自己破産で結婚指輪を手放さなくてはならない?自己破産と財産処分について詳しく解説

自己破産で結婚指輪を手放さなくてはならない?自己破産と財産処分について詳しく解説

自己破産すると財産はすべて処分しなければならないと聞きました。結婚指輪も処分しなければいけないのでしょうか。

自己破産手続では、原則的に所有している資産はすべて処分することとなっています。しかし、今後の生活に必要なものや換価する価値の低いものなどは継続して所有できることになっています。結婚指輪についても、処分せずにすむケースがほとんどです。

そうなんですね。安心しました。結婚指輪を処分すると、どうしても家族に怪しまれてしまうので、自己破産を内緒にできないと不安に思っていました。

結婚指輪は処分しなくても済みますが、家族に内緒にするのはかなり難しいと思います。自己破産は財産の処分もありますし、一定期間はローンが通らないなどの制約もあるので、長期間隠し通すことは難しいです。きちんと話して家族の理解を得ておくべきです。

「自己破産したら結婚指輪まで処分しないといけないのか?」

自己破産は財産をすべて処分しなければならないことから、結婚指輪まで処分しなければならないのではと不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

確かに自己破産は原則的にすべての財産を処分しなければなりませんが、結婚指輪については「自由財産」という規定で処分せずにすむパターンがほとんどです。

もちろん、金やプラチナなどが多く使われているなど、高額での処分が可能な場合は処分対象となる可能性もありますが、十数万円程度であれば問題ないでしょう。

この記事でわかること
  • 自己破産した場合でも、結婚指輪はよほど高額なものを除いて処分せずにすむ
  • 財産処分については、生活に必要不可欠なものや換価性の低いものなどが、処分する必要のない「自由財産」として規定されている
  • 結婚指輪は、換価しても十数万円程度であるため「自由財産」として認められる可能性が高い
  • 結婚指輪を処分しなくても、自己破産の場合、家族に内緒にするのは難しい

自己破産で結婚指輪は処分しなければならないのか?

自己破産をする場合、所有する財産は原則的に処分する必要があります。しかし、結婚指輪については、処分せずにそのまま所有しておけることがほとんどです。

自己破産の際に行われる財産の処分では、一部の少額な財産については保持できることになっています。

ここでは、自己破産と財産処分の仕組みについて詳しく解説していきます。

結婚指輪は処分対象外になる財産処分の仕組み

結論からいうと、結婚指輪はほとんどの場合、処分対象にはなりません。

ただし、結婚指輪自体がかなり高額である場合には、処分対象となるケースもあり得ます。

これには、自己破産手続きにおける財産処分の仕組みが大きく関係しています。

財産処分は、自己破産により損失を受ける債権者への配当のため

自己破産手続きでは、破産者の財産を換価(お金に換える)し、債権者に公平に分配することが主な手続です。

自己破産は、債務者(お金を借りた側)にとっては返済義務が免除される大きなメリットのある手続きですが、裏を返せば債権者(お金を貸した側)にとっては、損失を受ける手続きでもあります。

そのため、自己破産で返済を免除する際には破産者本人が所有している財産をお金に変え、返済できるものは返済に充当した上で、残額を免除する仕組みになっています。

つまり、処分する価値のあるものについては、原則的にお金に変えて債権者のデメリットを少しでも減少させることを目的に、処分は行われています。

処分しなくてもいい「自由財産」が規定されている

ただし、お金に変えられるものはなんでも処分するのかというとそうではなく、処分しなくていい「自由財産」というものが規定されています。

原則的な規定では、自己破産手続きで処分の対象となる財産は「破産者が手続開始の時において有する一切の財産」と規定されています。つまり、所有している財産のすべてが処分対象です。

しかし、すべての財産を処分してしまえば、破産した人はその後の生活すら、ままならなくなってしまいます。

自己破産手続きは、債務者の返済義務を免除することで、その後の債務者の経済的更生を図ることが趣旨の一つです。

生活すらままならない状態になれば、その後の経済的更生は望むべくもないため、一定の財産を手続後も保有できるよう「自由財産」という定義が規定されています。

「自由財産」には、その後の生活に必要な最低限の財産や換価価値のないもの、裁判所から認められたものなどが規定されています。

自由財産の種類

破産法で「自由財産」として規定されているものは以下の通りです。

  • 99万円以下の現金
  • 新規取得財産
  • 差押え禁止財産
  • 自由財産の拡張が認められた財産
  • 破産財団から放棄された財産
99万円以下の現金

