自己破産はどこまで調べられる?「財産隠し」はかならずバレるうえに免責不許可になるので要注意!

自己破産で財産を隠すことはできない!「財産隠し」がバレるとどうなる?

自己破産をしようとしたとき、自分のことについてどこまで調べられるのでしょうか?

自己破産時に調べられることは、あなたの「所有財産」「借金の内容」「免責に関すること」の3つです。

これらを「どこまで調べられるのか」と定義づけることは難しいですが、ひとつ言えるのは「徹底的に調べられる」ことです。財産を隠そうとしたり借金の内容を偽ったりすると自分が不利益を受けるので絶対にやめてください。

もしも財産を隠して自己破産をしてしまったらどうなるのでしょうか?

財産隠しは、最終的に免責許可(借金が0になる決定)がおりなくなり、自己破産をする意味がなくなります。さらに、悪質さが認められるときは「詐欺破産罪」という犯罪に抵触する恐れがあります。

自己破産で調べられることは、あなたのお金周りのことと免責許可を決定するにふさわしい人かどうかです。具体的には「財産の調査」「借金の内容」「免責に関すること」です。

自己破産という債務整理手続きは、あなたが持っている財産のほとんどをお金に変えて債権者(お金を貸した人)に分配する代わりに借金のすべてを0にします。

そのため、あなたが今どの程度の財産を持っていて、借金はいくらくらいあるのか?債権者は何人いるのか?など、調べなければいけないことがたくさんあります。

中には故意で財産を隠そうとする人もいるため、徹底的に調べられると思ってください。もしも財産隠しが発覚すれば、免責許可がおりなかったり刑事罰の対象になったり、自分自身が不利益を受けることになるでしょう。

この記事では「自己破産は自分の何をどこまで調べられるの?」と疑問を持たれている方に向けて、自己破産時に調べられることや調査の方法等について詳しくお伝えしています。これから自己破産を検討されている方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 自己破産では「財産」「借金」「免責」の3つのことについて徹底的に調べられる
  • 調査の方法は聴取や提出書類の精査、状況によっては現地調査で行われる
  • 財産を隠していたことが発覚すると、免責不許可となり借金が0にならない。最悪の場合「詐欺破産罪」として懲役刑や罰金刑の対象になる

自己破産時に調べられることは3つ

自己破産の申立てをすることで調べられることは3つ。

  • ①所有財産の調査
  • ②借金の内容調査
  • ③免責に関する調査

自己破産は一定以上の財産をすべてお金に変えて債権者(お金を貸した人)に分配し、借金のすべてを0にする手続きです。

そのため、自己破産をするためには破産者(自己破産手続き決定を受けた人)が抱えている財産の調査や、借金の内容の調査をしなければいけません。また、自己破産申立人が本当に自己破産をするにふさわしい人か?という調査(免責の調査)をします。

それぞれの調査で何をどこまで具体的に調べられるのかについて詳しく見ていきましょう。

①破産者が所有している財産の調査

自己破産をしようとしている人が持つ財産は、自由財産自由財産とは破産者が自由にできる財産であって、破産財団に属さない財産のことを言います。自由財産には「生活に必要不可欠な財産」が該当します。たとえば、99万円以下の現金や差押禁止財産(衣類や家具家電など)など。場合によって「自由財産の拡張」が認められることがあります。これによって残しておける財産の幅が広がるので、どうしても残したい財産があるなら弁護士へ相談してください。を除いてすべて破産財団で管理し、換価処分(換金すること)します。

お金に変わった財産はすべて債権者(お金を貸した側)に分配されるため、まずは破産者(自己破産手続き決定を受けた人)が持つすべての財産を調査しなければいけません。

所有財産の主な調査方法は4つ。

調査の種類 調査方法 注意事項
①破産者が提出した書類の精査 破産申立時に提出する書類による調査 書類に不備があったり嘘の情報を書いたりすると自己破産の手続き上、不利益を受けます。
②破産者への聴取 破産管財人による事情聴取 提出書類をもとにあなたが持っている財産について聞かれますが、ここで嘘をついたりしてはいけません。
③現地調査 物による財産(車や家など)の調査 職員が実際に訪れて調査をします。日時が前もって知らされるので、かならず立ち会うようにしてください。
④郵送物の確認 裁判所が認めた場合、破産者あてに届いた郵送物のすべてを破産管財人あてに届けて中身を調査 財産を隠していたり借金を隠していたりするとここでバレます。

