自己破産前に借り入れすると免責不許可事由に該当!借り入れしてしまったときの対処法とは?

自己破産前に借り入れすると免責不許可事由に該当!借り入れしてしまったときの対処法とは?

自己破産を検討しているのですが、自己破産前に借り入れをするとなにか不都合はありますか?

自己破産前に借り入れをしてしまうと免責不許可事由に該当する恐れがあるため、最終的に自己破産ができない(免責許可がおりない)ことが考えられます。

では、自己破産前に借り入れをするのは控えたほうが良いのですね。ただ、今どうしても生活費が足りないのですがどうしたら良いでしょうか?

自己破産を弁護士に依頼することで借金の返済が一旦止まりますので、生活費の確保が可能です。まずは、弁護士へ相談されてみてはどうでしょうか。

自己破産前に借り入れをしてしまうと「免責不許可事由」に該当する恐れがあり、最悪の場合、免責許可がおりません。免責許可がおりなければ、そもそも自己破産をする意味がないでしょう。

もしも今、自己破産前に借り入れをしてしまった状況なのであれば、一旦今後の借り入れは控えてください。

この記事では、自己破産前に借り入れをしたらどうなるのか、誤って借りてしまったときの対処法はあるの?についてお伝えしています。今後、自己破産を検討しているのであればぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 自己破産前の借り入れは免責不許可事由に該当する恐れがあり、最悪の場合免責許可がおりない
  • 自己破産前に借り入れをしてしまったのであれば「今後の借り入れは控えること」「借金を抱えた理由を正直に答えること」「弁護士へ相談すること」の3つがとても大切
  • 自己破産前にどうしても生活費が足りないのであれば、弁護士に自己破産の手続きを依頼して返済を止めるか、生活保護の受給を検討するしかない

自己破産前に借り入れをすると「免責不許可事由」に該当する可能性あり!

自己破産前に借り入れをしてしまうと「免責不許可事由」というものに該当してしまう恐れがあります。免責不許可事由とは、借金を抱えた理由や態度が破産手続きをするにふさわしくない事由のことです。これに該当してしまうと免責許可(借金が0になる決定)がおりません。

自己破産は最終的に借金のすべてを0にする法的手続きであるため、むやみやたらに自己破産を認めることができません。

中でもよく問題となる免責不許可事由には、下記6項目があります。

  • ①無駄遣いやギャンブルによって作った借金
  • ②財産を隠したり壊したり他人に贈与したりする行為(財産隠し)
  • ③破産申立てをする1年前に氏名や住所、年収等経済的な信用を偽って借り入れをした
  • ④ローンやクレジットカードで買ったものを安価で売った
  • ⑤破産申立てより7年以内に免責決定を受けている
  • ⑥裁判所や破産管財人に協力しない

自己破産前に借り入れをしてしまうと、「③破産申立てをする1年前に氏名や住所、年収等経済的な信用を偽って借り入れをした」に該当する恐れがあり、最終的に免責許可がおりないことがあるので注意してください。

「破産申立て以前1年以内の借り入れ」は免責不許可事由に該当

免責不許可事由には「破産申立てをする1年前に氏名や住所、年収等経済的な信用を偽って借り入れをした」の記載があります。破産申立て以前1年以内は「返済能力がない」とみなされやすいため、注意しなければいけません。

中には「最初は返済するつもりだった」「いずれの信用情報等も偽っていない」などの理由から免責不許可事由に該当しないのではないか?と考える方もいるかもしれませんが、「返済能力がないのに借り入れをしてしまうこと」で信用情報を偽ったとみなされます。

返済能力の有無は、債務者(お金を借りた人)の経済状況もさることながら、客観的に見てどうか?が大きなポイントです。たとえば、借金を返済するために借り入れをしたり、収入が増える見込みがないのにギリギリの状態で借り入れをしたりなども客観的に見て「返済能力がないのに借り入れをした」とみなされる可能性があります。

