借金滞納後の裁判に行けない時の状況別対処法!呼出状の無視や受取拒否は絶対NG

借金 裁判所 行けない

滞納していた借金のことで東京の裁判所から口頭弁論期日呼出状が届いたのですが、私は九州に住んでいるため出頭するのは難しいです。どうしたらいいでしょうか?

裁判所が遠方で出頭が難しい場合は、裁判所に移送申立てをすることで管轄裁判所を変更できる場合もあります。もしくは答弁書などを用いた擬制陳述をおこなうことで裁判に欠席しても自分の主張を述べることもできます。

なるほど、いろいろな方法があるのですね。できれば月々分割払いで和解したいのですが、その場合はどういう方法を選べばいいですか?

和解で解決したいのであれば、期日に裁判所へ出頭するのが一番です。どうしても出頭できない場合は弁護士や司法書士に依頼して代理人になってもらうことで、代わりに訴訟対応をしてもらえるので一度相談するとよいでしょう。

借金を長く滞納すると、裁判所から訴状が届くことがあります。

訴状の中には口頭弁論期日呼出状が入っており「●月●日に口頭弁論期日が開かれるので、裁判所に出頭してください」という内容が書かれています。

口頭弁論期日に欠席すると債権者に有利な判決が下り、財産を差し押さえられることもあるため、分割払いの和解などを希望するなら口頭弁論期日に出頭するのが一番です。

しかし、さまざまな事情で出頭が難しい人もいるでしょう。

やむを得ず出頭できない場合は弁護士や司法書士に依頼して代理人になってもらうことで、代わりに訴訟対応をしてもらえます。

訴状が届いてから口頭弁論期日まであまり時間がない場合も多いので、対応に困ったらできるだけ早く弁護士や司法書士に相談するとよいでしょう。

この記事でわかること
  • 裁判所の口頭弁論期日呼出状を無視すると、財産を差し押さえられる。
  • 裁判所からの通知は受取拒否できない。
  • 裁判所が遠方で出頭が難しい場合は、裁判所に「移送申立て」をする。
  • 裁判所に出頭できない場合「擬制陳述」や「電話会議システム」を利用する。
  • 借金の一括返済や裁判の自己対応が難しい場合は弁護士や司法書士に相談する。

裁判所の口頭弁論期日呼出状を無視すると、財産を差し押さえられる

借金を滞納すると、債権者が強制的に借金を回収するため裁判所を介した法的手続きに移行し、裁判所から通知が届くことがあります。

裁判所の通知には「支払督促」と「訴状」の2種類があり、訴状が届いた場合には中に「口頭弁論期日呼出状」と書かれた書類が同封されています。

これは裁判所で口頭弁論がおこなわれる日を知らせる通知で、期日に裁判所へ出頭すれば、裁判所が債務者の言い分を聞いて公正に判断してくれます。

しかし期日に裁判所に出頭せず無視すると、債権者に有利な判決が下りてしまい財産を差し押さえられることが多いです。

では、裁判所から送付される口頭弁論期日呼出状などの通知を受取拒否し届いていないことにすれば、裁判は無効になるのでしょうか?

裁判所からの通知は受取拒否不可「届いていないと主張し無視することはできない」

訴状は特別送達という郵送方法で送られますが、特別送達は正当な理由なく受取りを拒否できません。

もし名宛人が受取りを拒否すれば、郵便局員がその場に郵便物を差し置くことで配達したものとみなされます。

また補充送達といって、本人以外の同居人や職場に届いた場合は同僚や上司が受け取っても配達されたとみなされます。

さらに裁判所に対して受取日時が報告されるので、郵便が届いた事実をごまかすこともできません。

配達時間に不在の場合は普通郵便と同様ポストに不在票が入れられ、一定期間内に郵便局まで取りに行かなければ裁判所に差し戻されます。

誰も受け取らず裁判所に差し戻されるのを待った場合、裁判は無効になるのでしょうか?

