすすめします。

まとめ

債権差押命令が来てから自己対応で解決するのは難しく、給料差押えを受けてしまうと任意整理での解決も難しくなってしまいます。

しかし、債権者の差押えが空振りに終われば、まだ交渉の余地は残されているので、慌てず弁護士や司法書士に相談して状況に合わせた最善の解決策を提案してもらうとよいでしょう。

また万が一給料差押えを受けてしまい任意整理が難しくても、自己破産や個人再生などの法的手続きを取れば、借金の負担を減らすことは十分に可能です。

場合によっては勤め先を変えることも視野に入れて検討してみましょう。

いずれにせよ、即対応することで自分の希望に合った解決策を選べる可能性が広がります。

まずは一度弁護士や司法書士に相談し、適切なアドバイスをもらうとよいでしょう。

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