また、借り入れから1年経過することなく自己破産手続きを開始しようとすると「返済能力がないのに借り入れをした」とみなされ、免責不許可事由に該当する恐れがあります。

免責不許可事由に該当するかどうかは、ケースバイケースですが破産申立て以前1年以内の借り入れは控えたほうが良いです。とくに、破産申立ての直前であればあるほど悪質性を疑われる恐れがあるので注意してください。

免責不許可の疑いがかかるだけで費用面でも大きなデメリットが

最終的に免責許可がおりたとしても、免責不許可を疑われるだけで費用面で大きなデメリットを受けます。これは、自己破産の種類の違いによるものです。

多くの財産を持たない破産者は通常「同時廃止事件」という自己破産手続きを行い、その費用はおおよそ30万円です。一方で、免責不許可事由の疑いがかかると「管財事件」として扱われてしまうため、費用はおおよそ50万円になります。

その差は約20万円となり、最終的に免責不許可となる可能性も鑑みるとデメリットしかありません。

本当に返すつもりで借り入れし、実際に何回か返済をしていても免責不許可事由を「疑われるだけ」で、20万円もの費用差が発生します。自己破産前に少しでも疑われるような行為は避けておいたほうが良いでしょう。

自己破産直前の借り入れはかならずバレる

自己破産直前の借り入れはかならずバレます。「バレなければ大丈夫」「借りるだけ借りて自己破産しよう」と思っても絶対にバレてしまうのでやめてください。

破産手続きを開始すると「債権調査」という調査が開始されます。この調査では破産者が抱えている債務(借金)の具体的な金額や債権者(お金を貸した人)の調査をします。

調査の方法は下記のとおり。

  • 破産者への聴取
  • 郵送物のチェック(請求書等)
  • 銀行口座の入出金明細
  • 信用情報機関から信用情報の取り寄せ

まずは破産者となる人にすべての債務について聴取をしますが、昔の借金で忘れてしまっているものもあるでしょう。そのため、郵送物(請求書)の確認や銀行口座の入出金明細、場合によって信用情報機関から信用情報の取り寄せをします。

信用情報機関から情報を取り寄せてしまうと、加盟業者すべての債務が明らかになってしまうため、自己破産前の借り入れがバレる可能性は極めて高いでしょう

家族や友人等からの借り入れは信用情報に掲載されませんが、銀行の入出金明細等でバレてしまう恐れがあります。いずれの借り入れもバレてしまう可能性が高いので、自己破産前に借り入れをするのは極力避けたほうが良いです。

裁判所に虚偽の申告をした場合も免責不許可事由に該当し自己破産できない

借り入れしていた事実を隠そうとして、裁判所へ虚偽の申告をしたり求められた書類を提出しなかったりすると、免責不許可事由の「裁判所や破産管財人に協力しない」に該当します。

悪質と判断されれば、管財事件になって50万円支払ううえに免責許可がおりず、借金は残ったままになるでしょう。自己破産前に借り入れをするだけならず、その事実を隠そうとすれば状況は悪化する一方なので絶対にやめてください。

【要注意】返済能力がないまま借り入れをすると詐欺罪に該当する可能性も

返済能力がないまま借り入れをすると、刑法に定められている「詐欺罪」に該当します。たとえば、破産すること前提で借り入れをしたり、返済する意思がないのに借り入れをしたりした場合です。

詐欺罪が成立するためには「人を欺いて財物を交付させること」が必要です。つまり、あたかも返済するかのように見せかけて(人を欺いて)借り入れをする行為(財物を交付させる)は詐欺罪になる恐れがあります。

詐欺罪は成立が難しい罪であり、少しでも要件が変わると立件できない特徴があります。

ただ、自己破産前の借り入れであれば、1度も返済をしていないと詐欺罪が成立しやすくなるでしょう。さらに、客観的に見て返済能力があるかどうかも大切です。仕事をやめて収入がないのに借り入れをするなど悪質な行為は詐欺罪となる恐れがあります。

ちなみに詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、罰金刑がありません。詐欺罪が成立した時点で懲役刑は免れないので、自己破産前や返済能力がないときの借り入れは絶対に控えてください。

自己破産前に借り入れをしてしまったときはどうしたら良い?