訴状が裁判所に差し戻された場合、債権者は「付郵便送達」で配達完了扱いにする

誰も受け取らず訴状が裁判所に差し戻された場合、債権者は「付郵便送達」という制度を利用することがあります。

付郵便送達とは、裁判所が改めて訴状を書留郵便で送り、送ったことで(受け取らなくても)配達されたとみなす方法です。

利用するには裁判所に対し、

  • 債務者がその住所に確実に住んでいること
  • 債務者の勤め先が不明であること

を証明する必要がありますが、付郵便送達によって訴状の配達が完了すれば債務者が裁判所に出頭しなくても欠席裁判という形で裁判は進みます。

その場合、債務者は異議がないとみなされ最終的に債権者に有利な判決が下りてしまいます。

【状況別】口頭弁論期日呼出状を受け取ったが裁判所へ出頭できない場合の対処法

前の項目でもお伝えしたとおり、口頭弁論期日に裁判所へ出頭しないと債権者に有利な判決が下り、財産を差し押さえられるのが一般的です。

しかし、さまざまな事情で口頭弁論期日に出頭できない人もいるでしょう。

次の項目から状況別の対処法を紹介しますので、参考にしてください。

一括返済可能な場合は裁判所ではなく債権者に連絡し返済する

もし請求金額の一括返済が可能なら、裁判所ではなく債権者に連絡してその旨を伝え、一括返済するのが最も早く解決する方法です。

訴状に債権者の連絡先が記載されているので、電話で支払方法を確認するとよいでしょう。

また電話の際に、念のため支払いが完了すれば訴えを取り下げてもらえるかも確認しましょう。

裁判所が遠方で出頭する負担が大きい場合は「移送申立て」をおこなう

裁判所が遠方で出頭が難しい場合は、裁判所に「移送申立て管轄の裁判所を変更したい旨を訴える申し立てのこと。必ず変更できるわけではなく最終的に裁判官が判断します。」をしましょう。

出頭にかかる移動の負担があまりにも大きい場合には、移送申立てが認められ、申立者側の住所地で裁判ができる可能性があります。そうなれば、遠方まで足を運ぶ必要はなくなります。

まず、移送申立てをするには「答弁書を提出するより前」に裁判所に移送申立書を提出しましょう。

(※答弁書・・・訴状の内容に異議を申し立てるため裁判所に提出する書類)

移送申立書より先に答弁書を出してしまうと、移送が認められない可能性もあるため注意が必要です。

移送申立書は管轄裁判所のサイトで書式をダウンロードできる場合はそちらを利用するか、ない場合は自分で作成しても問題ありません。

以下の大津裁判所が提供している書式を参考にしてください。

参照:申立て等で使う書式例 | 大津裁判所

移送申立てが認められるのは、たとえば以下のような場合です。

  • 被告だけ交通費や移動の負担が大きい
  • 病気やケガなど身体的な事情で遠方には出頭できない
  • 生後間もない赤ちゃんの育児中で一時預け先がない
  • そもそも契約したのが債務者の住所地にある営業所である

ただし移送申立てが認められるケースは決して多くないため、申立ての理由はできるだけ具体的に記載し、病気やケガが理由で診断書がある場合は証拠資料として提出するとよいでしょう。

また簡易裁判所の場合は全ての期日で擬制陳述が認められているため(期日出頭の必要性が低いため)、移送申立てが却下される可能性があります。

擬制陳述については次の項目で詳しく紹介していきます。

契約書に管轄裁判所に関する規定があっても移送申立ては認められる

契約書に管轄裁判所に関する規定があっても移送申立ては認められます。

なぜなら、裁判所の裁量移送は合意管轄法律で定められた管轄裁判所とは別に、当事者間であらかじめ書面による合意があれば、第一審に限り合意によって管轄裁判所を定めることもできます。よりも強い権限を持つからです。

