債務整理してもギターやピアノを残したい!楽器の差押え基準や仕事で楽器を使う人の債務整理について詳しく解説

債務整理 楽器

借金やローンが多くなってしまったので自己破産を検討しています。ギターを数本所有しているのですが、手放さなくても大丈夫ですか?

ローンの返済状況や、ギターの売却価格によっては所有したまま自己破産できますよ。また、ローン返済中でも任意整理であれば手放さないで手続きができます。

ギターの価値は高いもので50万円ほどだと思います。複数の消費者金融から借金している僕でも任意整理できますか?

50万円だと自己破産をすると差押えられる可能性が高いです。複数社からの借金でも任意整理できるので、まずは弁護士事務所で詳しく相談してみてください。

楽器を買う際に、ローンを組む方は多いと思います。

しかし、経済状況の悪化や買い足しでローンの返済が滞ってしまうことは少なくありません。

そして、楽器を手放さないために、ローン返済のための借金をしてしまうケースはよくあります。

「せっかく気に入った楽器を見つけたのだから手放したくない!」という気持ちはよくわかりますが、ローンの返済でさらに借金をする状況(多重債務)を早めに解消しないと、いずれ楽器を含めたすべての財産を失ってしまうことになる恐れがあります。

では、どのような手段で多重債務を解消すればよいのかですが、債務整理という手続きがあるのはご存じでしょうか?

債務整理の手続きには、ローン返済中の楽器や価値の高い楽器を手放さずに借金を解消できる手続きもあります。

この記事では、債務整理したときに手持ちの楽器はどうなるのかをわかりやすく解説します。

債権者から督促が来ているなどで、すぐに借金を解消しなければならない人は、当サイトで紹介している借金解決の実績が豊富な弁護士に今すぐ相談してください。

この記事でわかること
  • 任意整理なら、ローン返済中や価値の高い楽器も手元に残して借金を上手に整理できる。
  • ローンの残っていない楽器なら、個人再生で手元に残せる可能性が高い。
  • 自己破産では原則、売却価格が20万円以上の楽器は手放す必要があるが、現在価値でそれ以下の場合は手元に残せる可能性が高い。
目次
  1. 債務整理すると楽器はどうなるの?
  2. 自己破産すると差押えられてしまう楽器の基準は?
  3. 支払い中や価値の高い楽器がある場合は任意整理を依頼しよう
  4. ローンがなければ個人再生で楽器を残せる可能性が高い
  5. 仕事で楽器を使っている人が債務整理するときに検討すべきこと
  6. 債務整理後に楽器を所有する方法
  7. まとめ

債務整理すると楽器はどうなるの?

「収入が減ってしまい、ギターのローン返済を続けることが難しいけれど手放したくない」

「借金が苦しいので債務整理をしたいが、母親から譲り受けたピアノは手放したくない」

楽器には思い入れのあるものも多く、債務整理をしてもなるべく手元に残したいと思う方が多いのではないでしょうか。

債務整理には「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3つの方法があり、それぞれ楽器を残せる基準が異なります。

  • 任意整理であれば、ローン返済中の楽器でも差押えを回避できます。
  • 自己破産は、20万円以上の換価価値のある楽器は原則手放さなければなりません。
  • 個人再生なら、価値が高い楽器でも手元に残せる可能性が高いです。

次の項目からそれぞれ詳しく解説しますので、自分の状況に合った方法を検討してください。

自己破産すると差押えられてしまう楽器の基準は?

