自己破産すると結婚に影響がでる?結婚後に影響するデメリットなどを解説

返済が厳しく自己破産を検討しているのですが、結婚を控えており、影響がでないか不安です。自己破産しても結婚はできるんですか?


自己破産したことで、結婚自体ができなくなることはありませんし、結婚相手や将来の子供に直接的な影響がでることはありません。ただし、結婚後の生活に影響することは出てくる可能性はあります。
自己破産で結婚後に影響があるのはどんなことでしょうか?


例えばブラックリスト入りによって、新規の借り入れやクレジットカード作成ができなくなるので、不便に思うシーンもあると考えられます。また、自己破産は財産を処分する必要があるので、直後の結婚であれば、経済的な余裕がない状況になるでしょう。
「自己破産したら結婚できないのでは?」「相手が自己破産していたことを知ったので、結婚やめようかな」
自己破産に対するネガティブなイメージから、結婚への影響を不安に思う方は少なくありません。
確かに自己破産することで、一定期間の間デメリットを受けることもありますが、自己破産自体は国が認めた救済措置です。
結婚自体が制限することはありませんし、破産者の配偶者や子供に直接影響することはありません。
ただし、生活におけるデメリットが発生することは確かですので、自己破産により発生するリスクを理解しておくことが重要です。

- 自己破産することにより、結婚自体が制限されることはなく、配偶者や子供に直接影響もしない
- ブラックリスト入りや就業制限などのデメリットにより結婚後の生活に影響を及ぼす可能性はある
- 自己破産した事実はブラックリスト期間の間など、隠し通すことは難しい
- 結婚の影響を懸念して、借金問題の解決を後回しにすれば影響はさらに大きくなりかねないため、早めに解決することが重要。
結婚に影響しそうな自己破産のデメリットは?
自己破産することで、結婚に影響するデメリットはあるのでしょうか。
結論からいうと、「結婚自体はできるが、結婚後の生活に影響が出る可能性はある」ということになります。
自己破産することで結婚すること自体を制限されることはありません。
ただし、自己破産手続きは返済の約束をした借金の返済を免除してもらうわけですから、相応のデメリットを受けることになります。そのデメリットの中には、結婚した場合に影響を受けるものもあることは事実です。
自己破産をする際にはこれらの影響があることを認識しておく必要はあるでしょう。
ここでは、自己破産した場合に影響があるものについて解説していきます。
クレジットカード作成や新規の借入はできない
自己破産すると5~10年の間、クレジットカードの作成や新規の借り入れは利用できなくなります。
自己破産した場合、自己破産した事実が事故情報として個人信用情報に記載されます。いわゆるブラックリスト入りです。
個人信用情報は、クレジットカード会社や貸金業者が審査の際に確認することを義務付けられています。そのため、事故情報が掲載されている場合は、審査に通らず、クレジットカードの作成や新規の借入はできなくなります。
結婚すると、家電製品や車などといった高額なものの購入や子供ができた時の教育資金など、ローンを利用する機会も増えます。また、家計の引き落としにクレジットカードを利用するといった場面もあるでしょう。
自己破産した直後であれば、これらが利用できませんので、事前に積み立てておくなど準備しておく必要があるでしょう。
また、結婚相手に自己破産の事実を隠している場合は、借入ができなかったりクレジットカードの作成ができなかったりすることで、バレる可能性が高くなるというリスクもあります。
保証人になれない
新規の借入ができないことと同様に、保証人にはなれません。
保証人も、借入と同様に審査が行われますから、ブラックリスト入りしている状態での借入はできません。
手続き中は一定の職業への就業が制限される
自己破産手続き中のみですが、一定の職業への就業が制限されます。
制限される職業は、弁護士などの士業、生命保険募集員、警備会社など多岐に渡ります。
自己破産手続きには半年~1年程度かかるので、制限対象となっている職業についている場合は、影響がでるでしょう。
ただし、就業が制限されるのはあくまで自己破産手続き中のみです。手続きが完了すれば、就業制限も解除されるので、復帰が可能です。
なお、制限される職業は多岐に渡ります。以下の記事にて、詳しくご紹介しているので参考にしてください。
同居家族に隠し通すことは難しい
自己破産したことを、同居家族に隠し通すことは難しいと考えておきましょう。
自己破産の事実を隠し通すことは不可能ではありませんが、生活を共にしている限りは、バレるリスクは高いといえます。
バレる具体的なケースとしては、以下のようなものが考えられます。
- 官報を見られてバレる
- ローンの審査が通らないことでバレる
官報を見られてバレる
自己破産をすると、自己破産の事実とともに氏名や住所が官報に2度に渡って掲載されます。官報へは一度掲載されれば、削除することはできません。