たとえば沖縄に住んでいる債務者が東京に本社・沖縄に支社がある金融機関に提訴された場合、東京の裁判所が管轄になることがあります。

しかし、公平を期すために必要と裁判所が判断すれば移送申立てが認められます。

また、金融機関は契約書上で専属的合意管轄を定めていることが多いですが、その場合も裁判所が必要と判断すれば移送申立てが認められます

金融機関が契約書上でや専属的合意管轄を定めている場合、規約や契約書の中に以下のような文言が入っています。

東京地方裁判所を管轄する裁判所のみを第一審の専属的合意管轄裁判所とします。

妊娠中などで移動自体が難しい場合は「擬制陳述・電話会議システム」を活用する

妊娠中などで裁判所に出頭できない場合、擬制陳述口頭弁論期日に裁判所に出頭するのが難しい場合、答弁書などに自分の言い分を書いて裁判所に提出すると、提出した書面に記載したことを実際の裁判で主張したものとみなしてもらえます。地方裁判所は一回目の期日のみ、簡易裁判所は全ての期日で擬制陳述が認められています。電話会議システム原告か被告が遠方で裁判所に出頭できない場合、裁判所から一方に電話をかけることによって裁判所にいるもう一方と遠隔で裁判手続きをおこなう方法です。利用するには原告と被告どちらか一方は出頭する必要があります。を利用しましょう。

管轄裁判所が簡易裁判所の場合、擬制陳述することで一度も裁判所に行かずに書面提出だけで手続きを完了させることも可能です。

ただし擬制陳述する場合は、判決で決着がつくことになるので借金滞納が原因で提訴されている場合は勝ち目がなく、原告の請求通りの判決が下りてしまいます。

そのため「分割払いによる和解」を希望するなら、やはり裁判所に出頭する必要があります。

例外として、原告と事前に話合いで合意できている場合は、被告が欠席しても和解案を示した答弁書や上申書を提出していれば「和解案どおりの分割払いを命じる決定」が下されます。

※擬制陳述について、もっと詳しく知りたい人は以下の記事で紹介しているので参考にしてください。

電話会議システムを利用する場合は必ず担当の裁判所書記官に確認する

分割払いで和解したいけど、原告と事前に話合いで合意するのが難しかったり、そもそも管轄裁判所が簡易裁判所ではなく地方裁判所の場合は、電話会議システムを利用するとよいでしょう。

電話会議システムは口頭弁論期日では利用できないため、一回目の期日は答弁書に、

●●(理由)で出頭できないので、次回以降の期日を弁論準備手続きによる電話会議にしてください。

のように記載して提出するか、別途上申書を提出するのが一般的です。裁判所書記官にも直接連絡して相談するとよいでしょう。

弁論準備手続期日に最終判決まで持っていくことはできませんが、口頭弁論期日同様、書面で主張を述べたり裁判上で和解することが可能です。

ただし、電話会議システムを利用する場合は「本人確認が難しい」という理由で代理人弁護士がいる場合以外認めないという裁判所も多いので注意が必要です。

自宅や職場の固定電話などはっきりと場所が分かる場合や、何かの方法で本人確認できる場合は認められる可能性もありますが、携帯電話の場合は却下されることもあります。

管轄裁判所の設備の有無などの問題もあるため、利用する前には必ず担当の裁判所書記官に確認しましょう。

担当の裁判所書記官への相談で口頭弁論の期日を変更できる可能性がある

仕事・育児・介護・病気やけがなど、裁判所に出頭できない理由はさまざまです。

  • 期日当日はどうしても休めない仕事がある
  • 生後間もない赤ちゃんの育児中で一時預け先を探す必要がある
  • 介護が必要な家族がいて、期日当日に面倒を見てくれる人を探す必要がある

以上のような理由があり、期日を変更すれば裁判所に出頭できる場合、担当の裁判所書記官に相談すれば口頭弁論期日を変更してもらえる可能性があります。

相談時には移送申立て同様、変更してほしい理由をできるだけ具体的に伝えることが大切です。

また一回目の期日は、擬制陳述をすれば欠席でもやり過ごせますし、移送申立てをすれば訴訟内容の審理の前に移送の可否について審理されるので、期日は一度取り消される場合が多いです。

認知症や知的障害などで債務者本人が出頭できない場合は「成年後見人」を立てる

認知症や知的障害などで債務者本人が手続きできる状態ではない場合は、成年後見人を立てることで本人の代わりに裁判手続きを進められます。

成年後見人とは、認知症や知的障害などで判断能力が著しく低下した人の財産を保護するために、家庭裁判所から選任されて、本人の財産保護や身上監護をおこなう人のことです。

成年後見人を選任してもらうためには、本人の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所で後見開始の審判の申立てをおこなう必要があります。

