自己破産前に名義変更をするとどうなるの?知っておきたい「財産隠し」の恐ろしさ

自己破産前の名義変更は絶対にNG! 家や車を残す方法とは?

自己破産前に名義変更をしたら家や車などの財産を残せるのでしょうか?

自己破産前に名義変更をしてしまうと、財産隠しとみなされて免責許可がおりなかったり詐欺破産罪という犯罪に抵触したりする恐れがありますので絶対にやめましょう。もちろん、名義変更をしたところで財産を残しておくこともできません。

では、自己破産をして家や車などの財産を残しておく手段はないのでしょうか?

車に関しては名義変更をしなくても残せることがあります。しかし、家については残しておくことは難しいでしょう。どうしても家を残したいのであれば、その他の債務整理を検討されたほうがよいでしょう。一度法律事務所の無料相談を利用してみることをおすすめします。

自己破産をすることで処分される財産は「自己破産をする人が所有する財産」です。

そのため「名義変更をしてしまえば財産を失わなくて済むのではないか?」と考える方も多いでしょう。

しかし、自己破産前に名義変更をしてしまうことで免責許可(借金を0にする決定)がおりないどころか、詐欺破産罪という罪に問われる恐れがあるので絶対にやめましょう。

どうしても差押えられたくない財産がある場合は、事前に弁護士へ相談すれば自己破産以外の方法で解決できる可能性があります。

その場合、債務整理の実績が豊富な弁護士へ相談するのがおすすめです。当サイトでは、債務整理に強い弁護士を多数紹介していますので、ぜひ無料相談をご利用ください。

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この記事でわかること
  • 自己破産前に名義変更をすると免責不許可や、詐欺破産罪に抵触する恐れもあるので絶対にやめよう。
  • 自己破産後も車は残しておける可能性がある。一方で、家を残しておくことは難しいため状況に応じて個人再生の検討もしたほうがよい。
  • 所有者名義が明確ではない財産についても「自分のものじゃない」は通用しにくい。客観的に見て債務者の財産であれば処分の対象になる。

自己破産前に車や家の名義変更をするとどうなる?

自己破産前に名義変更をする行為は、免責不許可事由や詐欺破産罪という犯罪に抵触する恐れがあり、とても危険です。

自己破産前に名義変更をして受ける不利益は以下の2つです。

  • 免責許可がおりない
  • 詐欺破産罪として刑事罰の対象になる

免責不許可事由に該当してしまうと、借金を0にすることができないためそもそも自己破産をする意味がありません。

家や車など所有者が書類上で明らかになっている財産であれば、自己破産をすることでかならず失います。そのため、名義変更をして書類上の所有者を変えてしまおうと思うかもしれませんが、状況は悪化するだけなので絶対にやめましょう。

名義変更をしたところで家も車も残らない

自己破産前に財産の名義変更をしたところで、家や車を残しておくことはできません。なぜなら、自己破産前に財産の名義変更をすること自体認められていないからです。

そもそも自己破産の基本原則は下記のとおり、厳しく定められています。

  • 自由財産本来、破産手続きの開始決定によって破産者が持っている財産はすべて、破産財団と呼ばれるところで管理されます。しかし、生活必需品等(衣類や家具家電、99万円以下の現金)については「破産者が自由にできる財産」として所有し続けられます。この破産者が自由にできる財産こそが「自由財産」です。をのぞくすべての財産を換価処分し、すべての債権者に平等に分配する
  • すべての財産を処分しても残った債務については、返済免除によって解決する

つまり、あなたが持っている財産はすべて債権者への返済に充当し、それでも残った借金は返済を免除し解決するのが自己破産です。

上記のことからもわかるように、債務者であるあなたは借金を0にできる大きなメリットがあります。一方で、債権者は「返済を受けられる権利」の大部分を放棄し、一部の返済のみであなたを許すのです。

そのため、自己破産を検討していながら財産の名義変更をして守ろうとする行為は、債権者の「返済を受けられる権利」を不当に侵害するものであり、決して許される行為ではありません。

