クレジットカードの請求を払えないとどうなる?滞納長期化のリスクと対処法を解説

クレジットカードを使い過ぎて請求額を払えないのですが、とりあえずお金に余裕ができるまでは放っておいて大丈夫ですか?


クレジットカードの請求額を払えないときに無視したままではいけません。滞納初日から遅延損害金が発生しますし、度重なる督促を放置し続けるとやがては残債が一括請求されて、財産・給料が差し押さえられるリスクもあります。
では、クレジットカードを払えないときはどうすれば良いのですか?他から借金をしろということですか?


まずはカード会社に連絡をして支払い意思を見せることが大切です。滞納額を一度に支払えないのなら一時的に支払い方法を変更するなどの代替手段を相談しましょう。少なくとも、借金返済のために借金すると返済地獄に陥るだけなので避けてください。

クレジットカードを払えないときは早期に対応をとるのが一番です。どうしても支払えない家計状況なら、債務整理を利用するのも適切な判断です。詳しくは借金問題の実績がある弁護士までご相談ください。
「クレジットカードを使い過ぎてしまった」「支払い期日にお金を払えない」という状況に追いこまれてしまったとき、滞納の後ろめたさから現実から目を背けたくなることもあるでしょう。
しかし、クレジットカードの利用額を払えないまま放置し続けてしまうと、遅延損害金の発生、クレジットカードの利用停止、電話・郵便物による督促の連続、強制解約によるブラックリスト登録、残債の一括請求、財産・給料の差し押さえという形で、深刻なデメリットを強いられることになります。
クレジットカード利用額を払えない債務者にとって重要なのは、クレカ使用料を払えないまま滞納デメリットが大きくなる前にできるだけ早い段階で何かしらの対策をとることです。
カード会社に連絡をして完済するために今後の返済方法を見直すか、弁護士に債務整理を任せることでクレカ利用額を払えない現状を打破できるので、ぜひ早期にご対応ください。

- クレジットカード利用額を払えないまま放置すると、滞納初日から遅延損害金が発生する。さらに延滞が継続すれば、督促が繰り返され、強制解約・一括請求・財産等の差し押さえリスクが高まる。
- クレジットカード利用額を払えないときには、早期にカード会社に連絡をとるのがポイント。弁済意思を明らかにして、支払い方法の変更などによって滞納状況を改善しよう。
- クレジットカード以外にも払えない借金を抱えているのなら債務整理の利用がおすすめ。家計状況を根本から改善できるので現在の窮状をリセットできる。弁護士に任せれば適切な方法を検討してくれるので、早期に相談しよう。
クレジットカードの請求を払えないままにしておくデメリット
クレジットカードの請求を払えないまま放置すると、時々刻々と債務者が負担するデメリットは大きくなってしまいます。
具体的には、以下6項目のような形で、滞納日数が増えるに従って事態が深刻化します。
- 【滞納初日~】クレジットカードを払えないと遅延損害金が発生する
- 【滞納数日以内】クレジットカードを払えないと利用停止になる
- 【滞納1ヶ月】クレジットカードを払えないと督促が繰り返される
- 【滞納2ヶ月~】払えないままではクレジットカードが強制解約される
- 【滞納3ヵ月~】クレジットカード滞納分を一括請求される
- 【滞納3ヵ月~】財産・給料が差し押さえられる
それでは、クレジットカード利用額の延滞が継続した場合のデメリットについて、それぞれ見ていきましょう。
①【滞納初日~】遅延損害金が発生する
クレジットカード利用額を支払えないままでは、返済期日翌日から1日単位で遅延損害金が発生するので、債務者の返済負担は毎日増えることになってしまいます。
遅延損害金とは、契約で定められた期日に返済できなかった場合に債務者に課される滞納ペナルティです。
カード会社の約款次第ですが、遅延損害金の算定利率は通常の利息よりも高く設定されていることが多く、また、滞納日数に応じて日ごとに加算されるので、できるだけ早期に対策をとって遅延損害金の発生を止めることが重要になります。
遅延損害金は、以下の公式で計算します。

遅延損害金 = 借金総額 × 遅延損害金利率 × 滞納日数 ÷ 365日
例えば、利息制限法で定められている遅延損害金の上限利率20%の条件で、クレジットカード利用額30万円を滞納している場合について考えてみましょう。
- 滞納1日:30万円 × 20% × 1日 ÷ 365日 = 約164円
- 滞納1週間:30万円 × 20% × 7日 ÷ 365日 = 約1151円