手続きの流れや必要書類は各家庭裁判所によって異なるため、詳しくは管轄の家庭裁判所に直接問合せるとよいでしょう。

また弁護士や司法書士に相談すれば借金問題の解決と合わせて依頼できるので、一度相談することをおすすめします。

債務者本人が拘留中の場合は「親族が債権者に拘留されている旨を伝え弁護士に相談」

稀に債務者の親族の方などから「債務者本人が拘留中に訴状が届き、どうしたらいいか分からない」という相談を受けることがあります。

債務者が拘留中に訴状が届いても、債務者が釈放されることはありません。

そのため、刑務所まで出向いて対応してくれる弁護士を探して依頼しましょう。

一つ一つ事務所に問合せて探し出すのは困難なので、地元の法テラスや弁護士会に問合せて弁護士を紹介してもらうとよいでしょう。

借金の一括返済や裁判の自己対応が難しい場合は弁護士・司法書士に相談しよう

請求金額の一括返済が難しい場合や、債権者と直接話したり自分で裁判所に行って手続きするのが不安という場合には、弁護士や司法書士に相談しましょう。

弁護士や司法書士が代理人として、債権者との分割返済交渉など諸々の手続きをすべて進めてくれます。

ただし、司法書士の場合、代理人になれるのは「元金が140万円以下の借金」のみなので注意が必要です。

弁護士の場合、代理人になれる借金の金額に制限がないので、元金の金額に合わせてどちらに依頼するか検討するとよいでしょう。

10年以上前からの借金なら過払金がある可能性も

過払金とは払い過ぎた利息のことで、弁護士や司法書士に依頼して債務整理をすると、同時に過払金があるかも調べてもらえます。

「2010年6月18日以前」から借入している場合、過払金が発生している可能性があります。

弁護士や司法書士に相談すると、過払金が出る可能性があるか簡単に調べてもらえるので、借入開始時期が曖昧な場合なども、一度相談してみることをおすすめします。

長い間滞納している借金なら時効の可能性も

以下の3つの条件に全て該当する場合、借金が時効になっている可能性があります。

  • 5年以上の間、一円も返済していない
  • 5年以上の間、債権者と直接会って、もしくは電話で話しをしていない
  • 滞納が始まってから一度も裁判を起こされていない、もしくは裁判の判決が確定してから10年以上経過している。

借金が時効になっていた場合、自動的に借金が消滅するわけではなく、時効援用をすれば借金を払わなくて済む可能性があります。

ただし、債権者と直接話す中で債務の存在を認めると、「債務の承認」とみなされ、時効が更新されてしまうこともあるため、債務者自身が時効援用の手続きをするのは非常に難しいです。

弁護士や司法書士に相談すれば、時効援用で解決できるか調べたうえで、手続きを依頼できます。

もし自分で取り寄せた信用情報や以前債権者から届いた通知が手元に残っていたら、時効が成立しているか調べる上で重要な資料になるので大切に保管しておきましょう。

もちろん、そのような書類がなくても弁護士や司法書士に依頼することはできるので安心してください。

時効が成立する条件や時効援用については、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。

まとめ

口頭弁論期日に出頭できない場合のさまざまな対処法を紹介しましたが、一度提訴されると債権者が納得する和解案を提示できない限り、財産差押えを回避するのは難しいのが現実です。

裁判所に出頭できる場合は裁判官や司法委員が仲裁してくれますが、出頭できない場合は弁護士や司法書士に依頼する方が自分の希望する返済条件で和解できる可能性は広がります。

訴状が届いてから口頭弁論期日まであまり時間がない場合も多いので、対応に困ったらできるだけ早く弁護士や司法書士に相談するとよいでしょう。

阿部 由羅
監修者

重すぎる債務は、生活を大きく圧迫するだけでなく、精神的にも大きな負担となってしまいます。完済の見込みがつかない借金を返し続けるよりも、一度債務整理を行い、経済的にも心理的にも新たにスタートを切ってみてはいかがでしょうか。
債務整理を行う際には、債務者の方のご状況やニーズに合わせた手続きの選択や対応が必要になります。困難な状況に陥ってしまった方でも、債務の問題を解決するための糸口はきっと見つかります。円滑な債務整理を実現するために、弁護士として親身になってサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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