もしも免責不許可事由に該当することを知らずに借り入れしてしまったのであれば、今さらどうすることもできず仕方ありません。今後、どうすれば免責許可がおりるのかを考えるべきでしょう。

一般的には、借り入れが余程悪質ではない限り、免責許可がおりることのほうが多いです。次に、自己破産前に借り入れしてしまったときの下記3つの対処法について見ていきましょう。

  • 今後の借り入れは控える
  • 裁判所からの質問には正直に答える
  • 弁護士へ相談して和解を提案してもらう

今後の借り入れは一旦控える

破産申立てより1年前以内に借り入れをしてしまったとき、とりあえず今後の借り入れは控えてください。これは、クレジットカードの利用も同じです。カード会社が費用を立て替えているため、借金と同じであり借り入れと同じであるため避けてください。

とくに、生活をするために毎月、返済と借り入れを繰り返している方やクレジットカードで買物をされている方は注意してください。今まで使ってしまっていた分は仕方ありませんが、いつまでも使い続けていても状況は改善されません。

「まずは借り入れを一旦控えること」これを徹底してください。

裁判所から借金の理由を聞かれても偽らずに答える

免責不許可事由に該当するケースは「破産申立て前1年以内に住所や氏名、年齢、年収等の経済的信用情報を偽って借り入れをしたとき」です。やましい理由がないのであれば、裁判所から借金の理由を問われても正直に答えてください。

自己破産前であっても生活費が足りなくて借り入れをしてしまったり、返済するつもりで借り入れをしたりすることもあるでしょう。

借り入れをした理由によっては、裁量免責裁量免責とは、免責不許可事由によって免責許可がおりない事項があっても、破産者の状況等を踏まえて裁判所の裁量で免責許可を決定すること。が認められることもあります。免責不許可事由に該当する借り入れがあっても、真摯に向き合い協力することで裁量免責が認められやすくなるでしょう。偽ることなく、正直に借金の理由を伝えるように心がけてください。

破産すること前提での借り入れでなければ、免責許可がおりる可能性が高い

借金を抱えた理由が悪質でなければ、ほぼ免責許可がおりるので安心してください。

悪質な借り入れとは下記のようなことです。

  • 近い将来自己破産するから借りられるだけ借りよう
  • 返済能力がないのにギャンブルや無駄使いをするために借り入れをした
  • 1回も返済していない(返済する意志もなかった)

上記のような理由で借り入れをしてしまったのであれば、他の債務整理手続きを検討するか債務整理を諦めて返済し続けるかしかありません。自ら選択肢の幅を狭めるような行為は避けたほうが良いでしょう。

弁護士へ相談して和解を提案してもらう

自己破産前に借り入れした事実を弁護士に相談したうえで自己破産手続きに進んでください。

弁護士に相談しておくことで、借り入れ事情などを考慮したうえで債権者との交渉を行い、スムーズな手続きが進められるでしょう。

弁護士に相談することなく手続きを開始してしまうと、債権者(お金を貸した側)から免責不許可事由の指摘を受けてしまう恐れがあります。その結果、債務者自身(借金を抱えている人)が免責許可がおりないなどのデメリットを受けてしまいます。裁判所のみならず弁護士に対しても嘘偽りなくすべてを正直に話してください。

ワンポイント解説
「言わない」は絶対にダメ

借り入れをしてしまったことは今さらどうすることもできません。今後どうしていくかが大切ですが、弁護士や裁判所職員に対して借金の理由や、借金を抱えた事実を「言わない」のは絶対にやめてください。自分自身が不利益を受けることになります。