上述した通り、破産手続き後の債務者の生活確保を目的として、一定程度の現金は自由財産として保護されます。

現金の取り扱いについては、破産法第34条第3項①にて以下のように定められています。

民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭

引用元:e-Gov 破産法 第34条3項

ここで定められている民事執行法で規定する額は66万円となっているので、これに3/2を乗じた99万円までは、自由財産として認められるということです。

ただし、この場合の金銭はあくまで現金だけを指し、銀行口座の預金などは含まれないことに留意してください。

新規取得財産

破産法では、処分対象とする財産は破産手続開始時点で所有しているものと規定されています。

つまり、破産手続き開始後に新たに取得した財産は処分対象とはなりません。

差押禁止財産

法律上、強制執行の1つである差押えをすることができない財産は、処分することができないため、自由財産となります。

具体的には、生活に不可欠な家財道具、1ヶ月間の食料及び燃料、職業に必要なものなどを指します。

自由財産の拡張が認められた財産

「自由財産の拡張が認められた財産」は、これまでのものとは少し意味合いの違うものになります。

上記でご説明した3つの財産は法律上、自由財産として規定されているものです。しかし、これらの財産だけでは生活を維持できないケースも考えられます。

そのため、上記の自由財産に該当しないものであっても、裁判所が認めることで自由財産とできる制度が設けられています。

具体的には、その後の生活や仕事において必要不可欠と思われるものなどがそれに当たります。

ただし、この自由財産の拡張は必要があれば、なんでも拡張が認められているわけではありません。それでは、逆に債権者の権利が守られないということにもつながる恐れがあるので、一定の水準があると思っておいた方がいいでしょう。

明確な基準があるわけではありませんが、1つの基準として、99万円が目安になると言われています。

自由財産では、99万円までは現金が自由財産として認められることから、財産総額が99万円を超えると拡張は認められにくいでしょう。

破産財団から放棄された財産

処分費用が高い、買い手がつかないなどの理由で換金の難しいものについては、破産管財人が処分対象から除外することが可能です。

破産財団とは、処分対象とする財産すべてを指します。

ここから除外されることで、処分対象から除外しますので、自由財産として扱われることになります。

結婚指輪は自由財産の拡張で処分対象から除外される可能性が高い

結婚指輪は、換価することが容易で、生活に必要不可欠のものでもないので原則的には処分対象となるものです。

しかし、実際のところ結婚指輪は多くの場合、換価しても十数万円程度となることが多く、この程度であれば自由財産の拡張が認められることが大半です。

そのため、自己破産において結婚指輪は処分しなくても済むケースがほとんどでしょう。

ただし、結婚指輪を換価した場合に高額となる場合は、自由財産の拡張が認められず、処分しなければならないことは認識しておいてください。

処分したくないからと財産から除外するのはNG!

結婚指輪を処分したくないからといって財産として申告しないと、自己破産自体が認められない可能性もあるので、絶対にしてはいけません。

自己破産の対象となる財産をどれだけ所有しているのかについては、破産申立の段階で、財産目録という形で自己申告することになります。

結婚指輪などの特定の財産を、処分したくないからといって意図的に申告しなかった場合、「免責不許可事由」にあたり、自己破産による免責が認められない可能性があります。

それだけでなく、悪質だと判断されれば「破産詐欺罪」として、刑事的責任を問われる場合もあります。

自己破産手続では、破産管財人が過去の口座の入出金の状況などお金の動きを徹底的に調べます。これは、債権者側の権利を守り、自己破産手続を正当なものとするために重要な調査です。

仮に隠したとしても、何らかの形で露見する可能性が高いですし、バレた場合には免責されないばかりか、犯罪として処罰される可能性もありますので、絶対にNGです。

結婚指輪の処分で自己破産が家族にバレる?