- 滞納10日:30万円 × 20% × 10日 ÷ 365日 = 約1644円
- 滞納1ヶ月:30万円 × 20% × 30日 ÷ 365日 = 約4932円
このように、クレジットカードの利用額30万円を1ヶ月支払えないだけで、約5,000円の遅延損害金を余分に負担しなければいけなくなります。
延滞が続き、また、クレジットカードの滞納額が増えれば、債務者に支払い義務が生じる遅延損害金額はさらに増えるので、できるだけ早期に対策をとる必要があると考えられます。
※遅延損害金については、「遅延損害金は借金延滞のペナルティ!請求されたら一刻も早く返済に向けて対処しよう」で詳しく解説しているのでご参考ください。
②【滞納数日以内】クレジットカードが利用停止になる
クレジットカード利用額を返済期日に支払えないと、滞納数日以内にクレジットカードが利用停止になります。
カード会社ごとに利用停止のタイミングは異なりますが、滞納初日から数日以内の間に利用停止になるのが一般的です。
クレジットカードが普及している現在においては、クレジットカードが使えなくなると、クレカ決済に設定している公共料金や携帯電話使用料金などの支払いができなくなるので、幅広い場面で滞納状況が発生してしまいます。
カードが利用停止になった後、すぐにカード会社に連絡をしたうえで入金処理を行えばふたたびカードを使えるようになるので、カード決済の利用停止によってデメリットが波及するのを回避するなら早期に延滞分のお金を工面しましょう。
③【滞納1ヶ月】督促が繰り返される
クレジットカードの支払いができないまま滞納が続くと、カード会社から電話や郵便物で督促が繰り返されることになります。
遅延損害金が加算された請求額と再設定された支払い期限が記載された振込用紙が送付されるので、延滞状況が深刻化して更なるデメリットを被らないためにも可能な限り請求には応じるようにしてください。
電話や郵便物による返済督促を無視すると、普通郵便で送付されていた督促状が内容証明郵便内容証明郵便とは、誰が・誰に・いつ・どんな内容の郵便物を郵送したかを公的に証明する効果を有する郵便物のこと。に切り替わることになります。
内容証明郵便自体に法的効力はありませんが、返済督促の場面で内容証明郵便が使用されるということは、カード会社が将来的に滞納状況に対する法的措置の準備に入ったことを意味するので、早急に状況改善のための対策が必要です。
クレジットカード利用料を払えないことに対する後ろめたさからカード会社からの返済督促を無視したくなる気持ちは多くの債務者が抱くものです。
ただ、督促を無視していても債務者自身の目には見えないところで事態がどんどん酷くなるだけなので、カード会社からの電話には必ず出る、真摯に対応して支払い意思を見せるという形で、カード会社が法的措置に踏み出すまでの時間的猶予を作り出しましょう。
④【滞納2ヶ月~】クレジットカードが強制解約される
クレジットカード利用額を支払えない期間が続くと、滞納約2ヶ月を目安にクレジットカードが強制解約されてしまいます。
クレジットカードが強制解約される時期とほぼ同じくして、信用情報機関に金融事故情報が登録されるので、それ以降はブラックリストとして扱われることになります。
信用情報機関信用情報機関には、CIC・JICC・KSCの三社があります。3社はCRINというシステムで相互に情報管理を行い、加盟店に対して信用情報の提供を行います。とは、年収や勤続年数、ローンやカードの返済状況といった人々の与信に関わる情報を管理する機関のことで、信用情報機関に事故情報が登録されると以下のようなデメリットが実生活に生じます。- クレジットカードを使えない
- 新たな借金・ローンを契約できない
- 賃貸物件の契約審査に通りにくくなる
- 携帯電話・スマホの分割払いができない
- 奨学金の連帯保証人になれない
クレジットカード利用分を払えないだけで生じるこれらのリスクについて、以下でそれぞれ解説します。
クレジットカードを使えない
クレジットカード利用額を払えない結果ブラックリストに登録されると、クレジットカードが使えなくなります。
利用額を払えなくなったクレジットカードが強制解約されるだけではなく、別のカード会社が発行しているクレジットカードも使用不可になりますし、また、新規にクレジットカードを発行できない状況に追いこまれます。
なぜなら、各カード会社は定期的に行うカード会員に対する与信審査、カード更新、入会審査の際に、対象者の信用情報を確認するので、そのタイミングでブラックリストに登録されていることを知られてしまうからです。