財産の価値や状態権利関係、担保の有無などを調査

財産の調査では破産者が持っているすべての財産について、あらゆる手段をもちいて徹底的に調査をします。とくに、価値の付きそうな物(高級時計や車など)については、その価値や状態を含めて詳しく調査されるでしょう。

その他、マイホームを持っている方のうち、住宅ローンが残っていれば抵当権抵当権とは、住宅ローンの返済が滞ったときに銀行等の抵当権設定者がその物件を売却できる権利です。が設定されています。抵当権はいわゆる担保のような役割を担っているため、抵当権順位や抵当権設定者の調査も対象です。

また、必要に応じて自宅内に価値のある物がないかどうかの現地調査を行います。

換価処分(換金すること)できそうな物は差し押さえの対象となりますが、生活に必要な物(自由財産)については守れるので安心してください。

マイホームは現地調査で鑑定するため、職員の来訪は避けられない

自己破産をすることでマイホームも換価処分(換金すること)の対象となり、マイホームの価値を調査するために現地調査が行われます。

現地調査では破産者が立ち会いのもと、不動産鑑定人と呼ばれる不動産の専門家と裁判所の職員とで物件内外を調査します。

前もって日時は指定されますが、立ち会いができないときは裁判所へ早めに申告しましょう。別日程へ変えてもらえます。

ワンポイント解説
数か月も先延ばしはダメ

マイホームの現地調査は、かならず破産者が立ち会いのもとで行われるため、日程が合わなければ別日にずらすしかありません。このとき、できるだけ長く家に住んでいようと考え「日程を数か月も先延ばしにしよう」と考える方がいるかもしれませんがやめてください。正当な理由なく調査を妨害すると、免責不許可事由に該当し免責許可(借金が0になる決定)がおりなくなってしまいます。

②借金の内容を調査

自己破産では、破産者(自己破産手続き決定を受けた人)が抱えているすべての借金が対象となるため、ひとつ残らず徹底した調査を行います。

借金の内容を調査する方法は3つ。

調査の種類 調査の方法 注意事項
①破産者、債権者への聴取・書類提出 破産者が提出した債権者一覧表をもとに聞き取り調査を行い、債権者に裏付けを取る この時点で債権者あてに「破産手続き開始の通知」を送付するため、クレジットカード等が止まります。
②信用情報の開示 信用情報機関に対して破産者本人の信用情報を開示請求 債権の申告漏れ等があればここで発見されますので気をつけてください。
③通帳の入出金明細確認 通帳の入出金明細を確認して、債権の有無を確認 個人から借り入れしている借金も通帳の入出金明細を調べられることでかならずバレるので、前もって申告しておきましょう。

破産者が抱えている借金の内容や金額の調査

借金内容の調査についてもあらゆる手段で徹底的に調べられます。

債権の調査で調べられることは2つ。

  • ①債権者について
  • ②各債権者の借金額

債権者が何人いて、個人・法人どちらなのか、各債権者の借金額はいくらなのか?などについて調べられます。基本的には、自分ですべて申告し債権者に裏付けを取る流れです。

また、個人(友人や家族等)から借りている借金についても自己破産の対象であり、相手方へ弁護士からの「受任通知」や裁判所から送付される「破産手続き開始の通知」が届きます。

「自己破産を知られたくない」という理由から、個人間の借金を隠していても銀行口座の確認等でかならずバレるでしょう。

中には「自己破産前に個人間の借金だけ返済すれば良いのか?」と思われるかもしれませんが、これは偏頗(へんぱ)弁済といって、最悪の場合免責許可(借金が0になる決定)がおりません。