自己破産とは、財産のほとんどを手放して債務をなくす手続きです。

自己破産では、債務者が所有している一定基準以上の財産すべてが差押えの対象となります。

楽器を所有している方が自己破産するとき、自分の所有する楽器は差押えの対象になるのか気になるのではないでしょうか。

自己破産時に差押えの対象となる楽器は「換価価値が20万円以上」であるものです。

また、換価価値が20万円以上でも、自由財産の合計が99万円以下であれば残せる可能性があります。

この項目では上記2つの基準について、それぞれ詳しくお伝えします。

時価20万円以上の換価価値のある楽器は差押えの対象

自己破産をすると、20万円以上の換価価値がある楽器は基本的に差押えの対象です。

楽器の価値は時価で判断されるため、購入時の価格より低くなるのが通常です。

しかし、ビンテージ物や限定モデルなどは価値が下がりにくく、場合によっては購入時よりも価値が高くなることもあるので注意しましょう。

また、差押えの対象となる楽器は自分名義のもののみなので、家族名義であれば差押えられることはありません。

ただし、差押えを回避しようと自己破産直前に名義変更をしてしまうと、免責不許可事由とみなされて借金の返済義務がなくならない可能性があるのでやめましょう。

グランドピアノは古くても換価価値が高めなので差押えの可能性が高い

グランドピアノは購入時の価格も高く、長年利用していても換価価値が20万円を超えるケースがほとんどです。

とくに購入時の価格が数百、数千万円を超えるものは、基本的に差押え対象となると考えておいた方がよいでしょう。

スタインウェイなど海外メーカーのピアノなどは差押さえになるでしょう。

YAMAHAのG2シリーズなど、購入時の価格相場が40万円程度のグランドピアノであれば換価価値が低く、手元に残せる可能性が高いです。

換価価値がそこまで高くないアップライト・電子ピアノは手元に残せる可能性が高い

アップライトピアノの買取相場は、特別なモデルでない限り年式に大きく左右される傾向があります。

比較的新しい10年程度前の年式で、買取相場は20万円程度です。

例えば、中古品として需要の高いYAMAHAのU1・U2・U3シリーズの買取相場は、サイズや販売価格にもよりますが、7万円~10万円程度です。

また、ピアノの買取価格に調律の有無は関係しません。

そのため、上記のようなアップライト・電子ピアノは換価価値が20万円を超えることはあまりなく、自己破産をしても手元に残せる可能性が高いです。

ビンテージや限定モデルのギターは将来的な価値が高めなので差押えの恐れがある

ビンテージや限定モデルのギターは、購入時から価値が下がることはなかなか無く、購入時に20万円を超えていると差押えられる可能性が高いです。

とくに買取相場の高いメーカーとしては、FenderやGibsonをはじめ、PRS(ポールリードスミス)、ESP、Suhrなどのビンテージ・ハイエンドモデルが挙げられます。

その中でも年式が古く生産数が少ないかつ、保存状態のよいものは20万円以上の高値で取引されやすいです。

また、プレミアが付いている有名人と同様のモデルやすでに生産が終了しているギターに関しても、差押えられる可能性があります。

購入時に20万円を下回っていても、現在は価格が高騰しているギターは基本的に差し押さえられると思っていてよいでしょう。

逆に、国産のオーダーメイドギターなどは意外と換価価値が下がる傾向もあります。

ドラムはセットで20万円を超えると差押えの可能性がある

ドラムセットは、それぞれのパーツの売却価格が20万円を下回っていても、セットにすると20万円を超える場合は差押えられる可能性があります。

ただ、パーツの一つ一つが20万円を下回っていれば、換価処分の対象とならないケースも多くあります。ケース・バイ・ケースなので、よほど残したい楽器がある場合は弁護士に相談してみましょう。