名義変更そのものの効力が否定される

自己破産前に財産の名義変更をしても、破産管財人破産管財人とは破産者が持つ財産を管理したり処分したりする権利を持つ人です。通常は弁護士が破産管財人として任に当たります。によって名義変更そのものの効力が否定されます。これは破産管財人が持つ権能「否認権」によってされるものです。

否認権が行使されることによって、たとえ自己破産前に行われた行為であってもその効力を否定することができます。

否認権によって否定された財産は、換価処分の対象となり、お金に変えて債権者にすべて分配されます。つまり、自己破産前に名義変更をしたところで、家や車などの財産を残してくことはできません。

なお、名義変更のみならず贈与や売却であっても否認権の行使が可能です。この場合、相手から財産を回収するため、財産を受け取った善意の第三者も不利益を受けることになり得ます。

破産申立て以前おおむね2年以内に名義変更をしていると免責不許可になる恐れあり

自己破産申立て時には、過去2年以内に名義変更や贈与等を行ったのであれば、その事実を記載しなければいけません。

この事実を記載したからと言って、ただちに免責が不許可になることはありません。しかし、名義変更後すぐに自己破産の申立てを行うと「財産隠し」を疑われます。

自己破産前に何らかの理由で名義変更をしたのであれば、その事実を正直に記載し名義変更の理由を問われても正直に答えてください。

名義変更の事実を隠そうとすれば「財産隠匿行為・説明義務違反行為」となるため、免責許可がおりません。

参考:裁判所「自己破産申立について」

ワンポイント解説
2年以内の名義変更は要注意

破産申立てより2年以内に行った名義変更は「自己破産をする前提で財産を守るためにやったのではないか?」と疑われているため、説明義務が生じます。しかし、何らかの事情で名義変更をしなければいけなかったのであれば、正直に答えてください。「名義変更の事実を隠す」この行為は悪質と判断されますので絶対にやめたほうが良いでしょう。正直に答えることで、免責許可がおりる可能性は高まります。

自己破産前の名義変更は「詐欺破産罪」になる恐れがある

財産を隠す目的で名義変更をした場合、詐欺破産罪として刑事罰の対象になります。

詐欺破産罪は破産法第265条に記載されている犯罪であって、破産手続きの開始前後に関わらず行ったことに対して定められている法律です。同条1項には「債務者の財産を隠匿し、破壊する行為」と記されています。つまり、自己破産前後に財産を隠匿する行為は、詐欺破産罪に抵触する恐れがあるのです。

なお、詐欺破産罪は「破産手続き開始確定された時」に効力が生じ、この事実を知って協力した者も処罰の対象になります。

整理すると下記のとおりです。

  • 破産手続き開始前後問わず、財産を隠匿し「破産手続きの開始が確定された時」に成立
  • 自己破産前提で財産隠しに協力した者も処罰の対象

最終的に自己破産の免責許可がおりなくても、破産手続きの開始が確定した時点で詐欺破産罪が成立するので注意してください。

また、財産隠しを知っていながら名義変更に協力をした場合、その人も詐欺破産罪の処罰対象になります。たとえば、自宅を残しておくために所有者を妻名義に変更した場合、夫婦揃って詐欺破産罪で処罰される可能性があります。

参考:e-Gov法令検索「破産法265条 詐欺破産罪」

詐欺破産罪の法定刑は「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれを併科」

詐欺破産罪の法定刑は厳しく、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

詐欺破産罪は第三者が協力した場合、その者も処罰の対象になることは前述のとおりです。

自己破産前の名義変更は、債務者本人のみならず、良かれと思って協力してしまった方の人生をも狂わせる可能性があります。財産を隠そうとして名義変更をする行為は絶対にやめてください。

自己破産前に名義変更をしなくても車や家を残しておく方法はある!