官報は、国が発行する新聞のようなものです。国民に広く周知すべき事項が掲載され、原則的に休日を除き毎日発行されます。掲載内容は、法律・政令等の情報など多岐にわたり、破産・相続等の裁判の内容も掲載内容の一つです。
過去の官報を確認する手段もないわけではありませんから、もし、相手が官報などを確認した場合、バレる可能性があります。
ただ、官報の存在自体は一般的ではなく、知っている人は限られます。
官報はインターネットにも掲載されていますが、個人名などで検索してもヒットしない仕組みになっていますし、掲載される期間も1ヶ月ほどです。また、官報を入手する手段も裁判所近くの専門書店や一部の図書館など限られています。
さらに、官報には毎日膨大な情報が掲載されており、その中から特定の人の情報をたまたま見つけるというのは限りなく可能性が低いと言えるでしょう。
ただし、次で紹介するような職業に家族が就いている場合は、官報を見られる可能性もあるので、認識しておきましょう。
特定の職業の場合、官報をチェックしている可能性も
特定の職業についている場合、官報を業務上、定期的にチェックしている可能性もあります。
例えば、不動産業者は自己破産手続きの過程で、処分される不動産などの情報を入手することを目的に定期的にチェックしています。その他にも金融機関の審査担当などは、官報を定期的にチェックしている可能性があります。
相手がこれらの職業についている場合は、官報を通じて自己破産の事実を知られる可能性があるでしょう。
ローンの審査が通らないことでバレる
住宅ローンや車のローンの審査に通らないことで、バレる可能性もあります。
先程ご説明した通り、自己破産した場合、5~10年の間はブラックリスト入りするため、新規の借入やクレジットカードの作成はできません。
この期間の間に、車や住宅を購入の際や、クレジットカードを作成しようとした際に審査に通らなかったことで、不審に思われる可能性は高くなります。
最近では電子マネーやWebショッピングなど、クレジットカードは生活していく上で必要不可欠なものになっています。高額な買い物や教育資金など、ローンを利用する機会も多くなるので、これらをすべて避けて生活するのはかなり難しいでしょう。
不審に思った相手が身辺調査をすれば、官報の情報などで自己破産の事実を知ることは可能ですので、バレることになるでしょう。
※自己破産とブラックリスト入りの関係については「債務整理と信用情報機関の関係は?ブラックリストに載った場合のデメリットと対処法を解説」で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
リスクも含めて理解を得ておくことが重要
これまでご紹介した通り、自己破産の事実を隠し通すことは難しいと言えます。
そのため、結婚を考えているのであれば、きちんと話をした上で理解を得ておくことが大切です。
自己破産自体は、犯罪などではもちろんなく、今後の生活を立て直すにあたっての救済措置です。むしろ、隠したまま結婚し、後で露見するようなことになれば、信頼関係に大きく溝を作ることになりかねません。
これまでの経緯を含め反省していることを充分に理解してもらい、今後の生活について話し合った上で進めていくことをおすすめします。
相手や子供への直接の影響はない
自己破産は、債務者本人と裁判所、債権者が関係者ですので、結婚相手や子供が直接的な影響を受けることはありません。
もちろん、子供の職業や結婚などに影響することもありません。
ただし、上記でご説明した通り、クレジットカード作成ができない、ローンが組めないなど、自己破産で自身が受ける制限によって、生活への影響はでてきます。
これらの影響が間接的に出る可能性があることは理解しておく必要があるでしょう。
結婚への影響を恐れて自己破産を遅らせれば影響は大きくなる
現在、自己破産を検討しているということは少なからず、借金の返済が厳しい状況にあると言えます。
結婚への影響を不安視するあまり、対処が遅れれば、さらに状況は悪化しますし、将来の結婚への影響も大きなものになる可能性があります。
借金問題を解決せずに結婚すれば生活に直接的に影響する
自己破産せずに、借金を抱えたまま結婚すれば、返済負担という実質的な影響が残ります。
借金の額によっては、生活さえままならなくなる可能性もあるでしょう。
結婚前の借金について、配偶者が負担する義務はありませんが、延滞による督促など一緒に暮らしていく上で精神的な負担も大きくなってしまいます。
結局、自己破産するようなことになれば、結婚後に築いた資産を失うことにも繋がります。
例えば、自宅を購入していたりすると処分し引っ越す必要が出てきますし、子供のために貯蓄をしていたとしても、処分の対象となるため、手元には残りません。