とくに「友人や家族からの借り入れは優先して返済したい」とか「自己破産に関係なく返済したい」と思う気持ちはわかります。しかし、絶対にやめてください。

特定の債権者のみに返済する行為も、特定の借金のみを隠す行為も、自分自身が不利益を受けることになります。

③免責不許可事由に該当しない借金か否かの調査

自己破産によって借金を0にする決定のことを「免責許可の決定」と言い、破産者が免責許可の決定をするに「ふさわしい人かどうか」についても調査されます。

「免責許可を決定するのにふさわしくない人」とは、自分勝手に借金を作った人や反省の態度が見られないなど「免責不許可事由に該当する人」です。

よく問題となる免責不許可事由は下記のとおり6つあります。

  • ①ギャンブルや無駄使いによって多額の借金を抱えた人
  • ②財産を隠したり壊したり、他人に贈与したりする行為
  • ③破産申立てより1年以内に信用情報等を偽って借金をした
  • ④ローンやクレジットカードで購入した商品を安価で売却した
  • ⑤免責許可決定を受けてから7年以内の人
  • ⑥裁判所や破産管財人に協力しない

参考:e-Govポータル「破産法252条(免責許可の決定の要件等)」

免責の調査を簡単にまとめると「この破産者は下記のような人ではないだろうか?」という調査で、基本的には聴取によって調べられます。

  • 無駄使い
  • 不誠実な人、反省していない人
  • 詐欺まがいなことをした結果の借金
  • 短期間で同じことを何度も繰り返す人

上記に当てはまる人は、基本的に免責許可の決定をするにふさわしくないと見られてしまいます。

免責の調査は「厳しい聴取」と「資料の精査」

免責の調査では、破産者(自己破産手続き決定を受けた人)が提出した書類や厳しい聴取によって調べられます。

具体的には「なぜ借金を作ってしまったのか」や「同じことを繰り返さないためにはどうするのか」、「免責許可決定後はどのように生活を送るのか」など、あらゆる角度から厳しい質問を受けます。

このとき、借金を抱えてしまった理由などを偽っていると、免責許可がおりません。もちろん、聴取時に話した事実や提出した書類の裏付けは取るため、偽っていてもかならずバレるので注意してください。

※ ギャンブルや浪費で作った借金など、たとえ免責不許可事由に該当する借金があったとしても裁判所に適切な説明を行うことによって裁量免責が下り免責が下ることもあります。このような借金を抱えていらっしゃる方は弁護士にご相談のうえ自己破産手続きを進めることをお勧めします。

自己破産時のあらゆる調査で隠し財産はかならずバレる

自己破産をすることで自由財産自由財産とは破産者が自由にできる財産であって、破産財団に属さない財産のことを言います。自由財産には「生活に必要不可欠な財産」が該当します。たとえば、99万円以下の現金や差押禁止財産(衣類や家具家電など)など。場合によって「自由財産の拡張」が認められることがあります。これによって残しておける財産の幅が広がるのでどうしても残したい財産があるなら弁護士へ相談してください。を除くすべての財産を処分しなければいけません。もしも、財産を隠したり他人に贈与したりすると「財産隠し」として、免責許可(借金が0になる決定)がおりなかったり「詐欺破産罪」という犯罪に抵触する恐れがあります。

中には、どうしても手元に残しておきたい財産がある方もいるでしょう。しかし残念ながら自己破産は、借金を0にする変わりにあなたの財産をすべて換価処分(換金すること)して債権者(お金を貸した人)に分配されます。

財産隠しは徹底して調べられた結果、かならずバレるので漏れなく申告するように心がけてください。

聴取や調査、書類の提出で徹底調査するため財産隠しはかならずバレる

裁判所は破産者(自己破産手続き決定を受けた人)が財産を隠していないかどうか、書類や聴取、時には現地調査にて徹底的に調べます。

とくに裁判所へ提出する書類は厳しく、その内容についてしっかり精査されるため、隠し通すことは極めて難しいでしょう。

裁判所へ提出する書類一覧
  • 銀行の通帳
  • 給与明細・源泉徴収票・課税証明書(収入証明書類)
  • 家計簿
  • 破産者が所有する財産の一覧表
  • 車検証(車がある場合)
  • 不動産登記簿(不動産がある場合)