自己破産前に名義変更をしなくても、車であれば残しておける可能性があります。一方で、家を残しておくことはとても厳しいでしょう。

どうしても家を残しておきたいのであれば、親族等に家を購入してもらうか、他の債務整理を検討するか2択しかありません。親族等に買い取ってもらう際にも注意しなければいけないことがあります。

次に、名義変更をしなくても車や家を残しておく手段や残しておくための注意事項について詳しく見ていきましょう。

破産者名義のままでも車は残しておける可能性がある

破産者名義でも車を残しておける方法は3つです。

  • ①新車登録後6年以上経過(軽自動車・商用車は4年)
  • ②車の価値が20万円以下
  • ③自由財産の合計額と合わせて99万円以下かつ生活に絶対必要であると認められる時

以上のことに該当していると、名義変更することなく安全に車を残しておける可能性が高まります。

①「新車登録後6年以上経過している」については、ほとんどの裁判所で査定を行わなくても良いことになっています(申立てをする裁判所へ問い合わせてください)。これは、自動車の耐用年数によるものです。

耐用年数を経過した車については、査定を行わなくてもその価値を0にして良いことになっています(横浜地裁参照)。

参考:減価償却資産の耐用年数等に関する省令 「別表(P14)」
参考:横浜地裁「申立代理人の方へ(P3)」

③「自由財産の合計額と合わせて99万円以下かつ生活に絶対必要であると認められる時」について「自由財産の拡張」が認められた場合に限って、20万円を超える車も残しておけます。

参考:内田法律事務所「自己破産・自由財産拡張の運用基準(水戸地方裁判所土浦支部の場合)」

なお、破産者名義のままで車を残しておくためには「破産者名義であること」が前提なので注意してください(ローン会社が所有者になっていると、自己破産と同時に車両を引き揚げられる)。

自己破産で家を残しておくことは難しい

自己破産をして家を残しておくことはとても難しいです。自己破産をすることで原則として20万円を超える財産をすべて換価処分しなければいけません。

車の場合、法定耐用年数は6年と定められておりその期間を経過すれば0円として認められます。一方で、家は建物の価値が20万円以下になったとして、それに付随する「土地」の価格が20万円を下回ることはほぼありません。

そのため、自己破産後も家を残しておくことはとても難しいです。また、人々が生活を送るうえで「住」はなくてはいけないものですから「自由財産の拡張」が認められるのではないか?と思われる方もいるかもしれません。

ところが家は、賃貸住宅も多く流通しており、賃貸住宅で何不自由なく生活をされている方が大半です。そのため、自由財産の拡張は認められません。

唯一、自己破産後も家を残しておく手段として「親族に家を買い取ってもらう」という方法があります。ただこれは「適正価格」で売却しなければいけません。

親族に対して適正価格よりも安価で売却してしまうと、詐欺破産罪や免責不許可事由に該当する恐れがあります。

また、親族が買い取ったところで所有権は親族に移るため、その家に住み続けられるかどうかは親族との話し合いになるでしょう。

実際には債務者のために家を買い取る親族は少ないでしょう。現実的に考えれば自己破産で名義変更をせずに自宅を残しておくことは、ほぼできないと考えておいてください。

個人再生なら家を残せる可能性がある

自己破産ではなく「個人再生」という債務整理手続きであれば、家を残しながら借金を大幅に減額できます。

自己破産と個人再生の大きな違いは、減額できる借金の金額です。自己破産は借金をすべて0にできますが、個人再生はおおむね1/5~1/10程度までの「減額」です。

そのため「家は残せるが借金も残るor借金も家もなくなる」のどちらかを選択しなければいけません。個人再生も、メリットが多い債務整理のひとつです。どうしても家を残したいのであれば、検討の余地はあるでしょう。

 

「自分のものじゃない」と主張すれば差し押さえは避けられる?

財産の名義変更が問題となるのはあくまでも家や車など、所有者が書類等によって明確になっている財産です。

つまり、所有者が曖昧な財産については「自分のものじゃない」と主張すれば、差し押さえられることはないのかと考える方もいるでしょう。

たとえば、あなたの財布の中に入っているお金を「自分のものである」という証明ができるでしょうか?