結婚指輪を処分したことで家族に自己破産したことがバレるのではと不安に思っている方もいるかもしれません。

これまでにご説明した通り、結婚指輪はほとんどの場合、処分しなくてもいいので、その点では家族にバレる可能性は低いと言えるでしょう。

しかし、自己破産手続きにおいて、配偶者などの家族に自己破産の事実を隠し通すことは難しいのが現実です。

自己破産が家族にバレる代表的なケースは以下の通りです。

  • 財産の処分によりバレる
  • 申立書類の準備でバレる
  • 官報の掲載でバレる
  • 新規のローンやクレジットカードの審査落ちでバレる

財産の処分によりバレる

結婚指輪が対象から外れたとしても、原則的に所有している財産は処分しなければなりません。

つまり、自宅や車など価値の高い財産を持っていたり、定期預金などを一定額所有していたりすれば、当然、すべて処分対象となってしまいます。

これらが処分されれば、引っ越しなど生活へ大きく影響しますので、隠し通すことは難しいと言えるでしょう。

申立書類の準備でバレる

自己破産手続では、自己破産の手続開始を申し立てる段階でさまざまな資料の準備・作成が必要になります。

提出する資料の中には、同居人の収入証明なども含まれています。また、場合によっては家計収支表を作成する必要もありますので、自分で把握していない場合は家族の協力は不可欠です。

これらの書類の準備の過程で、協力を仰がざるを得ない可能性は高いといえます。

官報の掲載でバレる(可能性は低い)

自己破産した場合、官報に氏名・住所などの情報が掲載されます。

ワンポイント解説
官報とは?

官報は国が発行する機関紙で、法律や整理の制定・改廃、裁判にかかる情報など掲載されています。休日を除き毎日発行されており、国民に広く周知することを目的としているため、発行から一定期間はインターネットで誰でもみることが可能です。

官報は一般的な認知度も低く、掲載される情報も膨大なため、その中からたまたま見つける可能性はかなり低いといえます。

ただし、不動産業や金融機関など、特定の仕事をしている場合は定期的に官報をチェックしている場合もあります。

例えば不動産業であれば、自己破産手続により処分される不動産情報の入手のため、金融機関であれば貸付者の破産情報や審査などのために閲覧することが考えられます。

家族がそれらの職業に就いている場合は、これらの業務の過程で、官報に掲載されている情報から自己破産の事実を知るというケースもあるでしょう。

新規のローンやクレジットカードの審査落ちでバレる

自己破産した場合、手続後5~10年の間、新規のローンやクレジットカード審査には通らなくなります。

自己破産をすると、その事実が個人信用情報に事故情報として掲載されます。個人信用情報は、ローンやクレジット会社の審査時に必ず照会することが義務付けられています。

照会した際に個人信用情報に事故情報があれば、まず審査には通りません。

車や住宅などのローンを組む、クレジットカードの作成・更新の際に審査に通らないことで、家族に不審に思われる可能性もあります。

不審に思った家族が、身辺調査などをすれば自己破産がバレる可能性もあるでしょう。

隠し通すことは難しい。家族に理解してもらうことが重要

これまでご説明した通り、自己破産の事実を家族に隠し通すことはかなり難しいと言えます。

実際、その場を切り抜けられたとしても、もし後になって家族が知れば、家族の信頼関係に大きく影響することも考えられます。

そのため、事前に家族に話をし、理解を得ておくことが最善です。

自己破産することを話すのは勇気のいることですが、借金問題を放置すればどんどん状況は悪化していきます。きちんと話をした上で、理解してもらえるように努力することが大切です。

まとめ

自己破産により、結婚指輪を手放さなければいけないケースはほとんどないと言っていいでしょう。

自己破産した場合でも、破産者がその後、経済的更生をするため、一定程度の財産を保有することが認める「自由財産」という規定が設けられています。

「自由財産」では、その後の生活に必要なものや換価性の低いものについては処分する必要がなく、結婚指輪もその中に含まれることがほとんどです。

ただし、結婚指輪を処分しなくてもいいとはいえ、家族に内緒のまま手続きを進めることはおすすめしません。手続の過程やその後の生活で、バレる可能性は非常に高いので、家族に理解を得た上で進めるようにしてください。

結婚指輪が自由財産に含まれるか不安だったり、家族に言えず悩んでいるなら、まずは弁護士に相談し、話を聞いてみることをおすすめします。今後の手続や懸念されるリスクなども含め、丁寧に説明してもらえるので、安心して進めることができますよ。

この記事を書いた人

ryo

金融系・転職系を中心に執筆活動を展開。丁寧でわかりやすく、どこよりも詳しい記事を心がけ発信します。本サイトでは個人再生分野を主に担当。借金を大きく減額できる制度ですので、よろしければその他の記事もご覧ください。

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