すぐにでもお金が必要なら、早めに自己破産を行うか生活保護受給の検討

自己破産前に借り入れをしなければ生活が成り立たないほど切羽詰まっているのであれば、今すぐ弁護士へ自己破産の依頼をしてください。

弁護士費用は分割もしくは法テラスの民事法律扶助制度を利用すればだれでも準備できます。そのうえ、弁護士へ依頼をすることで返済が一時ストップするので生活費の確保ができます。

もしも今、借金の返済はおろか自分の明日の生活すらままならない極限状態なら、生活保護の受給を検討してください。何も行動しなければ状況は悪化する一方です。状況に応じて今すぐ、弁護士への依頼か生活保護の受給を検討してください。

自己破産の依頼をすることで返済義務が止まり、生活費の確保ができる

弁護士へ自己破産手続きの依頼をすることで、弁護士が債権者(お金を貸した人)に対して「受任通知」を送付します。この受任通知が届いた時点で債権者はあなたに対して、借金の取り立てができなくなります。また、あなた自身も債権者に対してお金を返済する必要はありません。

今まで返済費用に充てていたお金を生活費に充てることで、安全に生活費の確保ができます。最終的に免責許可がおりれば、その後の借金返済も免れるため、まずは弁護士へ相談してください。

弁護士費用の用意が難しければ、分割払いや民事法律扶助制度の利用を検討

自己破産費用の準備が難しくて破産手続きに踏み切れないのであれば、分割払いや民事法律扶助制度の利用を検討してください。

ほとんどの弁護士事務所で自己破産費用の分割に対応しています。また、裁判所へ支払う費用も弁護士に支払い、積み立てておくことができるので確実に自己破産費用を準備できるでしょう。

分割払いでも費用の用意が難しいのであれば、法テラスの民事法律扶助制度の利用を検討してください。この制度では、弁護士費用や自己破産費用などを立て替えてくれます。

原則返済しなければいけませんが、状況に応じて猶予や免除が認められることもあるので安心して利用を検討してください。なお、民事法律扶助制度の利用は収入要件など一定の要件を満たしていなければいけませんが、収入が少なく自己破産費用が準備できないのであれば、利用できる可能性は高いでしょう。

→法テラス「民事法律扶助制度」

生活費・返済金の準備が難しいなら今すぐ生活保護の受給検討

生活費がなく今すぐお金が必要、借金返済費用もなく弁護士費用も準備できないなど、極限まで切羽詰まっている状態なら生活保護を検討してください。

生活保護を受給することで借金の返済ができなくなりますが、自己破産は可能です。まずは自分の生活を立て直すことに注力し、その後に民事法律扶助制度を利用して自己破産を検討してください。

ワンポイント解説
生活保護受給中でも自己破産が可能

生活保護受給要件に「借金の有無」は関係ありませんので、多額の借金を抱えている方でも受給が可能です。そのうえ、民事法律扶助制度を利用すれば自己破産も可能であり、費用負担は原則ありません。生活保護が先か自己破産が先か、順番は問いませんが生活が苦しいのであればまずは生活保護を受給してください。

生活保護制度の概要、条件や相談窓口については厚生労働省の下記ページをご覧ください。
→厚生労働省「生活保護制度」

まとめ

今回、自己破産前に借り入れをするとどうなるのか?についてお伝えしました。

自己破産前に借り入れをしてしまうと免責不許可事由に該当する恐れがあり、最終的には免責許可がおりなくなってしまうかもしれません。

仮に免責許可がおりても、免責不許可事由を疑われるだけで、費用面で大きなデメリットを受けます。そのため、自己破産前の借り入れは控えるべきとのことでした。

もしも破産申立て以前1年以内に借り入れをしてしまったのであればまずは、弁護士へ借り入れをした事実について相談し、そのうえで自己破産をすると良いでしょう。

新規の借り入れがないのであれば今後も控えること、借りてしまったのであれば弁護士へ相談すること、どうしてもお金が必要なら自己破産の依頼や生活保護の受給を検討すること。以上のことを守るようにすれば、免責許可がおりる可能性は高まるでしょう。

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