借金問題の解決を後回しにすればするほど、結婚生活への影響も大きくなっていくでしょう。
すでに返済が厳しい状況にあるのなら、結婚前に借金問題を解決しておくことをおすすめします。
自己破産後の影響が結婚生活に影響する期間が長くなる
自己破産すると、5~10年はブラックリスト入りにより新規の借入やクレジットカードの作成ができなくなります。また、手続き期間中は一定の職業に就業できなくなってしまいます。
ただし、これらの制限は期間限定です。手続き後一定期間が経過すれば解除される制限なので、手続きを早く行うことで、制限も早く解除されます。
逆に、手続きが遅れることで、これらの制限が解除される日が先になるわけですから、結婚直前に自己破産すればそれだけ影響は大きくなります。
できるだけ早く手続きを終え、借金問題を解決することで、これらの制限から早く開放されることが大切です。
手続きをスムーズに終えるためにも、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで、状況に合わせてどんな手続が必要か適切に判断してもらえます。
さらに、手続自体をスムーズに進められるよう支援も受けられますので、結果として、これらの制限の影響を最小限にできるでしょう。
結婚相手が自己破産していた場合に理解しておくべきこと
もし結婚相手が自己破産していたとしても、自身に直接的な影響が及ぶことはありません。
ただし、結婚相手には、自己破産の制限をうけることになるため、生活していく上では影響を理解しておく必要があります。
ライフイベントの出費で借入ができない
自己破産した場合、5~10年の間は借入ができません。
結婚すれば、車の購入や家財道具の購入などで、まとまったお金が必要になることも多くなります。また、生活費などの引き落としなどでクレジットカードを利用する場面も出てきます。
これらの借入やクレジットカードの作成はできなくなってしまうため、自身名義での借入やクレジットカードを利用することになるでしょう。場合によっては、教育ローンや奨学金など子供にも影響が出てくる可能性もあります。
ご自身が働いていれば、自身の名義でローンを組む必要がありますし、働いていない場合はローンなどを組める範囲が限定されてしまうこともあるでしょう。
ただし、自己破産した人がクレジットカード作成や新規のローンができない期間は、ブラックリスト入りしている期間のみで、期間がすぎれば借入できる可能性があることも認識しておいてください。
相手の経済事情が影響する可能性はある
自己破産すると、原則的に所有する財産は一部を除きすべて処分しなければなりません。
自己破産直後に結婚するとなれば、ほとんど貯金もなく、経済的には頼りにしにくい面もでてくることは認識しておくべきでしょう。
結婚した当初というのは、結婚式や披露宴、共同生活に向けた家財道具の購入など何かとまとまったお金が必要な場面が多くあります。
その際に、結婚相手の経済力にまったく期待できないことになる点は理解しておくべきです。
まとめ
自己破産したからと言って、結婚できないというわけではありません。結婚相手や子供にも直接影響を及ぼすわけではありませんが、結婚生活に少なからず影響がでる可能性はあります。
ブラックリスト入りによって、新規借り入れやクレジットカード作成ができないことなどはその最たるものでしょう。
大切なのは、自己破産することによってどんな影響が出るのかを正しく理解しておくことと、結婚相手に理解してもらっておくことです。
結婚は人生の一大イベントであり、将来をともにする相手を選ぶことでもあります。これまでの生活を改め、自己破産で新たな一歩を踏み出すわけですから、家族の理解を得た上で歩んでいくことが最も重要になるでしょう。
また、自己破産の影響を恐れ、借金問題の解決を先延ばししてもいいことはありません。悩んでいるなら、まずは弁護士に相談し、今後の影響などをしっかり理解した上で、一刻も早く解決に向けて一歩踏み出すことをおすすめします。
自己破産と結婚についてよくある質問
自己破産とは、財産を手放す代わりに借金を全額免除する手続きです。弁護士に自己破産を依頼することで、支払督促を止めることもできます。
いいえ、自己破産をしても結婚は可能です。また、自分が自己破産をしても配偶者に直接の影響はありません。
隠したまま結婚することも可能です。また、自己破産を隠していても法律的な離婚事由にはなりません。ただし、後から発覚すると相手の心情として「信用できない」と思われ、夫婦関係にヒビが入る可能性はあるでしょう。
各種ローンやクレジットカードを使えないほか、物件によっては賃貸契約を断られる恐れがあります。ただし、配偶者名義で契約すればそれらのデメリットは発生しません。
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