その結果、ブラックリストに登録されている期間はクレジットカードが一切使えない状況に追いこまれるので、ブラックリスト登録期間もカード決済を利用したい債務者は、デビットカード・プリペイドカード・家族カードなどの代替手段の利用をご検討ください。
※ブラックリスト登録期間のカード決済手段については、「債務整理後ブラックリストになってもカード決済は可能!利用可能な3つのカードを紹介」の記事が参考になります。ぜひご参照ください。
新たな借金・ローンを契約できない
クレジットカード利用額を払えない状況が続いてブラックリストに登録されると、新規の借入れやローンを契約できなくなります。なぜなら、借金・ローンの契約の際には申込者の信用情報に対する審査が行われるからです。
中には「ブラックリストでも大丈夫」のような宣伝文句で集客する貸金業者等がありますが、信用情報に不安のある債務者を対象にする貸金業者は闇金の可能性がありますし、債務者側に不利な契約条件を強いられるリスクもあります。
そもそも、クレジットカード利用額を払えない現状において最優先にすべきは現在滞納している借金状況を改善することで、この状況で新規の借金・ローンを検討するのは適切ではないので、まずは生活再建を目指しましょう。
賃貸物件の契約審査に通りにくくなる
クレジットカードの利用額を払えない状況が続いてブラックリストに登録されると、賃貸物件の入居審査に通りにくくなるというデメリットが生じます。
ただし、入居審査に落ちるのは指定のクレジットカード決済で家賃を支払わなければいけない物件や家賃保証会社との契約が必須の物件だけです。
したがって、ブラックリスト登録期間に引越しの必要に迫られた場合には、できるだけ多くの物件を候補に入れたうえで、大家さんと直接契約できる物件や家賃保証会社とは無関係の物件などを選ぶのがおすすめです。
携帯電話・スマホの分割払いができない
クレジットカード利用額の滞納によってブラックリストに登録されると、携帯電話・スマートフォンの本体代金について一括払いを求められます。
なぜなら、本体代金の分割払いはローンを組むことと同義だからです。
したがって、クレジットカード利用額の支払いに充てるためにも、不必要な機種変更は避ける、できるだけ安い機種を利用するなどして、家計を改善するきっかけにしましょう。
奨学金の連帯保証人になれない
信用情報に傷が付いている債務者は、子どもの奨学金の連帯保証人になれません。
ただし、機関保証制度を利用すれば連帯保証人なしで奨学金を借りられるので、必要な場合には制度の利用をご検討ください。
⑤【滞納3ヵ月~】クレジットカード滞納分を一括請求される
契約しているカード会社によって、また、過去のクレジットカードの滞納歴やカード会社の心証などの個別事情によってタイミングは異なりますが、クレジットカードの利用額を支払えないまま1ヶ月から3ヵ月程度が経過すると残債を一括請求されます。
例えば、分割払い・リボ払いでクレジットカード利用額を支払っている場合、債務者には”毎月の支払期日まではお金を払わなくてよい”という「期限の利益」が認められます。
しかし、カード利用額を滞納する悪質な債務者は契約書記載のタイミングで「期限の利益を喪失」するので、毎月の支払期日を待たずして残債の一括請求を避けられません。
残債の一括請求をされる段階に至るとカード会社とふたたび交渉するのは簡単ではないので、一括請求をされる前にカード会社との間で丁寧な返済条件の交渉を行う、一括請求されてしまったなら即刻家計を見直すなどして請求額を工面する、一括請求に応じられないのなら弁護士に相談して債務整理を検討する、という3つの選択肢が現実味を帯びます。
⑥【滞納3ヵ月~】財産・給料が差し押さえられる
クレジットカード利用額を払えない状態が続き、カード会社側からの督促も無視し続け、一括請求にも応じないままでいると、最終的には債務者の財産が差し押さえられることになります。
債権者からの差押予告通知、裁判所からの支払督促、仮執行宣言付支払督促が郵送され、無視を続けてしまうと債務者の財産等が差し押さえられて強制執行が行われるという流れです。
一般的には、債権者からの差押予告通知が送付されてから1ヶ月程度を目安に財産等の差し押さえが行われるので、郵便物の管理はこまめに行うようにしてください。
差し押さえの対象になるのは、債務者の財産だけではなく給料も含まれます。何を対象に差し押さえを行うかは債権者次第です。
給料が差し押さえられると会社にその事実が知られてしまいます。もちろん、差し押さえを理由に解雇などをされることはありませんが、社会的信用が失墜するリスクは避けられないでしょう。