ローン返済中の楽器は基本的に差押えられる

ローンで購入し、まだ返済が終わっていない楽器は基本的に差押えられます。

まず、ローンで購入した楽器は、ローンを完済するまでローン会社や販売店に所有権が留保されています。

つまり、ローン完済となるまでは、楽器の所有者は自分ではないので差押さえられるということです。

具体的には、ローン支払い中に自己破産をすると楽器の所有権を留保しているローン会社や販売店が楽器を差押え、差押えた物品を売却して未払いのローン残金に充てます。

自己破産ではローン返済中の楽器は手元に残せないのが基本です。

自由財産の合計が99万円以下なら残せる可能性も

楽器の価値が20万円以上でも、自由財産の合計が99万円以下であれば手元に残せる可能性があります。

法律上は以下の財産が「自由財産」と定められています。

  • 新得財産(破産手続開始後、新たに取得した財産)
  • 差押禁止財産(生活を維持するために必要な財産)
  • 99万円以下の現金

もしも、上記に当てはまる自由財産の合計が楽器を含めても99万円以下であれば、換価価値が20万円を超える楽器でも残せる場合があります。

ただし、著しく価値の高い楽器であったり、自由財産が99万円以下であっても裁判所の判断次第では残すことができません。

参照:「e-Govポータル「破産法第34条」

支払い中や価値の高い楽器がある場合は任意整理を依頼しよう

任意整理であれば、ローンが残っていたり価値の高い楽器であっても手元に残すことができます。

任意整理とは、将来分の利息カットを債権者に交渉し、月々の返済負担を軽減する手続きです。

交渉成立後は、利息をカットした元金を3~5年かけて返済していきます。

返済する借金は残りますが、任意整理する債務を選べるため、ローンが残っている楽器があっても任意整理手続きが進められます。

任意整理をするには、債権者に支払い能力を認めてもらう必要があるため、安定した収入と支払い意思が必要です。

任意整理ならローン支払い中の楽器も残せる

支払い中である楽器のローンを債権者から外せば、ローンを継続したまま任意整理ができます。

ただし、任意整理後に手続きをした借金を滞納すると、残債の一括返済を求められるのが通常です。

その後は、再度の任意整理は認められない可能性が高く、自己破産か個人再生を余儀なくされるケースが多くあります。

そうなると、ローン返済中の楽器は手放さなくてはいけないため、任意整理手続き後の滞納はしないようにしましょう。

任意整理なら価値の高い楽器も残せる

任意整理をしても、自己破産のように所有している財産が差押えられることはありません。

なぜなら、任意整理は元金のみの返済は続けていくため、財産を換価して債務に充てる必要はないからです。

そのため、価値の高い楽器も手元に残すことができます。

手放したくない楽器の価値が20万円以上だと見込まれるのなら、任意整理を選択するとよいでしょう。

また、任意整理は自己破産や個人再生よりも、周りに知られずに手続きを進めやすいので、債務整理や借金の事実を周りに知られたくない方にもおすすめの方法です。

ローンがなければ個人再生で楽器を残せる可能性が高い

ローンが残っていなければ、個人再生手続きでも楽器を手元に残せる可能性が高いです。

個人再生とは、借金総額を1/5程度に圧縮して残債を再生計画に基づいて、3~5年かけて返済していく方法です。

個人再生では「最低弁済額の法的基準額」「清算価値」のうち、最も高いものが選択されます。

最低弁済額の法的基準は以下のとおりです。

借金総額 最低弁済額
100万円未満 全額
100~500万円未満 100万円
500~1500万円未満 借金総額の5分の1
1500~3000万円未満 300万円
3000~5000万円未満 借金総額の10分の1

借金の総額が5000万円を超える場合は、個人再生はできないので自己破産を検討するのがよいでしょう。

個人再生では自己破産のように、財産を強制的に差押えられることはありませんが、財産の価値は正しく申告しないとのちに財産隠しとされることがあるので注意が必要です。

楽器の価値が高いと借金があまり減らない可能性があるので注意

個人再生では、手続き時に所有している財産の総額を「清算価値」として算出します。

この清算価値が、前の項目で解説した「最低弁済額」を上回ると、清算価値に基づいた金額を返済していかなければなりません。

そのため、価値の高い楽器を手元に残したい場合は、個人再生をしても借金が減らない可能性があります。

例えば、借金残高が500万円の場合、最低弁済額は100万円です。

しかし、50万円の預金と90万円の価値がある楽器を所有していると、清算価値は140万円であり、返済しなければならない借金は140万円となります。

個人再生における財産の計算は複雑なので、弁護士などの専門家に依頼するとよいでしょう。

個人再生手続きについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

仕事で楽器を使っている人が債務整理するときに検討すべきこと

ミュージシャンや楽器の先生など、仕事に楽器が必要な方は少なくありません。

そのような方が自己破産によって楽器を差押えられてしまうと、仕事に困ってしまいます。

しかし、20万円以上の価値がある楽器は、自己破産で確実に残せる方法がありません。

価値の高い楽器を所有したいと主張すると、裁判では「本当にその楽器でないと仕事が成り立たないのか?」を問われるのが通常です。

この項目では、仕事で楽器を使っている方が自己破産をする際に、検討すべきことをお伝えします。

またこの項目では、楽器の換価価値が20万円を超える場合を想定しています。

自宅でピアノの先生として生計を立てている場合

自宅でピアノの先生として生計を立てている場合、ピアノを差押えられてしまうと生活が成り立ちません。

しかし、グランドピアノなどの高額なピアノは、自己破産では差押えの対象となるのが通常です。

価値が30万円程度であれば、自由財産の一部として認めてもらえる可能性があるので、弁護士に相談するとよいでしょう。

ピアノを借りて仕事ができないか検討する

知り合いや親族などピアノを所有している方に、ピアノを借りて仕事を続ける方法があります。

自己破産をすると、最低でも5年はローンを組んでピアノを購入することはできませんが、貸借であれば問題ありません。

また、児童館や公民館でもピアノ付きの会議室などがあります。

そのような公共施設の利用を検討するのもよいでしょう。

職業がギタリストで換価価値20万円以上のギターを複数所有している場合

ギタリストとして生計を立てていると、20万円以上の換価価値があるギターを複数所有しているケースは多いと思います。

現在仕事で複数のギターを利用していたとしても、裁判所が「一本でも仕事に差支えない」と判断すると、ギターは差押えの対象です。

その際、基本的にどのギターを残すかは自分では判断できませんので注意しましょう。

また、自己破産の直前にギターを不当に売却すると「詐欺破産罪」に問われる可能性があります。

詐欺破産罪に問われると、10年以下の懲役や1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられますので、直前の売却はやめましょう。