おそらくできない方が大半です。このように、明確に所有者が定められていない財産の所有者を特定することは容易ではありません。

最後に、自分の財産を守るために「自分のものじゃない」は通用するのかについてお伝えしていきます。

他人名義の財産が差し押さえられることはない

あなたが自己破産をしたところで、他人名義の財産が差し押さえられることは絶対にありません。たとえば、あなたが家族から借りた車を自宅の前に停めて、実際にあなたが使用していたとしても差し押さえられことはありません。

これは、夫婦間であっても同じです。仮に夫が自己破産をする際、妻が持つ財産を処分されることはありません。同じ住まいにいたとしても、差し押さえられる財産は夫の所有物と認められるときのみです。

借金の返済についても、妻が保証人になっていなければ夫の借金を背負うことは一切ありませんので安心してください。

明らかに不自然な入出金などは疑われる恐れがある

たとえ夫婦間であっても他人名義の財産を差し押さえられることはないので「夫の現金を妻の預金口座に移せば大丈夫なのではないか?」と考える方もいるでしょう。

自己破産時には、通帳の入出金明細や家族の収入等を調べられます。そのため、明らかに不自然な入出金があったり、妻が専業主婦であるにも関わらず多額の貯蓄があったりすると財産隠しを疑われてしまうこともあります。

客観的に見て破産者の財産であれば差し押さえの対象となる

客観的に見て破産者本人の財産であれば、差し押さえの対象になり得ます。

自己破産によって財産を差し押さえられる際、少しでも多くの財産を残しておきたいと考える気持ちはわかります。しかし「自分のものじゃない」と主張するのであれば、それを証明しなければいけません。

実際に自分の所有物を自分のものではないと偽り、それを証明するのは容易ではありません。自分の持っている財産については隠さず、正直に差し出して生活再建を目指すべきでしょう。

財産の所在を偽ると「詐欺破産罪」になる恐れがある

財産を隠したり、自分のものじゃないと偽ったりすると「詐欺破産罪」が成立する恐れがあります。詐欺破産罪は前述の通りとても厳しい罰則規定を設けています。

誰かに財産を預けたり隠したりする行為は、自己破産の免責にも大きな影響を及ぼします。

自己破産前の名義変更も含め、自分自身が不利益を受けてしまう行為は絶対に避けるべきでしょう。

まとめ

今回は、自己破産前に名義変更をするとどうなるの?ということについてお伝えしました。

自己破産によって失う財産はあくまでも「破産者が所有する財産」に限られています。そのため、名義変更をすれば守れるのではないか?と考えるのも当然です。

しかし、そのような行為は債権者の「返済を受ける権利」を不当に侵害する行為であって、決して許されることではありません。

自己破産は、借金を0にする手続きであるため、財産のほとんどを失うことを受け入れなければいけません。もしも、家や車をどうしても残したいのであれば、他の債務整理を検討するべきでしょう。

今回お伝えしたことや、自己破産という債務整理手続きを受け入れ、生活再建を目指してください。

自己破産のよくある質問

自己破産前に名義変更しておけば、家や車の差押えを回避できますか?

自己破産前の名義変更は、免責不許可事由に当たり自己破産が失敗する恐れがあります。
そのため、自己破産前の名義変更は絶対にやめましょう。

どうしても自宅を手放したくないのですが、自己破産以外の方法はありますか?

借入や収入の状況によっては個人再生に方針転換してみてはいかがでしょうか。
個人再生では、要件を満たすとローン返済中の自宅も残せます。
ただし、個人再生の要件は複雑なので早めに弁護士へ相談するとよいでしょう。
STEP債務整理「債務整理が得意なおすすめの弁護士を紹介」

自己破産をすると自宅などの不動産は手放さないといけませんか?

自宅が持ち家の場合は競売にかけられて債務の弁済に充てられるので、基本的に手放す必要があります。
また、破産者名義の土地なども同様です。

とくに証明書などがない財産の場合「自分のものではない」と主張すれば、差押えを免れられますか?

実際に自分の所有物を自分のものではないと偽り、それを証明するのは容易ではありません。
客観的に見て破産者本人の財産であれば、差押えの対象になります。

自己破産のときに財産を偽って報告したらどうなるのですか?

まずは免責がおりずに自己破産をしても、借金の返済義務がなくならないことが考えられます。
悪質だと判断されると、詐欺破産罪などの罪に問われる可能性もあります。

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