以上のように、クレジットカード利用額を払えないまま放置するだけでここまで甚大なデメリットが生じることになるので、支払期日にお金を払えないことが明らかになった段階でカード会社に対して真摯に対応したうえで、今後の方針について借金問題に強い弁護士に相談するようにしてください。
※差し押さえと銀行口座の関係については、「口座の差し押さえを回避するなら債務整理がおすすめ!差し押さえによる影響とは」で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
クレジットカードが払えない場合にやるべき3つの対応
クレジットカード利用額を支払えないまま時間が過ぎてしまうと、それだけ債務者が最終的に負担しなければいけないデメリットは大きくなるものですし、取り返しがつかないデメリットさえ生じかねません。
したがって、クレジットカードの支払いが難しい場合には、できるだけ早期に対応するのが重要です。
支払い期日までにお金を払えない、すでに滞納状況に陥ってしまっているという場合には、以下3項目の方法を検討しましょう。
- まずカード会社に連絡する
- 支払い方法を変更する
- どうしても払えないなら債務整理を検討
それでは、各対応策について、それぞれ見ていきましょう。
①まずカード会社に連絡する
クレジットカードを払えないときに最初に行わなければいけないのは、カード会社に連絡をすることです。
現在すでに返済期日を落としてしまっていてカード会社から督促の電話が繰り返されているのならもちろんのこと、迫りくる支払い期日にお金を用意できないことが明らかであるのなら、カード会社に連絡をして正直に状況を説明しましょう。
カード会社に対して連絡をする際には、現状を正確に伝えることに加えて、支払い意思があることを伝えるのが重要です。
返済期日にお金を用意できないことを反省し、真摯な姿勢で支払う姿勢を見せれば、カード会社側から一定の理解を得られるので、法的措置のステージに進むまでの時間的猶予を作ることができます。
滞納分のお金を用意するための準備期間には余裕がある方が良いので、カード会社の担当者には誠実な対応を心がけましょう。
②支払い方法を変更する
あくまでもクレジットカードの滞納分について完済を目指すのなら、支払い方法を変更するという選択肢も考えられます。
例えば、一括払いでカード決済をしたものの支払い期日にお金を用意できなさそう、あるいは、お金を用意できずに滞納してしまった場合には、分割払い・リボ払いに変更すれば返済日の支払い額を減らすことができます。
ただし、原則として、支払い方法の変更は実際に支払日が到来する前に行う必要があります。
すでにクレジットカード利用額が滞納状況に陥っている場合にはカード会社と交渉をして支払い方法の変更を認めてもらうプロセスが求められるので、必ずしも支払い方法の変更が認められるわけではないという点にご注意ください。
分割払い・リボ払いは一時的な利用を心がけよう
分割払い・リボ払いに支払い方法を変更すれば支払い期日における返済負担が軽減されるので、一時的に家計に余裕が生まれるというメリットが生じます。
しかし、一括払いでは利息が発生しないのに対して、分割払い・リボ払いを選択すると利息が発生するので最終的な返済負担総額は増えるというデメリットが生じます。
したがって、一時的に返済に間に合わせるために支払い方法を変更するのはやむを得ないとしても、できるだけ早期に滞納分についてまとめて支払いを済ませて、利息の発生を抑えるようにしましょう。
借金でクレジットカードの支払い分を埋め合わせてはいけない
“カードの決済方法を変更するのが面倒”、”カード会社が支払い方法の変更に応じてくれなかった”などの場合に、クレジットカードの滞納を解消するために消費者金融や銀行のカードローンの利用を検討するという債務者もいるでしょう。
しかし、借金を返済するために新規に借金を繰り返すのは避けるようにしてください。
なぜなら、借金返済のために別口の借金をしても返済先が代わるだけで状況は何一つ改善されていないからです。
むしろ、返済先が増えるので家計管理がより複雑になるだけでなく、借金癖がついてしまうので、生活を立て直しにくい環境に自ら身を投じるようなものです。
したがって、”カード会社との交渉もうまくいかなかった”、”現段階以上の家計管理も難しい”という状況にあるのなら、次で紹介する債務整理の検討をはじめましょう。
家計状況がひっ迫しているなら行政の福祉制度を利用しよう