一番価値の低いもののみなら残せる可能性が高い

換価価値が20万円以上のギターしか所有していない場合、一番価値の低いもののみであれば、残せる可能性が高いです。

もしも、換価価値が20万円以下のギターも所有している場合は、20万円以上のものはすべて差押えられてしまう可能性が高いので注意が必要です。

また、ローンが残っているものは、換価価値に関わらず差押えの対象になります。

副業でドラマーとして活動している場合

副業でドラマーとして活動している場合に、自宅のドラムセットが差押えられてしまうと、収入に影響が出る場合があります。

その際はまず、本業のみで生計を立てることができないか問われる可能性が高いです。

本業のみでも差支えないと裁判所に判断されると、ドラムセットは差押え対象となります。

副業が必要と判断された場合も、所有している楽器の価値が高額であると、レンタルや安い楽器への買換えを提案される可能性が高いです。

一部のパーツを手放せば残せる可能性が高い

ドラムセットは、セットでの売却価格が20万円を超えると差押えの対象となる可能性があります。

そのため、ドラムセットのうち一部のパーツを手放せば換価価値が20万円を下回るのであれば、一部のパーツを手放すのも1つの手段です。

自己破産前に財産を売却する際は、詐欺破産罪に問われないよう必ず弁護士に相談してから実行しましょう。

また、ドラムの一部をレンタルにしたり、比較的価格の安い電子ドラムへの買換えも検討してみてください。

債務整理後に楽器を所有する方法

債務整理後は、所有する財産などの制限はないので自由に楽器を所有できます。

ただし、信用情報に事故情報が登録されている期間は、基本的にローンを組んでの楽器購入はできません。

事故情報が登録されるのは5~10年であるのが一般的で、信用情報機関に信用情報の開示請求をすると、事故情報の登録状況がわかります。

ローンに申込む際は、必ず事故情報を確認しましょう。

この項目では、債務整理後に楽器を所有する方法をお伝えします。

現金で買える範囲の楽器を購入する

債務整理後、現金の利用に制限はありません。

そのため、現金で購入できる範囲であれば自由に楽器の購入ができます。

債務整理直後に、楽器の購入をするだけの現金を用意するのは難しいと思うので、日雇いや単発のアルバイトを利用するのがおすすめです。

また、欲しい楽器の目標金額に向けて、家計簿を詳細につけて自分の収支を管理するのもよいでしょう。

家計簿をつける際は、支出を消費、投資、浪費にわけると無駄な出費を減らしやすいです。

  • 消費・・・日々の生活に欠かせないものへの出費。家賃、食費、水道光熱費、通信費など。
  • 投資・・・将来役立つものへの出費。株式投資や貯蓄、習い事や書籍代など。
  • 浪費・・・必要以上の贅沢品や無駄なものへの出費。必要以上に贅沢な外食や買い物、賭け事など。

債務整理が完了してから5年以上経過してからローンを組む

債務整理が完了してから5年が経過すると、信用情報から事故情報が抹消されている可能性があります。

事故情報が抹消されると、ローンを組んで買い物ができる可能性が高いです。

以下の記事を参考に、信用情報の開示をして事故情報の有無を確認してからローンに申込むとよいでしょう。

ただし、ローンの返済計画は必ず余裕のあるものにし、再度債務整理が必要な事態にならないように注意が必要です。

また、ローンは組めてもクレジットカードが作れない場合があります。

その際は、現金振込に対応しているかあらかじめ確認してから、契約を進めるとよいでしょう。

まとめ

楽器購入時に組んだローンが返済不能となってしまったら、債務整理で解決ができます。

また、親から譲り受けた楽器など、どうしても手放したくない楽器があるけれど借金が膨らみ、債務整理が必要な場合もあると思います。

自己破産では、債務をすべて無くせますがローンを組んでいる楽器や、売却価格が20万円以上の楽器を手元に残すことは原則できません。

どうしても手元に残したい楽器がある場合は、任意整理を選択するとよいでしょう。

また、ローンの返済が終わっていれば、個人再生でも楽器を残せる可能性があります。

自己破産をしても、仕事で必要な場合など楽器を残せるケースもあるので、まずは弁護士に相談してみてください。

楽器のローンを返すために借金をしてしまうと、なかなか抜け出せなくなってしまいます。

現在所有している楽器を手放さないためにも、早めに弁護士へ自分の状況にあった債務整理手続きを依頼しましょう。