破産手続きが開始されると、破産者あてに届く書類は破産管財人に渡るため、財産を隠していても郵送物によってバレてしまうこともあるでしょう。

また、自宅内で保管している現金についても、家計簿等を調べられることでバレてしまう可能性が高いです。

裁判所や破産管財人は嘘を見抜くプロと言っても過言ではありません。書類や聴取、あらゆる調査によってかならず嘘がバレます。バレて不利益を受けるのはあなた自身なので、財産を隠すようなことは絶対に避けるべきでしょう。

財産隠しは免責不許可事由になり、免責許可がおりない

故意に財産を隠す行為はとても悪質であり、問答無用で免責不許可となります。免責不許可となれば、そもそも自己破産をする意味がありません。

自己破産を開始するための費用も無駄になり、債権者(お金を貸した人)からの取り立てもまた始まり返済を強いられることになるでしょう。財産を隠す行為は百害あって一利なしです。

「バレなければ問題ない」ではなく、絶対にバレる、バレてしまえば自分が不利益を受けると考えれば、そこまでして隠しておきたい財産はないはずです。絶対にやめましょう。

【要注意】財産の申告漏れでも財産隠しに該当する恐れがある

「故意」ではなく、誤って財産の申告が漏れていただけでも、免責許可がおりなくなってしまうことがあります。

故意ではない限り免責許可はおりますが、裁判所が「故意」を認めたときには免責許可がおりないこともあるでしょう。たとえば、明らかに破産者が嘘をついていたり、知らないはずのない財産を申告しなかったりしたときです。

また、自己破産前に故意なく財産の名義変更をしたり、他人に贈与したりすれば財産隠しに該当する恐れがあります。

財産隠しは免責不許可事由に該当し、自己破産の手続き上でも大きな弊害となり得ます。財産隠しを疑われるような行為も極力避けるべきでしょう。

財産隠しがバレると「詐欺破産罪」として刑事罰の対象

財産隠しがバレてしまい、悪質であると判断されることで刑法に定める「詐欺破産罪」が成立する恐れがあります。

詐欺破産罪に該当するケースは下記のとおりです。

  • 自己破産前後問わず財産を隠したり壊したりする行為
  • 財産の現状を変えて価値を著しく下げる行為
  • 債務者(借金を抱えている人)の財産譲渡や債務負担を仮装する行為
  • 破産手続き開始決定後に正当な理由なく財産を第三者へ取得させる行為等

参考:e-Gov法令検索「破産法265条(詐欺破産罪)」

詐欺破産罪の法定刑は「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金もしくはこの両方を併科」です。

過去に約8億円もの財産を隠そうとした破産者が詐欺破産罪で「懲役3年執行猶予5年」の有罪判決を受けた事例があります。このケースでは額が高額であったことや悪質であったことから、とても厳しい判決が下されました。

自己破産時に財産を隠す行為は免責許可がおりないどころか、最悪の場合、懲役刑となる重罪です。裁判所や破産管財人の徹底した調査によってかならずバレるので、嘘や申告漏れのないようにしてください。

参考:裁判所|裁判例「事件番号 平成27年特(わ)第1454号」

まとめ

今回「自己破産でどこまで調べられるのか?」についてお伝えしました。

自己破産で調べられることは「所有財産」「借金の内容」「免責に関すること」の3つです。いずれも徹底的な調査によって、何かを隠し通すことはほぼ不可能です。

財産を隠していた事実が発覚すれば、借金を0にすることができなかったり破産詐欺罪として厳しい処罰を受けたりすることになるでしょう。

どうしても残しておきたい財産があるかもしれませんが、それを隠そうとする行為は許されるものではありません。自己破産の現実に向き合い、生活再建を目指していきましょう。

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