クレジットカードの利用額を支払えないという債務者の中には、突然仕事をクビになったり、病気や怪我が原因で収入が減少したことによって家計状況が厳しいという方もいるでしょう。
経済的に厳しい状況に置かれているのなら、新規に借入れをして現状をしのぐのではなく、行政の福祉支援制度を活用しましょう。
緊急小口資金を利用すれば一時的に無利子無担保で借入れができますし、生活保護を利用すれば家計が安定するまでいろいろな形で助成を受けることができます。
もちろん、これらの行政福祉制度を利用して借金の返済をすることはできませんが、家計を整えて借金返済ができる状況を作り出す足がかりとしてご検討ください。
③どうしてもクレジットカードの請求を払えないなら債務整理を検討しよう
クレジットカードの利用額を支払えないのなら債務整理を検討するのがおすすめです。
特に、クレジットカードの滞納分以外にも借金を抱えているのなら、債務整理を利用すればまとめて解決を狙えるので、ひっ迫した家計状況を抜本的に改善することができます。
債務整理には自己破産・個人再生・任意整理の3つの手続きが用意されており、債務者自身の希望に沿って好きな手続きを選択することができます。
- 自己破産:裁判所を利用して借金を帳消しにする手続き
- 個人再生:裁判所を利用して借金返済額を大幅に圧縮する手続き
- 任意整理:裁判所を利用せずに利息・遅延損害金をカットする手続き
債務整理でどれだけのメリットが得られるのか具体的なイメージをつかんでみましょう。
債務者の中には裁判所を利用するのに抵抗があるという方も少なくないでしょうから、裁判所を介さずに気軽に実践できる任意整理を利用すればどの程度まで借金状況が改善されるのかを解説します。
例えば、総額150万円、年利率15%の条件で借入れをしている場合、返済期間ごとの債務者負担・任意整理で減額できる金額は以下の通りです。
返済期間 | 返済総額 | 利息総額 | 年間返済額 | 任意整理で消える金額 |
---|---|---|---|---|
3年 | 187万円 | 37万円 | 62万円 | 37万円 |
5年 | 214万円 | 64万円 | 42万円 | 64万円 |
7年 | 243万円 | 93万円 | 34万円 | 93万円 |
10年 | 290万円 | 140万円 | 29万円 | 140万円 |
150万円を借入れて3年で完済するには1年で64万円(毎月5万円以上)の返済を継続する必要があるので、毎月の返済額を抑えたいと希望する債務者は返済期間を長めに設定する傾向が強いでしょう。
しかし、返済期間が長期化するほど完済までに発生する利息負担額は増えることになってしまいます。
返済期間10年の契約で150万円の借入れを完済するためには、元本とは別に140万円を支払う必要があり、これは債務者にとって酷です。
ただし、任意整理を利用すれば、利息・遅延損害金をカットできるので、総額290万円支払う必要があったところが約1/2の150万円で済むことになります。
債務者の置かれている状況によって減額率は異なりますが、任意整理を利用した方が返済総額は減額されるので、任意整理の利用によってどれだけ家計が助かるかを弁護士にシミュレーションしてもらいましょう。
※任意整理を利用した場合にどれだけ返済額を減らせるかについては、「150万円の借金は任意整理でこれだけ減らせる!借入社数・金利・年数別の減額金額をわかりやすく解説」「300万円の借金は任意整理でこれだけ減らせる!返済年数や借入社数別の減額シミュレーションを行なった結果は?」を参考にしてください。
債務整理を弁護士に依頼すれば返済督促が止まる
債務整理は債務者が自分で進めることができますが、弁護士に依頼をすれば”すぐに返済督促が止まる”というメリットを得られます。
依頼を受けた弁護士はすぐに債権者に受任通知を送付します。そして、受任通知を送付された債権者は取立て行為を禁止されます。
もし、債務者が自分で債務整理手続きを利用するとなると、実際に債務整理手続きの開始を債権者側が知るまでは返済督促は止まりません。
しかし、債務整理手続きは一朝一夕に開始できるものではなく、準備にある程度の時間を要するものです。
弁護士に依頼すれば準備期間であっても返済督促がストップしますが、弁護士に依頼しなければ債権者側からの厳しい取り立てを受けながら書類の準備などに奔走しなければいけません。
したがって、ストレスのない環境でスムーズに債務整理に着手するためにも、できるだけ早期に弁護士に依頼するのがおすすめだと考えられます。
※受任通知については、「債務整理をすると借金の督促が止まるって本当?受任通知の効力について解説」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。
弁護士に依頼すればカード会社との窓口になってくれる
弁護士に依頼すれば、クレジットカード滞納分に関する交渉等について、すべて弁護士が窓口になってくれます。
利用額を払えない状況では、カード会社からの電話や郵便物のやり取りだけでも億劫に感じるものです。
しかし、弁護士は債務者本人の代理人になってくれるので、債務者本人がカード会社と直接連絡を取り合う必要はなくなります。
弁護士に依頼するだけで「カード会社との直接の接点をなくしてしまいたい」という希望も叶うので、債務者本人は債務整理後の生活再建準備に集中できるでしょう。
弁護士に依頼すれば適切な債務整理手続きを選択してくれる
弁護士に依頼すれば、債務者の状況・希望に沿った適切な債務整理手続きを選択してくれるというメリットが生じます。
例えば、任意整理では利息・遅延損害金がカットできるのでクレジットカード滞納分などの最終的な返済負担額を1/2程度にまで圧縮することができます。
しかし、債務者によっては更に大きな減額幅を希望する場合があるでしょうし、中には、借金返済義務から完全に解放されたいという人もいるはずです。
そのような場合には、任意整理ではなく個人再生・自己破産が希望を叶える手続きにはなるのですが、他方で、個人再生・自己破産には特有のデメリットが存在するのも事実です。
つまり、各債務整理手続きのメリット・デメリットを踏まえたうえで、「どの債務整理なら債務者の希望を最大化できるのか」「どの債務整理手続きのリスクを避けるべきか」を取捨選択しながら、債務者の生活再建の可能性を高めることが重要となります。
以下のように、自己破産・個人再生・任意整理のメリット・デメリットは複雑なので、法律の素人である債務者にはどの選択肢が適切なのかを判断するのは難しいはずです。
債務整理の実績がある弁護士に相談すれば、債務整理後の生活再建プランまで視野に入れて適切な方法を選択してくれるので、どうぞお気軽にご相談ください。
自己破産 | 個人再生 | 任意整理 | |
---|---|---|---|
メリット | ・借金を帳消し ・無職でも利用可能 |
・減額効果が大きい ・住宅ローンの特則あり |
・利息、遅延損害金をカット ・裁判所を利用しない |
デメリット | ・財産が処分される ・職業制限等あり |
・要件、手続きが厳格 ・一定の収入が必要 |
・減額効果が小さい |
各債務整理手続きに関するより詳細な解説は、以下の各記事にてご参照ください。
クレジットカード利用額を払えないときのQ&A
クレカの支払いを滞納すると、翌日から遅延損害金が発生し、カードが利用停止になります。更に延滞が続くと、カードの強制解約・ブラックリストの登録・一括請求・財産の差し押さえなど、取り返しのつかないリスクが生じます。
まずはカード会社に連絡をして支払い意思があることを誠実に示しましょう。その後、とても完済が難しい状況であるのなら、弁護士に債務整理を依頼して、債務者の状況に適した手続きを選択してもらうのがおすすめです。
滞納日数が浅い段階では、滞納分を支払えば再びカード決済を利用可能です。ただし、滞納が2ヶ月を超えるほど続いてしまうとブラックリストに登録されるのでクレカ決済はできなくなります。デビットカードなどの代替手段をご検討ください。
まとめ
クレジットカード利用額を払えないままカード会社からの連絡を無視してしまうと、遅延損害金の発生・繰り返される厳しい返済督促・カード会員資格の強制解約・ブラックリストへの登録・一括請求・財産の差し押さえというデメリットが生じます。
滞納している状況ではカード会社からの連絡に対応しにくいでしょうが、日ごとに重くなる滞納ペナルティを回避・軽減するためには、カード会社からの連絡には真摯に対応して支払い意思を示すのが重要です。
ただし、どうしてもクレジットカード利用額を支払えない状況にあるのなら、債務整理を利用して借金状況を根本から改善するのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば債務者に合った適切な債務整理手続きを選択してくれますし、依頼をした段階でカード会社などの債権者からの返済督促が止まるというメリットが生じます。
弁護士費用や相談料についても柔軟に対応してくれる弁護士は多いので、どうぞお気軽にご相談ください。

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